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    かけはし2017.年11月13日号

とめよう憲法破壊・辺野古新基地


10.21

戦争あかん!基地いらん!

関西のつどいに850人

沖縄と結び、改憲阻止へ


 【大阪】二〇一七年「戦争あかん!基地いらん!」関西のつどいが一〇月二一日エルおおさかシアターで開かれ、八五〇人の市民が参加した。集会は台風の接近による雨天に加え衆院選挙戦最終日にぶつかり、参加者の減少が危惧されたが、会場は満席だった。集会後に予定されていたデモは選挙のことを考え中止になった。
 米田彰男さん(大阪平和人権センター理事長)が開会のあいさつをし、「関西の仲間と山城さんの裁判支援に取り組む。平和フォーラム沖縄事務所の開設から六カ月が過ぎ、沖縄だよりも四〇号を迎えた。この選挙戦では護憲の候補者の当選を目指し、三〇〇〇万人署名の成功や十一・三集会の総がかり集会の成功に努力することを共に確認したい」と述べた。
 続いて齋藤貴男さん(ジャーナリスト)が「憲法九条の改憲を許さない!」と題して講演をした(別掲)。
 さらに山城博治さん(沖縄平和センター議長)が特別講演をした。(別掲)。
 二人の講演の後、衆議院選を闘う立憲民主党・社民党からのメッセージ、三団体(朝鮮高級学校無償化・ダイバーシティパレード二〇一七実行委員会・反戦反貧困反差別共同行動in京都実行委員会)から連帯のあいさつがあり、最後に中北龍太郎さん(しないさせない戦争協力関西ネットワーク共同代表)によるまとめ、垣沼陽輔さんの団結がんばろう!で閉幕した。         (T・T)

齋藤貴男さんの発言 

米国への従属強める改憲

大義のない解散
総選挙何のため
今回の解散総選挙には全く大義がない。森友・加計隠しであるとともに、北朝鮮の核・ミサイルをむしろ歓迎し、今だったら勝てる、トランプと一緒に挑発を重ねれば憲法改正も容易にできるという見立ての下に断行された解散だった。
とどのつまりは憲法改正をするか否かが問われる選挙になってしまっている。彼(安倍)は嘘しか言わない。消費税の増税は社会保障の充実に使う(民主党政権時の三党合意)、五%の消費税を八%にした時、増税分はすべて社会保障に使うと表明していたが、この二年間社会保障は減少している。初めが嘘、その次も嘘、最後も嘘。もともと消費増税は赤字国債の償還のためだと嘘を言う。何重にも嘘が重なって、何が何だかわからなくなっている。
新聞記者も財務省の言うままに書くとこうなる。国民もよくわからないまま受け入れる。嘘に嘘を重ねていても、北朝鮮の危機がある以上、アメリカと一緒になってあおりさえすれば、憲法を変えられる、こういう判断だと思う。

立憲主義否定し
自動参戦国化
安倍さんはどのような憲法にしたいのか。憲法九条は変えずに、自衛隊追認を明記するだけだと言った。今回の選挙でも憲法改正を掲げている。選挙戦ではおくびにも出さないが、今までの経験則からいうと、少しでも優勢な形で選挙が終われば、憲法改正を一番の課題にするのが目に見えている。
二〇〇五年日米2プラス2(外務・国防相会議)で米軍再編計画が決定した。首都圏には在日米軍三軍の司令部がある(陸軍はキャンプ座間、空軍は横田基地、海軍は横須賀)。自衛隊陸空海司令部が米軍司令部に同居し一体的に運用されている。横田基地には自衛隊航空総隊本部が、横須賀には原子力空母ジョージ・ワシントンが配備され、キャンプ座間には自衛隊の中央即応集団という対都市型ゲリラ戦の司令部が、米国からは第一軍団司令部の一部が移転している。
戦争が起これば、一部は日本で指揮命令がとられる。沖縄問題で、ある自民党政治家に取材したとき、どうして米軍と自衛隊を分けて考えるのか、二つは同じものだと彼はいった。このような状態の中で自衛隊が九条に明記されたら、自衛隊はいつでもどこでも米軍と一緒に戦争するようになる。
近代立憲主義とは、人類が国家と個人の関係について(フランス革命やアメリカ独立戦争など)長い間に築いてきた思想であり、国家は必要悪であり、国家の暴走は防がなければいけない、権力の制限規範としての憲法が必要だという考え方に基づく。自民党改憲草案では、まず国民の憲法尊重義務が規定される。立憲主義の否定だ。

