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    かけはし2017.年11月6日号

今こそ「モリカケ問題徹底追及」


10.26

アベ政治に幕引きを!緊急集会

この犯罪をウヤムヤにするな!


 【大阪】森友学園問題を考える会主催の討論集会が一〇月二六日、大阪府のドーンセンターで開かれ、五〇〇人の市民が参加した。発言者は、寺脇研さん(元文部省官僚・京都造形芸術大学教授)、黒川敦彦さん(今治加計獣医学部問題を考える会共同代表)、木村真さん(豊中市議・森友学園問題を考える会)、大川一夫さん(弁護士・森友学園問題情報公開訴訟と近畿財務局刑事告発の代理人)で、矢野宏さん(新聞「うずみ火」代表)が司会。

事件の全体的
な枠組み探る
司会:森友・加計問題に今後どのように対処していくのか、それを考える機会にしたい。まず、寺脇さんに全体的なことを話してもらう。

「全体の奉仕者」
ではない官僚
寺脇:最近今治、湯布院、岡山、京都で話をしたが、みんな森友・加計問題を忘れていない。これは大変な問題だが氷山の一角だ。省庁の次官だった者が政府に反対したのは、明治以来初めてだ。こうして氷山の一角が現れたが、水面下にはもっと大きな問題がどれだけあるかわからない。安倍首相と加計さんと三人でワインを飲んでいる写真の真ん中の時々顔が消されている人、あの人はある銀行の頭取だが、加計問題が議論されている時にいつの間にか金融庁の顧問になっている。金融庁の顧問と言えばなりたい人がたくさんいるのに、お友達だからスーッとなれる。
日報問題で辞任した黒江元防衛事務次官。引責辞任だからしばらくは謹慎するのが普通だが、一カ月もたたない頃に政府機関の安全保障関係の官邸スタッフになっている。このようなことは、各省庁でいろいろあると推測される。
カズオ・イシグロさんがノーベル文学賞をもらった。ノーベル賞をもらった人は、国籍を変えていても文化勲章をもらう(物理学賞のときもそうだった)のに、イシグロさんはそうではなかった。思想問題があるからか。政府関係の色々な審議会委員も官邸が人選する。外務省なんかでも手足が出せない。
官僚は本来は全体の奉仕者だと宣誓してなる。しかし今は、各省庁のプロの意見を聞かずに側近だけで外交をやっている。官僚も出世コースに乗らないといけないと思うのか、全体の奉仕者であることを忘れている。米国の顔色を見ながら外交していいのか。そのうちに戦争でも起きたらどうするのかと、田岡俊二さんなども言っている。

有力政治家に
自発的「忖度」
安倍首相は、妻が詐欺犯にだまされたと言ったが、籠池さんは詐欺犯と決まったわけではない。二〇一五年、ユネスコ世界遺産としてもともと文化庁は長崎の宗教施設を推していたが、官邸がこれをおしのけて、製鉄や石炭関係の施設を申請した。そのとき何の関係もない松下村塾も滑り込ませている。内閣人事局をつくり、官僚人事を一元管理するようになってから、このような問題が深刻になった。森友加計問題は氷山の一角だ。安倍首相は、「誰も私(安倍)がやれといったとは言っていない」というが、当たり前だ。忖度をするような関係になっているということだ。安倍首相の側近は、誰も辞任していない。
長期政権だった佐藤政権、中曽根政権のときは、今のような側用人はいなかった。何の権限もない補佐官が、専門家(農水省・厚労省・文科省)の意見は参考にせず、首相を忖度して決めていく。閉会中審査のときも特区審査の審査員が、一点の曇りもないと言ったが、彼らの証言には信用性がない。当たり前のことだ。加戸元愛媛県知事は愛媛県に誘致したかったと言っただけだが、前川元次官の証言は政府が隠していた文書が存在するという内容。安倍首相は、加戸さんより前川さんの方をたくさん報道していたとマスコミを批判したが、証言内容で報道に違いがあるのは当然。獣医学部はもうつくらないと二〇〇三年に決めていた。それは、小泉政権のとき規制緩和されたが、獣医学部がドンドンできたらつぶれていくところが出てくるからだった。学部設置審議会は「合格」を出すだろうが、それぞれの立場で、一六年一二月の時点に戻ってどうだったのかを追究する必要がある。
黒川:(選挙はどうだったか)選挙資金三〇〇万円を全てカンパしてもらい、ギリギリの一〇月二日に山口県選管に行って立候補表明し、安倍晋三の山口四区から立候補した。選挙ポスターには、時間がなくて【税金ドロボー・金返せ】のスローガンを入れた。全く知らない人が六六八七人も投票してくれた。お疲れさま会には地元の人が三〇人も来てくれた。次の下関市議会選挙では、反安倍派を一名増やそうと決めた。

