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    かけはし2017.年11月27日号

「沖縄と核」放映の衝撃


沖縄報告11月19日

核兵器から命を守る沖縄県民共闘結成

沖縄 T・N

11.13

1300発もの核はどうなった?

徹底的な調査が必要だ


 一一月一三日(月)午後六時半から嘉手納町中央公民館で約二五〇人が参加し「核兵器から命を守る沖縄県民共闘会議」の結成総会が開かれた。
 前々号の嘉手納弾薬庫前集会の報告でも触れたが、九月に放映されたNHKスペシャル「沖縄と核」のスクープで、五〇年代後半から六〇年代にかけて一三〇〇発もの核兵器が沖縄に貯蔵され、極東最大の核基地となっていたことや、誤射事件があったことが当時の米兵の証言で改めて明らかになった。
 それをきっかけに、その後撤去された記録も記憶もない一三〇〇発がどうなったのかを糾すため行動を起こそうと、「核兵器から命を守る読谷村民共闘会議」「学び行動するうるま市民ネットワーク」「カデナピースアクション」「うるま市島ぐるみの会」「うるま具志川9条の会」「命どぅ宝!琉球自己決定権の会」「信州と沖縄を結ぶ会」「ティダの会」「VFP─ROCK(ヴェテランズ フォー ピース琉球沖縄)」「監視社会ならん!市民ネット沖縄」の一〇団体が中心となってこの日の総会となった。

嘉手納町で
結成総会
午後六時前から仲間が集まり始め、この日の朝本島最北端の国頭村奥港で始まった辺野古新基地建設に使う石材の大型台船による海上運搬強行への抗議行動に参加した仲間も駆けつけ、平良眞知嘉手納爆音訴訟団事務局長の司会で総会が始まった。議事に先立って「沖縄と核」三五分版の上映と担当ディレクターの松岡哲平さんの解説・質疑応答を行った。
その中で、那覇のナイキ誤射は当時外来機を標的に常時迎撃訓練が行われる中で電流計と電圧計を間違えて装着したために起動してしまったこと、弾頭の回収については文書にはないが元兵士の証言があること、米兵は核弾頭が一定の高度に達しなければ安全装置が外れないと信じていること、番組は基本的に公開された米国の公文書に基づいているため上からの圧力はなかったこと、迎撃用核ミサイルナイキハーキュリーズは弾薬庫の核兵器を守るために配備され核弾頭を搭載したのは直接命中しなくても通常ミサイルより破壊範囲が広いためだったこと、などが明らかになった。
その後、午後八時前になったところで主催者を代表して元読谷村長の山内徳信さんがあいさつ。「きょうは歴史的な出発点となる。県と県議会にも陳情したが継続審議になっている。すべてを明らかにするのはやはり世論の力だ。国会でもぜひ議論してほしい。県民の総立ち上がりで本当に核を撤去させよう」と呼びかけた。
引き続きうるま市具志川九条の会の宮城英和さんを議長に選出して議事に入り、規約と運動方針が採択された。
共同代表に山内徳信、崎原盛秀、伊波義安、仲宗根勇、東門美津子、大城敬人、当真嗣清の各氏と共同事務局若干名を選任。活動内容として(1)核兵器貯蔵持ち込みの可能性がある嘉手納基地・弾薬庫、辺野古弾薬庫、ホワイトビーチに対し、立ち入り調査・閉鎖・撤去を求める現地抗議行動。(2)本活動に必要な調査研究、講演会等の学習活動。(3)沖縄及び全国民等、内外への情報提供及び宣伝活動。(4)本活動の趣旨達成のため、広く全県民運動への拡大を求め、県内の各政党・各団体さらに国内・国外の趣旨に賛同する各組織団体に協力要請・陳情・連帯活動等を取り組む。(5)その他必要な事項に取り組む。の各項目を採択した。
その中で緊急動議が出され、辺野古新基地建設のため今日から始まった奥港からの石材海上搬送強行に抗議し、港湾使用を許可した県に対しても許可撤回を求めようとの提案があり、共同事務局で引き取り何らかの対応を行うこととした。
最後にカデナピースアクションの長嶺美奈子さんが総会宣言(別掲)を読み上げて提案。全体の拍手で確認し、団結ガンバローで気勢を上げ総会を締めくくった。

