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    かけはし2018年2月19日号

沖縄に軍事基地はいらない


2.10

名護市長選直後緊急集会

沖縄で何が起きている

名護市長選敗北の教訓を活かそう

 
伊波義安さん
が「問題提起」
 二月一〇日午後、東京・水道橋の全水道会館で「名護市長選直後緊急集会 暴走する基地建設――沖縄で何が起きているのか! 辺野古新基地と高江ヘリパッド反対運動を通して」が開催された。主催は「沖縄戦の史実歪曲を許さず沖縄の真実を広める首都圏の会」(沖縄戦首都圏の会)。共催は沖縄平和ネットワーク首都圏の会。
 司会の芦沢礼子さんが「この集会を準備していた時、稲嶺市長が三選を果たすと確信していたが結果はそうならなかった。なぜ自公支持の渡具知候補が市長に当選したのか、という問題を含めて、沖縄の攻防を知り今後の闘いの展望を再確認する必要がある」と呼びかけた。
 「沖縄戦首都圏の会事務局長」の寺川徹さんのあいさつの後、沖縄から伊波義安さんが講演した。一九四一年生まれの伊波義安さんは高校で化学を教えながら、奥間川流域保護基金代表、「金武湾を守る会」の活動を通して、反基地と環境保護をつなぐ活動に従事してきた。二〇一七年には、こうした長年の活動により多田謡子反権力人権賞を受賞している。

「負担軽減」は
まっかなウソ
伊波義安さんは「辺野古に新基地ができれば一〇〇機にも及ぶオスプレイの基地ができることになる。辺野古・高江・伊江島を結ぶ三角地帯は米軍の新たな戦略拠点とならざるをえない」、と危機感をもって訴えた。
「海兵隊が二〇一三年にまとめた『戦略展望2025』では、北部訓練場に関して『約四〇〇〇ヘクタールの使用不可能な訓練場用地を日本政府に返還し、限られた土地を最大限に活用する訓練場を新たに開発する』と記されている。北部訓練場の返還は基地負担の軽減ではない。ヘリパッドが建設されると、オスプレイの墜落事故や爆音、高温排出ガスの下降気流等により、高江区民の生命が脅かされ、生活環境が破壊される。また貴重な動植物の棲息も脅かされる。県民の水がめが汚染される。辺野古の新基地と連動して基地機能が強化される」。

県知事選勝利
の態勢再構築
このように語った伊波さんは今回の名護市長選について「選挙結果の総括はまだできていないが、敗北の次の日にはいつもより多くの人が辺野古のゲート前に集まった。すぐにゲート前テントが撤去されることはないだろう」と語りながら、いくつかの総括点を紹介した。
「新しく有権者になった一〇代の若者の投票では基地反対は三分の一にとどまっている。ここでは教育が右傾化して国寄りとなり、高校生が基地反対の親を説得する、という状況もある。その点では家庭教育も重要だ。いま沖縄の高校教育は文部省の優等生になっている」。
「まだ工事の進捗が数パーセントだから大丈夫という楽観論ではダメだ。今まで止めてきたのは稲嶺市長の役割が大きかった。新聞を読む限り、負けた最大の原因は相手が渡具知さんなら勝てる、という楽観論のせいではないか。公明党は期日前投票を徹底させた。若者対策として名護にある名桜大の学生対策も重視していた」。
「若者は基地に関心がないわけではない。六〜七割は基地に反対だが、それが稲嶺支持には結びつかなかった。公明党は辺野古争点隠しのため、「海兵隊の国外・県外移転」という主張をするよう申し入れた。しかし問題はキャンプ・シュワブを誰が使うのか、ということではないか」。
このように述べた伊波さんは敗因について慎重に分析したうえで、今年一二月の県知事選で翁長知事の再選を勝ち取るため、今回の名護市長選の敗因をしっかり分析し知事選に生かすとともに、何よりも辺野古を中心とする現地の攻防戦への「本土」からの参加を強く訴えた。     (K)

