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    かけはし2018.年1月22日号

危険な任務に挑む同志たちに支援を


フィリピン

緊急アピール

第四インターナショナル執行ビューロー

 フィリピンの第四インターナショナル支部は、ミンダナオ島南部で広く実体のある社会的根付きを確保し、それゆえに戦士としての重要な責任を負っている。しかしながらわれわれの同志たちは今、重大な情勢を前にしつつある。情勢が悪化する中で、一方において彼らの責任は高まり続けている。他方でその中で彼らが活動中の諸条件はますます危険なものになっている。
 一つの台風が昨年一二月二二日ミンダナオの西から東へと通過し、彼らが活動している地域に特に被害を与えた(彼らの家族も被災している)。
 軍とジハーディスト間の戦闘終結にもかかわらず、ムスリム都市であるマラウィ市の住民多数は、家に帰ったり、住宅を再建したりは、まだできていない。今回の台風により、彼らの状況は再び悪化することになった。
 鉱業や林業の利権集団が新たな土地を獲得中であり、さまざまなルマド・コミュニティ(山岳諸部族)のくらしを脅かしている。
 今や、政府軍とCPP(フィリピン共産党、長い間ドゥテルテ政権内に代表を確保していた)間では全面的な戦争が宣言されている。われわれの同志たちは、戦闘には絶対に引き込まれたくないと思っている。しかし政府軍とNPA(CPPゲリラである新人民軍)による二重の圧力が高まりつつある。
 二〇一八年一年間に対し、ミンダナオ島全体に対する戒厳令が再度延長された。これが事実上意味することは、政府軍は彼らが欲することをやることができる、ということだ。
 われわれの同志たちは、人道的惨害の犠牲になっている住民を助ける諸々の活動に多大な精力を傾けて関わっている。台風、さまざまな軍事紛争、経済利権集団の専横に起因するこれらの惨害は縮小するどころかひろがり、戦争と戒厳令という情勢の中の同志たちの活動は、高度のリスクをはらんだ活動になっている。彼らは、勢いを増す不安定性に対処する自己組織化のために民衆コミュニティとルマド・コミュニティを助け、彼らの諸権利の防衛を継続し、あらためて自らを危険にさらすリスクを冒している。
 われわれはフィリピンとミンダナオの情勢を公表し、戒厳令体制に反対する国際キャンペーンを準備する必要がある。そのようなキャンペーンが今後一定の具体的な効果を発揮するということはあり得ることだが、しかしそれはすぐさまということではない。他方、わが同志たちへの財政支援は貴重なものになるだろう。情勢が危機的になればなるほど、活動遂行はより負担の大きなものになる……。
 財政拠出はESSF(国境なき欧州連帯)口座を通じて送られる手はずになっている(カンパ送金についてはInternational Viewpoint ウェブサイトの1月号、ピエール・ルッセ同志の記事―本号掲載―を参照して下さい。:「かけはし」編集部)。

緊急アピール

ミンダナオの危機的な人道状況―財政支援を!

ピエール・ルッセ

状況悪化を受け
連帯組織化再開

 われわれの市民団体(ESSF)が二〇一七年に行ったもっとも重要なイニシアチブは、すでにフィリピン南部のミンダナオ島に関わってきた。当時それは、政府軍とジハーディスト運動間に起きた「マラウィの戦闘」の人道的結果に対応する問題だった。実際に、六〇万人以上(ほとんどがムスリム)が戦闘から逃げ出すことを迫られ、しばしば自らが全面的に衣食にも事欠く状況にあることを見出さざるを得なかった。
 マラウィの戦闘は五ヵ月続いた。しかしながら政府軍によるこの都市の再確保は、ミンダナオの人道状況を改善することにはならなかった。情勢は、さまざまな理由から現実にはかつて以上に危機的だ。それらの理由としては、甚大な破壊をもたらした台風、政府軍とCPP(フィリピン共産党)の新人民軍(NPA)間に広がった戦闘、新たなジハーディスト領域、全島を対象とした戒厳令の長期化、山岳住民が林業と鉱業の諸企業の活動により直接脅かされていること、マラウィ住民の多数にとってはまともな暮らしを見つけることの不可能性……がある。
 こうしたことのために、二〇一八年はじめというこの時、われわれは連帯イニシアチブを再開しようとしている。集められた基金は次のところに送られる予定だ。
▼Mihands連合(注一)
 われわれはこのネットワークと共に何年も活動を続けてきた。そして特に、人道的惨害の犠牲者のために、その原因(台風、軍事紛争……)を問わず集められた基金を使うよう依頼してきた。
▼Tripod協会(注二)
 この団体は右記ネットワークの一員であり、彼らには特に、山岳地住民支援のためにこの基金を使用するよう依頼している。

