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    かけはし2018年8月13日号

辺野古の海を埋めるな!沖縄と共に


7.30

首都圏連絡会が首相官邸前集会

翁長知事の決断に応えよう 

首相官邸前で抗議



圧倒的民意は
基地反対だ!
 七月三〇日午後四時から、翁長沖縄県知事、埋め立て承認撤回表明を受け官邸前座り込み・抗議行動が辺野古の海を土砂で埋めるな!首都圏連絡会の主催で開かれ、猛暑にもかかわらず、数百人の人々が集まった。
 七月二七日、翁長沖縄県知事が辺野古新基地建設のための埋め立て承認撤回を表明した。沖縄・辺野古では新基地建設のため八月一七日から、安倍政権は土砂を投入しようとしている。辺野古の闘いが最大のヤマ場を迎えようとしている。この土砂投入をやめさせ工事をストップさせる大きな力の一つが、知事のもつ「埋め立て承認撤回」の権限だ。翁長知事による「撤回」表明をうけ、安倍政権に対し、ただちに埋め立て工事を中止するよう強く要求した。
 午後六時半から、抗議集会が始められた。「翁長知事が埋め立て撤回を表明し、聴聞を始めた。知事は声をしぼり出し命をかけて撤回表明した。日本における米軍基地の七〇%強を沖縄に押しつけ、七〇年間住民を苦しめてきた。圧倒的な民意は基地反対だ」と司会者が語り、官邸に向けて怒りのコール。
 日向さんが「翁長知事の表明を受けて、菅官房長官は工事を続けると語り、基地の強行建設をあくまで続けると語った。土砂の投入を許さない」と主催者あいさつを行った。キリスト者ネットの平良さんは「キャンプ・シュワブ前に抗議行動をさせないために作られた二メートルの壁はダンプの搬入に邪魔になるということで撤去された。政府のやることはこんなものだ。これ以上沖縄を加害者・悪魔の島にしないように闘う」と話した。辺野古沖にやぐらを作り埋め立て調査に抗議した時、海保のひどい扱いを見て、平良さんの母親は七〇歳の時、船舶免許を取った。八〇歳になっても抗議のために免許を更新した話が紹介された。

機動隊派遣反対
住民訴訟から
沖縄での基地反対運動を取り締まるために神奈川県から機動隊が派遣された。それに対して、住民訴訟で派遣の違法性を問うた仲間が「機動隊の派遣の報告書の開示を求めて情報公開をしたが、第三者委員会は報告書がない、なくてもよいと回答した。こんなことがありうるか」と県のあり方を批判し、さらに、川崎市がイスラエル軍事エキスポを八月二九〜三〇日に行う。武器輸出・武器の拡散を許してはならない」と訴えた。
静岡の富田さんが「議員会館で開かれた全国地方議員の会に参加して、辺野古に土砂を送らない先頭に立って欲しいと訴えた。西日本で一八団体が反対しているが関東でも広く共有して反対運動を全国化しよう」と話した。
抗議船の船長の西川さんが「護岸が閉じられ、生物が殺され、海が壊されている。とても悲しくなる。岩ズリは六〇%が砂で投下されると撤去できない。今ならぎりぎりで間に合う。土砂投入を止めよう」と話した。
内閣府へ提出した申し入れ書(別掲)を読み上げた。八月一一日県民大会に呼応して、東池袋中央公園での連帯集会に総力で結集しようと行動提起が行われ、官邸に向けて土砂投入をやめろとシュプレヒコールした。「埋めるな!辺野古 沖縄県民大会に呼応する8・11首都圏大行動」午前11時半集会、デモに参加しよう。       (M)

申し入れ書

内閣総理大臣 安倍晋三様

辺野古の海を土砂で埋めるな!首都圏連絡会
(連絡先)辺野古への基地建設を許さない実行委員会(沖縄・一坪反戦地主会関東ブロック)
平和を実現するキリスト者ネット
辺野古・高江を守ろう!NGOネットワーク


