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    かけはし2018年7月30日号

大国間利害関係への依存は無益


朝鮮半島平和体制構築をどう展望するか

ペ・ソンイン(ソウル)

平和協定は国家同士の交渉結果ではない。関係国家の労働者民衆が生み出すもの、という主張。社会変革労働者党の論文を紹介する。(「かけはし」編集部)

 10月、小説家の漢江(ハンガン)がニューヨークタイムズに「米国が戦争を語る際に、韓国は身震いがしている」という寄稿を通じて韓半島の戦争の危険を語る米国を批判してわずか1年足らずの2018年6月12日。共にはためく人民共和国旗と星条旗の前での金正恩委員長とトランプ大統領の出会いは妙な感じだった。前には想像できなかった絵であるため2人の「仲がいい雰囲気」が不思議だったのだ。
しかし、国内の冷戦主義者たちと米国の反トランプ勢力らは合意文が公開されると、新しいことはないとし、無数の批判を浴びせた。彼らに北朝鮮は、打倒と崩壊の対象であったので確実かつ具体的な約束が必要だったのだ。それでも歴史の方向はすでに決まった。4・27板門店(パンムンジョム)宣言と米朝首脳会談で合意した韓半島非核化と平和体制の構築に向けた努力それ以上何が必要なのか。
北朝鮮の非核化が成功的に進められる場合、平和体制構築を通じ、韓半島の敵対関係は根本的に清算されるものであり、これは、北東アジアの新安保秩序の形成に帰結されるのだ。
今日、北東アジア安保秩序の出発点である1951年サンフランシスコ体制が崩れて韓半島の平和を中心とする新たな時代への転換を目撃することになるだろう。しかし、韓半島平和を実現する道は平坦ではないだろう。「悪魔は細部に隠れている」というように履行過程で各種の不協和音と紆余曲折をたどるものだ。韓半島問題に対する周辺国の利害関係は異なって米中間の覇権競争の波も依然として高いのが現実だ。

米国の世界戦略が平和を左右


韓半島平和体制は南北の軍事的緊張と対決として戦争の不安を終息させられなかった停戦協定を平和協定に変えることから始まるのだ。したがって、中国が参加するかどうかが変数だが板門店宣言で約束した終戦宣言を来る7月に南・北・米三諸国が先に行い、その後中国が参加する4者会談を通じて平和協定に転換する過程を踏むこともありうる。
もちろん、終戦宣言と終戦を議論することは、次元が全く違う。終戦宣言はそれ自体に法的効力はない多分に政治的な宣言だ。それだけに終戦宣言だけでは韓半島平和体制を展望することは難しい。それと平和協定への転換が韓半島の恒久的平和状態を保障するには不十分である。
終戦となるには、休戦体制を管理してきた国連軍司令部の解体、海・陸での境界画定、在韓米軍が駐留するかどうかとその性格規定など、非核化と同様に複雑で難しい問題を処理しなければならないためだ。
停戦協定を平和協定に転換する問題は1954年ジュネーブ会談をはじめこれまで数回にわたって提起されたが、実質的な交渉には繋がらなかった。北朝鮮は持続的に平和協定を要求したが米国が平和協定を調印したり、北朝鮮を認定することを拒否した。
韓国の支配勢力と米帝国主義は北朝鮮の休戦協定違反を平和協定締結につながらない根本的な要因と強調しているがこれは本末転倒である。米国は政治的・理念的に北朝鮮を敵対視し監視と統制そして圧迫を怠らなかった。
米国は北朝鮮に数十年の間軍事的圧力と経済封鎖を強化し、韓国に大規模な軍事力を駐留させてきた。ソ連と東欧圏の没落以降には在韓米軍の性格と役割が中国牽制と封鎖に変わり平和協定を拒否した。 核心は米国の世界戦略だ。
したがって、帝国主義国家として米国が北朝鮮の了解の下に在韓米軍を撤収せずに平和協定を締結したとしたとしてもその後、韓半島の完全な非核化と在韓米軍の撤退を交換するかそして在韓米軍なしに中国をどのように牽制するか興味津津だ。