総会宣言

 安倍政権の暴力的辺野古新基地工事強行、それを追認する司法、三権一丸となって沖縄に襲いかかる現状にあって、NHKスペシャル「沖縄と核」の放映は、激震が襲ったかのような衝撃的内容でした。かつて核戦争に対応するため一三〇〇発の核弾頭が貯蔵され、更に那覇飛行場では核弾頭を搭載したミサイル「ナイキ・ハーキュリーズ」が誤って発射・海に落下したと報じています。核弾頭の威力は広島で投下された原爆以上で、核爆発を起こしていれば那覇は消滅していただろうと、核弾頭の整備に当たっていた元陸軍兵士が証言しました。
 一方、冷戦構造時代、アメリカから五発の核ミサイルがソ連に向け発射されたと受信した核発射任務の兵士は誤報と判断し上官に伝達することなく、発射ボタンを押さなかったという。もし発射していれば、核の島沖縄は標的にされ、消滅していた筈です。私たち沖縄は絶えず存在の危機・命の危機にさらされてきました。この国には「非核三原則」があるので過去のことにすぎないと言えるのでしょうか。有事に核持ち込みを日本政府が認めた核密約は周知のことで、アメリカにとって沖縄は世界戦略の要衝であることからしても、沖縄に核が存在するかは否定できない筈です。核密約は元より、かつて「核兵器の配備・貯蔵の権利に他国政府(日本)の規制は何もない」と米下院軍事委の沖縄調査団が報告しているように、対米従属・隠ぺい体質の日本政府は信頼に値せず、私たちは事実を明らかにするためにも、原潜による核持ち込みの有無・嘉手納弾薬庫の立ち入り調査を強く要求していかなければなりません。もし核が存在すれば子孫の時代を待たずして、沖縄が消滅しかねないからです。沖縄の存在が問われる重要な問題です。曖昧にしてはなりません。広範な島ぐるみの闘いが不可欠です。保守も革新も問わず志のあるすべての人々に呼びかけ、早急に行動を起こしましょう。
 幾たびとなく繰り返される米軍による事件事故、山荒らされ、海・空荒らされ、村をも壊される。我(わした)沖縄(うちなー)が命と暮らしを脅かされることなく、平穏な暮らしを取り戻せる日はいつの事でしょうか。その答えは小さな沖縄から巨大核軍事基地がなくなる時です。

素手の民権が 草の権 水の権など
人間の生きる権利を求めて起ちあがったとき
もはやこれを抑えることはできない
夜明けはきっと来る
核兵器から命を守る沖縄県民共闘会議は、沖縄の明るい未来を獲得するため、全ての県民に訴えます。共に起ち上がり行動することを!以上宣言します。
二〇一七年一一月一三日
核兵器から命を守る沖縄県民共闘会議結成総会

11.14

岩礁破砕工事差し止め訴訟

裁判所は民意を尊重せよ

翁長知事の決断を支援しよう


一一月一四日(火)那覇地裁前の城岳公園で、辺野古新基地建設阻止・岩礁破砕を伴う工事の差し止めを求めて提訴した翁長知事を支援する集会が開かれた。主催はオール沖縄会議。きょうは第二回目の口頭弁論だ。
開会予定の午後二時前には、海上からの搬入やゲート前での阻止行動が緊迫する中でも約五〇人余りが集まった。司会進行は日本共産党の比嘉瑞己県議。「先の衆院選でも辺野古新基地阻止の民意が示されたにもかかわらず、安倍政権は様々な分断攻撃を仕掛けてきている。ゆるぎない県民の民意で知事を支えていこう。裁判所は民意に沿った判断を」とあいさつ。
主催者を代表して共同代表の親川盛一元県議が「阻止闘争の現場が厳しい中でこれだけの皆さんが結集いただき有難い。防衛局は県の中止要請を無視したまま奥港を使用して海上搬入を強行した。県の指導に従わない資材の搬入は陸からも海からも認めない。県民の総結集で裁判所を動かそう」と訴えた。

