11.3
自衛隊ジブチ基地で労働者解雇
ストライキに銃を向け威嚇
海外派兵と一体の弾圧に抗議
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労働者に銃を
向けて威嚇も
一〇月二六日付「赤旗」の一面に、昨年六月に自衛隊のジブチ基地において基地労働者九〇人が解雇され、ストライキなどで解雇撤回を求める労働者たちに対して、自衛隊の部隊が銃を向け威嚇するという事件が報道された。
「赤旗」の報道によると、雇用主は日本の神奈川にある企業であり、解雇された九〇人のうち七〇人は復職を果したが、争議を指導した中心メンバーら二〇人は争議を継続中で、ジブチの労組から日本政府に抗議文も出されている。ちなみに、この「赤旗」の報道に際しても、日本共産党の幹部たちはツイッター上で沈黙し続けている。
この報道を受けて、南西諸島の自衛隊配備計画に反対してきた「琉球弧自衛隊配備反対アクション」は、この自衛隊による労働争議弾圧事件への抗議と、自衛隊基地建設着工が目前となっている状況に対して、一一月三日に首相官邸前で緊急抗議行動を行った。
実績づくりの
ために居座り
主催者から、栗原学さんは「昨年の事件だが、報道され知ってしまったからには日本から誰も抗議の声が上がらなかった、というのではあまりにまずいので抗議を行うこととした」と語った。
「今回の事件は、騒擾や暴動ですらない労働争議への自衛隊部隊の介入という点で、自衛隊は一線を越えている。しかしこれは、グローバル企業の権益を守るという点で、海外派兵の本質そのものを示している事件だ。ソマリアの海賊は減少していると伝えられているが、自衛隊が実績作りのためだけにジブチに基地を作って居座り続けている。南スーダンからの自衛隊撤退を求める運動は一定の盛り上がりを見せて、少なくとも実力部隊の撤退を勝ち取った。ジブチからの撤退も求めていこう」と栗原さんは訴えた。
そして、「内閣府PKO事務局のホームページでは、南スーダン派兵の意義として『ダイヤや鉱物が豊富にある』などとあけすけに書いている。また、イラク派兵に際しても、『見返り』として油田を獲得して『日の丸油田』などと称している。資源獲得のための戦争という点で、いまの自衛隊派兵は戦前の侵略戦争とほとんど変わらない」。
「また、二〇〇七年に辺野古の海中調査支援と称して海自艦『ぶんご』が出動し、昨年も高江のヘリパッド建設のために自衛隊ヘリが出動している。沖縄ではすでに『民衆に銃を向ける自衛隊』として立ち現れている。そして、二〇二〇年以降には日本版海兵隊と言われる水陸機動団を沖縄本島のキャンプハンセンに配備しようという計画も報道された。琉球弧の軍事化とは自衛隊の侵略部隊化そのものだ。自衛隊配備反対と海外派兵反対を一体のものとして闘っていこう」とアピールした。
自衛隊は宮古
島から撤退を
宮古島の動きについて、当地出身の下地さんが訴え。
「宮古島の基地建設予定地にされている千代田カントリークラブで、工事資材搬入用のゲートが設置されていた。敷地内ではすでに工事の整地のために木が切られ始め、実質的な工事が始まってしまっている。また、平安名岬に近い保良地区でも海保の射撃訓練場や弾薬庫が具体化してきている」。
「先の選挙では、自衛隊基地反対を訴えた仲里さんと市議選で石嶺さんが二人とも落選で厳しい状況が続いている。とりわけ、仲里さんは宮古島ではかなりの大差がついた。沖縄県政やひいては反戦反基地運動も、地域の振興とは何か、ということを考え提示していく必要を痛感している。しかしまた、今日のような行動を地道にでも継続していきたい」。
不平等条約を
強制するな!
参加者にマイクを回して、それぞれ自らの思いを訴える。
西表島から来たという参加者は「島の一部が国立公園指定から外された。石垣島の自衛隊基地と連動して、上陸訓練場にされるのではと警戒している。いま、石垣島やどこの島も中国や韓国からの観光客が多い。しかし、巨大基地が作られ、そして軍事的緊張が日常的になれば、観光もだめになるだろう。それぞれの島と本土と分断されることなく、連帯していきたい」と語った。
他に参加者からのアピールでは、「日米地位協定と同じような不平等条約を日本はジブチに強いている。こういうことも問題視していきたい」、「自衛隊を容認して平和が作れる、という平和運動があるとすればおかしい。憲法九条の実現=自衛隊の廃止をもう一度正面から平和運動は語るべきだ」、「北朝鮮危機を安倍が語るが、その負担をさせられるのがまず南西諸島だ。冷戦が終わっていないのは、アメリカが続けたがっているからだ。そして日本もまたアメリカに追随して、戦争利権で生き残りを図っている。この悪循環を終わらせるための政治の転換や平和外交のあり方を運動の側から模索していこう」などの声が上がった。
参加者二〇人は、最後に首相官邸にむけて「ジブチから自衛隊は撤退しろ」「自衛隊基地をつくるな」とシュプレヒコールを上げて、この日の行動を終了した。 (F)
11.5
米軍基地いらんちゃフェスタin丹後
Xバンドレーダー基地撤去!
