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    かけはし2018年5月28日号

警察の暴力はねのけ県民の意思を


沖縄報告 5月19日

県の承認撤回と連携しゲート前県民大結集へ

沖縄 K・S 


5.19

辺野古ゲート前

山城博治さんの進行で
屈しない決意をアピール

 五月一九日土曜日のゲート前行動は、平和運動センター議長の山城博治さんの進行で、いつものように「今こそ立ち上がろう」「座り込めここへ」を歌ってスタートした。
 山城さんは5・15平和行進を振り返りながら、「平和行進参加者に対する右翼の妨害がひどかった。嫌悪感を催す暴言、聞くに堪えない悪態。子供を抱いた女性に対しても行われた。警察は傍観、容認している。もう集会に参加したくないと思わせるのが目的だろう。宮古では千代田カントリークラブでの自衛隊の宅地造成が大々的に進行中だ。石垣ではまだ工事に入っていないが、自衛隊基地が予定される於茂登岳の麓は、戦後嘉手納や読谷など米軍により土地を奪われた人々が入植し苦労してつくり上げた土地だ。そこがまた出て行けといわれる。もうやめて欲しい。米軍も自衛隊もない。根源的に戦争NO!軍事基地NO!だ。共に闘おう」とアピールした。
 ヘリ基地反対協の安次富浩共同代表は、「退院した翁長知事が少しずつ回復して復帰し知事選に立ち向かっていくことを願う。埋立承認の撤回を早くし、行政、法廷闘争、現場連携して立ち向かおう。団結が必要だ。暑い中座り込みが続くが、体調管理を万全にして、ウチナーンチュの民意を示そう」と檄を飛ばした。
 うるま市島ぐるみの仲宗根勇共同代表が「県警による過剰・違法なゲート前警備について、管理者たる県公安委員会がどう認識しているのか、県議会で厳格に調査すべきだ」との趣旨の発言をしている時、北の二見方面から生コン車が到着しはじめるとともに基地の中から機動隊がゲート前に現われた。この日の排除は速さを競っているかのように、とくに乱暴。座り込みのあちこちから抗議の叫びがあがった。山城さんはマイクで「警察のみなさん、手首、足首をつかんだ排除は止めて欲しい。われわれは動物じゃない。人間としての最低限の尊厳がある。毎日けが人続出だ。警察車両は何の権限があってゲート前の歩道を占拠しているのか。もう黙っていられない。ひどい排除の証拠写真を撮って、刑事告発する」と何度も訴えた。
 座り込み排除と資材搬入にかかった時間はおよそ一時間余り。座り込み参加者は全員で「新基地建設阻止するぞ」「埋め立て阻止するぞ」「防衛局は出ていけ」とシュプレヒコールをした後、「沖縄を返せ」を歌い、テントに移動し集会を続けた。
 テント前集会では各島ぐるみが発言した。県庁前発島ぐるみバスの岩村さんは「二四人で参加した。闘いの輪は県外海外に広がっている。意見の違いを乗り越えて、目標はひとつ。工事を止めることだ」と訴えた。糸満島ぐるみは、「短歌で訴える平和・朗読」を紹介し「平和の一首」の応募を呼び掛けた。〈募集要項 〆切五月三一日。宛先=〒901―0361糸満市字糸満1200 玉城洋子。電話・Fax 098―994―1383〉
 山城さんは「来月訪米し基地に反対するキャンペーンに参加する予定だったが、アメリカ政府から入国拒否された。五月二六日には国会大行動がある。沖縄はいよいよ最後の勝利を手にする闘いに入る。けが人続出のゲート前の警察の暴力に対しても、数千人の原告団を募って闘いたい。あのゴボー抜きはなんだ。イノシシではない。工事用ゲートの山切り鉄板の敷かれている所は元々歩道だ。その前に警察車両の駐車を続け座り込みを車道に押し出しているのは警察だ。あまりにひどい警備状況に対し、弁護士とも相談しながら頑張っていきたい」と述べた。一一時半。二回目の資材搬入・強制排除に備えて、ゲート前に移動した。
 他方海上では、砕石運搬船を止めるために朝六時に第2テントに集合した。その後砕石運搬船の搬入がないことが分かったので、K4護岸の工事を止める行動を行った。土曜のため参加者が多く、カヌー約三〇艇が出航した。海保は高速ゴムボートでカヌーを追い回し、うち一艇に追突した。幸い大きな怪我には至らなかったものの非常に危険な行為だ。カヌーチームは全員で海保の現場責任者(統括と言う)の高速ゴムボートを取り囲んで抗議し、今後の安全対策について強く申し入れた。

