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    かけはし2018年10月22日号

核・戦争脅威のない韓半島の実現へ


第3回平壌南北首脳会談の意味

ジャン・ヒェギョン/京畿(キョンギ)

 ピョンヤンで開かれた第3回南北首脳会談の意味を探る社会変革労働者党の変革政治の記事。結論部分で「核のない韓半島、戦争の脅威のない韓半島を作るためには米国の北朝鮮に対する帝国主義的な覇権戦略の変化とともに文在寅(ムン・ジェイン)政府の国防および同盟政策の変化が求められているのだ。私たちが文在寅(ムン・ジェイン)政府にただ喜んでばかりいられない理由が、米国の対北朝鮮の覇権政策の廃棄・平和協定締結・韓米同盟廃棄・南北の相互画期的軍縮に向けて闘わなければならない理由がここにある」と述べているが、これは日本の民衆にも言えることだ。核のない朝鮮半島、平和のアジアを実現していく課題は韓国民衆とともにわれわれにもかかっている。(「かけはし」編集部)


9月、平壌(ピョンヤン)で三番目の南北首脳会談が開かれた。南北首脳は、?9・19、平壌(ピョンヤン)共同宣言〉(以下「9月平壌(ピョンヤン)宣言」)と〈板門店(パンムンジョム)宣言の履行に向けた軍事分野の合意書〉を作り出したが、注目するのは、第1項と4項だ。

戦争の危険除去と敵対関係解消

 平壌宣言は第1項で「非武装地帯をはじめに対峙地域で軍事的敵対関係の終息」を韓半島全土での「戦争の危険除去と根本的な敵対関係の解消」に繋がるようにしていると指摘した。このため、〈板門店宣言軍事分野の履行合意書〉を付属合意書で採択した。
この合意書で南北は11月1日から「軍事境界線付近での地上、海上、空中での敵対行為を中止」をカギとして、非武装地帯DMZ内の監視警戒所GPの相互の撤退と板門店共同警備区域JSA非武装化など「DMZの平和地帯化」を推進することにした。
また、西海上での偶発的衝突防止および漢江河口の共同利用を合意した。そしてこれに向けて「南北軍事共同委員会」を設置することにした。事実上、南北間の終戦宣言をしたわけだ。

終戦宣言と米朝交渉の局面引き出して


第4項は「核兵器と核脅威がない韓半島」に向けた措置だ。このため、北朝鮮側は「東倉里(トンチャンリ)のエンジン試験場とミサイル発射台」を関係国専門家たちの立ち合いの下でまず永久的に廃棄することにした。ともに米国が相応の措置を取れば、「寧辺(ヨンビョン)核施設の永久的廃棄」といった追加的な措置を取る用意があることを表明した。
これは8月ポンペイオ外相の訪朝の取り消し以降、終戦宣言と核リストの提出をめぐる米朝間の対立でこう着状態に陥った北米関係の突破口を設けるため北朝鮮非核化案を提出したものといえる。
つまり、北朝鮮はすでに廃棄作業に突入した東倉里のエンジン試験場とミサイル発射台に対する関係国の立ち合い(実質的には米国とIAEAの検証と査察)を許容することで、その解体が実質的廃棄という点を検証してもらおうとしている。ひいては米国の相応措置を前提に核兵器の原料である濃縮ウランとプルトニウム生産基地である寧辺(ヨンビョン)核施設の永久廃棄の意志を明らかすることで終戦宣言と同様のアメリカの相応措置を牽引していこうとするものだ。
つまり核兵器実験場所、米本土攻撃が可能なICBM発射場、核兵器の原料生産基地の廃棄という「未来核(能力)」廃棄の意思を通じて北米の後続交渉の動力を確保しようとしたのだ。
このような措置に加えて公式化されていない北朝鮮の非核化案が平壌会談で議論され、これが米国に送られたことで実際の硬直局面に陥っていた北米関係が対話局面に入っている。
北米の後続交渉が再開され、10月中にポンペイオが4次訪朝をする予定だ。トランプが2回米朝首脳会談を公式化し、11月の中間選挙前後に米朝首脳会談も開かれる見通しだ。
したがって平壌宣言は、南北間の終戦宣言で南北の軍事的対決の終息を志向しながらも、北米間の終戦宣言を牽引して行き北朝鮮の先制的非核化プログラムで米朝対話の扉を開いたという点でその意義がある。
そのほかに合意事項を見てみよう。第2項は、南北交流と協力増大と民族経済の均衡的発展に向けた対策だ。年内東・西海線鉄道・道路連結の着工式、条件の設定の際、開城(ケソン)工業団地と金剛山(クムガンサン)観光事業優先の正常化、西海(ソヘ)経済共同特区と東海(トンヘ)観光の共同特区の造成などが含まれている。
3項では、金剛山離散家族常設面会所の早い期日内の開所はじめとする離散家族問題の解決を、4項では文化・芸術分野の交流協力、2032年夏季五輪南北共同開催誘致における協力、3・1運動100周年南北共同記念などを合意した。なお、6項に金正恩氏の近いうちのソウル訪問も合意した。
つまり、平壌宣言は9月14日開所された開城連絡事務所とともに、板門店(パンムンジョム)宣言の履行を具体化したものだ。