2018年7月27日、翁長雄志沖縄県知事は、辺野古新基地建設に係る公有水面埋立承認の撤回に向けて、沖縄防衛局への聴聞の手続きに入るよう、関係部局長に指示を出しました。これは、辺野古新基地建設に反対する多くの沖縄県民の民意を代表するものと、受け止められなければなりません。
前知事による埋立て承認後、軟弱地盤、活断層の存在が明らかになり、飛行場周辺の高さ制限違反が露見しました。その上、辺野古新基地が完成しても普天間基地が返還されない可能性も判明しています。
とりわけ、沖縄防衛局が全体の実施設計や環境保全対策を示すこともなく公有水面埋立工事に着工し、また、サンゴ類を事前に移植することなく工事に着工するなど、沖縄県の承認を得ないで環境保全図書の記載等と異なる方法で工事を実施しており、留意事項で定められた事業者の義務に反する行為を繰り返していることは大問題です。
行政法学の専門家は、これらの事情によって、「撤回」が認められるべきだと指摘しています。現政権はことあるごとに「我が国は法治国家である」と公言しています、当然のことです。法にのっとった行政を遂行してください。「埋立て承認の取り消し」時のような、国が私人になりすましての代執行訴訟などという暴挙は慎んでください。国に「忖度」するような裁判官を使役しての不当な裁判は慎んでください。
政府・防衛省は、8月17日からの辺野古への埋め立て土砂投入を、沖縄県に通知しました。このことは、沖縄県民の大きな怒りと心配をかっています。辺野古・大浦湾は、5300種以上の多様な生物の宝庫であり、暮らしの糧でもある豊かな海です。その海を潰して巨大な戦争のための軍事基地を建設することは、未来に禍根を残すばかりか、自然や地球に対する冒涜と言わざるを得ません。
今すぐ、辺野古の工事を中止してください。
私たちは、政府の、沖縄県民の民意を無視した、沖縄の豊かな自然を破壊する辺野古新基地建設の強行に抗議するとともに、以下のことを求めます。

 1)今夏予定されている、辺野古への埋め立て土砂投入を行わないこと。

 2)辺野古新基地建設を即時中止するとともに、新基地建設の立地条件を見直し、建設計画を白紙撤回すること。

 3)沖縄県による「撤回」に対して、その執行停止を求める申し立てを行わないこと。

7.20

しないさせない戦争協力関西ネット総会

「沖縄米軍基地と日本の安全保障」

屋良朝博さんが講演


 【大阪】しないさせない戦争協力関西ネットワーク総会が七月二〇日エルおおさかで開かれ、活動・会計・会計監査報告と今年度の活動方針・役員紹介を確認し総会を終えた。続いて記念講演に移り、屋良朝博さん(元沖縄タイムス論説委員)が『安全保障と沖縄』と題して講演をした。
 屋良さんは沖縄タイムスの記者時代の一九九五年少女暴行事件をきっかけに、米海兵隊のことを継続して調べるようになった。

米軍基地肯定
する沖縄の学生
名護市長選では、自民党や公明党による組織的な期日前投票、争点ぼかしで、お上にたてついて頑張るのも疲れるなという感じが蔓延したことが、選挙結果の要因だったのではと思っている。八月一七日には政府による埋め立て工事開始。その前に埋め立てをめぐる裁判が始まるかもしれない。裁判で勝てるとは思えない。この国が裁判で良くなるなら、とっくに良くなっているという気がする。問題を提起するなら、もっとシビアーな闘いをしなければ……と思う。僕の年代で、米軍基地について聞かれたら、賛成・反対はおそらく半々だろう。米軍基地は生まれたときからあり、風景の一つになっている。父親も基地の中で働いていた。
最近まで沖縄国際大で基地問題を教えていた。学生は一〇〇人ぐらい。学生に何回かアンケートをとっている。それによると、はじめのアンケート(米軍基地がある方が良い・ない方が良い・わからない)についての回答は、二〇一五年(ある方が良い一八%、ない方が良い三八%、わからない四四%)、二〇一六年(ある方が良い二九%、ない方が良い三三%、わからない三八%)、二〇一七年(ある方が良い三〇%、ない方が良い一五%、わからない五六%)という結果。沖縄の大学生を対象としたアンケートだと聞いて、参加者には意外だった。
米軍基地がある方が良いという学生が、この三年間でも年々増えており、直近の結果では、わからないも増えている。その理由はわからない。沖縄は、従来保守が三・革新が三・その他が四だ、とよく言われてきた。保守と革新の間がその都度左右にぶれてきたといえる。理由を聞くと多くは、基地経済、米軍が守ってくれるなどの宣伝をそのまま真に受けている学生も多い。
それに対して、基地があればねらわれると言う学生もいる。それは当然だ。誰もいない尖閣を米軍は守ってくれるのか。このように、国防については、答えのない論議を延々とやっている。どっちが正しいか決めるのは難しいが、敵がいる、守りましょう! の論理の方が簡単で一般社会では理解しやすい。

