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    かけはし2018年1月29日号

左翼再編へ新たな統一進展


イタリア

「ポテレ・アル・ポポロ」

シニストラ・アンティカピタリスタ


 イタリアでは議会選挙が今年三月に予定されている。この国では、イタリア共産党の後継政党である民主党が、完全な社会自由主義の道を進んだことにより、左翼と労働運動が長く混迷の時期を過ごしてきた。それを象徴するものが、ポピュリスト運動である五つ星運動の急進だ。しかしここに来て、今回の選挙への取り組みも含めて、左翼の再建に向けた挑戦がようやく姿を見せ始め、その中にはイタリアの第四インターナショナルの活動家たちも参加している。以下がその状況を伝えている。(「かけはし」編集部)

新たな左翼へ
熱気の中発進


 二〇一八年春の議会選に向けた名簿を提出するために、「ポテレ・アル・ポポロ」(権力を人民へ)全国会合が去年一二月一七日、ローマで開かれた。
 ポテレ・アル・ポポロの今回にはもっと多くの人々がいた。二九日前にイタリア劇場にやってきた八〇〇人以上だ。今回、約八〇の地方会合を開催した後で会場を埋めた一〇〇〇人以上は、そのイメージを演壇の背後の巨大なスクリーンに拡大されて現れた。会場の席にもわれわれは、前日のデモのいくつかの言語による横断幕を見ることができた。
 ポテレ・アル・ポポロはこの間に名簿の名称となった。そこには、あたかも闘いの一日の中で壁に殴り書きされたかのように、赤い半月と赤い星を斜めに配した、今では本質を印した、一つのロゴがある。綱領とロゴはすでにインターネット上で広まりつつある。綱領は信頼性があり、急進的で、完全に改良主義的だが、しかしそれは、すたれたように見えた言葉を思い出させることに成功した。そしてそれを多くの発言者が発したのだ。それらとは、革命、熱情であり、またグリロ(五つ星運動の党首:訳者)やあらゆる種類のポピュリズムが抱える曖昧さをそぎ落とした、みすぼらしい者たち、排除された者たち、搾取された者たちの世界の意味における人民でもあった。
 候補者の名簿は、署名集めの最終活動前に、地方レベルで決定されるだろう。その間名簿は、主流メディア共謀の沈黙を打ち破るために、ショッピングセンターでのリーフレット配布をもって一二月二六日に姿を現すだろう。

古い世代から
新たな世代へ


 ローマ会合がめざしたことは、あらゆる場を出自とする活動家たちに勢いを与えることだった。彼らは、「全員のための権利を」抗議行動の後もこの町にとどまった多くの人たちでもあった。そして勢いこそが起きたことだった。四週間の内に左翼に関する光景を変えるにいたった、社会化と設立の一仕事の結果に一定の形を与えることが必要だったのだ。
 この劇場を中心とした様子は、PRC(共産主義再建党)/もう一つの欧州EU議員のエレアノラ・フォレンツァの言葉を借りれば、「この途方もない熱気の中に方法がある」ということを示した。つまり、それはある種の式典だったが、その重要性は、いくつもの勝利と敗北を知っていた左翼の数世代による証言の、新たな世代への通路となったことだった。
 開会の発言は第二次プロディ政権の時期PRCメンバーだったハイディ・ギウリアニであり、その後には、海外ゲスト(ポデモスのモレネオ、不屈のフランスのアマルド、スペイン統一左翼のマイテ・モラ)のあいさつの後、「ノーTav」運動(フランスとの間に計画されている高速鉄道建設構想反対運動)の歴史的指導者であるニコレッタ・ドシオの発言が続いた。彼女は「この会合は本当に、選挙集会のようには見えない」と認めた。
 この話は選挙では終わらないだろう、この二〇年間における社会的虐殺の加害者の支配下に左翼を放置しないようにするために、また「自らを憎むように人びとに教え込んだ」新自由主義の時代と決裂するように、この乱入は長く続くだろう、次々に多くの声がこう説明した。ユーロストップのギオルジオ・クレマッシ、PRC書記のマウリシオ・アセルボ、PCIの彼の対話相手であるマウリシオ・アルボレシ、シニストラ・アンティカピタリスタのフランコ・トゥリグリアットなどが声の主だった。