ただ拍手だけをするには


平壌会談の結果、急落した文在寅(ムン・ジェイン)の支持率は再び登った。韓半島を戦争の恐怖から解放させたとマスコミで、平壌宣言に対する賛辞で一杯だ。 しかし、韓半島和平の道はまだ遠い。
7月2日、政府は対北朝鮮攻撃的戦略であり、対北朝鮮先制攻撃戦略である「3軸システム(キル・チェーン、韓国型ミサイル防衛システムKAMD、大量報復システムKMPR)」を推進する「国防改革2.0」を発表した。
2019年国防予算はなんと8・2%も増額編成されているが、これは、李明博(イ・ミョンバク)政府の増加率5・2%、朴槿恵(パク・クネ)政府の4・1%の2倍ほどの高い増加率で、国防予算のうち防衛力改善費の60%が3軸体制の構築に使われる。
9月14日、文在寅(ムン・ジェイン)は3000トンクラスの次世代潜水艦である「トサンアンチャンホ艦」進水式の祝辞で、「力を通じた平和」が政府が追求する安保戦略だと明らかにした。板門店宣言および平壌宣言に逆行する国防政策を推進しているのだ。
さらに、平壌会談後にも文在寅は、終戦宣言(ひいては平和協定)と韓米同盟は無関係だという以前の立場を引き続き主張している。
ところが、韓米同盟廃棄なしには韓国は米国産兵器の最大購買者としてまた米国産新兵器の実験場として残るしかないという点で激化される米中葛藤の犠牲になり得るという点で、韓半島を戦争の恐怖から完全に解放させることはむずかしい。
核のない韓半島、戦争の脅威のない韓半島を作るためには米国の北朝鮮に対する帝国主義的な覇権戦略の変化とともに文在寅政府の国防および同盟政策の変化が求められているのだ。
私たちが文在寅政府にただ喜んでばかりいられない理由が、米国の対北朝鮮の覇権政策の廃棄・平和協定締結・韓米同盟廃棄・南北の相互画期的軍縮に向けて闘わなければならない理由がここにある。

文在寅政府よ! 今日を忘れないだろう

不法派遣犯罪者のチョン・モング、チョン・ギソンを処罰せよ

 現代・起亜車非正規職支会などの財閥の積弊の追及、非正規職撤廃の要求に対して、ムン・ジェイン政府は答えることはせず、警察力で弾圧する姿勢をみせている。(「かけはし」編集部)
 10月2日午後3時ごろ現代・起亜自動車の非正規職労働者がトールゲート、江原ランドの非正規職ハンストに連帯し、現代・起亜車の違法派遣問題の解決に対する民主党の立場と解決を促すため党代表面談を求めて民主党本部に到着した。
 しかし、非正規労働者を迎えたのは警察力だった。「財閥の不法を処罰せよ」と面談を要求する非正規労働者を警察は暴力的に連行した。現代自動車の非正規職2人が警察に連行され、断食11日目を迎えた現代車・全州(チョンジュ)非正規職支会の支会長は、警察の強制連行に際して、意識不明の状態に倒れ、病院に運ばれた。

