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    かけはし2018年6月4日号

政権任期超える長期構想が必要


ろうそく抗争1周年、社会運動の展望を問う

退陣行動と民教協がシンポ


  光州(クァンジュ)民衆抗争記念日の5月18日、ソウル汝矣島(ヨイド)の国会議員会館でろうそく抗争を記録して記念するための学術シンポジウムが開かれた。
 研究者や活動家が集まってろうそく抗争の性格とそれが残した質問をまとめて以降の展望を問うための場だ。
 今回のシンポジウムは、朴槿恵政権退陣の非常国民行動(退陣行動)、記録記念委員会が主催して民主化に向けた全国教授協議会が主管した。キム・ミョンファン委員長、ユン・テクグン副委員長、べク・ソクグン事務総長など民主労総の役員もまた、発表者、討論者として参加した。

今は新しい世界を設計する節目

 鄭康子(チョン・ガンジャ)退陣行動記録記念委共同代表は「抵抗と躍動、そして自発性。平和で平等な祭りのような集会だった。ろうそく市民たちは、民主市民が見せることができるすべてのものを私たちに見せてくれた。新政府発足1年で、ろうそく抗争も1年6カ月になっていく。社会改革はどこまできており、自分の方向をつかんでいるかどうか点検しなければならない時点だ。退陣行動は市民たちとともに行動し、一歩先に立って案内する役割をすると決議して行動した。退陣行動を終えて、残した課題の一つが今日のシンポジウムだった。そのような意味でこのシンポジウムは、ろうそく市民を代理して行うイベントだ」と趣旨を述べた。
金明煥(キム・ミョンファン)民主労総委員長は「ろうそくの力で新しい世界を明らかにし、今はその新しい世界を設計していくという節目に置かれている」、「ろうそくの歓声が盛り込まれた同シンポジウムがわれわれの希望と展望を明らかにする契機になることを願う。民主労総も社会の大改革に向けて市民社会団体、労働者、農民、貧民、学生と提携して厳粛にまた、朗らかに勝利の道を行く。ろうそくが職場に行って職場の革命を成し遂げるその日まで闘争を止めない」と話した。
カンナムフン元教授労組委員長(ハンシン大学教授)はあいさつに代えて福祉国家の実現に向けた提言をした。カンナムフン教授は「福祉国家のために最も重要な課題は、増税だ。 比例代表選挙制度があってこそ増税が可能である。比例代表選挙制度の下で増税をして福祉をしようという政治勢力が意味ある議席として登場するようになるからだ」とし、完全比例代表制への選挙制度改革が必要だと主張した。
また、「米国のルーズベルト大統領が、大恐慌を克服した隠れた理由の一つは予算室をホワイトハウスに入れたこと。現在、官僚たちは、大統領府と企財部という二つの主人に仕えている」、選出されない官僚組織の代わりに選出された権力が国家予算を管掌しなければならないと話した。

多様な声の収斂のあり方をさぐる

 続いて市民運動と言論民主化運動の元老である金重培(キム・ジュンベ)元ハンギョレ新聞、MBC社長が「巨大な退行と切実な進歩の間で」というテーマで基調講演を行った。
金重培(キム・ジュンベ)先生は「市場原理主義の弊害によって市場の論理が経済分野を超えすべての人の生活に投影されており、これによるファシズムの兆候が、英国や米国、東欧など世界中に現れている。退歩と退行の道だ。民主主義を薄めて市場を神格化するこのようなご時勢で、われわれも李明博(イ・ミョンバク)という偶像に惑わされ何か豊かさを享受するようになるような期待の中で暗黒のトンネルに進入した。ところが、その暗黒のトンネルに進入した私たち市民がどのようにこのような成就を成し遂げたのだろうか」とし、市場原理主義に対する退行的反応としてのファシズムという世界的傾向でどのように韓国では、ろうそく抗争が可能だったかを尋ねた。
さらに、「一気にその含意を把握することは難しいが、私たちがこれをしっかり見届けなければならない。カオスに近い多様な声が一つのコスモスを成すこの荘厳な過程を、我々がどのように探求し、かいつまんで新しい現実を設計して開けて行けるかな。このロウソクの流れは今も流れていると思う。 革命はミートゥーで、大韓航空で、三星(サムスン)で行われている。昨日も、江南駅に人々が集まっていたよ」、ろうそく抗争に対する持続的な研究の必要性とろうそく後、社会のいたるところで起きている改革の動きについて述べた。