平和協定は平和を保証しない

 平和協定は国内法と国際法の効力を持つために拘束力があるとしてもこれを遵守するという保障はない。国際政治は無政府状態でもあって「万人の万人に対する闘争状態」であるため、法と制度は行為者によってたびたび守られていない。
国際政治史には敵対国家間に首脳会談を通じて平和を導いた成功的な例もあるが平和協定締結にもかかわらず、再び敵対関係に戻った事例も少なくない。
平和会談の成功事例としてはキリスト教とローマカトリックの宗教問題で勃発した国際戦争である「30年戦争」の終戦とともに1648年10月24日に締結されたヴェストファーレン条約Treaty of Westphaliaや、2次大戦後のパリ講和条約がそれだ。
そしてイスラエルとエジプトの平和を作り出した1979年キャンプ・デービッド会談、米ソ冷戦体制終息を宣言した1989年のマルタ会談、1993年、イスラエルとヨルダン間で結ばれた平和協定、ボスニア内戦を終息させた1995年デイトン平和協定などがある。
最近は2014年、フィリピン政府とイスラム反政府組織間で結ばれた「イスラム解放戦線の平和協定」がある。
平和協定締結にもかかわらず、紛争が再発した事例は1938年ヒトラーのドイツと英国チェンバレン首相が合意したミュンヘン会談、あるいはイスラエルとパレスチナが締結した1993年と1995年のオスロ平和協定などが挙げられる。
イスラエルとパレスチナは1993年と1995年、お互いを認めることにしたオスロ平和協定を締結し、協定当事者たちであるパレスチナ解放機構のアラファト議長とイスラエルのラビン首相、そしてシモン・ペレス外相はこの結果で1994年にノーベル平和賞を共同受賞した。
しかし、ラビン首相はイスラエル内の反対勢力によって暗殺され、パレスチナ内でも、ハマスとハタなどの強硬勢力が主導権を握ってオスロ平和協定は無力化された。
その結果、今もイスラエルとガザ地区パレスチナ勢力間の流血事態は絶えていない[朴永俊(パク・ヨンジュン)、「成功した平和会談、失敗した平和会談」、韓国日報、2018年6月13日]。
このように多くの事例を通じて平和協定が恒久的な平和を決して保障できないということを知ることができる。 それは平和協定の主体と性格のためだ。特に、韓半島の場合は、米中帝国主義の間の衝突と対立を考慮し非常に危険なことだ。
新自由主義は国際的法と規範そして制度の役割を強調している。しかし、新自由主義は国際政治で平和と秩序の可能性を従来の大国間の勢力均衡や、覇権国家の米帝国主義の支配そのものから追及した。
従って平和協定自体に同意するしないは別として、その内容や性格を鋭く分析する必要がある。いわゆる「大国」間の利害関係で推進されている平和協定について冷静な姿勢が要求される。

 朝鮮半島平和体制は南・北・米相互関係を超えて中国、日本、ロシアを含めた北東アジアの平和条約に拡大されなければならない。
南北間の相互信頼と共存をもとに、軍縮、外国の軍事介入禁止、軍事的非同盟、外国軍撤退、非核化、米朝・日朝国交正常化、冷戦構造の解体などが履行されてこそ真の平和体制が完成するのだ。
国際的な条約を破る側は孤立と破滅を招くことになる。
韓半島におけるそのいかなる軍事的対決も南北の共倒れをもたらすため周辺国の軍縮と非核化も引き出さなければならない。
社会変革労働者党「変革政治」68号より

核の全面積弊廃棄!糾弾声明

核輸出を中断し核の全面廃棄を

盈徳郡民を愚弄するな

 6月15日、韓国水力原子力は2022年まで寿命延長した月城(ウォルソン)原子力発電所1号機の閉鎖決定とともに、三陟(サムチョク)、盈徳に予定された新規原子力発電所4基の建設白紙化を取締役会で議決した。
 これに対して三陟、霊徳(ヨンドク)、蔚珍(ウルチン)は6月18日、声明を通じて新規原子力発電所6基の全面白紙化と三陟・、盈徳新規原子力発電所の早急な試験の解除を促し、蔚珍9、10号機(新蔚珍(ウルチン)3、4号機)建設計画の白紙化の内容を漏らした韓水原理事会を糾弾する声明を発表した。
 しかし、今月末、盈徳原発の指定・告示の解除を控え、今日盈徳で、正しい未来の党、鄭雲天(チョン・ウンチョン)議員をはじめ多くの議員と産業部、韓水原などが核発電所の輸出戦略地区指定に向けた懇談会を開催するという消息に接した。
 鄭雲天(チョン・ウンチョン)議員は、この2017年11月から盈徳住民たちにテロのような妄言をしてきた。
 盈徳原発2基を建設するようにしてほしいと文在寅(ムン・ジェイン)大統領に要請したというニュースとともに、今年5月30日、輸出戦略地区指定のために原子力振興法改正案を代表発議したということだ。
 盈徳は住民の意思と関係なく決定された核発電所建設計画を2011年から7年目の闘争に抗議してきており、2015年、民間の住民投票を通じて圧倒的な住民の反対意思を確認したところだ。
 1989年の核廃棄場反対から盈徳住民たちの血を流した過去の歴史と政府に抵抗して住民投票を直接受けた民主主義の聖地に再び核施設を踏み入れるという蛮行に怒りを禁じ得ない。