 1次連行

 1回目の連行過程は、不法と暴力だった。「施設保護中だから扇動する人を連行する、集会法違反だ」と放送したのがすべてだった。連行過程でミランダの原則(拘束の容疑、黙秘権などを告知する原則)も告知しなかった。 警察官は「野郎、ぞんざいなことを言うな」という暴言を吐いた。該当場所は民主連合労組から非正規職の事案で集会申告をあらかじめした場所であり、集会を行ってもよい場所だった。

 2次連行

 連行者の釈放と党代表との面談を要求し座り込んで対峙すると、警察指揮者がイ・ビョンフン支会長を挙げ、「奴を逮捕しろ」と指示し、すぐに警察がイ・ビョンフン支会長を引っぱりこもうとした。隣にいた同僚たちが逮捕を阻止するために支会長につかまったが、警察数人が服を握って連行した。警察はもう1人の労働者も連行した。
ハンスト11日目で力もない人を連行したため、支会長はすぐに意識を失った。しかし、警察に支会長の状態を知るために確認するように、119を呼ばなければならない状況であるかを見せてもらいたいということにもこれを拒否した。状態を知らせてほしいと要求したが、それも拒否した。

意識を失った
労働者放置
警察は、イビョンフン支会長が意識を失ったが、119を呼ぶことは考えずに放置した。 状態を教えてほしいという要求も拒否した。結局、労働者たちは119を呼んで30分で救急車が到着した。
救急車が来たが、同僚が状態を確認しようとしたことも妨害した。 救急車に労働者2人が保護・同行をしようとしたが、警察が物理力で引き出した。これに抗議する技隆(キリュン)電子分会長の手を引いた。結局、警察2人だけが救急車で同乗した状態で病院に運ばれた。
イ・ビョンフン支会長は、「救急隊員がイ・ビョンフン支会長を病院へ移そうとしていると、警察が時間を延ばしなさいと言ったのを聞いた」という。しかも、ハンスト11日のため非常に危険な状況だったが、警察は応急措置さえ妨害して、最小限の人権保護措置もしなかった。

救急室での
治療権妨害
永登浦病院の救急室に到着した時、救急室の中に警察が2人もいて救急室の外に警察が20人余りいた。李明博(イ・ミョンバク)、朴槿恵(パク・クネ)政府時代も、集会中にけが人が救急室で治療を受ける際警察が救急室に入っている。しかし人権団体と弁護士の抗議を受けて応急室の外で待っていたことが多い。
しかし、文在寅(ムン・ジェイン)政権でも警察が救急室の中まで入ってきて、患者の心理的に安定した状態で治療を受けさせない蛮行が起きた。人権活動家のミョンスクが病院にいる警察に、「なぜ病院内に入ったのか」と尋ねると、「現行犯だ」と答えた。
人権活動家の明淑(ミョンスク)が「現行犯だからすべて逮捕するのではなく、犯罪行為が重くて住居地が不明な時に逮捕できるのだ。そのうえ治療を受けているが、これを妨害してどうするんだ」と抗議した。
その後、情報捜査チーム長がやってきて身分を明らかにし「公務執行妨害現行犯だ」と述べた。そして前述した警察は、捜査チーム長のソ・ヨンホであることを後で知ることができた。 警察は20分後イビョンフン支会長を連行しないことにした。
われわれは永登浦警察署の不法暴力連行について責任を問うつもりだ。いわゆる「ろうそく政府」だと自任する文在寅政権が、以前の政権とは何が違うのかと問わざるを得ない。労働者に対する態度だけは変わっていない。
イ・ビョンフン支会長同志は、「どんな暴力にも屈することはできない」とし、非正規職労働者の正当な権利と裁判所の判決に反する現代自動車の不法行為を根絶するためにハンストを続けるといっている。
夜10時過ぎに連行された2人の同志が釈放された。闘争の過程で、起亜自動車の非正規職組合員が連行しようとする警察に首を曲げられ、ひどい痛みで病院に搬送され、治療を受けた。
詳しい経過はミョンスク同志に整理していただきました。 どうも。

 



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