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    かけはし2018年5月28日号

第四インターナショナル第17回世界大会開催 A


アジアの同志たちとの
共同した取り組み強化へ



地域別会議での
討論深めよう
 第一日目と二日目前半まで行われた第一議案「資本主義的グローバル化、帝国主義、地政学的カオスとその意味」についての討論に続いて、二日目の午後には欧州、ラテンアメリカ、アフリカ、アジア・オセアニア、中東の五ブロックに分かれ地域別の討論が行われた。
 第四インターナショナルと結びついて活動している同志たちのアジア地域での討論は、二〇〇九年からマニラで始まったアジア・太平洋グローバル・ジャスティス学校の毎年の積み重ねもあって、この間着実に進展している。またマニラ学校に続いて、パキスタンのイスラマバードでも西アジア・ムスリム地域での国際学校が積み重ねられてきた。フィリピンとパキスタンの同志たちの活動は、権力からの弾圧や大規模自然災害に直面する中で共に困難な情勢に直面しているのだが、それを乗り越えて着実に民衆の闘いの中で、確実に前進している。さらに香港のわが同志たちの活動は、中国の国際的に巨大な影響力とその強さ、
矛盾を把握していく上で、きわめて重要な役割を果たしている。
 われわれは、とりわけマニラ学校への参加や、香港の同志と連帯する活動で一定の取り組みを継続して行ってきた。
 またこの間、フィリピン、パキスタンの同志たちの活動をベースに、マニラ学校、イスラマバード学校を通じて、インドネシア、ネパール、バングラデシュなどの仲間たちとも重要な組織的・運動的ネットワークが形成されている。朝鮮半島、中国、そして西アジアが現在の国際政治・軍事と経済に占めているきわめて重要な位置を考えれば、その中で、日本の私たちの責務はきわめて大きい。
 二日目の午後に行われたアジア・太平洋地域の討論では日本、香港、フィリピン、バングラデシュ、カシミール、パキスタン、スリランカ、オ―ストラリアから同志が参加。各国報告とともに、初めて参加したカシミールからの報告、香港の「雨傘運動」活動家との連帯、ロヒンギャ難民との連帯決議を大会に提案することが確認された(ロヒンギャ難民との連帯決議は本紙四月九日号参照)。

支配構造の再編
と危機の中で
「ここでわれわれに投げかけられている問題は、新興大国の性格を分析することだけではない。われわれはまた、伝統的な帝国主義の地位の変化、および全体としての帝国主義秩序の変化についても、より適切に再評価する必要がある。『中心』と『周辺』や『北』と『南』のような古典的な概念も、それらの地政学的なグループのそれぞれの内部における多様化に照らして再評価されなければならない」。
「一つの支配的な帝国主義的ブロック――北米とEUを軸として形成されていることから『大西洋ブロック』と呼ぶこともできる――が存在する。このブロックに地理的ではなく地政学的な意味を与えるとするなら、ここにはオーストラリア、ニュージーランド、日本も含まれる。これは米国の主導の下のヒエラルヒーを構成している。NATOはこのブロックの特権的な、永続的な軍事部門である。NATOがロシアの影響圏の境界のヨーロッパ側に配備されていることは、その当初の役割が重要性を失っていないことを示しており、この境界は再び紛争地域になっている」。「NATOはもっと東で行動することを望んでいたが、大きな成功を収めていない。中途の危機はNATOがいたるところにその支配を押しつける効果的な枠組みではないことを示している」。
「帝国主義間競争が復活した。地政学のレベルでは、新参の中国がトップリーダーに加わることを要求している。ロシアの影響圏の拡大(シリア)は避けられなくなった。日本政府は米国への軍事的依存を減らし、日本国憲法の平和条項から自らを解放しようとしている。経済的競争は激しく、資本に付与された移動の自由は『副帝国主義』諸国がその地域的な影響圏を越えて帝国主義諸国のリストに加わることさえ可能にしている」。
しかしそれは決してスムーズなプロセスではない。「イデオロギー的には、支配階級は正統性の危機と、しばしば重大な制度上の機能不全に直面している。彼らは主要国において選挙のプロセスを制御できなくなっている」。