インフォーマル
帝国主義への道
もう一つ大切なこと、インフォーマル帝国主義への道について。
安倍さんの戦争体制への執着を考えるとき二つの議論がある。@大日本帝国への回帰を目指している、A対米従属・米国の世界戦略の一環としての日本の軍事力強化。この二つは矛盾しない。
現状で大日本帝国復活をやろうとすれば米国につぶされるが、米国には絶対に逆らわない・米国の手助けをすることで、主にアジアにおいて大日本帝国ごっこをして威張りたいという心情を満足させるという道だ。
憲法改正の根拠を右翼の人は押し付け憲法に求める。しかし、憲法改正が自民党草案のようになるとしたら、押しつけられてもいないのに、積極的に米国に従属するための憲法だということになる。その代わり、大日本帝国ごっこをゆるしてもらえるという構造だと言っていい。

財界の利害と
9条改憲
今日本は少子高齢化だから、普通は社会保障が心配されるが、政府にとってそんなことは二の次三の次。日本に本社を置く巨大企業の利益が損なわれないよう、人口が減れば内需が減るから外需で稼ごう。小さい商品では儲けは少ないから、インフラシステムを丸ごと官民一体のオールジャパン体制で海外展開したい。そのためには丸腰では無防備だ。地下資源も求めたい。そこには紛争がつきものだから、自衛隊の後ろ盾がいる。このような方向性がここ数年打ち出されている。
今の戦時体制の構築というのは、安倍さんたちに大日本帝国へのあこがれだけではなく、対米従属・米国の都合にいかに沿ってかわいがっていただくか、そしてアジアの中ではわりと自由にやらせてもらえるかどうかという二つの要素プラス日本の経済界の利益という要素が加わる。最初の二つがあることが単純な帝国主義ではない屈折したややこしいところであるが、そういう理解が、この問題を考えるときに絶対に必要になってくる。(発言要旨、文責編集部)

山城博治さんの発言 

辺野古止めて選挙勝利へ

 一〇・二一国際反戦デーが始まったのは一九六五年、ベトナム北爆が始まったころ。嘉手納基地にB52が何十機とやってきてはベトナムに飛び立っていく毎日だった。沖教組の先生方と一緒に「B52撤去」と書いた黄色いリボンを胸にして闘った。小学生も中学生も大人もみんな一緒だった。私は一三歳だった。
 一五歳の時にB52が墜落し大炎上した。核弾頭を積んでいるかもしれないという話の中で、核の恐怖にとらわれ、落ち込んだことを覚えている。それが契機で反戦運動に入っていった高校生時代を思い出す。
 先日NHKが「核と沖縄」という特集番組を報道した。一九四六年那覇空港からミサイルに積んだ核弾頭が間違って飛んでしまって、那覇の近海に落ちたという。恐怖を感じた。その番組で、一三〇〇発の核弾頭が沖縄にあったことが分かった。復帰前の一九七一年に毒ガスなどを撤去するのは見たが、一三〇〇発の核弾頭が撤去されたということはいまだに聞いたことがない。非核三原則があるから、もうないといわれているだけだ。
 辺野古について。北上田さんの情報公開請求による情報分析によると、防衛局は大浦湾に一〇〇メートルほどの桟橋のようなものをつくっているが、その沖にはサンゴ礁があって、それを移植する方法がわからなくて工事がストップしている。
 大浦湾を埋め立てる計画だが、海底が複雑で、当初計画した埋め立て計画が実施できない。大浦湾の埋め立て予定地のど真ん中に流れこむ美謝川の水が埋め立て土砂を押し流してしまう。海が急傾斜で深くなっていて、階段状に削って巨大な弁当箱状のケーソン(高さ五〇メートル・奥行二五メートル・一三五メートル)に土砂を詰めて底に沈めて護岸をつくる計画だが、サンゴ礁なので、ケーソンの重量がかかると荷崩れする危険がある。そのためケーソンによる護岸工事を見直した。新たな工法がわからないまま、工事は止まっている。
 工事変更は知事の許可が必要だ。美謝川の流域変更には名護市長の許可が必要だ。だから、自民党は何が何でも知事と名護市長の首をすげ替えたいと思っている。この二つのものすごく重要な選挙に勝利しなければならない。来年二月名護市長選、十一月知事選に勝利しよう。(発言要旨、文責編集部)

