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    かけはし2018年3月5日号

夏にも予想される土砂搬入を止めよう


沖縄報告 2月26日

機動隊の排除に抗してゲート前座り込みは続く

那覇市 T・N

2.21

辺野古基地建設を止めよう

希少種サンゴ群体
が全滅してしまう


渡具知市長の
地方自治否定
朝六時半、県庁前発の平和市民連絡会のバスにで辺野古に向かう。八時頃キャンプシュワーブゲート前のテントに着く。そのまますぐに北側の工事用ゲート前に移り、県警が放置している車両の前で座り込んで集会が始まる。今日の進行は平和運動センターの大城悟事務局長だ。
「名護市議が昨日の臨時市議会について報告。市長選で与野党が入れ替わったことを受け、副議長は与党から出すべきだとして一六日に仲村善幸副議長が辞任したため、副市長の選任や教育長の任命承認などの議事に先立って副議長選挙が行われたが、四回行われた選挙で選出された与党議員が少数与党状況を警戒してすべて辞退。与党側は市長と協議し当面市長専決で乗り切ることで流会を選択、二八日に再度臨時議会で副議長の選出が行われることになった。
敬人議員からもう一つ。一三日の安倍との面会のまえに一二日付けで渡具知新市長が菅官房長官あてに署名の無い要望書を出していたことが分かった。選挙選で稲嶺市長の実績に上乗せする形で公約した「給食費の無償化」「保育料の無償化」など財源の必要な公約の実現の支援と、そのための国(総務省、経済産業省、国土交通省を名指)からの人材派遣を求めている。名護市には人材がいないということか? まかり間違えば地方自治の否定になりかねない。市長の姿勢と公約を市議会で追及していく、と野党としての決意を語った。

サンゴ採捕許可
の撤回を
ヘリ基地反対協の浦島悦子さんは、きのう共同代表の安次富さんを始め八人で県庁に行き沖縄防衛局が埋め立て工事区域から移植するため申請していた絶滅危惧種オキナワハマサンゴ1群体の特別採捕を県が認めたことについて抗議の要請を行ったことを報告。対応した県水産課の副参事は「審査基準を満たしたため現行法上許可せざるを得ない」と答えた。県漁業調整規則では「試験・研究」と「教育目的」のみ許可が可能で、防衛局の申請は明らかに基地建設のためなのに「試験・研究」目的となっており、要件を満たしているどころか明らかに規則に違反している。しかし、どうやら県は那覇空港第二滑走路の埋め立て工事で「試験・研究」名目での採捕を許可し、自ら前例を作ってしまったようだ。そもそも防衛局は移植を工事前に行うはずだったが、工事を強行したため見つかっていた一四群体のうち一三群体は既に死んでしまった。一群体しか残っていない希少種を移植してどんな研究ができるのか。同行したサンゴに詳しい東京経済大の大久保准教授は、第二滑走路の移植も含めて「移植したサンゴが長く生き残ることは不可能。移植が建設事業の免罪符とされてはならない」と指摘した。
ヘリ基地反対協は「新基地建設反対の県政の立場から、埋め立て工事のための移植を認めてはならない」として今回の特別採捕許可を撤回し、今後の防衛局の申請を許可しないよう申し入れ、再度協議の場を設けるよう求めた。
埋め立て承認取り消し訴訟の敗訴以降、取り消し処分の取り消しをした県政の「法令順守」の姿勢は、辺野古埋め立て工事のための奥港や本部塩川港の使用許可および今回のサンゴ採捕許可という結果となり、「あらゆる権限を行使して基地建設を阻止する」という翁長知事の姿勢が、埋めて承認撤回の時期も含めて見えにくくなっている。辺野古新基地建設阻止のためにすべての権限を行使する知事の強い政治決断を支えるためにも多くの仲間の結集が必要だ。

