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    かけはし2018年3月19日号

辺野古に新基地は絶対につくらせない


沖縄報告 3月10日

闘いは正念場

沖縄 K・S

3.7

辺野古ゲート前に150人

3回の資材搬入に果敢な抵抗

 

 三月七日の辺野古キャンプ・シュワブゲート前行動は県内外から約一五〇人が集まり、朝昼午後三回の資材搬入・強制排除に対して果敢に抵抗し抜いた。この日の進行担当は平和市民連絡会の女性陣。午前は上間芳子さん、午後は宮城恵美子さんがマイクを握り、沖縄防衛局の違法工事を糾弾し座り込みをリードした。
 歌で始まる朝の座り込みが糸満、八重瀬など島ぐるみの決意表明に進んだ時、ゲート前には南の久志方面と北の二見方面から工事車両が続々と到着し始めた。すると、米海兵隊キャンプ・シュワブの中に停めてある警察車両から機動隊が姿を現す。その数三〇〜四〇。以前に比べると、ずいぶん機動隊の数が減った。座り込み参加者の減少と機動隊の省力化が原因だろう。また、機動隊員の配置を極力少なくするのは「辺野古ゲート前事件」の比重を小さく見せようとする警察権力の目論見でもあるのだろう。少ない機動隊員で短時間に多数の座り込みを排除し歩道上の囲い込みのオリにとじこめようとするためいきおい排除が乱暴になる。この写真報告でも毎回お伝えしているように、無表情の機動隊員の力ずくの行動に、手足をつかまれ肩をひねられ手当たり次第衣服を引っ張られても、座り込み参加者は毅然として非暴力の抵抗を貫いている。
 朝の第一回目の強制排除・資材搬入にかかった時間は約一時間半。丸政やまるくに、北勝重機などの大中小の砕石、宇堅総合開発の砂を積んだダンプやトレーラー、直径一・五mもあるコンクリート土管、鉄管、鉄板、沖縄建材の木材のトラック、小禄運輸の巨大な台車トレーラー、金功重機のクレーン車、カイコンの生コン車などが進入した。この日、救護班に詰めた二人の看護師は福岡からの女性。共に辺野古は初めてという。日本社会の縮図である辺野古ゲート前の様子を心にとめて職場の人びとや家族友人に広めていってほしい。
 一一時半に始まった二回目のゲート前座り込みで、マイクを握った平和市民連絡会の城間勝さんは「辺野古の基地は完成することはない。不法な工事を直ちに中止し基地建設を断念せよ」と訴えた。東京の『直接行動』という名の学生グループ六人はそろって前に立ち決意を語った。『直接行動』の学生たちは二年前の安保法制に反対する国会前ハンストにも参加してきた。うち四人は今回辺野古が初めて、約一週間辺野古に滞在し座り込みに参加するという。「二年前来た時ゲート前のあいさつでまた来ると発言したことが実現できてうれしい」「沖縄の米軍基地、ゲート前の運動をよく学んで帰りたい」「沖縄の闘いに参加できることは誇り」などと口々に述べた。
 二回目の強制排除・資材搬入もやはり一時間半以上かかった。砕石、砂のほか、丸新の掘削工機、島運送の土管、丸浩テックのブルーシートで覆ったトレーラー、平成重車両の台車トレーラー、ユタカ基工のクレーン車などが出入りした。以前資材搬入はパトカーを先頭に「護送船団方式」で集中的に行われ、資材搬入が終わるまでの一定時間一般車両の通行は完全にストップしていた。最近は北と南からさみだれ的に一般車両を間に挟んで搬入を進めるため、一般車両の通行規制はだらだらと長時間続いている。機動隊によるゴボー抜きのあとの歩道上のオリの囲い込み規制は、資材搬入の車両がある程度進入すれば解除するようになっているが、ゲート前の抗議行動は国道の両側から分散して継続することを強いられている状態だ。そのためゲート前で長時間立ちっぱなしで疲れがたまるし、ゆっくりと集会をする時間もない。 
 この日三回の資材搬入は合計三五四台。最大積載量二〇トン以上のトレーラーも目立って増えている。車両重量と合わせると四〇トンにもなる工事車両が毎日大量に通行するため道路の破損が生じている。世富慶からキャンプ・シュワブに向かう国道329号線を進むと、上り坂の長い橋を渡ったところから道路の亀裂が現われる。ひび割れが広がり、陥没している場所もある。実際に道路を歩いて写真を撮った。これまで行われた資材搬入はまだ一部だから、今後資材搬入をさらに強行すれば道路の破損はいっそう決定的に進むだろう。国道329号線は辺野古埋立のために造られた道路ではない。東海岸の人びとの生活道路であり、北部の経済道路だ。工事車両の通行を中止し道路の補修を優先することが必要だ。