差別的関係と
在沖米軍基地
【一年生(男子):(授業の終わりにリアクションペーパーを書かすと)基地問題はよくわからない。沖縄と米軍と共存すべきだと思う。尖閣や北朝鮮のことでいつ戦争になるかわからないのに、九条なんて言ってる時ではない】。これ、おそらく一般的な考えだ。
なぜ外国の軍隊が、独立国である日本に存在するのか。それは日本が戦争に負けたからだ。なぜ、基地は沖縄に集中するのか。一九五〇年代は、圧倒的に本土が米軍基地を抱えていた(本土八、沖縄二)が、全国の反米基地闘争で、基地を追い出した。
なぜ米軍は沖縄に基地を集中させたのか。沖縄戦の前の年、米軍は沖縄のことを調べ、【民事ハンドブック】をつくり、沖縄占領に役立たせた。その中で、「日本人は琉球人を人種的に同等とみなしていない。琉球は差別されている。ところが、島民は日本人に対して劣等感どころか自分たちの伝統と、中国との長い文化的絆に誇りを持っている。したがって、日本と琉球の間には、米国が政治的に利用しうる軋轢の潜在的な根拠がある」と言っている。日本の米軍基地を移すとき、この軋轢を利用した。
差別的な関係があると、今の沖縄の状態が許される。大学にヘリが墜落しても大きなニュースにはならないのだ。少女暴行事件があっても、普天間は微動だにしていない。外国の軍隊が居づらくなるのは、政治的な圧力が高まると、削減するとか出て行ってもらうとかの外交交渉になるが、沖縄だとそうはならない。一九四四年に米国が見抜いたことが、七〇年以上も続いている。
朝鮮戦争のとき一九五三年米海兵隊が、朝鮮戦争に出兵した米軍を後方支援するため、日本(岐阜・山梨・静岡・奈良・大阪)に駐留することになった。大阪は第九連隊が堺や大阪市大杉本キャンパスにいた、多分伊丹にも。でも、海兵隊にとって本土は安住の地ではなかった。山梨北富士入会地の忍草母の会などは、徹底抗戦をした。基地の存在を日本国民の目にとまりにくくするため、一九五六年米軍は本土から撤退し、沖縄を主要基地とするように方針転換した。
朝鮮半島を警戒するために海兵隊は日本本土に駐留したのに、沖縄に行くのは理屈に合わない。沖縄から朝鮮に海兵隊を運ぶ船もないのに。沖縄に行った米軍は、銃剣とブルドーザーで茅葺きの家をなぎ倒し基地をつくっていった。家を追い出された人たちに与えられたのは野戦テント一張り。猛暑で野戦テントは地獄、雨が降れば下から水がしみこんできて不衛生。本土は朝鮮特需で潤っていた。戦後は終わったと経済白書に書いたのはこの年だった。当時の沖縄は、右も左も土地を守れ、金は一年、土地は万年だった。