辺野古沿岸域シンポから

活断層上の辺野古基地
の調査結果を公表せよ


八時四〇分、機動隊がゲート内から出てきて第一回目の排除が始まる。一人一人は精一杯抵抗するが、機動隊に引きずられ五〇人足らずでは一〇分程であっけなく歩道の檻に閉じ込められる。車両が八〇台以上次々にゲートから入っていく。止められなくて悔しい。
石材・資材を下ろして出て行くダンプや生コン車にプラカードを掲げて工事の不当性を訴える。やられっぱなしだけど、やっぱり自分たちがここに来ることで確実に基地建設工事の足かせになっているのだと思う。二〇〇四年、辺野古漁港で座り込みが始まったときは、知事も市長もみな基地容認側だった。オール沖縄も島ぐるみもなかった。
一〇時過ぎ車両が出終わってゲートが閉まると、ブロックと足場板で座り込みの場を立て直し、一〇時半から一旦新ゲート前のテントに移動して、二回目の搬入に備えつつ午前中の集会を続ける。
統一連の中村司(まもる)さんは、オール沖縄会議の主催で一四日に那覇市で行われた「辺野古沿岸域活断層シンポジウム」に触れて、「これまで政府が国会で糸数慶子議員や赤嶺政賢議員の質問に『辺野古基地建設予定地に活断層はない』と言ってきた答弁が間違いだった。防衛省に調査船ポセイドンの調査結果を公開させよう。県や名護市でも活断層の上に建造物を作ることを制限する条例を作るべきだ」と訴えた。
司会の大城悟さんが、きのう山城博治さん、稲葉さん、添田さんの無罪を求める署名六万四〇〇〇筆を那覇地裁に提出したことを報告。三月一四日の判決に合わせ城岳公園に結集することを呼び掛けた。
一一時になり土木技師の奥間政則さんが抗議船から戻ってきた。「海側から見てきた。K9護岸はすでに終了、K2は六〇%、K4は一八%ぐらい進んでいる。最初の埋め立て周囲は四割がた終わっている。台風シーズンになる前に土砂投入を予定しているはずだから六月投入はありうる」「県がサンゴの採捕を認めてしまったが、県にはサンゴの専門家がいない。専門家の意見ではサンゴの移植の成功例はほとんどないそうだ。このまま移植を続ければ辺野古周辺のサンゴはみんな死んでしまう。観光にも打撃になる。マスコミを通して専門家の意見を拡散し、移植反対の民意を形成しよう」と訴えた。
一一時半、二回目の搬入に備えて工事用ゲートに移動。一二時前からまた機動隊のゴボウ抜きが始まる。八〇人余りに増えたため朝より時間がかかっているようだ。一時半頃出ていく車両が終わるまで抗議を続け、ゲートが閉じた後座り込み体制を整えて、新ゲート前のテントに戻り三〇分程昼食休憩。

4.25海上カヌー
行動日に参加を
二時、午後の集会再開。「オール沖縄那覇の会」の長堂都志子さんから、今年は日曜日となった三月四日にゲート前でも予定されているサンシンの日の行事に合わせて県庁前九時発のバスを出すとのお知らせ。
司会の大城悟さんは、昨年の四月二五日に「本工事着工」の名目でセレモニーまで行って始まったK9護岸の石材投下工事が、ほどなく奥港からの砕石海上運搬台船接岸のための仮設工事に過ぎなかったことが明らかになったことを思い起こし、一年経った四月二五日に海上カヌー行動を計画していることを紹介。参加を呼びかけた。
続いて反原発活動家でベジタリアンのアコチャンが、「戦争の原因は地球規模に広がった南北問題」とアピールしているところへ、砲塔に兵士が二人立ったままの水陸両用装甲車が通りがかり新ゲートから出てくる様子。「こんなものを公道に出すな!」と仲間が新ゲートに駆けつけ、立ちはだかった。若い米兵は戸惑いながらもへらへらして電話連絡したりしている。一五分ほど止めているとゲートの中から県警が出てきてもみ合いになり排除された。
県警も県民だろうに何とも感じないのだろうか。
二時半になり工事車両が来るので、急いで工事ゲートに座り込む。もう二〇人くらいしか残っていない。三時前にこの日三度目のゴボウ抜きが始まる。歩道の檻に拘束され一〇〇台近いダンプやトレーラー、生コン車が国道に大渋滞を作りながらゲートから入って行く。入り始めると少人数のせいかほどなく包囲が解かれ歩道からの抗議を続けるが、きょうは四時前になっても出て行く車両が終わらない。残念だが貸し切りバスの出発時刻になり那覇からの参加者は現場を離れた。