問題隠したまま
強引な形づくり
上に掲載した「辺野古埋立計画図面」は陸の米海兵隊キャンプ・シュワブから海側の辺野古崎の埋め立て予定地を写したものだ。辺野古アの突き出た岬の左側が大浦湾、右側が辺野古の海だ。左側に点線で描かれた二本の線が辺野古断層と楚久断層。活断層の疑いが濃厚な断層であり、辺野古弾薬庫はちょうどこの二つの断層に挟まれて作られている。二つの断層が交わっている付近では六〇mに及ぶ落ち込みが確認されている。この部分はまたきわめて軟弱な地盤であることも明らかになっている。防衛局の調査によっても、四〇mの厚みで強度〇の軟弱地盤が存在するという。
海の色から一目で分かるように、大浦湾は水深が深く、辺野古の海は浅い。辺野古側は干潮になると所によって水深はひざ下くらいになる。護岸工事はもともと大浦湾側から着手することになっていたが、水深、軟弱地盤、活断層など次々に問題が出てきて、政府防衛局は手っ取り早く取り掛かることのできる辺野古側の護岸造成を急いできた。辺野古の海岸線とK1、K2、K3、K4、N5の護岸がつながると浅瀬に巨大なプールが出来上がる。Kとは傾斜護岸の略、Nとは中仕切り護岸の略だ。この五つの護岸の総延長一六六六・九mのうちすでに半分ほどができたといわれる。五月下旬から六月初めにかけて完成し、六月にも海水の排出と土砂の投入が行われる可能性が高いという。
辺野古新基地建設を止める闘いの正念場だ。総力を挙げて護岸造成・土砂投入を阻止しなければならない。全県、全国から辺野古に総結集しよう!

3.4

鳩山訪米報告に100人

「辺野古が唯一ではない」と訴えた

サンダースら
とも意見交換
三月四日那覇市内で、東アジア共同体研究所主催の「東アジアの安定へ 元総理訪米リポート」と題する鳩山由紀夫さんによる訪米報告会が開かれ、約一〇〇人が参加した。
鳩山さんはスライドを使いながら二月初旬の訪米行動を詳しく報告した。多くの議員や議員スタッフとの意見交換を通じて、鳩山さんは、@辺野古は唯一ではないことを理解してもらう、A北朝鮮に対して絶対に戦争はいけない。戦争が起これば真っ先に沖縄が戦場になる、というふたつのことを重点的に訴えた、と説明した。
スライドの映像はワシントンやニューヨークで鳩山さんが民主党のエリザベス・ウォーレン上院議員、ダイアン・ファインスタイン下院議員、共和党のウォルター・ジョーンズ下院議員、二〇一六年大統領選の民主党候補だったバーニー・サンダース上院議員らと面会し、意見交換している様子、ND(新外交イニシアティブ)の猿田佐世事務局長が議員に資料を配布している場面などを映し出した。その他に、記者会見の場や多くの学生、大学関係者で埋まった大学会場での講演会、ヒューマンライツ・ウォッチ訪問もあった。

平和共同体で
戦争絶対阻止
米国の議員は、秘書たちがよく知っていても、沖縄の問題を詳しく理解していない。パスポートを持たない議員も多い。海外には一度しか行ったことがないという議員もいた。驚きだ。沖縄は遠い。しかしジャーナリストは共鳴してくれた。もしサンダースが大統領になっていたらまるで違うアメリカになっていただろう。大学での講演では東アジア共同体はアメリカを排除するものではないことを説明した。ドイツとフランスの和解を通じて共同体を築いたヨーロッパでできたことがアジアでできない筈がない。戦争を絶対させないという東アジア地域の平和共同体をつくる。韓国、日本、中国のラインに北をいかに取り組んでいくか。アメリカに従属的な人々が支配している日本が最大の問題だ。戦後日本はずっと大日本主義で来た。ミドルサイズの質の高い国をめざすべきだ。米国の議員の皆さんに「辺野古が唯一」ではないことを説明した。翁長知事に会うこと、沖縄に来ることを話した。

山城博治さんが
サプライズ登壇
そのあと、サプライズで登壇した山城博治さんは「鳩山さんをもう一度総理にしたい。南西諸島全部が米軍・自衛隊のミサイル基地、攻撃基地になるという恐ろしい事態だ。アジアで戦争しない枠組みをつくるという東アジア共同体は素晴らしい」と話した。もう一人、サプライズで登壇した瑞慶覧長敏南城市長は「翁長知事の三月の訪米は大きな発信力になるだろう。建白書の辺野古新基地反対をあくまで貫く」と述べた。

【訂正】前号(3月12日号3面、放射線汚染廃棄物焼却処分記事中、6段目、破線罫線から5行目の「二〇一六年度」を、「二〇一八年度」に、4面8段目左から13行目「特別公務員凌辱罪」を「特別公務員暴行陵虐致傷罪」に、4、6、8面欄外号数の2508号を2509号に訂正します。



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