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    かけはし2018.年1月1日号

これまで以上のBDS運動を!


パレスチナを守れ

ソリダリティ・運営委員会

  何らかの「イスラエル―パレスチナ和平プロセス」がたとえあったとしても、ドナルド・トランプはそれを、エルサレムをイスラエルの首都として認め、米大使館をこの激しい争いの地となっている都市に移すという一二月九日の彼の公表をもって燃やした。しかしここには、もっと重要な底に潜む二つの真実がある。

和平プロセスの不在の直視必要


 まず第一に、「和平プロセス」など一つもなく、これまでの長い間もあったことはなかった。「二国家体制による解決」に関する際限のないたわごとは、あらゆる実行可能な二国家体制の可能性に対する破壊をただ包み隠してきたに過ぎない。そしてこの破壊は、イスラエル人入植地の拡張、エルサレムそれ自身内のパレスチナ人の家屋や居住地の取り壊し、「大エルサレム」および西岸を半分にまで削り取る「メトロポリタンエルサレム」の拡張、併合のための壁および入植者用の分離された道路、そしてイスラエル軍による子どもたちの意図的標的化を含んだ、パレスチナ人の抗議行動に対する残忍な弾圧、こうしたことを通して行われているのだ。
 パレスチナ人の、イスラエル人の、そして国際的な人権と法律家諸組織、また現場に基づく諸報告により十分に記録された、人権と国際法に対するイスラエルの犯罪は、米国の両党による政権――ビル・クリントン、ジョージ・W・ブッシュ、バラク・オバマ――によって系統的に可能にされてきた。そこには、言葉遣い上の相対的に取るに足らない違いしかない。
 これまでとの違いは今、右翼の過激なイスラエル人入植運動がホワイトハウスの政策形成に今や直接取りかかりつつある、という点にある。トランプの義理の息子であるジャレッド・クシュナー、トランプがイスラエル大使に指名した彼のとんでもない弁護士であるデイビッド・フリードマン、億万長者の後援者であるシェルドン・アデルソン――これらはすべて根っからの腐敗した人物たちだ――、および副大統領のマイク・ペンスがその先頭に立つキリスト教徒の病的に凝り固まったシオニストの相棒が、その回路になっている。
 大使館移転の公表は、米国の「和平」ポーズという好都合なイチジクの葉となってきたものをすっかり引き裂き、その主要な同盟国を含んで、残りの世界からワシントンを孤立させている。しかしそれは、イスラエル軍と入植者の暴力をかつて以上に大きくするよう勇気づけることを除けば、現地での変化をほとんど起こしていない。

問題は民主党リベラル派の同調


 第二に、それが同じ大泥棒から出てきている以上、ドナルド・トランプの公表に驚くことは何もない。実際この同じ男は、米国をパリ気候協定から離脱させ、カナダおよびメキシコとの貿易戦争を始めると脅し、移住者のコミュニティに恐怖をもたらし、彼らの家族を破壊し、イランとの多国間核協定を取り消す意図をあらわにし、北朝鮮を「全面的な破壊」で脅し、超富裕層のための減税や価格の付かない民族的遺跡の破壊をもって、米国民衆の財を略奪している最中なのだ。そしてその他にも多くのことがある。
 ここで違いは、他の問題ではトランプに反対している多くのリベラルな民主党議員が、エルサレムを「イスラエルの永続的な首都」と認めることはまったく立派なことと考え、パレスチナ民衆のいのちと権利を小さな付随的な損害として扱っている点にある。それは単独で、まるまるもう一つの討論点だ。

パレスチナ連帯の突き出しを!