 われわれの常設的アジア連帯基金のために二〇一七年末までに受け取った寄付金のおかげで、この一月、われわれはすでにTripodに向け四〇〇〇ユーロを送金することができた(注三)。この緊急支援を可能にしたすべての人たちに感謝する。

台風、無法開発
戦争拡大、軍政


台風テムブリン(国際的な名称)/ビンタ(フィリピンでの名称)が昨年一二月二二日にミンダナオを襲い、西から東へと島の北部を横断、洪水や地滑りなど、相当な被害を引き起こした。一二月二四日、われわれはミンダナオから連帯の訴えを受け取り、われわれはそれをすぐに公表した。 ここには気候変動の影響がある。ミンダナオは猛烈な高潮で被害を受けることが常だった。しかし大規模な熱帯性の嵐(台風)でのそのような被害はなかった。そうした嵐は、はるか北部のフィリピン群島を横断したのだ。しかしそれらは今、その猛威に人びとの準備が乏しい南部に広がっている。その上に惨害の多くは、森林伐採(大きな程度で違法な)を含む経済的諸活動にも起因している。これが、降雨量が通常意味すると思われるものをはるかに超える犠牲がテムブリン/ビンタに付随している理由を、さらに説明している。
この一二月から届く諸々の数字は、台風の影響を受けた六七万人、避難を迫られた一四万人、家屋の損傷の二六〇〇件、内全壊が六〇%、死者が二〇〇人以上、多数の負傷者などだ。しかしながら多くの現地の状況は分からないままにある。われわれはまもなくその後の評価を受け取るだろう。
鉱業と林業の利権集団は新しい土地を獲得しつつあり、気候がはらむ危険の結末を一層悪化させることに力を貸している。それらの活動はまた、さまざまなミンダナオのルマド・コミュニティ――山岳地域の民族的―言語的諸グループ――に対し、彼らの先祖伝来の領域に対する侵入によって、追い立てという直接の脅威も与えている。
CPPと国軍間の対立は今、全面化している(CPPがドゥテルテ政権に参加してきたとはいえ)。戦闘はミンダナオの多くで拡大中であり、しばしば山岳地域に集中している、戦争状態の圧力は、あらゆるところのコミュニティによって、特にルマド・コミュニティによって感じ取られている。活発な軍事紛争がまったくない諸地域では住民が、軍事化のスパイラルに引き込まれることを避けることによって、平和を保持しようと挑んでいる。
戒厳令が二〇一八年一年間に対し、ミンダナオ島全体に再び拡張された。これは事実上、軍が望むことができることを意味している。マルコス独裁打倒後に起草された一九八七年憲法は公式には、こうした例外的な情勢の権限を制限しているにもかかわらずだ。軍は、マラウィの戦闘からのムスリム難民家族、民衆のコミュニティの自己組織化、市民運動、あらゆる傾向を起源とする左翼諸組織……を疑いの感情で見ている。このような条件の中で、軍事的枠組みが人道主義的な草の根ネットワークをより困難にしている。
不幸のさまざまな原因が積み重なってきた。そしてそれがミンダナオの大きな部分で人道状況を特に危機的にしている。
われわれは追加的な情報を得次第、みなさんに知らせるつもりだ。
あなた方の連帯に感謝する。

▼筆者は特にアジアとの連帯に関わってきた第四インターナショナルの指導部メンバー、フランスNPAメンバーでもある。
(注一)惨害に対する人道的行動をめざす多くの利害関係者のイニシアチブ。
(注二)惨害に立ち向かう三民衆(キリスト教徒、ムスリム、ルマド:訳者)の組織。
(注三)昨年、諸々の基金がすでにTripodに送られた。(「インターナショナルビューポイント」二〇一八年一月号)


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