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    かけはし2018年10月8日号

沖縄県知事選 玉城デニーさん圧勝!


沖縄とともに安倍政権を倒そう

沖縄報告 9月30日

次は辺野古新基地白紙撤回
普天間基地の閉鎖だ!

沖縄 K・S

県知事選挙の歴史上最高の得票


 われわれは勝利した。翁長知事の遺志を引き継ぐ玉城デニーさんが安倍官邸と自民・公明・維新・希望の4党の大々的な動員と圧力をはね返し、佐喜真前宜野湾市長に八万を上回る票差で勝利した。得票は三九万六六三二。投票率が前回に比べて少し下がった中、玉城さんの得票は沖縄県知事選挙の歴史上最高得票を記録した。翁長知事が仲井真前知事に一〇万票差で当選した四年前の県知事選挙に肩を並べる歴史的勝利だ。
〈2018年知事選挙〉
玉城デニー 三九万六六三二
佐喜真 淳 三一万六四五八
(選管最終)

〈2014年知事選挙〉
翁長 雄志 三六万八二〇
仲井真弘多 二六万一〇七六
下地 幹朗  六万九四四七

安倍官邸と自公維の敗北ショック

 二〇一四年の知事選挙は、自民の仲井真弘多と維新の下地幹郎がともに立候補し、沖縄の公明党も自主投票の立場をとった。仲井真と下地の票を合計すれば三三〇五二三。これに公明の票を合わせれば翁長知事の得票を上回ることが可能だと彼らは腹積もりした。こうして自公維の組み合わせができ、小池都知事の「希望」まで合わさった沖縄つぶしの反動派連合が安倍官邸と共に猛烈な勢いで選挙運動を進めた。自公の選挙のプロたちが大挙常駐体制をとった。
安倍官邸から菅は三度沖縄に来て企業・団体・市町村長・議員の締め付けに力を注いだ。二階が来た回数は三度にとどまらない。タレント議員・進次郎も三度やってきて票集めに奔走した。小池も来た。しかし、しょせん「とらぬ狸の皮算用」に過ぎなかった。
台風24号が投開票日前の週末沖縄を直撃した。金曜の夕方から土曜日は丸一日沖縄全県がほぼ暴風圏だった。日曜日も全域で停電が続き、大きな爪跡を残した台風の後片付けに追われる中でも県民は投票に出かけた。有権者一一四万六八一三(二〇一四年は一〇九万八
三三七)。投票総数七二万五二四七(前回は七〇万四三五六)。投票率は六三・二四%。決して高い数値ではないが、四年前の六四・一三%にほぼ近い。翁長知事の遺志を引き継ぎ、辺野古NO! 普天間閉鎖! アジアの平和の中に沖縄の自立した発展を展望し人を大切にする県政を訴えた玉城デニーさんを次の知事に押し上げた。民意は沖縄の自尊心を示した。
デニーさんは四年前の翁長知事の得票に約三万六〇〇〇票を上積みした。対する佐喜真は四年前の仲井真・下地の票から一万四〇〇〇票減らした。自公維を支持していた人々もかなりの割合で佐喜真ではなくデニーさんに投票したことになる。辺野古については口を閉ざし、「対立から協調へ」をキャッチフレーズに日本政府の国策に逆らわないことを条件に振興予算という名の協力金を引き出すことを訴えた佐喜真に県民はNO! を突き付けた。新基地建設と引き換えの経済振興という考えを拒否し、沖縄の経済発展は基地の島から脱却してこそ展望されることを示した。勝てると腹積もりしていた安倍官邸や自公維の幹部は大きなショックを受けたことだろう。平和で自立した未来をめざす沖縄の民意は木が大地に根を張るようにゆるぎない。

政府の操り人形が知事になったら大変


万が一佐喜真が当選する事態になれば大変なことになるとの危機感が県民の間に広がった。若者たちは創意工夫を凝らして積極的に動き回った。イデオロギーよりアイデンティティ。人々は党派を超えてひやみかちうまんちゅの会に結集した。
共産党の県議・市町村議だけでなく、復帰前からの社会党や社大党の活動家、地域の有力者や保守系の市民たちも運動を担った。とくに女性たちの活発さが目立った。各地で開催された決起集会にはどこも予想を上回る参加者の熱気であふれた。朝のスタンディングやチラシまきを担うボランティアの輪が広がった。電話や訪問で返ってくる反応はほとんどが「家族みんなデニーだよ」「頑張って!」「今度は何としても負けられないからね」などという支持と激励の言葉だった。
安倍官邸に操られる県政なぞとんでもない、お断りだ! 日ごと広がるデニーを知事にとの支持の広がりは九月三〇日の投開票日に向かって頂点に達した。
知事選の結果を受けて、安倍は「翁長知事に哀悼の意を表する」などと歯の浮いたようなセリフを述べ、「結果を真摯に受け止め沖縄のさらなる負担軽減にまい進する」と語った。菅は記者会見で「政府としては引き続き辺野古新基地の建設を進めることに変わりない」と述べた。「結果を真摯に受け止める」なら、辺野古新基地計画の撤回と普天間飛行場の閉鎖に取り組む以外ないことは明らかだ。国家権力を持った者たちによる不誠実なごまかしやごり押しはもう止めさせよう。

デニー知事は米国でも注目

 玉城デニーさんの当選は、「米海兵隊の息子、沖縄県知事になる」と、アメリカでも注目され、好意的に報道されている。玉城デニーさんは、米海兵隊員の父親と伊江島出身の母親との間に、一九五九年に生まれた。しかし、デニーさんが母親のおなかの中にいるときに父親が米国に帰ってしまったため、デニーさんは母子家庭で育った。翁長知事が「デニーさんは戦後沖縄の歴史を背負った政治家」と語ったのはこういった事情を念頭に置いたものだ。デニーさんは一〇月四日に知事に就任する。就任に先立ちデニーさんは、安倍政権に辺野古新基地をめぐって沖縄県との協議を行うことを求めた。安倍は真摯に協議に応じよ。玉城デニー沖縄県知事の言動は国内のみならず、米国に対してもいっそう大きな波及力を持つに違いない。
選挙から一夜明けた一〇月一日月曜日から再び辺野古ゲート前の座り込みが始まった。平和市民連絡会や各地の島ぐるみのメンバーは知事選に勝利した喜びを体いっぱいに表し、今後の政府防衛局との対決を勝ち抜く決意を新たにした。沖縄県の埋め立て承認撤回と共に、土砂投入を許さず、辺野古新基地断念へと追い込む闘いは、現場のゲート前と海上での闘いを継続するとともに、年明けには県民投票を成功させる運動局面が始まる。辺野古新基地を止め普天間を閉鎖に追い込む闘いはいよいよ正念場を迎える。
知事選挙を闘い抜いた各地のつながりを固め、県民の総力を結集して日米両政府に対峙しよう! 平和と自立を求める県民は自らの未来を切り拓く力と意志を持っている。日米両政府はもうこれ以上妨害するのをやめよ! 全国の皆さんは沖縄現地に最大限結集するとともに、全国各地で沖縄の自己決定権を擁護する運動を根気強くやり抜いて欲しい。



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