 社会的公正をめざす活動家とパレスチナ連帯運動活動家にとって大きな問題はもちろん、われわれは何ができるか、だ。CODEPINK、平和を求めるユダヤ人の声、パレスチナ人の諸権利を求める米国のキャンペーン、数多くのアラブ人、パレスチナ人、ムスリムの組織、さらに進歩的なキリスト教徒諸機関によって、支持を受ける価値のある、多くの重要な緊急声明――下院議員と上院議員に声をかけ、新聞に手紙を書き、街頭でデモを行い、トランプの最新の非道に対しソーシャルメディアで「われわれの名前を使うな!」と宣言することに向け――が作成されてきた。
 しかしわれわれが確信していることとして、一つの際立つ進行中の草の根キャンペーンがある。それこそボイコット、投資引き上げ、制裁(BDS)運動であり、それは、米国の大学キャンパス、諸々のコミュニティ、そして国際的に強さを高めてきた。このBDSキャンペーンは、三つの基本的な要求、すなわち一九六七年後の占領の終了、イスラエル内部で二級市民扱いされているパレスチナ人への完全な同権付与、そしてパレスチナ難民の帰還権を軸に、パレスチナ人市民社会諸組織により、二〇〇五年に始められた。
 BDSにはイスラエル経済(その多くはハイテク製品と軍需品輸出を基礎にしている)に深刻な影響を与える力がある、と言いたいわけではない。むしろそれは、占領とイスラエル内部のレイシズム、さらに特に米国諸団体の共犯という問題を、それに関し彼らが何かをできるやり方で、ふつうの人びとの注意を呼ぶ点にまで到達させている。パレスチナ人の権利を求める米国のキャンペーンは、BDS活動とその勝利として、一つの集約点を確保している。
 それこそが、シオニスト諸勢力、その国家の立法諸機構、米国議会(まさに両党の)がBDS活動を抑圧し、犯罪にしようと挑み続けている理由だ。おそらくそれは、その高まる重要性と成功の最良の指標だ。パレスチナとイスラエル外にいるわれわれのような者は「解決」を生み出すことはできない。われわれができることは、パレスチナの人びとには、尊厳、生き延び、そして自己決定権を求める彼らの闘争に際して連携者がいる、ということを示すことだ。今こそかつて以上のBDSを!

▼ソリダリティ・運営委員会(二〇一五年以前は政治委員会)は、米国ソリダリティの常設指導機関。(「インターナショナルビューポイント」二〇一七年一二月号)  

トランプ大統領の
エルサレム首都認定を弾劾する

〜パレスチナにおける公正な平和を求める市民社会から日本政府・企業等への要望

 アメリカ・トランプ政権が、エルサレムをイスラエルの首都と認定し、米大使館をテルアビブからえエルサレムに移転させると決定したことは、多くの人びとからの抗議を呼び起こしている。以下は関西の人びとが呼びかけた共同声明(編集部)

 去る12月6日、トランプ米大統領は、エルサレムをイスラエルの首都と認定しました。これは、この地域における、大国による民族・宗派対立煽動の歴史に新たな1ページを付け加える愚行です。草の根の市民交流を通じ、パレスチナにおける公正な平和の実現に向けた努力を行ってきた市民団体として、決して看過できるものではありません。

 一連の報道は、イスラエルが東エルサレムを含めたパレスチナ被占領地で行っている、民族浄化およびアパルトヘイト政策に、ほとんど触れていません。イスラエルは東エルサレムに暮らすパレスチナ人を他の西岸地区から分断し、その資源を奪い、人口を減らすために隔離壁と入植地の建設を継続し、居住権(東エルサレムID)剥奪、家屋破壊、強制移住等の人権侵害を続けています。
こうした長年にわたるパレスチナ人抹殺政策を、米国とそれに追随する日本をはじめとする国際社会が黙認してきたことが、パレスチナにおける公正な平和の可能性を潰し、現在の行き詰まり状況を招いていることをまず認識すべきです。トランプ大統領によるエルサレムの首都認定は、アメリカが主導してきた「和平プロセス」の破綻を隠蔽し、また決定づけるものです。
言うまでもなく、エルサレムは、歴史的パレスチナの一部であり、パレスチナ難民を含む、そこに暮らしてきた人びと――イスラム教徒、キリスト教徒、ユダヤ教徒――のものです。入植者に彼らの土地・財産を奪う権利はありません。難民の財産および帰還権は、1948年の国連総会決議によって保障されています。また、イスラエルの入植地と隔離壁が違法であり、撤去されなければならないことは、2004年の国際司法裁判所による勧告的意見等によりすでに明確にされています。

