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    かけはし2018年4月23日号

追い詰められた安倍政権を打倒しよう


「森友」「加計」問題で相次ぐ新証言・新証拠

憲法改悪阻止へ、沖縄の人々と共に

今こそ安倍政治に終止符を

 一月二二日に始まった第一九六通常国会は、安倍政権の当初の思惑とは大きくかけ離れ、衆参両院で安定多数を占める自民「一強」の根幹をゆさぶる事態が相次いで引き起こされてきた。
 まずは今国会の柱として安倍政権が前面に打ち出した「働き方改革」の核心をなす「高度プロフェッショナル制度」、「裁量労働制」にかかわる労働時間についての厚労省のデータが、まったくのねつ造と言えるものでしかないことが明らかになったことである。
 次に安倍政権を直撃したのは「森友学園」と財務省近畿財務局の間の「国有地売却」をめぐる交渉にかかわる「決裁文書」が偽造され、あるいは「森友」への特別扱いと安倍の妻・昭恵の重要な関与が明らかとなるような内容が削除されてしまった、という問題である。当時財務省の理財局長であり、その後国税庁長官に「栄転」した佐川宣寿が、安倍首相夫妻の意向に沿って(あるいは「忖度」して)この「公文書偽造」のイニシアティブをとったことは明らかである。
 「森友」については四月九日の段階で、財務省理財局の職員が昨年二月の段階で、「森友」側の弁護士に電話し、国有地を大幅に値引きして「たたき売り」する理由付けのために、ごみ撤去のために「トラックを何千台も走らせた」という虚偽の口裏合わせを依頼した、ということまで明らかになっていた。
 第三は、昨年二月の衆院予算委で稲田防衛相(当時)が野党議員から自衛隊イラク派遣時の陸自「日報」の存否を問われて「見つけることができなかった」と答弁してから一年以上たった後に、実は存在していたという事実が明らかになったことである。イラク戦時の「発見」された「日報」の隠蔽は陸自だけではなく空自にも及んでいた。
 稲田防衛相(当時)が「イラク日報は発見できなかった」と答えてから一カ月後に当の「日報」は「発見」されていたのだが、それはおそらく自衛隊制服組トップのレベルで秘匿され「見つけられなかった」という稲田の答弁は訂正されることがなかった。
 こうして今国会は、あらゆる分野において安倍政権が、あからさまな「虚偽のネットワーク」を張り巡らした政権であることを示すものとなった。

首相本人のウソが明らかに

 そして第四に安倍本人の意図的な虚偽答弁が決定的に明らかになってしまった。言うまでもなく安倍首相本人の米国留学時代からの「刎頚(ふんけい)の友」ともいうべき加計学園理事長・加計孝太郎との関係である。すなわち二〇一五年四月に柳瀬唯夫首相秘書官(現経済産業審議官)が、首相官邸で愛媛県や今治市の職員と面会した際、今治市への加計学園の獣医学部新設をめぐって「首相案件」と明言した、という問題である。
これは「加計学園の獣医学部新設計画について初めて知ったのは、加計学園を事業者として正式に決定した二〇一七年一月二〇日」のこと、という安倍首相の答弁が全くの虚偽であることをゴマカしようがないほど明瞭に示すものである。
柳瀬経済産業審議官は、首相官邸での愛媛県職員との「面談」について「記憶にない」と突っぱね続けている。安倍首相もあくまで「加計学園」の獣医科大学新設申請を知ったのは、昨年一月のことという答弁がウソであることを認めていない。それがウソであり、加計学園獣医学部の認可が「首相案件」であったことを認めてしまえば、まさに「内閣総辞職」に直結せざるを得ないし、改憲スケジュールそのものが白紙に戻らざるを得ないだろう。しかし四月一三日には農水省でも「加計学園の獣医科大学申請は『首相案件』という柳瀬発言文書が「発見」された。
もはや逃げることはできない。「安倍改憲」による「戦争国家」体制の構築は、まさに民主主義を破壊する強権的・上位下達的統治システムへの強化・再編と結びついているのであり、憲法改悪はそこにむけたターニングポイントとなる。「森友・加計」疑惑を徹底的に追及し、安倍政権の打倒を実現することは、憲法改悪を阻止するための全民衆的闘いと一つの課題である。四月一四日の「三万人国会包囲」の闘いは、そのための重要な指標となる。

カギを握るのは労働者・市民

 われわれは、もちろんのことこうしたウソとごまかし・隠蔽にまみれた体制が、安倍政権のみに固有のものであるということはできない。歴代自民党政権が、虚偽と汚濁に貫かれた体制であったことは間違いない。自民党の長期独裁体制の歴史は、それを立証する事例に事欠かない。それはまた利権配分に関わるブルジョア政治支配の本質であるとも言ってよい。
しかし重要なことは、「森友」「加計」にしろ、「働き方改革」にしろ、あるいは自衛隊の「情報隠し」にせよ、その中からこれまでとは異なる今日の支配体制の再編の趨勢をつかみ取ることができるということだ。それはまさに民主主義の建前にほんの僅かしか考慮を示さない、ブルジョア階級支配の、よりあからさまで強権的な枠組みである。憲法改悪は、こうした体制転換と並行して進められている。
トランプ米大統領の政策に示されるグローバルな資本主義システムの危機と対立の激化、朝鮮半島における戦争の可能性――安倍政権は改憲を通じてこの情勢に対処しようとしている。戦争国家体制への急ピッチの進展は、オスプレイの横田配備の大幅な前倒し実施によっても示されている。
しかし安倍政権の改憲プログラムは、当初の思惑通りに進んではいない。三月自民党大会で党の「改憲案」を確定することはできなかった。年内にも国会での改憲発議というスケジュールは遅れることになるだろう。沖縄の民衆の反基地の叫びととともに安倍政権を退陣に追い込む闘いは、改憲阻止の重要なステップである。
われわれの改憲阻止の闘いは、こうした危機に立ち向かい未来に向けた平和と人権とエコロジーに貫かれたオルタナティブ、そして社会主義の再生を目指す挑戦でもある。
動揺する安倍政権を追撃し、憲法改悪を阻止する共同戦線と大衆行動をさらに大きく作り上げよう。いまこそ「安倍政権打倒」を実現する闘いへ!   (純)



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