5.16

200人結集し

3回の資材搬入に全力で抵抗

ゲート前座り込み

 五月一六日水曜日の辺野古ゲート前行動は二〇〇人が集まり、朝昼午後一日三回の強制排除・資材搬入に対し全力で抵抗し抜いた。進行担当は午前が平和市民連絡会の伊波義安さん、午後は宮城恵美子さん。伊波さんは、金武湾のCTS反対闘争、やんばるの奥間川を守る運動、生物多様性市民ネットワークなど復帰前から基地に反対し環境を守る様々な運動に取り組んできた豊富な経験をもとに、おおらかにゲート前座り込みをリードした。水曜日は元々、高里鈴代さんはじめ平和市民の女性陣が指揮をとってきたが、高里さんが四月二三日のゲート前行動で警察機動隊の乱暴な排除行動により肋骨四本と鎖骨の骨折・ひび割れという重傷を負い安静治療中のため、男性陣も進行担当に加わっている。
沖縄は連休明けに梅雨入り宣言をしたが、どういう訳か全く雨が降らず、真夏のような暑さが連日続いている。そのような炎天下でのゲート前行動は体力を極端に消耗するが、参加者は黒糖をかじり水分をとるなどして粘り強く抵抗し抜いた。県警は大型警察車両など三台を並べ歩道にオリをつくって違法な警備を続けたが、九時からの一回目の資材搬入に一時間半もかかった。国道三二九号線は大渋滞。路線バスの一部はあらかじめ迂回したとのことだ。
この日、「道路交通法違反」と「公務執行妨害」を口実に二人が逮捕された。三回の合計搬入台数は三六一台。救護班に待機したのは、千葉県からの看護師の女性二人。腕をきつくつかまれアザとなった女性などが診察を受けた。
また海上では、カヌーチームが早朝から、本部からの石材を積んだ台船の阻止行動を展開し、約二時間接岸を止めた。カヌーメンバーによると、防衛局は辺野古崎側で砕石の投入、辺野古側で被覆ブロックを並べる作業をした。K4護岸は全長一〇二九m。あと三〇〇mほどで護岸の接続が出来上がるという。そうなると辺野古の海は護岸に囲われた巨大な海水プールと化し、中に生息するあらゆる生物は死に絶える。カヌーチームは何度もフロートを越え工事の阻止行動を行い、一時工事は止まった。
一回目と二回目の搬入の間に行われたテント前集会で、北上田さんは前日の対県交渉の内容を報告しながら次のように述べた。
「大浦湾のマヨネーズ状態の軟弱地盤は海面下三〇mの所から四〇mの厚さで広がっている。羽田の場合の軟弱地盤は海面に出ていた。プロジェクトXに出るような難工事だったが、大浦湾の場合はさらに難しい工事になる。専門家は地盤改良だけで二〜三年を要するとみているが、費用もとてつもなく膨れ上がるだろう。すべてのアセスをやり直さなければならない。このケーソン護岸の変更は知事の承認を必要とするが、翁長知事は許可しない。すると工事は頓挫する。今後の新基地建設を左右する大問題だ。防衛局は分かっているからのらりくらりと時間稼ぎをして、この一一月の知事選で政府防衛局の意のままになる人物を知事の座にすえることを狙っているのだ。
新聞で報道されている周辺のさ制限の問題では、国は米軍の了解をとったと言っているが、米軍が了解して済む問題ではない。決してあってはならない問題だ。高さ制限を超えるところに、国立高専の学生五五〇人、久辺小中学校の児童生徒三〇〇人、そして住民が多数住んでいる。国道沿いのコンビニの入り口には高さ五九mと表示されている。すべて高さ制限を越えている。そもそも立地条件からして造ることができないのが辺野古新基地だ。
昨日の対県交渉でも問題をすべて明らかにした。確かにまどろっこしいところがあるが、県は撤回に進むだろう。あと一押しだ。苦しい闘いが続くが勝利の展望を確信しさらにゲート前の現場を強化しよう。

5.15

平和市民対県要請に40人

土砂投入前に県は埋立承認の撤回を!