 占領者であるイスラエルに占領地エルサレムを首都とする権限がないことは、国際法上明らかなことです。イスラエル建国時に占領している西エルサレムであれば(1967年に占領した東エルサレムとは異なり)、大使館の移動等は問題ないとする意見も当然誤りです。イスラエルが自身の建国の正統性の根拠とする1947年の国連パレスチナ分割決議でさえ、エルサレムは「国際管理」下に置くとしています。また、イスラエルがエルサレムを「統一されたイスラエルの首都」とした1980年のエルサレム法に対し、国連安全保障理事会は「無効であり、撤回されなければならない」と決議しています。
今、必要なことは、パレスチナ人に妥協を強いる「和平交渉」の継続ではなく、イスラエルの犯罪行為を止めるための具体的圧力です。私たちは、イスラエルが占領の終結、人種差別法・制度の撤廃、難民の帰還権承認という、国際法上の義務を果たすまで、日本の政府・企業・市民に対し、イスラエルに対するボイコット・資本引揚げ・制裁を行うことを、パレスチナの市民社会と共に要請します。それは、具体的には以下の諸点を含みます。

1.日本政府は、トランプ大統領に対して、エルサレムの首都認定をただちに撤回するよう要求してください。

2.日本政府は、パレスチナ人に対する民族浄化・アパルトヘイト政策の強化につながる、イスラエルとの軍事・セキュリティ分野での協力を一切中止してください。

3.日本政府は、東エルサレムを含むパレスチナ領内のイスラエル入植地で生産された製品の輸入を禁止してください。また、10月から発効しているイスラエル投資協定の裨益対象に入植地関連ビジネスが入らないよう、具体的なガイドラインを策定してください。

4.日本政府は、国連人権理事会が策定した入植地関連企業のデータベースが公開され、有効活用されるよう、国連事務総長等、関係機関に働きかけてください。

5.日本貿易振興機構(ジェトロ)は、エルサレム訪問が予定されている「飛躍 Next Enterprise」事業の「イスラエル派遣コース」(2018年1月13日〜20日)を中止してください。

6.海外交通・都市開発事業支援機構は、イスラエルが進める鉄道網整備は、東エルサレムや入植地をつなぐ交通網と一体のものであることを重視し、イスラエルとのインフラ整備に関する協力覚書締結を中止してください。

7.阪急交通公社、H・I・S、近畿日本ツーリスト等、被占領エルサレムを含む「イスラエルツアー」を企画している旅行会社は、パレスチナ人の観光資源を搾取するツアーを中止してください。

8.日立製作所は、ガザの電力危機に加担するイスラエル電力公社(子会社であるCyberGym社を含む)とのサイバー防衛演習関連サービスの独占販売契約を破棄してください。

9.トヨタは、「トヨタAIベンチャーズ」のイスラエル訪問中止決定を継続し、イスラエルの人工知能(AI)やロボット技術に対する投資を止めてください。

10.東京都や大阪府など、カジノ導入を検討している自治体は、米国によるエルサレム首都認定に向けた動きに関わった極右資本家シェルドン・アデルソンが経営するラスベガス・サンズに関わりを持たないでください。

2017年12月15日

ATTAC関西
アハリー・アラブ病院を支援する会
関西共同行動
占領に反対する芸術家たち/Artists Against Occupation
アル・ジスル−日本とパレスチナを結ぶ(略称JSR)
パレスチナと仙台を結ぶ会
パレスチナの平和を考える会
パレスチナ勉強会・大阪
フェミニズムとレズビアン・アートの会
広島中東ネット有志
武器輸出反対ネットワーク(NAJAT)
フツーのLGBTをクィアする
北海道パレスチナ医療奉仕団

 


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