統治のあり方の
転換に抗して
こうして旧来の帝国主義支配構造の再編が、プーチンのロシア、あるいは習近平の中国をも巻き込んだ形で進展している。それでは一九八九年の「ソ連・東欧ブロック」の崩壊による「冷戦の終焉・帝国主義の勝利」と評価された事態は、どのように進んでいったのか。
「国際情勢の展開によって提起されている問題の一つは、一九八九年の転換点以後の状況(勝利した帝国主義)と二〇〇〇年代半ばに形成された状況(地政学的不安定)の間の関係である。それは資本主義的グローバル化に固有の矛盾を顕在化させ、政治的にも(支配体制の正統性の喪失)社会的にも、そして構造的(債務の爆発をふくめ)にも大きな影響をもたらした。それはその数年後に出現した巨大な民主主義運動(広場占拠など)の背景となっただけではなく『中間階級』の大きな恐怖によってはぐくまれたあからさまに反動的で反民主主義的な発展の背景ともなった(例えばタイ)」。
この中でもたらされたのは、資本主義のグローバル化がもたらした「統治可能性の危機」である。
それはブルジョア民主主義的な統治の空洞化、破壊という形で表現されることになる。選挙で選ばれた機関(議会、政府)から実質的に決定権を奪い、別のところ(例えばWTO、国際的自由貿易協定)で決められた政策の実施を強制したり、といった具合である。こうした新自由主義的諸政策は、資本主義のあり方自体(それは社会全体の、ということだが)金融化、債務システムの重圧と民衆生活の破綻に帰結した。
二〇〇七〜八年の「リーマンショック」がもたらした世界資本主義経済の破たんは、ギリシャに代表される債務危機を契機とした労働者・民衆の生活と権利の徹底的な破壊を通じて、資本主義の危機に対処する攻撃を強化した。
この危機は、旧来のブルジョア議会政党とは異なる顔をした極右勢力を生み出し、あるいは既成のブルジョア支配政党の中から新しい極右指導者を押し上げる。前者の例では「移民排斥」を旗印にした極右ファシスト新政党の急速な成長である。フランスの国民戦線、オランダの自由党、オーストリアの自由党、英国独立党などである。また既成政党の中から、それまでとは異なる極右の指導者が現れるケースも多い。米国のトランプ、日本の安倍がその例に当たるだろう。
「資本主義的グローバル化がもたらした顕著な不安定化の最初の結果の一つは、大衆的基盤(または潜在的基盤)を持つ新しい極右勢力と新しいファシズムの同様に顕著な登場である」「一般的に、われわれは新しい極右の運動を、それが宗教的か否かにかかわらず、より詳細に分析する必要がある。それは単に過去の繰り返しではなく、今日の表現である」。
われわれは、日本の安倍政権の現実を見るとき、それを「新しいファシズム」として規定することはなかったし、今でも安倍自民党について「新しいファシスト政党」として規定してはいない。
その上で、安倍自民党の「これまでとは異なった」在り方、統治の在り方の転換などについて、安易に「ファシズム」などというのではなく、より具体的な分析を進めていく必要があるだろう。    (K)
(つづく)