五月一五日午後、平和市民連絡会は沖縄県に対し、埋め立て承認の撤回を求める要請行動を行った。会場となった県庁舎二階の会議室には予定の二倍の四〇人が詰めかけた。平和市民連絡会は、代表世話人の真喜志好一さん、松田寛さん、宮城恵美子さんのほか、三宅俊司弁護士、北上田毅さん、伊波義安さんらが要請行動の前面に立ち、県側は、辺野古新基地建設問題対策課の多良間課長、渡嘉敷基地対策統括監、海岸防災課の担当者が対応した。
はじめに宮城さんが「埋立承認の撤回を求める」要請文を読み上げ、多良間課長に手交した。要請文は、「土砂の投入は県民意思に鉄槌を打ち込む暴挙であると同時に、翁長県政を崩壊させる最大の手段として準備されている」と指摘し、「翁長県政が渾身の力をふりしぼり撤回を行えば、たとえその効力が裁判所で一時的なものにされても、県民を鼓舞し団結させ、翁長知事再選へと突き進む力を与え、県民の基地反対の決意は全国全世界に伝播する」と述べている。
北上田さんは、「土砂が入ると原状回復は不可能になる。それまでに撤回に踏み切ってほしい」と述べて、「埋立承認撤回の事由となる防衛局の違法・違反行為」として@事前協議の無視や環境保全図書の変更など「埋立承認の際の留意事項違反」、A知事の承認のない設計概要の変更の「公有水面埋立法違反の事例」、Bサンゴ移植、土砂の陸上輸送、護岸のさなどをあげた上で、「埋立承認の撤回につながる新たな事実」として、大浦湾の活断層、ケーソン護岸下部の軟弱地盤、飛行場周辺のさ制限等を指摘した。
県側は「みなさんの要請は知事に伝える。あらゆる手段を行使して基地建設を止める考えに変わりないので協力をお願いしたい。防衛局の護岸工事は留意事項違反だ。K9護岸を使用した石材搬入も違反。今年一月から何回も防衛局に指摘し県の承認を受けるよう指導している」との趣旨を説明した。
真喜志さんは「辺野古の海が護岸で囲われたら海が煮えたぎり死んでしまう。県の指摘を無視して違法工事を強行する防衛局に対し、工事を止めるよう指示すべきだ。アセス違反の本部港の使用も同じで、止めろと強く言うべきだ。県が指示すれば止まる」と述べた。
三宅弁護士は「国は好き勝手やっている。サンゴの移植についても、サンゴを殺している自分たちの責任を棚に上げて、県が移植を認めなかったからサンゴが死んだと県に責任を転嫁しかねない。普天間の五年以内の運用停止ができないのは翁長知事が辺野古に反対しているからだという政府の詭弁と同じだ。県はサンゴ移植の許可を得るようにという消極的な態度ではなく、サンゴ移植のないままの埋立中止をハッキリ主張すべき」と述べた。伊波さんは「護岸がつながる前に承認撤回をして欲しい。遅くとも六月半ばが期限だ」と強調した。
北上田さんは「サンゴ移植のないまま土砂投入はありえない。サンゴの産卵期から一〇月まではサンゴの移植に適さないことが明らかになっている中で、県は防衛局に少なくとも一〇月まで土砂投入を行わず埋め立て工事を中止するよう強く指導すべきだ。護岸のさも現状は四m以下だが、現状で土砂を入れればどうなるか。台風でかき回され、護岸内外の汚染は想像を絶する状態になる。絶対に土砂を投入させてはならない。さらに、大浦湾の活断層、軟弱地盤などの問題で県と協議をするまで、辺野古側での工事もするな、と指示すべきだ」と訴えた。
県のスタッフは新基地NO!の民意を付託された行政マンとしての責任を自覚し、あらゆる行政権限を駆使して阻止するという翁長知事の公約を実行するために、真剣にかつ断固として県の持つ行政権限の行使にギリギリまで取り組むことが必要だ。



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