沖縄の基地問題
は実は国内問題 
ここまで話すと、四年生の学生は、【基地を不可視化したいというアメリカの考えは今も変わらないと思うが、本土側の意向が反映しているから変わらないのか、沖縄にとって、敵はアメリカか日本かわからなくなった】と。
小泉元首相は、「総論賛成各論反対で、沖縄県の負担を軽減するのはみんな賛成だが、どこへ持って行くかとなるとみんな反対する。平和と安全の恩恵と、それに見合う負担をどこが負うかだ」と言った。安倍首相は佐賀県へのオスプレイ移駐のことで、移駐先の本土の同意を得られなかったとあっさり移駐を諦めた。沖縄で反対すればネトウヨの餌食だ。沖縄基地問題の本質は、Not In My BackYard:NIMBYだ。うち(本土)の裏庭にはやめてくれ。つまり、沖縄の基地問題は国内問題だということだ。

沖縄はランデ
ブーポイント
在沖縄の米軍部隊で、六割が海兵隊(基地比率で七割)、海兵隊がいなくなると、残るのは嘉手納基地だ。海兵隊は何をしているか。沖縄の海兵隊は年間の六カ月〜八カ月間は沖縄にいないで、アジア太平洋地域をぐるぐる回り、アメリカの軍隊がここにいるというプレゼンスを保っている。海兵隊を運ぶ船は佐世保に三隻配備されている。沖縄には抑止力のための地理的優位性があるというが、本当か。この船には兵員二二〇〇人しか乗せられない。一旦ことがあったとき、二二〇〇人で何ができるのか。
海兵隊は、沖縄の役割をランデブーポイントと呼んでいる。米本国からの実戦部隊と佐世保からの船が沖縄で落ち合って、アジア太平洋地域に展開していく連結地点ということだ。落ち合うところが沖縄である必要性は全くない。地理的優位を言っているのは日本政府だけだ。
二〇一二年に日米で決めた米軍再編で、沖縄海兵隊一万八〇〇〇人は一万人に削減され、実戦力である地上戦闘部隊(歩兵・砲兵連隊六〇〇〇人)は再編により二〇二五年頃からグアム・オーストラリア・ハワイに分散配置され、再編後に沖縄に残るのは、31MEUという部隊になる。31MEUは、司令部員や八〇〇人の上陸大隊を軸とする海外遠征隊約二二〇〇人。紛争地から住民救出や災害救援、人道支援に従事する。実戦兵力は何と七分の一になる。沖縄の基地に海兵隊がいれば日本は安全だと保険をかけたつもりで、思いやり予算を使っているわけだ。御しやすい国民だと米国は思っているだろう。

現実性を欠く
「安全保障」論
沖縄は訓練地としては狭く、政治的な制約も多く使い勝手が悪い。このため、必要な訓練の大部分をアジアの同盟国や友好国へ出向して実施している。共同訓練を含む平時任務であれば遠征隊で十分なのだ。カリフォルニアなどの海兵隊基地から六ヶ月ローテーションで沖縄に派遣される部隊は、佐世保の強襲揚陸艦でグアムやオーストラリア、フィリピン、タイ、韓国などを巡回する。一年のうち半年から八ヶ月間もの期間を遠征し、沖縄は無人の隊舎になる。
人道支援・災害救援は、その頭文字をとってHADR(ハーダー)と呼ばれている。まとめれば、在沖海兵隊はこう概説できる。日本駐留の最大兵力である海兵隊は今後、米軍再編で小ぶりなMEUレベルに縮小され、HADRを軸とした軍事外交をインド・アジア太平洋地域で展開する。
朝鮮半島有事で現地に取り残されたアメリカ人の救出に当たるとみられていたが、今後の米朝関係の変化によっては、その任務は消滅する。海兵隊は、今後は軍事部門のハードパワーだけでなく、HADRのようなソフトパワーにも力点を置く硬軟織り交ぜた安保戦略をとっていくだろう。
今後の安全保障の主要テーマは、対テロと自然災害であり、対国家ではない。米軍主導の共同訓練に中国人民軍も積極参加するようになっている現実を認識すれば、仮想敵を想定する古典的安保論はリアリティーに欠けている。沖縄を米軍に差しだし、日本を守ってもらうという冷戦時の考えは有効か。一兆円超の税金を投じて辺野古の海を破壊し、民意を無視しながら海兵隊に基地を提供する日本の安保政策は屈折している。       (T・T)


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