5.19

労働法制の大改悪許すな

「高プロ制」導入をやめろ

「過労死」遺族が痛切な訴え

 五月一九日、「総がかり行動」の国会前集会に続いて、雇用共同アクションに結集する労働組合などが「高度プロフェッショナル制度」導入などの労働法制改悪に反対する国会前の行動を行った。集会には一二〇〇人が参加した。
 労働弁護団の棗一郎弁護士が五月二三日にも委員会採決が行われる可能性があると訴え、警戒を呼び掛けた。福島みずほ社民党参院議員は「この法案は過労死促進法にほかならない。政府は過労死遺族と会おうともしていない。高プロ法制撤回・廃案へ」と呼びかけた。
 共産党の山添拓参院議員は「高プロ制度は、過労死レベルの残業時間を容認するものだ。一二〇年前のメーデースローガン『8時間労働』は、今でも生き生きとした呼びかけだ」と訴えた。
 全国ユニオン(全国コミュニティー・ユニオン連合会)の鈴木剛会長は、月二〇〇時間の残業を強いられ入院した労働者に対し、会社側は弁護士を連れて面会し、争わないことを確約させるという非道な圧力をかけたことを紹介し、こんなやり方が横行することを許してはならない、と呼びかけた。
 全労連の伊藤さんは、「連合会長は安倍首相と会った時、高プロ制について一言も語らなかった。ここに見られるのは労基法などなくしてもいいという動き方であり、労働時間規制を撤廃するという方向だ。それは現代の奴隷制であり、二四時間働かせるような悪用を法律上で防止できない」と、その危険性を鋭く指摘した。
 東京・過労死を考える家族の会の方は「夫は過労死で亡くなった。会社は『裁量労働制』だから過労死の対象ではない、と言い切った。死んだのは本人の責任というのだ。安倍首相に家族の声を伝えたい、と言ったが、まだ返事はない」と語った。
 続いて全労協の中岡事務局長、ネットワークユニオン東京、全労連からも「高プロ制」に体現される労働法制の抜本的な改悪を総力で阻止するアピールが発せられた。      (K)

5.16

TPPイレブン強行に抗議

「食の安全」破壊するな

大企業のためだけの政治にNO!

 五月一六日、衆議院外務委員会で米国を除いた一一カ国によるTPPイレブン(環太平洋経済連携協定)の承認案の審議が、始まった。この日、国会前にはTPPに反対する人々の運動、農民連など約四〇人が審議入りに反対する行動に集まった。
 午後五時から始まった議員会館前の集会では日本共産党の田村貴昭衆院議員らが発言。議員からは、米国がぬけたTPPイレブンでも、「食の安全」無視の姿勢、大企業のためのルールといった問題点が引き継がれていることを厳しく批判、日本の農業をつぶそうとするTPPのありかたは何も変わっていない、と批判した。集会に参加した人びとからパルシステムの藤田さん、日本消費者連盟の山浦康明さん、農民運動全国連合会の吉川事務局長らが発言。
 「TPP12と本質は同じだ。日本政府は農民や消費者の利益に基づいた要求は何もしていない。十分な審議もしないで採択するのはとんでもない」「豊洲新市場は、世界の野菜や魚のために開放されており、仲卸の人はあんな豊洲に生きたくないと言っている。輸入食品開放のためのTPPイレブンはもってのほか。食糧主権の確立が必要だ」と厳しく批判した。
 コールはおなじみの「火炎瓶テツ」さん。テンポよく「TPPやめろ」の声を響かせた。
 なお五月一八日、わずか一日の審議だけで衆院外務委員会でTPPイレブンの承認案が可決され、ただちに委員長の職権で衆院本会議に回され、採決された。「森友・加計」問題などで首相本人のウソ答弁が暴露された安倍政権は、委員長の「職権」という強硬手段で疑問に答えることを回避する戦術を取っている。
 多国籍企業、大資本のために「食の安全」を無視し、日本農業を破壊するTPPイレブン承認を許すな!(K)

【訂正】「かけはし」前号5月21日付、3面京都府知事選記事、最後の段、前から17行目「二〇二〇年四月の京都府知事選挙」を「二〇二二年四月」に、前々号(5月14日付)8面、朝鮮半島通信、前から20行目「大韓航空の趙顕?前専務」を「大韓航空の趙顕?前専務」に、下段の同名の氏名を同じように訂正します。

 



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