沖縄報告:12月2日
辺野古ゲート前県民集会
沖縄 K・S
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オール沖縄会議の土曜日行動
これが県民の底力だ!
降り続く雨の中、座り込み
毎月第一土曜日は、オール沖縄会議が呼びかける辺野古ゲート前県民集会が開かれる。一二月二日は、小雨が降り続くあいにくの天気の中、県内外から主催者発表で一〇〇〇人が結集し、終日資材搬入をストップした。午前中は中北部の島ぐるみが中心となってテントに集まり座り込み集会を行った。
奥港を辺野古埋立て
に使わせぬ(国頭)
島ぐるみ国頭は十数人が並んで立ち、奥港の試験使用による搬出の実態や決意を代わるがわる述べた。「ダンプの騒音がひどい。小学校の授業ができない。危険で道路に出れない。採石場から港まで沿道に一三の集落がある。被害は甚大だ」「お金はいらない。平和が欲しい」「やんばるではオスプレイが二機編隊で毎日のように飛んでいる。オスプレイいらない」。そして、防衛局が搬出を強行しようとするなら、みんなで奥へ行き搬出を止めるとの決意を共にした。
東村島ぐるみは「毎日ゲート前テントに座り込んでいるが、当番でないときには辺野古に来ている。基地を造らせないために力を合わせよう」と訴えた。島ぐるみ宜野座は「年寄りが集まると年金や健康の話ばかり。下がってほしいものは血糖値、血圧、コレステロールだが、一番下げたいものは安倍の支持率だ。若者が政権支持に傾いているというが、日本は大丈夫なのかと憂うるところだ。城原地区のオスプレイ訓練はひどいの一言。乗っている米兵の顔が見える。オスプレイが迫ってくると恐ろしい」と述べた。島ぐるみ大宜味は「大宜味に九条の碑を建てる運動を進めている。すでに一〇〇万円近く集まった。もう少しだ。米軍基地を抱えてやんばるの世界自然遺産登録はできない」とアピールした。
若者たちにきちん
と話そう(名護)
名護島ぐるみは「先日高校生を対象にシール投票をした。高校生の一番興味のあることは、原発やもりかけではなく、北朝鮮問題だった。そして、基地があった方がいいか無い方がいいかとの問いには、‘分からない’が最多、次に‘あった方がいい’だった。理由は‘守ってくれるから’とのこと。若い層はTVを見ない、新聞を見ない。ネット情報をうのみにしている。麻生は総選挙に自民党が勝ったのは北朝鮮のおかげと発言したが、若者たちにきちんと話をすることが必要だ」と述べた。二見以北の会の浦島さんは「防衛局は基地建設がジュゴンに影響を与えないと言っているがウソだ。沖縄に生息するジュゴン三頭は埋め立て工事により辺野古・大浦湾の藻場から追いやられた。ジュゴンはベジタリアンだ。藻場がなければ生きていけない。しかも奥港から運搬船が行き来する海域はジュゴンの回遊ルートだ。影響があるのは明らかなのに、御用専門家たちは平気でごまかす。ジュゴンを平和を求めるわれわれの象徴として海を守ろう」と呼び掛けた。また、名護の退職教職員会は、「会員は名護市に五〇〇人いる。再来週集まりを持つ。稲嶺三選を勝ち取り、知事選に勝利しよう」と述べた。
南城市島ぐるみと共にマイクを握った、予定候補の瑞慶覧朝敏さんは「みんなが主役・南城市民の会の要請を受けて立候補を決意した。住民主役の政治を取り返そう。南城市長選、八重瀬町長選、名護市長選に勝ち抜き、天王山の知事選に勝利しよう」と呼びかけた。
オスプレイで
なくトンボを
那覇・南部島ぐるみも結集しテントは超満員、道路上や反対側の道路にまで人々があふれる中、一二時からの県民集会は山城博治さんの開会宣言でスタートした。山城さんは「埋立はできない。知事も決意を表明した。奥区の皆さんも頑張っている。運動は広がっている。安倍・菅、沖縄をなめるな! 沖縄を沖縄に返せ! しなやかに、めげずに勝利まで闘い抜こう」と檄を飛ばし、全員で元気よく「沖縄を返せ」を歌った。