650人の参加で集会・デモ
【大阪】「平和な日本、平和な丹後を子どもたちに」、「米軍基地撤去!」、「日米地位協定の抜本的改定を!」、「住民の安全・安心の確立を!」をスローガンに、四回目の米軍基地いらんちゃフェスタin丹後が一一月五日、京丹後市峯山の丹後文化会館で開かれ、六五〇人の市民が参加した。
このフェスタは第一部・米軍基地前でのイベント、会館ロビーでの写真展・物産やパンフレットの販売、第二部がうたごえ文化イベント、第三部が全体集会。米軍Xバンドレーダー基地反対近畿連絡会は、全体集会に合流する前に、Xバンドレーダー基地で、短時間の抗議行動を行った。
前回(今年五月)の時と比べると、穴文殊堂参道の松並木を挟んでXバンドレーダー基地と反対側に、新しく建設中だった経ヶ岬自衛隊分屯基地(警戒隊の看板も)がほぼ完成し、大きなパラボラアンテナのついた塔が二基も立っていた。米軍と自衛隊合わせた全体の規模は、今後さらに拡張されるようである。
都道府県に
米軍基地存在
主催者あいさつをした石井内海さん(米軍基地反対丹後連絡会代表)は、「子や孫に聞かれても恥ずかしくないよう、平和な丹後を子どもたちにわたせるように基地撤去をめざして闘いたい」と述べた。
記念講演を前泊博盛さん(沖縄国際大学大学院教授)が行った。
前泊さんは、日米安保と地位協定に関する基礎検定(全部で三〇問)の話から始め、現在米軍基地を抱えている都道府県はいくつあるか、と質問。答えは三〇都道府県。Xバンドレーダー基地ができるまでは二九都道府県だった。正答率は二割を切っている、基地問題は基本的なデータに基づいて論議しなければいけないと述べた。(要旨別掲)。
軍事的緊張が
高まっている
現地報告は永井友昭さん(米軍基地建設を憂う宇川有志の会事務局長)が行った。
二〇一四年一二月二六日Xバンドレーダーの本格稼働が始まってから二年一一カ月ほどが経つ。八、九月と北朝鮮の弾道ミサイルが太平洋に撃ち込まれ、大規模な米韓合同軍事演習が実施され、日本の自衛隊も安保法制に基づいて米軍防護活動という形でこれに参加し挑発を繰り返している。何かあれば戦争が引き起こされるかわからない状態だ。重大な軍事衝突を回避するには、対話による解決しかない。
京丹後では米軍属の車が直進車に側面からぶつかるという事故が七月末に起きた。米軍関係者の事故は八月末で五一件に増えている。九月末の三日間、経ヶ岬米軍基地の警備軍属による実弾射撃訓練が福知山の射撃訓練場で行われたが、福知山市への事前通告はなく、京丹後市にはいまだに説明はない。米軍基地の隣にある穴文殊洞窟の真上に設置されていたトイレは、地元の批判で半年立ってようやく撤去されたが、基壇部分は残ったままで、米軍からの説明はない。
昨年七月から進められていた米軍基地の敷地を東側に拡張する計画が、八月二四日に日米合同委員会で正式決定された。交通上の安全対策が名目だが、当初の計画ではなかった。里道を海岸側に付け替えて、米軍側に提供されるということだ。憂う会が管理している農地(平和菜園)だけが、米軍基地の中に残ることになる。騒音対策として、商業電力を米軍基地に引き込むため、三月に新設された尾和の変電所まで三万三千ボルトの高圧線が引かれ、そこで降圧して六六〇〇ボルトの電線が基地のそばまで来ている。基地に引き込む工事は、一〇月完成が、来年七月まで延期された。
航空自衛隊経ヶ岬基地の拡張工事がされ、高さ三〇メートルの巨大なアンテナ塔二基、三階建ての新隊舎、警衛棟を備えた玄関ゲートができている。当初の説明では、基地の強化は考えていないという説明だった。安倍政権の軍事力強化を体現している。憂う会は今後も現地の状況を発信する。
続いて、連帯の発言が梶川憲さん(米軍基地いらない京都府民の会)、大湾宗則さん(米軍Xバンドレーダー基地反対近畿連絡会代表)、倉林明子さん(日本共産党参議院議員)からあった。最後に、近江裕之さん(米軍基地建設反対丹後連絡会事務局長)が閉会のあいさつをした。集会後二キロの道のりをデモ行進した。 (T・T)
前泊博盛さんの講演
軍事緊張をあおるな!
日米地位協定の廃止を
北朝鮮のミサイ
ルが向く先は?