テーマの多様さ
広場の声を反映

弊害清算と憲法
改正をまず議論
5月18日と19日の両日にわたって開かれる今回のシンポジウムは▲ろうそく闘争や韓国民主主義の方向▲ろうそく抗争や韓国社会▲ろうそく運動の改革政策▲人権の政治と広場の民主主義▲弊害の清算と社会運動の方向に各討論セッションが構成された。
広場を鳴らした市民の多彩な声のようにシンポジウムで議論された細部テーマも多彩だ。
ろうそく抗争の性格分析、ろうそくの歴史と集会文化、弊害の清算、憲法改正、選挙制度改革、労働尊重、社会、財閥改革、成仏平等の解体、環境政策など社会運動と関連したほとんどの争点が討論のテーマに上ってきた。
初日に行われた「ろうそく闘争や韓国民主主義の方向」セッションではオユソク尚志(サンジ)大学教授が発表者として、歴代政権が施行した弊害清算の歴史を考察した。
オユソク教授は「積弊を政治の中心の言語で呼び出した人は朴槿恵(パク・クネ)前大統領だったが、その自分が清算の対象になって裁判を受けている」、「歴代政府ごとに発足した時、弊害の清算を推進してそのたびに期待に満ちたことがあるが、その結果はいつも失望や不信に終わった」と指摘した。
さらに、「文在寅(ムン・ジェイン)政府は過去の失敗を繰り返してはならない。政権任期を超えても持続可能な長期プロジェクトが必要だし、これを推進する広範囲な新しい政治勢力、ろうそくの勢力化が必要である。そうしてこそ、報復と報復、免罪符ではなく、昨日と今日、明日を一つにつなぐことができる」と話した。
ハンサンヒ建国(コングク)大学法典院教授は、「ろうそく以降の憲法課題」を発表した。ハンサンヒ教授は「オムキホ教授が言うように広場の躁うつ病が人生の支えに転移されないようにしなければならない。ろうそくが提示した無数の議題を、どう具体的制度として引き寄せ、ひいては広場の政治を持続可能な実践の政治、制度の政治に昇華させるかの問題が私たちに見舞われた課題だ」として憲法改正の過程が政治過程、財閥体制改革、マスコミ改革などの革新の議題を収れんして促進するプラットフォームとして機能しなければならないと考えた。
また、「憲法改正過程は一般市民を憲法的に覚醒してその力量を強化する効果を図るべきである」、労働権と関連しても経営参加や労使共同決定制度、イイクギュンジョムグォンと同じ権利が保障されなければならないと考えた。
不発に終わった6月、改憲と関連しては「現在、改憲議論が整理されまいが、市民社会は、改憲議論を持続させていかなければならない」と話した。
退陣行動記録記念委員会は今回のシンポジウムを皮切りに、ろうそく抗争を記憶して記念するための様々な事業を行う予定だ。退陣行動のホームページに知られた日程によると、「広場の民主主義と社会変革の展望」をテーマにした国際討論会とろうそく白書の発刊。造形物の建設、ドキュメンタリー制作などが計画されている。
(労働と世界より)

GSOMIA廃棄要求百万人署名運動発進

軍事緊張煽る協定は有害無益

民主労総と諸団体が記者会見

 民主労総とろうそく革命を進めた諸団体が結成した民衆共同行動と戦争反対平和実現国民行動が韓日軍事情報包括保護協定の廃棄に向けた100万人署名運動宣布記者会見を行った。「平和の春が来る韓半島で日本と敏感な軍事情報を共有する必要は何もない」と。


  4・27南北首脳会談の前後に韓半島平和が可視化されているなか、朴槿恵(パク・クネ)政権時代に締結された韓日軍事情報包括保護協定(GSOMIA)が「廃棄されなければならない」という声に力が加えられている。韓日軍事情報包括保護協定の有効期間は1年で、今年8月には期限が満了し、政府は延長するかどうかを決定通知しなければならない。
 民衆共同行動と戦争反対平和実現国民行動は15日午前10時、大統領府の噴水前で「韓日軍事情報包括保護協定の廃棄に向けた100万人署名運動宣布記者会見」を開き、「平和の春が来る韓半島で日本と敏感な軍事情報を共有する必要は何もない」と「条約の破棄」を要求した。民主労総オムミギョン副委員長は「平昌の春が4・27南北首脳会談につながり、平和の時代がきているが、歴史清算の対象である日本は依然として侵略に対する謝罪どころか、労働者像をとどめることも拒否している」、「朴槿恵政府が北朝鮮の核を口実にして非公開で締結した韓日軍事情報包括保護協定はもう全面廃棄されてしかるべきだ」と力強く語った。
 キム・キヒョン全国農民会総連盟事務総長は「積弊中の積弊である韓日軍事情報包括保護協定が文在寅(ムン・ジェイン)政権のもとでも継承されているらしく、日本は依然として軍国主義復活に妄言を躊躇していない」、「韓半島に平和の春が来たこの時点で政府が日本と交流しなければならない根拠はなくなっている」と指摘した。
 イ・ヨニわが同胞一つになる運動本部事務総長は「釜山(プサン)で強制徴用労働者像が日本領事館の少女像の隣に建てられていないことに対して憂慮している」、「800万労働者を強制動員するなど、軍事大国化の夢を捨てていない日本と軍事協力するというのは話にならないことだ」と伝えた。
 チェ・ヨンジュン労働者連帯運営委員は「韓日軍事情報包括保護協定は北朝鮮の核を理由に韓米日同盟の強化の脈絡の中で行われた安倍政権と米国の意図だった」、「北朝鮮核問題は、慰安婦、サード配置問題と連結されていることで、韓半島平和の第一歩は、韓米日同盟の解体でなければならない」と主張した。
 一方、民衆共同行動、戦争反対平和実現国民行動は記者会見文を通じて「条約の破棄を通知しなければならない8月末まで行動に乗り出すこと」だとし、△韓日軍事情報包括保護協定(GSOMIA)の即時廃棄△戦争危機高める韓・米・日の三角軍事同盟の解体△韓半島の恒久的平和体制の汎国民宣伝のための100万人署名運動を宣言した。

【記者会見文】

韓日軍事情報包括保護協定の廃棄に向けた100万人署名運動で、韓半島和平体制を!