続いてあいさつに立った稲嶺名護市長は「全県、全国、世界中から集まったみなさん、チュウウガナビラ(こんにちは)。辺野古基地建設は手続き上何一つクリアされていない。海にも陸にも新しい基地をつくらせない。絶対に達成できる。今防衛局のやっていることは、砂浜でアサリを掘るようなものだ。名護市が辺野古新基地阻止の一丁目一番地だ。次の四年も頑張る。昨日二〇歳の女性暴行殺人事件の被告に無期懲役の判決が下りた。女性は名護市出身だ。冥福を祈るとともに、二度とこのような事件を起こさないために、悪の元凶、海兵隊を追っ払わなければならない。オスプレイの代わりにアーケージュー(トンボ)が飛ぶような環境を作り上げよう。チバラナヤーサイ、グスーヨー(頑張りましょう、みなさん)」と述べ、喝さいを受けた。
衆院議員の照屋寛徳、玉城デニーさんに続いて、県議会会派「おきなわ」の新垣清涼さんは、「宜野湾市に家がある。毎日普天間基地のオスプレイの嫌な音を聞きながら生活している。嫌なものを宜野湾から辺野古へ移してハイ終わりなんてありえない」、共産党の渡久地修県議は「先日の飲酒運転・交通事故死に対する県議会の抗議決議で、自民党も含めて海兵隊の県外・国外移転を採択した。早期に実現させよう」と報告した。一〇人近くで参加した、翁長知事を支持する保守系の議員グループ「新しい風にぬふぁぶし」の前那覇市議・金城徹さんは、「辺野古の問題は沖縄全体の問題。保守の立場から翁長知事を支え新基地建設に反対する」と述べた。
休憩をはさんで、午後も座り込みが継続された。人が集まれば資材搬入はできない。ゲート前がカギだ。ゲート前に集まろう!
11.29
辺野古ゲート前座り込み
3度の排除 資材搬入に果敢な抵抗貫く
水曜行動のこの日、各地から一〇〇人が集まり、ゲート前に座り込んだ。進行は平和市民連絡会の女性陣。北上田毅さんは前日の県庁行動について次のように報告した。
「県側は、吉田政策調整監と宮城土建部長が対応した。翁長知事は三・二五集会で埋め立て承認撤回を明言したが、八カ月たった今なお実行していない。吉田さんは、知事の決意は固い、信頼してほしいというが、奥港の使用許可撤回、埋め立て承認撤回をしてこそ信頼が回復する。防衛局の担当者は奥港使用を「県の許可」を理由に正当化している。審査基準を設け、期間を設定し、県民や議会の意見も聞いたうえで判断すべき問題だ。許可したあとで公表するというやり方は間違いだ。本部港の使用許可も問題だらけ。本部港は県から本部町に管理が移されているが、県の港湾条例では、文書で使用許可申請を行い知事が許可すると明記している。しかし、今回町は口頭で済まそうとした。すべてがズサン。防衛局が強い圧力をかけているのは予想される」。
県警機動隊は早々と八時四五分にゲート前に登場した。同時に工事車両が列をなす。
県警の座り込み排除に対して身を挺した非暴力の抵抗が続けられる中、一人二人とゴボー抜きにされ警官の囲いに閉じ込められると、散水車がゲート前に水を撒いたあと工事車両の進入が始まった。大中の砕石、砂利のほか、鉄骨、鉄筋、ジャバラ、コンクリートなどを積んだトラック、生コン車、空のトレーラー、クレーン車などが次々に進入する。ものすごい数だ。合計一〇六台。資材を基地内の作業ヤードに降ろした車両が出てくるまで約一時間、機動隊によるゲート前排除が続いた。
排除が終われば、ブロックと足場板を再びセットして座り込みを再開する。名護島ぐるみの大城敬人市議は「昨日の対県交渉で初めて、宮城土木建築部長に会ったが、県民に思いをはせることが全くなく、落胆した。知事を支える部長がこんなことではダメだ。沖縄のすべての港湾の使用を拒否すべきだ」と述べた。
東村島ぐるみは、高江での海兵隊ヘリCH53の不時着炎上大破事故をめぐる米軍・沖縄防衛局の動きを批判した。今帰仁村島ぐるみは「村内に基地はないが、影響を受けるのは同じ。共に基地反対を闘う」と決意を語った。島ぐるみ八重瀬は「オスプレイが上空を飛んでいる。南部の市町村長は翁長知事の足を引っ張る人たちばかり。来年、南城市、八重瀬町、南風原町で首長選挙があるが、みんなオール沖縄から立候補する。八重瀬町長選挙には二〇一三年の建白書の時町議会議長だった知念昭則さんが立つ」と報告した。国頭村島ぐるみは、「奥港使用反対と県の使用許可の取り消しを求める奥区総会決議を持って、昨日防衛局と県に出向き要請行動をした。奥やんばるは、ヤンバルクイナが学校のすぐ近くまでやってくる、豊かな自然があふれるところだ。港のすぐ前に小学校がある。砕石搬出で静かな環境が壊される」と訴えた。