 脱原発は逆らえない時代的使命である。
2011年の福島核事故を通して脱原発に対する国民の熱望が大きくなっており、日本産水産物の放射能汚染や2016年、慶州大地震など、韓半島も核から離れられないという国民的共感が拡散された。
このような国民の熱望は、この2017年大統領選挙で当選した文在寅(ムン・ジェイン)大統領のいわゆる脱原発公約につながった。
しかし、文在寅大統領は当選後、国民と約束している新古里第5、6号機の白紙化の約束を破棄し、中止を約束した新古里4号機と新蔚珍1、2号機は言及すらなく現在試験稼動中で近く核燃料装填を控えている。
再検討するという核の再処理はいくつかの専門委員で構成された密室委員会に預けていて最近発表した韓水原、取締役会の決定に蔚珍9、10号機、新蔚珍(ウルチン)3、4号機の白紙化は漏れた。

 そのうえさらに霊徳、三陟の4つの新規原子力発電所でも白紙化するという対国民約束が、またこの様なに破棄されるのだろうか。
国政は一貫して推進されなければならない。 鄭雲天(チョン・ウンチョン)国会議員の最近の行動は、盈徳の住民たちには、蛮行だ。
ところで、この蛮行に隠れて政府と韓水原は卑怯な便乗をしようとしているのか!
最初に文在寅政府は遅々として進まないように時間を引き延ばした白紙化手続きと脱原発とは反対の核輸出の政策方向に蛮行の口実を与えた。
また、産業部と韓水原は、盈徳に核発電所を建設し、盈徳住民の意思を確認する民間の住民投票過程で露骨な妨害工作を躊躇しなかった。
早急に指定告示を解除して韓水原盈徳事務所を閉鎖しなければならない。そして核輸出を中断して輸出戦略地区の妄言を頻繁に行っている一部の国会議員に付和雷同してはならないのだ。

 私たちは次のように要求する。
一 盈徳原発の白紙化決定したのだから韓水原盈徳事務所を即時閉鎖しろ!
一 一介の国会議員の蛮行に隠れて不和雷同する政府と韓水原を糾弾する!
一 鄭雲天(チョン・ウンチョン)一味は輸出戦略地区陰謀を直ちに中断して盈徳郡民に謝罪しろ!
一 脱原発を宣言した文在寅政府は核輸出を中断して核を全面廃棄しろ!

2018年7月10日

盈徳参加市民連帯/盈徳核発電所反対汎郡民連帯

朝鮮半島通信

▲朝鮮中央通信は7月17日、金正恩朝鮮労働党委員長が咸鏡北道にある漁郎川水力発電所や宿泊施設の建設現場など地方を視察した様子を伝えた。同通信は、金委員長のカバン工場、造船所、温泉施設の視察なども伝えている。
▲収賄や国庫損失の罪に問われた韓国の朴槿恵前大統領に対する判決公判が7月20日開かれ、ソウル中央地裁は懲役6年、追徴金33億ウォンの実刑判決を言い渡した。2016年の総選挙の際の公職選挙法違反罪に問われた事件については、懲役2年の判決を言い渡した。
▲韓国と朝鮮の鉄道連結に向けた共同点検実施のため、韓国国土交通省の黄晟圭鉄道局長を団長とする代表団15人が7月20日、陸路訪朝した。
▲韓国の世論調査会社リアルメーターは7月19日、文在寅大統領の7月第3週の支持率が前週から6・4ポイント下がって61・7%になったと発表した。不支持は32・3%だった。



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