3000万署名を成功させるぞ!
9条破壊は絶対に認めない
共同の闘いを地域から広げよう
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選挙公約となった「改憲」
安倍政権は「少子高齢化」と「北朝鮮の核危機」を口実に「国難突破」と銘打った解散を強行した。自民党の選挙公約では、@「自衛隊の明記」A「教育無償化・充実強化」B「緊急事態対応」C「参院合区の解消」の四項目をテーマに改憲原案を国会で発議し、国民投票によって初の「憲法改正」をめざすことが掲げられた。具体的な項目を掲げて、国会で改憲を発議し国民投票にかけることが「公約」となったのは、初めてである。
そして総選挙の結果、自民・公明両党は改憲発議に必要な3分の2を確保した。こうして安倍首相の悲願というべき九条を含む憲法改悪が、具体的な政治日程に上がることになった。
しかし、安倍政権にとってすべてが思惑通りだったわけではない。総選挙では、第一野党である衆院民進党の解体を受けて、小池東京都知事がリードする「希望の党」への合流を拒否した人びとによって急きょ旗揚げした立憲民主党が一五議席から五五議席へと議席を大きく伸ばした。
立憲民主党が野党第一党となり、ハッキリとした安倍改憲補完勢力である「希望の党」「日本維新の会」を上回ったことにより、ギリギリのところで共産・社民をふくむ安倍改憲反対の「野党共闘」は、なんとか足場を確保することができた。また沖縄では、宮古、石垣などの先島地域からなる第四区で惜しくも敗北したものの、残る三つの選挙区で「島ぐるみ」の野党共闘が勝利したことにより、来年二月投票の名護市長選、一一月の県知事選で現職の基地反対候補を勝利させるための条件がなんとか確保された。新潟県の六つの小選挙区のうち野党共闘が四つで勝利したことも特筆すべきだ(本紙11月13日号参照)。
ギリギリの攻防が続く
したがって、総選挙結果について言えば、政権にとっては七月都議選での敗北からの「巻き返し」を実現したとはいえ、安倍政権を補完するはずの「改憲野党」も後退していることは安倍自民党にとっては「思惑外れ」であった。
こうした状況を考慮に入れた上で安倍首相は、野党間の勢力関係をも見据えながら様々な手を打ってくるだろう。第四次安倍内閣を発足させた一一月一日の記者会見で、安倍首相は「改憲に向けた与野党協議」を改めて呼びかけた。
一一月二日に日本青年会議所などが主催した討論会では、自民、立憲民主、希望、共産、社民の国会議員が参加したが、その中で「希望」の細野豪志・元環境相は「自衛隊を憲法に明記することに賛成・反対で国論を二分するのは好ましくない」と語ったとされる。また「立憲民主」会派として参加した山尾志桜里衆院議員は「立憲的な改憲」を主張した。「立憲的改憲」の内容には、首相の解散権を憲法で縛ることなどが含まれている。参加した議員の中で、改憲そのものに反対だったのは共産党と社民党だけだった。
一一月七日、自民党憲法改正推進本部の本部長に細田博之前総務会長が就任した。細田派は安倍首相の出身派閥である。ただ最初に述べた「改憲4項目」については自民党の中でも一致しているわけではない。まず@の「自衛隊明記」については、公明党が慎重な姿勢を崩しておらず公明党との協力が必要な自民党にとって、同意をいかに勝ち取るかの道筋は見えていない。一方、安倍首相が五月三日の改憲派集会のビデオメッセージで明らかにした案では「9条1項、2項を残したまま、3項で自衛隊を明記する」という、日本会議系が打ち出した提案を採用しているのだが、自民党の石破茂・元幹事長は、交戦権否認・戦力不保持をうたった2項を残すことに反対、という立場を崩していない。
そして公明党は、あらためて憲法に自衛隊を明記することについて消極的立場のままである。さらに「教育無償化」についてもなぜ憲法に明記しなければならないのか疑問視する声も自民党内に存在する。
憲法への自衛隊明記に消極的な公明党への配慮、自民党内での九条と自衛隊の関係そのものをめぐる評価の違いなど、党内、あるいは公明党との関係や、「希望」「維新」を含めた改憲派諸勢力を巻き込んだ合意の追求など、安倍内閣と与党にとって改憲案の確定は、決して容易ではない。
多様な運動との共鳴へ
しかし安倍政権は、自民党改憲案の年内確定、二〇一八年中の改憲発議を至上命題としている。一一月一七日に行われた安倍首相の「所信表明」演説は、この三〇年で二番目の短さだった。改憲に言及しているのは、「終わりに」の項の中で「互いに知恵を出し合いながら、共に、困難な課題に答えを出していく。そうした努力の中で、憲法改正の議論も前に進むことができる。そう確信しています」というところだけである。