すそ野を広げる取り組みを

若い世代への基地問題の
アプローチが重要だ

 きょうも九時県庁前発の平和市民バスで辺野古へ。一〇時半ごろゲート前に着くと、朝から結集した仲間たちが工事ゲート前から新ゲート前のテントに戻ってくるところだった。九時前に一回目の搬入があったのだ。私たちの到着で一〇〇人を超す参加者になった。
一〇時四〇分、早速ヘリ基地反対協の仲本興真さんの進行で午前の集会が始まった。
毎週木曜には、昼前の時間帯に専門知識のある仲間による連続ミニ講座が行われている。
先週に続き今日も平和ガイドの村上有慶さんが資料を配布してマイクを握った。今日のテーマは一九五三年から五六年ころまで続いた米軍による暴力的な土地強奪。
村上さんは、日本軍の蛮行については比較的まとまった資料があるが、その日本軍から住民を「解放」したはずの米軍が、朝鮮戦争を背景に占領軍として住民に牙をむく土地強奪についての証言や写真は阿波根昌鴻さんの「米軍と農民―沖縄伊江島」以外あまり整理されていないとして、国場幸太郎の「沖縄の歩み」や「沖縄人民党の歴史」などから写真と証言を抜粋して資料を配布した。

埋め立て
承認の撤回を
続いて、うるま市島ぐるみの宮城英和事務局長が三つの取り組みを報告。
「名護市長選をきっかけに具志川九条の会と協力して毎週市内六つの高校の前で街頭宣伝を行いながらチラシを配布し、憲法九条改悪反対の署名に取り組んでいる。一八歳から選挙権が行使できるようになり、高校生へのアプローチが重要だ。名護の結果を見ても若い世代に基地問題が伝わっていない。でも、実際に話しかけてみると用紙をもらっていくという子もいる。すそ野を広げる取り組みが必要だ。今週の与勝高校で六校終わるので、次は隣の沖縄市でやってみようと計画している」。
「二つ目は市議会対策。うるま市内を始め、中部地域でパラシュート降下訓練や米軍機の事故・トラブルが相次いでいる。市議会の抗議決議はあるが、市民集会ができていないので、基地対策委員会に要請したところ、本会議で扱うことになった。さらに働きかけを強化していく」。
「三つめは知事への要請。夏にも予想される埋め立て土砂の投入の前に、埋め立て承認の撤回を急ぐよう、引き続き翁長知事に要請していく」。
次にマイクをとった島ぐるみ沖縄市民会議の前川盛治さん。「朝から乱暴なゴボウ抜きにあい怒り心頭だ。根拠の示せない拘束は違法で許せない」と憤り、「より多くの仲間と結集するために三月の総会に向けて市民会議の事務局体制を強化し幹事会の在り方も見直していく」と決意を語った。
また、四月二二日の沖縄市長選に向けた候補者選びについての取り組みも紹介した。「待機児童問題は県内最悪水準で、現市長は巨大アリーナ建設にのめりこんでいる。人口一四万の沖縄市に一万人収容のアリーナが必要か? 浦添市のキャンプキンザーからの施設移転受け入れの見返りを当てにしているようだが市民生活無視も甚だしい。桑江市長は貴重な泡瀬干潟のラムサール条約登録にも反対だ。絶対無投票にさせない。南城市のように市民の立ち上がりで市政を変えよう」と檄を飛ばした。 

週一回でもゲート
丸一日塞ごう
午前の部の最後は、昨年一二月に第二九回多田謠子反権力人権賞を受賞した平和市民連絡会の伊波義安さん。一〇日に東京の全水道会館での講演会に呼ばれ、一五〇人程を前に名護市長選と現場の闘いについて講演してきたとのこと。
三時前にゲート内から機動隊が現れゴボウ抜き開始。次々に歩道に作られた檻に拘束される。座り込みの排除が終わると今日も一〇〇台近くの工事車両が入っていく。護岸用のグリ石ばかりでなく隊舎工事や国道329号線の下をくぐるトンネル拡張工事に使う基礎パイルなども入っていく。護岸の被覆ブロックを作るための生コンを流し込む型枠らしきものも入っていった。
一時間もすると今度は空のダンプが出てくる。今日も全部出切らないうちに四時前になってしまった。後ろ髪引かれる思いだが、貸し切りバスも契約の時間があるので、後片付けを仲間に託して現場を離れる。テントのスタッフにお礼のあいさつをして、バスに向かった。
この夏までにホントの正念場が来ます。週一回でもいいから何とか丸一日工事ゲートを塞ぐ日を取り戻したい。全国の仲間の更なる結集をお願いします。



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