北朝鮮のミサイルは(図を見ると)、日本の米軍基地と原発を向いている。中国がインターネット上にあげている見解によると、万が一日本と戦争になったら、通常ミサイルで原発を狙うと言っている。核は使うと報復されるので使わない。トランプ大統領はなぜ言いまくるのか。大国をアピールする、北に圧力をかける、対中貿易の改善などのほか、日米の役割分担のこともあるのだろう。米国大統領補佐官は、「戦争にならないために協議をするが、残された時間はそう長くない」と言っている。
北朝鮮問題をこんなに連日報道している国は日本だけだ。日本のマスコミは、政府の言うことをそのまま伝えるからだ。小野寺防衛相は「残された時間はそう多くない。緊張感をもって対応する」と述べ、これから年末にかけて一層緊迫する可能性を語る。日本には、外務大臣はいないのか、いつから軍事外交しかしなくなったのか。
この政治家はソフトな感じだが内容は危険だ。太平洋戦争時、米国は日本のことを国家催眠にかかっていると言っていたが、戦後の占領に対し無抵抗だったのを驚異と受け止めた。
今の北朝鮮はまるで戦前の日本と同じだ。北朝鮮の催眠状態を、経済制裁と支援・困窮対策・独裁の解消により解いてあげなければいけない。
日本に主権がないということは、沖縄から見るとよくわかる。その典型が、オスプレイだ。
昨年一二月墜落した。政府は不時着、NHKは不時着水といった。本土のマスコミは、一次情報の取材が弱くなっている。現場を見ずに、政府が不時着と言っているからそのように報道する。米国メディアは墜落と報じていた。このオスプレイ、転換モードにすると危ないから、住宅密集地は飛ばないことになっているが、実際は日常的に飛んでいる。写真を撮って防衛省に抗議をすると、米軍はそのようなケースは一件もないと言っているという答え。日本は、このようなオスプレイを三七〇〇億円で一七機購入した。一機二〇〇億円、ワシントンでは九八億円だ。
あいつぐ米軍
機の重大事故
米軍機の事故件数は、この一〇年間で、墜落四件、不時着二一〇件。不時着した時、沖縄四軍調整官は、県の抗議に逆切れし「県民や住宅に被害がなかったのは感謝されるべきだ」と言った。
一三年前、沖国大にCH53ヘリが墜落した時、事故現場は米軍が制圧し、黄色の防護服の米兵が不明になった放射能を含んだ部品を探していたが、探していることすら、大学や外務省に知らせなかった。一四年前、原潜が放射能漏れ事故を起こしたまま佐世保に寄港したが、日本政府は「誠に遺憾」というだけ。日米地位協定で認められている放射能検査もせず入港させ、再発防止策も取らずに終わっている。
返還跡地に大量の有害物質があっても、米軍は義務付けられている原状回復をしない。ドイツでなら許せないことだ。低空飛行訓練は、ドイツでは国内法が適用されている。イタリアでは米軍は訓練できなくなった。
沖国大の事故で、訓練のガイドラインがつくられたが、実行されないまままた高江に墜落。民間地に墜落しても、日本人は入れない。地位協定では、外周は日本・内周は日米共同でとなっているのに、よく見ると、事故機の部品等は米軍が管理するとなっている。日本人は入れない日米地位協定の弱点だ。沖縄県は一三年ぶりに協定改定要求書を出している。墜落当時の岸田外相は沖縄に行って、米軍トップを呼びつけたが、拒否され「遺憾である」と言って帰った。同じころ、英国では、米軍機の事故現場を米国の地方警察が制圧していた。再発防止策をとりその後に飛行再開を協議して決めると小野寺防衛相が記者会見した一時間後に飛行再開され、「遺憾である」。それで終わり、抗議はない。墜落事故で放射性物質が飛び散った可能性があるが、日本政府には知らされず。米国の属国であることが見えてしまった。
辺野古にこだ
わる日本政府
米国でも普天間移設は辺野古でなくてもいいという話になっているが、なぜか日本政府がこだわっている。少女暴行事件のあと普天間返還となった時、米国が移設費を出すはずだったのに、日本の金でつくることになった。
尖閣列島に安保を適用してくれと日本政府が言うが、尖閣の五つの島のうち赤尾嶼(大正島)、黄尾嶼(久場島)は中国名で、射爆場として日本政府が米国に提供している。安倍首相はこのことを知っているのか。使わなくなったらすぐ返還しなければいけない。使う場合は、中国漁船を攻撃することになる。返還され、米軍基地を置きたいと米国に要求されたら、地位協定機密文書により日本は断れない。
このことは、北方領土の交渉でロシアから、もし返しても米軍基地はつくらないとの確約を求められて、日本政府は無理だと言い、じゃあこの話はなかったことにしようとなった。米軍の引き起こした事故については日本に裁判権がないなど、日本の主権が行使できない問題が地位協定にはほかにもいろいろある。
首都東京の空は、横田基地があるため、広大な空域が米軍の一元管理下に置かれている。全土基地化方式で民間の上空を米機は自由に飛び回れる。沖縄も同じだが、キャンプ・瑞慶覧の上空は飛ばない。そこに米軍住宅があるからだ。地位協定改定の基本は、日本の領土・領空では日本の法律が適用されるようにすることだ。今の協定を廃止し、主権国家としての新しい日米関係をつくることだ。
(講演要旨、文責編集部)
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