10.31

狭山事件再審求める市民集会

いまこそ事実調べ再審開始を

不当有罪判決から43年


 一〇月三一日午後一時から、東京・日比谷野外音楽堂で「不当有罪判決から43年! いまこそ事実調べ・再審開始を!」狭山事件の再審を求める市民集会が市民集会実行委の主催で開かれ、部落解放同盟をはじめ全国から支援者が集まり、会場をいっぱいにした。
 集会の始まる前に、李政美さん(シンガーソングライター)が韓国の抵抗歌など素晴らしい歌を披露した。組坂繁之さん(部落解放同盟中央本部委員長)が開会のあいさつを行い、立憲民主党、民進党、社民党の各党と袴田巖死刑囚救援議員連盟から連帯のあいさつがあった。
 次に石川一雄さん(再審請求人)が「再審を勝ち取るために全力で闘ってきた。寺尾不当判決から四三回目を迎えやるせないが、来年こそ司法を動かす。無実を勝ち取るためにご支援をお願いしたい」と訴えた。連れ合いの早智子さんは「第三次再審から一一年が経ち、遅々として進まなかった証拠開示がようやくなされ、動きが始まった。全国で狭山が闘われている。石川一雄も元気に闘っている。もう一歩の支援を」と話した。

証拠から無罪は
ますます明らか
弁護団の報告が行われた。青木弁護士は「この裁判に加わり、一年半現地調査を行った。被害者の万年筆が石川さん宅の鴨居から出てきたとされることについて、捜索に当たった担当の刑事に話を聞いた。『鴨居の高さは一五八p、一回目で手を入れてなぞりながら調べたが出なかった。第二回も手を入れて探した。それが三回目に出てくるなんておかしい』と言っていた。そして、インクの色が被害者の使っていたものと違っている。裁判所はどこかで級友や郵便局で補充したのではないかとした。しかし、昨年下山鑑定で混じっていれば必ずそれが出ることを科学的に明らかにした。発見された万年筆のインクは混じっていなかった。こうした証拠上も無罪が明らかだ」と報告した。
次に中北龍太郎さん(狭山弁護団事務局長)が筆跡・万年筆について、石川さんが犯人でないので有罪の証拠として証明できないことを説明した。

かならず勝てる
確信を持とう!
片岡明幸さん(部落解放同盟中央本部副委員長)が狭山闘争の現状と見通しについて報告した。
「第三次再審闘争の中で、一九一点の証拠が開示された。弁護団も一九一点の新証拠を裁判所に提出した。特に五点が重要だ。@逮捕された五月二三日に書かされた石川さんの上申書。『私はやっていない』とするもので、石川さんの筆跡と脅迫状が違うことが明らかになったA犯人が被害者を殺したとされる手ぬぐいB取り調べの録音テープC被害者のものとされる時計・かばんD万年筆のインク。警察のでっち上げのえん罪事件として明らかにされた」。
「裁判の見通し。いつまで、どうするか。@事実調べを実現したい。鑑定人尋問、証人調べ、現場検証。やり残している仕事がある。インクについて。下山鑑定に対して、検察が反論を出し、それに対して反証する。被害者の財布・手帳について、証拠を開示させる。さらに新証拠を出させる。最終段階にきていることは確かだ。来年こそ、事実調べをしろという全国運動を盛り上げよう。絶対に勝てる確信を持っている」。
続いて、連帯のアピールが行われた。袴田秀子さん(袴田巌さんのお姉さん)と支援者の山崎さんが「一〇万筆を超える署名を提出した。鑑定人尋問があり、一一月六日三者協議があり、最終判断が出るのではないか。すでに静岡地裁再審決定から四年になる。確定死刑囚の袴田巌さんは八二歳になる。ぜひ、再審を開始し無罪判決を勝ち取る」と話した。
菅家利和さん(足利事件)は「二六年前に幼児殺人犯として逮捕された。その後一七年経ってから、DNA鑑定で白となった。絶対に警察・検事・裁判所を信用しない。絶対に有罪にした人たちを許さない」と怒りを爆発する発言で石川さんとの連帯を表明した。桜井昌司さん(布川事件)は「狭山事件は証拠的に無実が明らかになっている。生きている間に無実を勝ち取ろう。必ず勝てる」と激励した。憲法学者の小林節さんも連帯の発言をした。
新しく狭山事件の再審を求める市民の会代表に就任した武者小路公秀さんは「茨の冠を司法が石川さんに被せた。これを司法に投げ返してやりたい」と語った。ジャングル大帝などのアニメを制作した宇井孝司さん(アニメーション監督)、鎌田慧さん(狭山事件の再審を求める市民の会事務局長)がそれぞれ石川さんの無実を勝ち取る闘いへの連帯を語った。
集会アピールを採択し、銀座・東京に向けたデモ行進に出発した。(M)


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