もどる

    かけはし2018年11月19日号

東アジアの平和を作り出そう


10.20

共にめざそう アジアの平和

関西のつどいに800人

 【大阪】大阪平和人権センター・戦争あかん!基地いらん!関西のつどい実行委員会・戦争をさせない1000人委員会の共催による「止めよう!戦争への道・めざそう!アジアの平和 関西のつどい」が一〇月二〇日、エルおおさかで開かれ、八〇〇人の労働者・市民が参加した。
 増田京子さん(しないさせない戦争協力関西ネットワーク共同代表)と久壽里麻衣さん(大阪教組)の司会で進行。初めに米田彰男さん(大阪平和人権センター理事長)が主催者あいさつをし、「玉城デニー新知事の誕生を共に喜ぶ。首相はデニー知事との会談の五日後に、埋めたて承認撤回の効力停止に向け行政不服審査を申請した。このようなやり方は許せない。内閣改造後の共同通信の全国世論調査でも、辺野古移設反対は五四・九%で、賛成三四・九%を大きく上回っている。二度目の米朝首脳会談が実現すれば東アジアの非核化は大きく前進する。安倍政権は、朝鮮半島の緊張を利用してつくった安保関連法の前提が失われたが、九条改憲案を出すという。これに対しては引き続き闘っていく」と述べた。
 続いて稲嶺進さん(前名護市長)と安次富浩さん(ヘリ基地反対協議会共同代表)による沖縄特別報告が行われた。

稲嶺前名護
市長の発言 
埋めたて承認撤回に対し、国は行政不服審査法により対抗措置をとってきた。この法律は国民が行政権力に対し行うものであり、国に適用されるのか。沖縄県は国と五つの訴訟を闘い、四つは敗訴した。五つめは岩礁破壊不承認の訴訟で、現在係争中。裁判官は本当にきちんと審査したのか、国の主張をそのまま利用しただけだ。負けはしたが、内容についてではなく、手続き上の問題で判断されただけ。大浦湾の海底はマヨネーズ状の軟弱地盤である活断層が二本走っている。これを調査した国の情報の開示を申請している。まだ国は応じていないが、開示は時間の問題だ。埋め立ての設計変更は不可避であるが、設計変更には知事の認可が必要だ。
辺野古の海面から五〇m以上の高さの建造物はあってはならないことになっている。沖電の鉄塔、沖縄高専、小中学校、郵便局の建物がこの基準に抵触するが、移転をするのは鉄塔だけで、その外は検討されていない。子どもや人の命はどうでもいいということだ。大浦湾には五八〇〇種の海洋性生物が生息し、その内二六二種は絶滅危惧種だ。長島・平島には鍾乳洞があることがわかり、世界遺産に匹敵する自然がある。
辺野古新基地建設は非暴力の運動で止められる。デニー知事を支え、辺野古の問題は沖縄の問題ではなく、日本の問題であることを日米政府に言い続けていく。

安次富浩さんの
アピールから
翁長前知事が、辺野古基地はつくらせないと国と対峙してきた闘いを受け継いでいく。知事候補はデニーさんしかいなかった。デニーさんは、四〇万に近い今までの最高得票・八万票の大差で当選した。進次カは三回、創価学会員は七〇〇〇人が沖縄に来た。でも、名護市でもデニーさんは対立候補に一七〇〇票上回った。名護市長選では、自公維新が協力し議員は企業回りのステルス作戦をするのが勝利の方程式の解だといわれ、同じやり方を知事選でもやった。だがこのやり方は不評を呼び、ウチナンチューの心が表出した。那覇での街頭演説会で菅官房長官は【侵略者は帰れ】とやじられた。翁長さんの県民葬では、菅に【嘘つき】のヤジが飛んだ。知事選後、米政府では動揺が起き、報道官が【事故を起こすな、不時着するな】という異例の通達を出し、ニューヨークタイムズは社説で沖縄県知事選を論評した。デニー知事が安倍首相と会談したとき、菅も同席したが、選挙戦中に【携帯料金の四割カット】を約束したのに、そのことについてはふれていない。また、今まで米軍再編と辺野古移設はリンクしていないと言ってきたが、会談時から、リンクしていると言い方を変えている。
会談では、対話していくと言いつつ、わずか五日で、行政不服審査で埋めたて承認の撤回の執行停止を要請している。一一月から、埋め立て工事再開の可能性もある。このやり方が通るなら、沖縄だけではなく全国すべての県で同じやり方が当てはまる。オスプレイは横田に配備された。佐賀にも配備されようとしている。高額の米国製兵器を買う金があったら、災害復旧に使うべきだ。九条改憲に対して、私たちは防衛省を防災省に! を要求しよう。

核兵器禁止条約
拒否の安倍政権
続いて、川崎哲さん(ICAN国際運営委員)が、「米朝首脳会談と核兵器禁止条約」と題して講演をした。
ICANは二〇〇七年に誕生した国際NGOで、ピースボートも国際運営一〇団体の一つになっている。核兵器禁止条約(核禁条約)は発効に向け着実にすすんでいる。前進していこうという国連決議が採択された。日本は、沖縄に対しては牙をむき、核禁条約に対してはのらりくらりとした態度で、日本が中心の核兵器禁止決議案では核禁条約のことにはふれていない。アジアの平和にどう向き合おうとしているのか。
核禁条約は、明らかに平和への変化の一部にはなっている。前文では、国連憲章の原則(核がもたらす破滅的人道上の結末・リスク)、国際人道法の原則、NPT(核拡散防止条約)とCTBT(包括的核実験禁止条約)の重要性にふれ、平和軍縮教育に言及し、ヒバクシャの受けた苦しみ、教育におけるヒバクシャの役割を述べている。
核禁条約の第一条は、「締約国は、いかなる場合も、以下のことを行わない。核兵器の開発、実験、生産、製造、取得、保有、貯蔵、核兵器の管理、核兵器の使用、使用するとの威嚇、これらの行為の援助・奨励・勧誘、自国内に配置・設置・配備」となっている。いかなる場合もとは、全面的に・例外なくという意味だ。核禁条約は一二二カ国が賛成している。すべて核を持たない国で、条約の中心だ。賛成していない国は、核保有九カ国とその同盟国など三〇カ国、合わせて四〇カ国弱。世界には核が一万四四五〇発あるが、そのうち一万三〇〇〇発は米国とロシアが保有している。二〇〇〜三〇〇発保有しているのが英仏中、一四〇〜八〇発保有がイスラエル・インド・パキスタン、北朝鮮が一〇〜二〇発だ。

