もどる

    かけはし2018年10月15日号

女性が大挙団結して先頭に立つ


ブラジル

大統領選 極右候補と対決

ボルソナロ絶対ノー

 大統領選に対する極右政治家、ジャイル・ボルソナロの立候補に抗議し、女性の幅広い連合が結集した。左翼諸政党、女性諸組織、さらに自由主義政党の何人かのメンバーにより組織されたこの連合は、九月二九日にブラジル中の都市で行進する予定だ(このデモは、同日ブラジル中の都市で多数の女性の参加の下に成功した:訳者)。


 ブラジルの活動家によれば、「政治の温度は高まり、情勢は極めて緊張している。ボルソナロには、世論調査で下降し始めようとしている兆候がある(最高裁によるルラの立候補禁止決定とルラによる立候補辞退の決定以後、世論調査ではボルソナロが大差で一位を維持してきた:訳者)。そして彼に従っている者たちは怖じ気を覚えるようになっている。ボルソナロ派がこの運動の組織者だと考えている女性に対する、狙いを絞った攻撃、むしろ暴力的な攻撃が諸々ある。九月二九日には挑発や衝突があるだろう、と予想するのは合理性を欠くとは言えない」。
 次に紹介するものは、この抗議行動で読み上げられることになっている連合の声明の英訳文だ。

平等、自由、諸権利
そして暴力のない暮らし

ボルソナロ反対女性連合

われわれとは?

 われわれは何百万人という、多様な女性だ。われわれはブラジル人、そして移民であり、若者と白髪の者、黒人、白人、先住民、トランスと同性愛者だ。われわれは、LGBTIQsであり、男性や女性、あるいは両者を愛する者だ。既婚者、単身者、母親、娘、祖母であり、過酷な労働に従事する者、主婦、学生、アーチスト、公務員、小事業者、街頭の行商人、ホームレス、土地なき農民、職のある者や失業者、そしてさまざまな宗教の、また無宗教の女性だ。
この日われわれは、全ブラジルの街頭で共に立ち上がる。なぜならば、一人の大統領選候補者が、ヘイト演説をもって、非寛容、権威主義、逆行の演説をもって、われわれが達成したものとすでに困難になっているわれわれの存在を脅かしているからだ。彼の経済・政治綱領は後退であり、テメル大統領の恐るべき諸政策のさらに悪どい再生産であるがゆえに、われわれは街頭にいる。

ボルソナロ?

 ジャイル・ボルソナロ、現在PSL(社会自由党)に所属し、二七年間連邦の下院議員だったこの男は、これまで九つの党に加入してきた! しかしこの彼の政治生活を通じて、承認された法案は二つしかない。彼は自身を「新しい」何ものかであると押し出しているが、しかし本物の「はえぬきの政治家」だ。実際彼は、息子を選出させるために力を尽くしてきた。そして、何千という家族がホームレス状態にあり、まともな生活の場所を求めて闘っている中で、道義を欠いた住宅補助などの特権を享受している。

なぜ決起か?

▼ジャイル・ボルソナロは、黒人、先住民、LGBTIQs、さらに女性の諸権利を求めて闘っているすべての者たちを見下している。彼はキロムボラス(反乱奴隷の子孫たち)を粗暴な者たちと見ている。彼は、レイプ文化の弁解者だ。彼の発言は女性殺人を正統化している。彼は、彼の一人の娘の誕生に際して〔彼には息子が四人いる〕、その娘は彼が「弱った時」にできた、などと語っている。彼は、男女間賃金格差に関してやるべきことは何もない、と力説している。彼は、活発な少年であることが彼らがゲイにならないようにする、などと考えている。彼の選挙運動の相棒である副大統領候補者のモウラオ将軍は、母親や祖母が面倒を見ている家族は環境不適応者をつくり出す工場だ、と言明した。
▼彼は、医療、教育、社会的支援への支出を二〇年間凍結することに賛成投票を行った。彼は、貧しい者への諸税を引き上げ、裕福な者への諸税を引き下げると公約している。彼はすでに、私有化の波、すなわち国家が支配する諸企業とブラジル民衆の全資産の売却を公表している。彼は、SUS(公共医療システム)には性的虐待の女性犠牲者にサービスを提供する義務はない、と主張する法案起草者の一人だ。彼は、「党と無関係の学校」構想の支持者だ。ちなみにこの構想は、カリキュラムからイデオロギーを取り除くとの見せかけの下に、教育上の自由、およびわれわれが生きているこの混沌とした社会に関する批判的な思考の発展に、終止符を打つことを提案している。
▼彼は労働法改革と外注法に賛成投票を行った。これらは、妊娠している女性が不健康な仕事を行うことを許したこと、および特に黒人女性の中での失業と非正規な労働の増大に責任がある。彼はこれまでに、「労働者は権利の確保か仕事の確保か、そのどちらかで選択しなければならない」と語ってきた。彼は、家内労働者のための憲法修正提案に反対投票したただ一人の議員だった。ちなみにその修正提案は、たとえば超過労働時間への支払いといった、基本的な労働者の権利を被雇用者に与えている。彼はすでに、退職年齢を引き上げ、女性と男性間で退職年齢を同一にするといった、提案されている年金システム改革への賛成を約束している。
▼彼は、高まる暴力に対しより大きな暴力と軍事化で闘うことに挑んでいる破綻した治安政策を、さらに深めることを主張している。ブラジルで、特にリオデジャネイロでこの三〇年間実行されてきたこの政策は、衝突の中でより多くの市民と警官が殺されることに導き、そして、六ヵ月前活動家のマリエレ・フランコとアンデルソンを処刑した犯人を裁判に引き出すことができなかったことに導いた。さらに彼は、米国の例にならい、武器を野放しにすることを擁護している。しかしその米国は、特に若者たちの中で、殺人行為と自殺では最高の率を示しているのだ。
▼彼はパートナーとして、つまり副大統領候補者として、軍による権力掌握、および民衆参加なしの新憲法起案を擁護している一人の将軍を抱えている。彼ら両者共が民主主義を危険にさらす。