投書

NHKスペシャル
「赤報隊事件」を見て

S・M

 年前の事件
を再検証する
 NHKスペシャル未解決事件File.06「赤報隊事件」を見た。一九八七年五月三日兵庫西宮。三一年前の憲法記念日の夜、午後八時一五分ごろ。朝日新聞阪神支局に侵入した目だし帽の男が散弾銃を発砲。記者を殺害した。自らを赤報隊と名乗った犯人。戦後例を見ないテロ事件の始まりだった。
 二九歳で人生を断たれた小尻知博記者。履歴書に「人々の暮らしに寄り添う記事を書きたい」と志をつづっていた。「人間が好きです」とも書いていた。
 高山顕治記者(56)は語る。「やっぱり優しい感じの人ですね。優しいなりにやっぱそういう問題意識というか正義感みたいなのは強い人だったですよね」。「あした会おうね」。それが家族との最後の会話となった。
 妻と二歳の娘が残された。妻の裕子さんは語る。「犯人がどんな人であれどういう理由があったかにかかわらず絶対に許せない気持ちでいっぱいです」。
 その後も赤報隊は銃や爆発物を使って次々に事件を起こした。暴力で言論を封じ込めようとした犯人。犯行声明文には「反日」の文字があふれた。更に時の総理大臣らの殺害を予告。自らと異なる主張を「反日」と断罪し戦後民主主義を否定した。
 警察は延べ一二四万人の捜査員を動員したが犯人逮捕に至らなかった。NHKは三六〇人を超える捜査員を取材。更に二〇〇〇ページに及ぶ警察の極秘資料を入手した。
 「実録ドラマ編」(一月二七日放送)では「警察とは別に犯人に肉迫しようとした人たち(仲間を殺された朝日新聞の記者たちが結成した特命取材班)の闘いを描く。一月二八日は「ドキュメンタリー編」が放送された。

 

言論は暴力に
屈してはならぬ
「実録ドラマ編」では「立場の違いを認めず考えの異なる者を銃で撃ち殺し、それが正義だと主張したのが赤報隊です。そういう意味で殺された小尻記者に向けられた銃弾は自由な社会を求める私たち一人一人に向けられたものなんです。だから、ああいう暴力は絶対に認められない!」「駆け出しの頃、先輩に言われました。「言論機関がテロリズムと闘う時最も有効な闘い方はテロの前後で絶対に論調を変えないことだ」などの草g剛演じる樋田毅記者の言葉が印象に残った。
事件のあとも阪神支局には正体不明の脅迫電話が数多くかかってきた。事件後の一カ月間で不審な電話は三〇〇件を超えた。事件後も赤報隊の名で政治家や報道機関を脅迫する人物が後を絶たなかった。
「私利私欲を捨て国家のためを思ってやっているテロは許される」という意味のことを言う右翼。「この事件については義挙である。立派な行動である」と演説する男。朝日新聞襲撃に「非常に共感を覚えた」と言う右翼。「テロそのものは否定しない」と言う人物。「朝日新聞という反日犯罪組織は日本民族を滅ぼすというもっと悪質な犯罪を日夜犯している。これに対して処刑行為をするのは当然」「殺人は否定するけど、それは処刑だ」と言う右翼。
「赤報隊万歳」「今こそ一億赤報隊となり反日新聞を徹底的にたたき潰せ」と叫ぶデモ隊。事件から三一年。赤報隊が執ように使った「反日」という言葉が今も社会の端々で飛び交っている。インターネット上には赤報隊が繰り返し用いた「反日」という言葉が飛び交っている。意見や立場の異なる相手にレッテルを貼り排除する際に使われている。殺人を犯した赤報隊の行動をたたえる動きさえ出ている。未解決となった事件は社会に何を突きつけているのか。自由な社会を銃弾で切り裂いた赤報隊。その影は今も社会のどこかに潜んでいる。
赤報隊事件の背景には、右派マスコミなどの朝日新聞などへの攻撃もあるのではないか。中核派のNHKへのテロにも私は反対だ。中核派の非内ゲバ派左翼に対する一方的計画的テロにも私は反対だ。中核派・革労協・革マル派の内ゲバ殺人にも私は反対だ。レーニンの赤色テロを含めて、あらゆるテロは否定されなければならない。