「古い」階級闘争
再活性化今こそ

 トゥリグリアットは次のように発言した。つまり「われわれがやりつつあることは、正しいこと、社会的観点および政治的観点から必要だったことだ。想定される左翼の再建が、まさにわれわれの問題となっているダレーマ(ダレーマ・マッシモ、民主党古参指導者であり、元首相:訳者)やベルサーニのような人物から現れていたとすれば、それは常軌を逸したことになっていたと思われる。彼らは、労働者運動敗北の諸条件を作り出し、それに足並みをそろえ、労働規制改悪法を強要し、憲法一八条(解雇規制条項:訳者)を廃止した者たちなのだ」。
そして「昨日のデモは、われわれは搾取された者たちと新しい移民プロレタリアートの統一を再建できるということを力強く示した。挑戦すべきことは諸々の垣根を越える統一だ。民衆諸階級の闘争だけが結果を達成できる。挑戦はこれを代表たちと共に大いに語ることとしてある。われわれは変革の主体である新たな大衆運動を築き上げたい。統一の構築はまた世代間の統一でもある。問題は、資本の発展が支配力をふるっているが、新たな黄金時代は完全に期待はずれになるべく宿命づけられている、ということだ。彼らの利潤よりもわれわれの命に価値が置かれなければならないのだから、つまりわれわれは、『古い』階級闘争を再活性化しなければならない」と。

われわれには
闘う武器がある


演壇にはさらにマイクを交代しながら、等しく威厳を見せて、ナポリのソーシャルセンター占拠の運動体「ジュ・パッコ」の二人の女性、諸々の闘争の声、地方における結集の証言――大規模開発反対闘争から職場の闘争まで――、そして政治諸組織の極めてよく知られた顔が続いた。われわれはまた、学生と政治に関する調査を継続している記者のクリスチャン・ライモの発言を聞き、聴衆は、今やポテレ・アル・ポポロに決まって顔を出している人気ある風刺作家、フランセスカ・フォルナリオから鼓舞された。
そして「ジュ・パッコ」の発言者が次のように締めくくった。
「われわれすべては挑戦で一致した。そしてわれわれは、最後まで共にそれに応じるだろう。われわれにはカネがなく、著名な名前もなく、当座は彼らが新聞でもテレビでもわれわれについて語らず、われわれを無視するのは事実だとしても、われわれには比類のないものがあるからだ。われわれは確かにわれわれ各自を当てにできる。われわれは、貸し切りバスや著名な人物を使って劇場や街頭を埋めているわけではないからだ。すでに数千人を数えているわれわれ各自は、利益や怖れすべてから自由だ。われわれはこの戦闘に、われわれのものであり、われわれの敵が無力化できない武器をもって立ち向かうだろう。家から家へ、大学から大学へ、職場で、諸々の闘争の中で、さらにあらゆる州で、われわれがそのために闘う考え方を、われわれは伝えるだろう。そしてそれらは単純であり、際限のない綱領のテクニカルな用語を上回っている。そしてそれらこそわれわれを統一しているものだ。すなわち、搾取のない労働、移住を強制されないこと、搾取されず害を受けない土地で暮らすこと、だ。この選挙で始まることになり、パーセントという一つの結果を刻む三月の一日では止まらないのは、ある種途方もない熱情であるからには、彼らは、われわれが勝利するまで続けるつもりでいるほど度外れていることを、本当に理解することになるだろう」と。

▼シニストラ・アンティカピタリスタはイタリアにおける第四インターナショナルの一組織。(「インターナショナルビューポイント」二〇一八年一月号) 

スペイン

アンティカピタリスタス第2回大会開催

根を張った反資本主義運動へ

ブライス・フェルナンデスに聞く

 アンティカピタリスタス(第四インターナショナルスペイン支部)は、マドリードでその第二回大会を開催した(二〇一七年一二月七―九日)。その背景と挑戦課題を理解するために、ジュアン・トルトーサがこの集団の指導部メンバーであるブライス・フェルナンデスに会った。

アンティカピタ
リスタスとは?
――アンティカピタリスタスとは何者であり、それはどのようにして登場したのか?

 アンティカピタリスタスは反資本主義左翼の後継組織だ。われわれは、ポデモス指導部によって強いられた規則に合わせるためにわれわれの名称を変えた。彼らは、一つの党的組織を母体とする活動家のポデモス指導機関参加を妨げたのだ。理由はもう一つあった。つまり、「左翼」という用語は、15M(二〇一一年五月一五日におけるプラザ・デル・ソル占拠をもって始まったインディグナドスの運動に対する略称)の後でその価値が激しく減退するようになったのだ。
こうした理由以上に、一つの政治的概念の変化がある。反資本主義左翼派は自らを、改良主義左翼の左に位置する幅広い反資本主義の結集(この目標の達成には失敗したとはいえ)と理解した。アンティカピタリスタスは新しい任務を引き受ける。すなわち、独立した革命的な組織と強力かつ自律的な議会外運動を構築しつつ、選挙のレベルでは幅広い反新自由主義戦線を築き上げることだ。それは、15Mの経験を経た、新たな段階に向けた新たな仮説だ。

民族問題めぐる
熱こもった論争
――アンティカピタリスタス第二回大会はその主題として、「運動の構築となるまで反資本主義を築け」を掲げた。もっとも重要な挑戦課題は何だったのか?