そのあと、テントに移動し集会を続けた。本部島ぐるみの仲宗根須磨子町議は、「本部港の使用に反対して、朝から町役場で座り込みをしている。署名運動も始めた」と取り組みを語った。また別の発言者は、今年一月から一一月二四日までの資材搬入を合計すると、大小の砕石一一二四八台、生コン車一四一六台、その他ダンプ八二三四台であることを明らかにした。
そのさなか、工事車両を迎えに行くパトカーが出たとの情報に、全員ゲート前に移動し座り込んだ。警察のゴボー抜きに抵抗しゲート周辺から激しく抗議する中、コンクリートパイルを積んだトラックなど合計六九台の工事車両が進入した。午後の三回目の搬入と合わせ、進入した工事車両は一日として過去最大の二六七台にのぼった。
奥区総会決議文
奥港使用許可取消しを
私たち奥区民は、住民への十分な説明もないまま、奥港が辺野古新基地の護岸建設用石材の搬出に使用された件について、一一月二三日、区民総会において協議した。
人口一七四人の小さな集落の平穏な日常の破壊への不安。大人たちの抗議闘争の光景が、隣接する小学校の児童はじめ、奥の子どもたちに及ぼす心的影響(トラウマ)の危惧。区民が意図せぬまま辺野古新基地建設を加担することになる不条理。国立公園に指定され世界自然遺産登録を目指すゆたかな自然環境への負荷。宿泊施設「奥ヤンバルの里」「奥やんばる鯉のぼり祭り」はじめ、地域資源を生かした地域活性化の村づくり活動の阻害、等々。奥港からの石材の搬出が奥集落に及ぼす影響はあまりに多大だ。
何ら対策もないまま、今後も奥港を使用した海上運搬の継続に対し強く抗議する。
沖縄において一一〇年続く「共同店」発祥の地である「奥集落」の歴史は、村落共同体(地域コミュニティー)の相互扶助の歴史でもある。私たちのアイデンティティーがこの騒動の渦中で侵害されていく危機感は計り知れない。辺野古新基地建設が県民の人権、民主主義にかかわる問題であるように、奥港の使用は奥区民の民意(総意)に背くものだ。過疎化する集落の存亡と区民生活の不安を強く訴える。
協議に参加できなかった住民の意見も集約し「辺野古新基地建設にかかる奥港使用に反対する」決議を全会一致で採択した。
以上、決議し奥区民の総意として要求する。
1.奥港使用許可の即時取り消しを強く求める。
2.奥区民の総意を尊重した早急な対応と判断を強く求める。
県知事殿
2017年11月23日 国頭村奥区区長 糸満盛也 奥区役員(奥区民一同)
12.2
當山冨士子さん講演会
「沖縄戦とトラウマ」
戦争PTSDとは?
一二月二日午後、名桜大で、沖縄戦・精神保健研究会会長、當山冨士子さんの「沖縄戦とPTSD」講演会(主催=いのちを守るナイチンゲールと医療者と卵の会)が開かれ、約六〇人が参加した。
當山さんは保健婦として一九九〇年、戦没者率三五・八%にのぼる具志頭村(現在、東風平町と合併し八重瀬町)の精神障害のある家庭の面接調査を通じて、沖縄戦のトラウマがいろいろな形で発症していることを明らかにし、のちの戦争PTSD研究の先鞭をつけた。「戦争とこころ―いまだ終わらない沖縄戦」と題して、當山さんは、三四例にのぼる当時の調査を詳しく報告した。負傷や家族の死亡等の直接的影響だけでなく、日本兵から半殺しにされたことによるてんかん発作、眼前で家族を失ったことによる統合失調症、「兵隊が追いかけてくる」との妄想などや「雷や花火の音が怖い」「不安で一人では病院へも行けない」「不快な感情が続く」などの症状が戦争に起因して起こっているという。沖縄の精神障害者が全国平均の約二倍に達するのはまさに沖縄戦の影響とのことだ。
会場では、今年九月に発行された『戦争とこころ―沖縄からの提言』(沖縄戦・精神保健研究会編、沖縄タイムス社刊)も販売された。當山さんが蟻塚亮二医師らと共に過去五年間すすめてきた市民公開講座をまとめたものだ。蟻塚さんが書いているように、戦争トラウマの存在を無視し、戦争加担を反省しない医学界に対し沖縄からの異議申し立ての本である。
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