 今年初めから、南北対話で始まった平和の雰囲気が急速に大きくなっている。全国民と世界の関心の中に実現された4・27南北首脳会談で韓半島の平和と繁栄、統一の新しい時代を宣言し、米朝首脳会談も、来月に予定されている。しかし、この地に分断と冷戦の積弊は依然残っている。
今日、この場に集まった私たちは数多くの分断積弊の一つである韓日軍事情報包括保護協定の廃棄を要求する。韓日軍事情報包括保護協定は過ぎた李明博(イ・ミョンバク)政府で密室推進したものの、国民の反対で流れており、朴槿恵政府が汎国民ろうそく抗争が広がっていた2016年11月、拙速として締結した。
この協定の有効期間は1年であり、韓国と日本のいずれか一方が90日前協定終了の意思を書面通報しなければ自動的に延長される。
この協定をすぐに廃棄しなければならない理由はあまりにも多い。日本の安倍政権は、日本軍「慰安婦」、強制徴用労働者問題をはじめとする戦争犯罪に対する公式謝罪すらせず、むしろ独島領有権を主張しながら歴史を歪曲している。
これでも足りず、平和憲法を改正する、軍国主義の再武装に熱を上げている。 このような戦犯国日本との軍事協定は、主権国家として容認できないことだ。締結当時、主張した「北朝鮮の核ミサイル発射に対する情報共有」という根拠も消えた。
南北首脳が会って「韓半島で戦争は終わった」、「いかなる武力使用もないだろう」と全世界の前で宣言した。南北が平和と統一に向かう今、日本と軍事情報を共有することは、日本の軍国主義復活と北東アジアの軍事的緊張を高めること、韓日軍事同盟、韓米日三角軍事同盟を煽るだけだ。
今日、この場に集まった韓国市民社会団体は、韓日軍事情報包括保護協定を廃棄するため、今日から条約の破棄を通知しなければならない8月末まで行動に乗り出すことを約束する。
100万人を目標にした署名運動を通じて、多くの国民たちと会って世論を集めて行くのだ。
それだけでなく、6・22韓日協定締結日、8・15などをきっかけに、さまざまな活動を進めていくのだ。
私たちは、文在寅(ムン・ジェイン)政府に韓日軍事情報包括保護協定を廃棄することを要求する。前述したように韓国政府が意志を持てばすぐにでも廃棄できることだ。ろうそく政府を自任して積弊を清算するという政府と日本の軍事情報協定は許されない。
ただし4カ月ぶりに韓半島平和の扉を開いてきたその速度で、イミョンバクグンヘ(イミョンバクとパククネを一体のものとして表現した言い方)政権の代表的分断積弊を清算することを望む。
腐敗した権力をろうそく民衆の力で引き下げたように、韓半島平和も100万人の力を集めて、民衆の力に繰り上げるのだ。
今日、この記者会見を出発点に3カ月の長征に力強く第一歩を踏み出してみよう。今年8・15大会まで100万人署名運動を必ず実現して韓日軍事情報包括保護協定の廃棄を強く要求して、韓半島の和平に向かって足を大きく踏み出し進もう。

2018年5月15日

韓日軍事情報包括保護協定の廃棄に向けた100万人署名運動宣布記者会見の参加者一同

朝鮮半島通信

▲米国のトランプ大統領と韓国の文在寅大統領は5月22日、ホワイトハウスで会談した。
▲米国のホワイトハウスは日本時間の5月24日夜、トランプ米大統領が金正恩朝鮮労働党委員長にあてた書簡を公表し、6月12日にシンガポールで開催が予定されていた米朝首脳会談を中止する意向を明らかにした。
▲文在寅大統領と金正恩党委員長は5月26日、板門店の朝鮮側施設で2度目の首脳会談に臨んだ。
▲朝鮮中央通信は5月25日、金正恩党委員長が完工した庫岩― 村鉄道を現地で視察した、と報じた。視察の日時は不明。
▲朝鮮中央通信は5月26日、金正恩党委員長が元山葛麻海岸観光地区の建設現場を視察した、と報じた。
▲大統領在職中に賄賂を受け取ったとして収賄罪などに問われている李明博元大統領の初公判が5月23日、ソウル中央地裁で開かれた。出廷した李元大統領は起訴内容を全面否定した。元大統領が被告席に立つのは全斗煥、盧泰愚両元大統領、そして朴槿恵前大統領に次いで4人目。

 


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