しかしこの抑え気味の表現は、「大言壮語」ではなく、確実に「改憲の悲願」を達成しようという「本気度」を示すものだとも読み取れる。安倍政権は明らかに、年内の自民党改憲案確定、来年の「国会発議」から「改憲国民投票」を視野に入れたスケジュールを設定しているだろう。
現在の、立憲民主党から共産、社民、そして自由に至る「安倍改憲」反対の野党共闘は、「護憲」派共闘ではない。立憲民主党の「立憲」たるゆえんは、同党が「護憲」の立場とは一線を画していることの自己主張でもある。そのことは枝野をはじめとする立憲民主党の国会議員も認めている。
それを十分に理解した上で、「安倍改憲反対」の野党共闘を支援し、様々な行動に参加するとともに、「天皇代替わり」、二〇二〇年東京五輪への反対など、「野党共闘」が取り組むことのできない切実な運動課題を独自に訴えていくことが必要だ。
三〇〇〇万人署名など安倍改憲に反対する運動は、同時に沖縄をはじめとする反基地、反原発、反天皇制、反差別、反貧困、人権、環境などのさまざまな分野の取り組みと共鳴、連動しながら展開されていくだろう。「安倍改憲反対」の運動は、そうした社会的共鳴を拡大させていく活動でもある。「改憲発議阻止」へ共に声をあげよう。 (純)
11.19
総がかり行動が国会前集会
やりぬこう!3千万署名
一人ひとりと対話し行動へ
一一月一九日の日曜日、衆院第2議員会館前にメインのステージを置いて「9条変えるな!安倍政権退陣総がかり行動」が開催された。主催は、安倍9条改憲NO! 全国市民アクション。憲法共同センターの米山淳子さんの司会で進められた集会には二三〇〇人の労働者、市民が集まった。好天だが、一段と寒さがつのる中で集会はテンポよく進められた。
国会議員あいさつのトップは社民党副党首・参院議員の福島みずほさん。福島さんは、安倍改憲のねらいが戦争できる国の総仕上げとして集団的自衛権を行使できる自衛隊の合憲化である、ときっぱり批判し、「憲法を変えさせてはならない。年収二〇〇万円に満たない貧困層が一六〇〇万人に達する現実こそ変えなければならない」と訴え、安倍9条改憲を阻止する三〇〇〇万署名を何としても成功させようと呼びかけた。
自由党の玉城デニー衆院議員は、前回を大きく上回る票で沖縄三区での当選を果たした、と語り、憲法を安保法制に合わせるべきだなどとうそぶく元防衛相の中谷元を厳しく批判した。民進党の大島九州男参院議員は、中国・北朝鮮を取り上げて不安をあおる政治家は「いらない!」と訴えた。
立憲民主党の大河原雅子衆院議員(比例・北関東)は、憲法を自分たちの権利の保障としてとらえられず、エネルギー政策の転換もできない政治家たちを厳しく批判した。国会議員の最後に、日本共産党の田村智子副委員長・参院議員が発言。田村さんは「議会からも、国民からも姿を隠していた安倍首相が、やっと出てきたと思ったらたった一五分間の、やる気もない所信表明演説だった」と鋭く安倍首相を批判。「森友・加計についてなんの説明もしていない。そもそも大学設置基準の条件を加計学園獣医学部は満たしていない」と指摘し、辺野古への基地建設に暴走する安倍政権を倒そう、と強調した。
各地でひろがる
創意的取り組み
国会議員の発言に続いて、安保法制違憲訴訟の会共同代表の内田雅敏弁護士が発言。内田さんは、田原総一郎に対して安倍首相が「もう安保法制ができた以上、アメリカは憲法を変える必要はないと言ってきている」と語った、という話を紹介した。さらに評論家の内田樹が「私は天皇主義者になった」と語ったことを批判し、「憲法は天皇に対して内閣の暴走を止めることを期待していない。裁判所は自らの責務として違憲の判決を出さなければならない」と強調した。
続いて練馬区と藤沢市の市民から、三〇〇〇万署名の実現へ、創意あふれる取り組みを地域で進めていることが紹介され、藤沢ではその成果として野党共同候補の阿部知子さん(立憲民主党)の当選を勝ち取った、と自信に満ちた発言を行った。藤沢では地域の「九条の会」で目標を立て、一人一人が近所の人、知り合いなどに話したり、署名用紙を郵送したりして三〇〇〇万署名の拡大にとりくんでいる。
最後に「総がかり行動」事務局の高田健さんは、「世論調査」の動向を紹介しながら、多くの人びとは決して安倍政権による改憲スピードアップを望んではいないことを紹介し、さらに対話を積み重ねながら、改憲反対多数への転換に全力で取り組もうと呼びかけた。
一二月一九日には午後六時半から議員会館前での行動が行われ、一月七日(日)には午後二時から王子駅近くの北とぴあホールで「新年のつどい」が行われる。二〇一八年を安倍改憲阻止の年に! (K)
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