辺野古新基地は
まったく不要だ
続いて社民党の照屋寛徳衆議院議員があいさつ。「現在の司法に過度な期待はしない。しかし反対の意思表示は続けていかなければならない。奥港からの石材積み出しを止めるためには行政の支援が必要だ。現場への結集を強化して知事の決断を後押ししていこう。一緒に頑張ろう」。
糸数慶子参議院議員は「民意が出たばかりのタイミングで海上からの搬入を強行する日本政府のやり方は理不尽極まる。トランプには大歓迎のシッポを振る一方で、沖縄をどこまで無視すれば気が済むのか。法治国家というなら三権は歴史に恥じない仕事をしてほしい」と怒りをあらわにした。
伊波洋一参議院議員は「九六年のSACO合意後の普天間代替案は『将来撤去可能な飛行場』だった。二〇〇六年には米軍再編で海兵隊のグアム移転が決まった。それでも米軍が辺野古にこだわったのは対中国戦略からだ。しかし、二〇一〇年に国防総省は対中国全面戦争の想定を放棄した。残ったのは台湾海峡をめぐる局地戦、それが南西諸島の自衛隊強化につながっている。米軍から見て辺野古唯一はあり得ない。そういう視点からも辺野古新基地不用を国会の場できちっと主張していく」との決意を述べた。
名護市区選出の親川敬県議(会派おきなわ)は県議会での知事の提訴を巡るやり取りを報告。「裁判は時間とカネの無駄というが、いままでの漁業権の解釈を捻じ曲げて違法な工事を強行し裁判の原因を作っているのは自民党安倍政府の方だ。政府が民意に従い辺野古を断念すれば裁判の必要もなくなる。それが一番の解決策だ」。
「裁判でなく政治力で解決しろというなら、県連が率先して沖縄の民意に聞く耳を持たない安倍と自民党を説得し、交渉の場に着かせるべきだ」と自民党県連の厚かましい翁長知事攻撃に反論した。
共産党の渡久地修県議は「いま安倍政権の攻撃の狙いは、県民の諦めを誘うことと知事との分断を図ることにある。これとの闘いの柱は三つある。一つ目は辺野古、奥、本部など、あらゆる現場に県民が結集して闘うこと。二つ目は裁判を通して国の横暴を発信すること。もう一つは選挙。来る名護市長選、県知事選を勝ち抜くことだ」と呼びかけ「頑張れば前進できる。高江のヘリ墜落抗議決議で、民間地・水源地上空での米軍機の飛行訓練中止、高江周辺六カ所のヘリパッドの使用禁止を求め、自民党も賛成した」と報告した。
所用で参加できなかった玉城デニー衆院議員に代わって自由党の宮城さんが、選挙での支援に感謝。「現場で闘う県民に敬意を表し、ぶれずに辺野古新基地阻止、翁長知事を支え政治の場で共に闘う」とのメッセージを伝えた。
同じく、赤嶺政賢衆議院議員からは「オール沖縄の団結で勝利できた。相手は歯が立たないからこそ強権的に出ている。裁判も選挙もみんなの団結で跳ね返そう」とのメッセージが届いた。

防衛局とブラック
企業の契約
最後に、ヘリ基地反対協の安次富浩共同代表が、八日に明らかになった会計検査院の報告に触れ「防衛局の辺野古海上警備業務でマリンセキュリティーとの契約が一億八八八四万円の無駄使いだったと検査院が指摘した。入札の際三社中二社が辞退し一社見積もりの言い値で予定価格を決め、落札率が九九%以上というのは談合と同じだ。指摘だけで返還を求めないのも儲けっ放しで許せない。時間外手当不払いや、違法投棄でもブラックな会社との契約を続けた防衛局の責任を問うべきだ。」と糾弾。
「やんばる島ぐるみや区民の反対行動で、奥港での石材積み込みは五〇台分でも午後までかかった。翌朝K9護岸からの積み下ろしでも満潮時に護岸に砂利を敷いてかさ上げしていた。一九〇台分積めばもっと吃水が下がる。決して効率がいいとは言えない。結局、こうした映像がマスコミに流れることで工事が加速している、という名護市長選に向けた印象操作を狙っているのではないのか。現場に結集すれば止められる」と呼びかけ、全員で団結ガンバローを三唱。辺野古新基地建設阻止、勝つまで絶対にあきらめない決意を固めた。


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