テロにも死刑
制度にも反対
テロと死刑は共通している。死刑制度も否定されなければならない。私はそう思う。ただし、キューバ革命のように国によっては革命的武装闘争が必要なケースもあるかもしれない。革命的武装闘争とテロリズムの違いが勉強ブソクで私には良く分からない。
後、小尻知博記者が生きていたら、天皇制を大きく賛美し、反天皇制の意見を大きく載せないし・まったく載せない今の右翼的な朝日新聞(今の日本のマスコミ)をどう思うだろうか。小尻知博記者に聞いてみたかった。こういう考えは「死者の政治利用」だろうか。朝日新聞の人たち(マスコミの人たち)に嫌われるだろうか。私には良く分からない。
(二〇一八年二月五日)

コラム

鰻マジヤバ!


 昨年の秋以降、サンマ、サケ、戻りガツオ、スルメイカなど記録的な不漁となっている。
 サンマの水揚げは、一九六九年の五万二千トンに次ぐ過去二番目に少ない七万七千トンだった。平年の平均的な水揚げ量が二〇〜三〇万トンであったことを考えると、激減したということがわかる。
 北太平洋に広く分布しているサンマは、八月になると北海道近海に集まり、寒流である親潮に乗って千葉県沖へと南下する。八戸市にある水産研究所によると「沿岸の海水温は比較的低く条件は悪くはないのだが、圧倒的に資源量が少なかった」ということのようだ。昨年までは不漁の要因は「海流の変化」が大きいと考えられていたが、要するに日・台・中による乱獲が最大の要因なのだろう。
 秋サケ不漁の要因はよりはっきりとしているようだ。サケはふ化させた稚魚を放流してから四〜五年で放流した沿岸域に戻ってきて河川を遡上する。恵庭市にある水産試験場によると、不漁の最大の要因は「二〇一三〜一四年は稚魚の放流時に北海道沿岸の海水温が平年より二〜三度低かったために、稚魚の多くが生き残れずに死んだのだろう」と分析している。
 不漁のなかでも極めて深刻なのが鰻(ウナギ)である。稚魚であるシラスウナギが極度の不漁で、不漁が続いてきた前年比でも漁獲量が一%程度まで激減している。
 ニホンウナギはご苦労なことに、延々グアム島周辺まで泳ぎついて深い海で産卵すると言われている。そこでふ化した稚魚は海流に乗って、一一月から翌年の四月にかけて日本・台湾・中国などの沿岸に回遊してくる。
 毎年最初に漁が始まる台湾の今年の漁獲量も前年比で一%と低迷していることをみると、今期は壊滅的状況だと言える。二〇一三年にシラスウナギの漁獲量は五トンと過去最低を記録しているが、今期はそれをはるかに下回るのは必至である。香港を経由して日本が輸入している台湾産のシラスウナギは、前年比で九二%減となった。そんなこともあって、稚魚一匹の値段が六〇〇円にもなり、ほとんど信じられないような高値をつけている。
 われわれが口にするウナギは、稚魚を養殖池で育てたウナギである。しかしいまその養殖池に稚魚を入れられない事態になっている。こうした状態が長引けば、間違いなく日本・台湾・中国などのウナギ養殖業者の大半が破産することになるだろう。
 シラスウナギ激減の原因は、何十年も続けてきた沿岸部での「乱獲」である。その結果、天然の成魚が激減して産卵される卵の量も激減するということはわかりきったことなのである。すでに絶滅危惧種とされているニホンウナギは、来年にも庶民にとって手の届かないものになってしまうのかもしれない。
 だから「ウナギの思い出」を残しておくためにも、今のうちに食べておこう。多少高くても国産物の美味いやつを!(星)
 
 

 


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