命のために闘う

 ジャイル・ボルソナロは、軍事独裁(一九六四―一九八四年)を擁護している。彼は、軍の失敗は「破壊活動分子」を殺さずに拷問したことだった、と語っている。彼は、ウストラ将軍の一九六四年軍事独裁体制が行ったもっとも悪名高い拷問に対する野望を隠していない。
われわれは、独裁もファシズムも、またブラジルの黒人の若者たちに対する本物のジェノサイドに責任がある街頭における警察の虐殺も、まったく望んでいない。われわれが欲するものは、自由、平等、社会的公正、そして諸権利だ! ボルソナロはあらゆる意味で、現在の危機を克服し前進する上でブラジルが必要としない人物だ。
われわれ、多様で団結した女性は、彼が提案するすべてに反対のことを擁護する。つまりわれわれは、異なることへの尊重を、安全に生活する女性の権利、われわれ自身の体を決定する女性の権利を擁護する。われわれは、男女間の、黒人と白人間の、同一賃金を擁護する。われわれは、歴史的に不当に扱われ害を与えられてきた者たちに対する特別枠を擁護する。われわれは、貧しい女性と彼女たちの子どもに対する質の高い公共サービスを訴える。
われわれは、学校であれ大学であれ、言論抑圧を受けることのない、教育と学習の最大限に幅広い自由を主張する。
われわれは、人々の愛する自由と、それに対する尊重を訴える。われわれは、諸理念の自由な論争と民主主義を擁護する。
彼は憎悪を宣伝するが、われわれは敬意を説く。彼は死と拷問を説くが、われわれは命のために公然と闘う。
それこそが、彼に反対(彼の息子でも反対)! ボルソナロ絶対ノー! ファシズムノー! とわれわれが言う理由だ。(「インターナショナルビューポイント」二〇一八年一〇月号)   

ブラジル

極右反対の国際的決起を!
独裁ノー ファシストノー

コレティボ・フンタス

 九月二九日、われわれは世界中で街頭に繰り出すだろう。
 親愛なる同志たち。
 ブラジルは何年か、深い経済的、政治的、さらに代表制の危機に沈められてきた。大統領選の僅か二週間前でも、既成政党に対する拒絶傾向はより強まり、崩壊したPT(労働者党)構想と左翼理念の一体視のゆえに、多くの人々は危機からの出口として、復古主義に向かった。
 今日、世論調査をリードし続けている者は、ウルトラ自由主義の経済綱領を携えた原型的ファシスト軍人のジャイル・ボルソナロだ。彼には、レイシスト、性差別、LGBT排撃の諸言明という歴史がある。
 この人物に対決する政治戦闘を今率いているのは女性だ。「ムルヘラス・ウニダス・コントラ・ボルソナロ」(ボルソナロ反対で団結する女性)という名称のフェースブックグループは、たった一週間で二五〇万人以上の女性を結集し、このスローガンでブラジル全土と世界でのデモを九月二九日に行うことを呼びかけている。
 フンタスは、すでに予定が入れられたこのデモに参加できる、また各国で類似した行動で続くことができる左翼の諸組織と全女性に呼びかけを行っている。われわれはあなた方の助けを当てにしている。それは、あなた方の国での行動を伝えること、写真やビデオ映像を送ること、またハシュタグ、「♯EleNao」と「♯EleNunca」を使うことで可能となる助けだ。われわれにはそうすることが可能だ!
 フェミニストのあいさつをもって。
(「インターナショナルビューポイント」二〇一八年九月号)


もどる

Back