核兵器のため
に金を使うな
冷戦が終わったとき核兵器は急減したが、ゼロにはならなかった。それが現在まで続いている。東アジアの冷戦が終われば、さらなる削減のチャンスが出てくる。核保有国が参加しなければ実効性がないという核禁条約に対する批判がある。しかし、核兵器は使えない。使えないものをいつまで持つのか。
核に金を使うな。核兵器製造企業に、日本の金融機関(三菱UFJ・三井住友・みずほ・野村・オリックス・千葉銀)が、合計で二兆円の融資をしているが、そのためこの金融機関の企業的価値が揺らいでいる。核は力のシンボルから恥のシンボルに変わりつつある。宗教界もこのことに関心を持ってきている。核抑止は、核を使うことを前提にしているが、保有国は本当に使う気があるのか。使えば壊滅的な被害で勝者はない。使わないなら、本当にどんなときもつかわないといえるのか。実際、偶発的に核のボタンを押してしまったが、惨事にならなかった例がある。命令を受けたが、現場の責任者が止めた例もある。事故は起こりうるのだ。また、テロに使われる危険もある。

核兵器禁止に
抵抗する日本
日本は核兵器禁止に対する抵抗勢力だ。河野外相は国連で「核は安全保障に不可欠だ」と述べた。日本は核先制攻撃の誘惑にひかれている。このような立場で、朝鮮の非核化をどのようにして説得できるのか。この論理に基づけば、世界は核だらけとなる。米国の銃規制に立ちあがった高校生がトランプ大統領に規制を要請したら、「わかった、ではこれから先生にも銃を持たせよう」と言ったとか。
核を使えるようにしておいて使わない……こんな理屈があり得るのか。これは謎の論理だ。核は戦争を防いできたのか。キューバ危機の例もある。北の核でむしろ戦争の危機が高まった。もちろん核をなくしても戦争はなくなるわけではない。外にも非人道的な兵器はいろいろある。でも核の被害は別格だ。中国は核を持っている。しかし日中はなぜ戦争しないのか。それは経済的な結びつきが強いからだ。私たちは、核の終わりか私たちの終わりか、という二者択一の状況に置かれている。
社会は変えられる。奴隷制をなくす、女性参政権、タバコ禁煙……どれも当時は不可能と思われていた。でも社会の価値観は変化する。古くさく、合理性を欠いた核抑止。この非人道的な兵器の廃絶についても同じことが言えるだろう。最後に朝鮮半島情勢との関連を述べたい。朝鮮と韓国双方が核禁条約に加盟することが重要だ。そうすれば、北の核廃棄が義務付けられ、韓国内の核も禁止される。この条約は、自衛のためといえども核は許されないという規範になる。日本が加盟すれば北東アジアの非核化・核によらない平和の実現につながる。

野党・労組から
連帯アピール
講演の後、政党があいさつした。立憲民主党から尾辻かな子衆議院議員、社会民主党から服部良一元衆議院議員があいさつをし、国民民主党からは平野博文衆議院議員のメッセージが代読された。
連帯アピールとして、仲尾宏さん(反戦・反差別・反貧困共同行動in京都共同代表)、崔誠一さん(在日韓国民主統一連合大阪本部事務局長)、坂田さん(全日建連帯労組関生支部副委員長)、韓国民主労総全北本部訪日団から連帯のアピールがあった。
最後に、中北龍太郎さん(戦争あかん!基地いらん!関西のつどい実行委員会代表)がまとめをし、行動提起を高木俊雄さん(平和人権センター事務局長)、垣沼陽輔さん(しないさせない戦争協力関西ネットワーク共同代表)の音頭で団結ガンバローを行い集会を終えた。集会後、西梅田までデモ行進を敢行した。(T・T)

朝鮮半島通信


▲11月5日の朝鮮中央通信によると、金正恩朝鮮労働党委員長は4日、同国を公式訪問したキューバ元首のディアスカネル国家評議会議長と会談した。会談は両首脳単独で、百花園迎賓館で行われた。
▲韓国政府の造船業界への過剰な補助金支給は国際協定違反だとして、日本政府は11月6日、WTO(世界貿易機関)への提訴に向けて、2国間協議を韓国に要請した。
▲2015年の日韓慰安婦合意をめぐり元慰安婦らが基本的な人権を侵害されたとして韓国の憲法裁判所に違憲判断を求めた訴訟について、韓国外交省は11月5日、元慰安婦らの訴え却下を求める答弁書を同裁判所に提出した。
▲韓国大統領府は11月11日、済州島産のミカン200トンを朝鮮に送ると発表した。今年9月に朝鮮で開かれた南北首脳会談の際、朝鮮側からマツタケ約2トンを土産として受け取っており、そのお礼としている。


もどる

Back