 われわれには大きな論争が二つあった。第一は、カタルーニャの経験とスペインの領域に関わる危機をはらんだ急進化を受けた、激しく、また非常に興味深い民族問題に関する論争だ。それは進行中であり、決着の着いていない論争だ。われわれは自己決定権を防衛するが、それを出発点として、われわれは他の諸問題を抱えている。つまり、制憲プロセスが意味するものは何か、そしてそれらはどのようにして具体的な姿を取って現れるか、だ。また、われわれは一つの国家モデルを守るのか否か、どのようなモデルか、グラムシが「コスモポリタン的根無し草化」と呼んだものに落ち込むことを避けつつ、しかし国際主義的展望を保持しつつ、われわれは民族問題にどのように取り組むのか、といった問題だ。
われわれは第二に、この逆流の時代に自身を労働者階級の中にどのようにして根付かせるかを討論した。われわれは、若者、諸労組、フェミニズム、そして環境、これらの運動にもっと関わる必要がある。われわれは、諸制度の中に強力に表現されるが、草の根レベルには僅かの活動家しかいない、といった組織にはなりたくないのだ。

世代交代と継承
きわめて自然に
――代議員の三分の二は若者であり、多くの女性も出席していた。あなた方は古参の信条を守ってきた人びとの置き換えにどのように取り組んできたのか?

 この継承は極めて自然だった。古参の人びと――革命的共産主義者同盟(LCR)出身の――は変わることなく、このような歩みを進めることに非常に寛大だったからだ。この部分は、諸々の共産党における場合とは違って、内部的権力に固執しなかった。常に永続的な開放性があった。つまりわれわれは、一体となって新たな参照点を生み出しながら、年配の人たちの遺産を寄せ集めている。たとえば――そしてこれは極めて自然なのだが――、若い世代はトロツキーよりもグラムシを読んでいる。われわれは、LCR出身の人びとから多くの恩恵を得た。彼らには新しい経験を吸収する非常な能力があり、それは欧州の左翼にあっては比類のないものだ。

いくつかの分野
には緊張が附随
――あなた方は、あなた方が関わっている何千という社会的戦線で闘うための街頭での存在と、制度上での活動の間に生まれる緊張を、どのようなものとして経験しているか?

 それは難しいものだ。資本主義国家の代表性諸機構は、多くを吸い取る。この自由主義的な仕組みは、政治的諸対立を社会的具体性とは性質を異にする一つの空間に凝縮することに役立っている。それは多くの時間を取り、人工的な一時的些事を強要する。したがってわれわれは、他の諸問題を組織に持ち込み、重心が基盤に向けて方向付けられるよう図りながら、運動に結びついた戦闘性を保持しなければならない。

――あなた方はポデモス指導部の多数派とは緊張した関係にある。ポデモスにとっての、またその内部にあるあなた方の潮流にとっての挑戦課題は何か? あなた方のポデモス内部の活動とあなた方の組織的独立性を、どのように組み合わせるか?

 アンティカピタリスタスはポデモスの一潮流ではない。急進的な幅広い諸潮流を駆り立てる組織された運動だ。われわれは確かに、批判的部分の指導者として識別されているとはいえ、われわれの活動家すべてがポデモスの中にいるわけではない。そうしなければあなたはアンティカピタリスタスの経験を理解できないがゆえに、このことを知ることは重要だ。
ポデモス指導部との間には変わることのない緊張がある。この指導部は極めて権威主義的であり、多元主義を遵守する点で困難を抱えているのだ。われわれとしてはもっと良好な協力があればと思っている。しかしポデモスの政治文化の下ではそれが難しいのだ。

逆流の時代に
正面から挑む
――最後だが、次の二、三年に向けた活動の分野は何か?

 われわれは、地方的に、また社会的闘争の戦略的な部分、すなわち労働組合、フェミニズム運動、また環境運動の中にもっと十分に根付くことが必要だ。今あるのは逆流の時代、秩序回復をめざす支配階級のある種反動の時代だ。それゆえ、中心的活動家を訓練し、政治的練り上げとマルクス主義理論刷新の取り組みを継続し、選挙の戦線の前進を助け、資本に立ち向かうに十分な強さをもつ不足のない対抗諸力となることができる、議会を超えた地歩を築き上げることが必要だ。
労働者階級に向けた南欧ブルジョアジーの構想は、よりひどい貧困化であり、より度を増した国家権威主義だ。したがってわれわれは、階級戦争に激しく応戦しつつ、しかし同時に必ずしも革命的ではない人びとをも巻き込むことのできる、社会的対立に基礎を置いた、支配的影響力を発揮できる、大規模かつ急進的な提案を推し進めるよう仕事をしなければならない。

▼ジュアン・トルトーサは、スイスCADTM(第三世界債務帳消し委員会)の指導的メンバー。
▼ブライス・フェルナンデスは、マドリードにおけるポデモス内アンティカピタリスタス活動家。(「インターナショナルビューポイント」二〇一八年一月号)



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