「森友・加計」
隠しが解散目的
木村:今回の解散はまさしく森友・加計隠し解散だった。国有地売却について近畿財務局・工事請負業者・籠池さんが、金額の交渉をしている生々しい音声データが出てきた。佐川理財局長の答弁がウソであることが明らかになった。九月一一日には、8チャンネルで一〇分間報道された。臨時国会での追及を楽しみにしていたが残念。側近政治が続くのは絶対ダメ。政治の私物化はNO!だ。日常的にヘイトスピーチをし、教育勅語を暗唱させるような学校に寄付をし、支援する。この点についてのマスコミの扱いが弱い。
大川:木村さんが情報非開示の取り消し訴訟を起こした二月八日直後、国は国会議員には全面開示をしておきながら、木村さんには黒塗りは正しいの一点張り。ところが八月になって突然開示し、裁判はもうやめようと。そこでこちらは、国家賠償請求に訴えを変更した。国は、木村さんのブログを調べ、訴訟が続くのはラッキーと書いていたことをとらえて、木村さんに損害はないと言う始末だ。
もう一点、刑事告発の方は、問題は近畿財務局なのに、五月に大阪府が籠池さんを詐欺罪で訴え、彼は証拠隠滅の恐れも何もないのに不当に勾留されている。今の状況ではなかなか難しい。
司会:安倍首相はていねいに説明すると言って何もしていない点が三つある。@二〇一五年四月、今治市の職員が首相官邸に赴き首相秘書官と面会した。秘書官は記憶にないと言っている点。A加計学園の獣医学部が国家戦略特区に選ばれたことを今年一月二〇日になって初めて知った点。B加計学園獣医学部建設の費用が水増しされている点。森友・加計問題に今後どう対していくか、四人の発言者に語ってもらう。

過大に見積もら
れた試算価格
黒川:獣医学部の建物は坪一五〇万円の見積もりだが、建築図面を専門家に見てもらうと、坪八〇万円ぐらいと言われる。鉄筋コンクリートではなく倉庫に毛の生えたような鉄骨造りだから、六〇万円だという人も。そこで今治市は第三者委員会をつくったが、結論が出るまでに四〜五月かかるという。委員は、今治市が選ぶ。もう一つ、決算書にも疑惑が浮上、裏金をつくっているのではとの疑いが出ている。
木村:今日(一〇月二六日)会計検査院が、森友学園用地代九億五千万円からのゴミ撤去費の名目で、八億二千万円を値引きし一億三四〇〇万円で売却した問題について、撤去費は二億円〜四億円で済み、値引き額は最大約六億円過大だったと試算していることがわかった。これとは別に土壌汚染処理費用として一億三二〇〇万円が国から森友学園に支払われている。ゴミ撤去は口実だということは明確だ。
大川:近畿財務局を背任で告発している。音声データが出てきたが、ただ背任は故意がないと成立しない。地検に期待していたが、拘留権限の乱用など国策捜査となると、検察も腰砕けだ。みんなで監視し抗議していくのが大切。
寺脇:安倍一強だから、反乱は起きるところから起きる。記憶にないということはありえない。相手が大臣などならよく会うから忘れることもあろうが、相手が今治市の職員というめったに会わない相手なら記憶に残っているはずだ。キャリアー組は二年ぐらいでポストを変わる。前任者も変わるから、記録がなければ仕事できない。記録がないと言わされているだけだ。

ねばり強く、忘れ
ない闘い続ける
日本では三権分立が崩されている。米国ではトランプが勝手にやろうとしても周りが諫めたり反対するが、日本の政権はどちらかと言えば、北朝鮮に近い。朝鮮高校の無償化適用は当然だ。むしろ適用しない方が筋が通らない。総理夫人付きというポストの役人をまるで召使いのように扱っているし、扱われる方も本来の立場を忘れている。普通、夫人が変なこと(教育勅語暗誦させる幼稚園に行ったりなど)したら、それを上司に報告しなければいけない。何のためについているのか。
夫人もこのようなシステムを無邪気に利用している。夫人付きが財務省の国有財産管理室長に電話する。誰からの電話だ、夫人からだとわかれば話を聞く。誰だってそうするだろう。教育にバンバン政治が介入してきている。官僚(公務員)は、憲法一五条で規制され、文科省官僚ならさらに教育基本法一六条で、防衛官僚なら自衛隊法で規制される。全体の奉仕者なのだから。橋下府市政の大阪が日本になったらどうしようと思っていたが、そうなってしまった。
加計問題で一点指摘しておく。一〇二六日付けの荻生田文書のことだ。荻生田さんは、そんなこと言っていないと否定した。そこまでで追及は終わっているが、あの文書を書いたものがいる。その者に聞けばわかることだ。マスコミもこの点が甘い。
司会:時間がなくなったので、追加することがあれば一言ずつ。
木村:選挙活動の最終日安倍首相は、秋葉原で反対派を寄せ付けないようにしておいて、安倍首相ガンバレの横断幕を広げた。しかもそれをネットで流した。森友幼稚園の運動会と同じだ。安倍自身が忖度を助長している。
寺脇:なぜかというと、自分は選挙で選ばれているからという意識があるからだ。しかし本来何もぺこぺこする必要はないはずだ。官僚は難しい任用試験にパスしてなっている。
大川:秋葉原で日の丸の小旗を持っていた人たちは、私はナチの親衛隊と同じだと思う。
黒川:獣医学部の認可はいつになるのか。四月開校は難しいのではないか。木村さんと二人で、山口地検に刑事告発した。支援してほしい。
寺脇:これではいけないと内部告発する人も出てくるだろう。多くの大学は、加計学園と違いどこからも補助金なしで苦労してやっている。日本の大学はどうなっているのと外国からも疑問の声が上がる。あと四年間も黙っているはずがない。あまり無茶すると、墓穴を掘るのではないか。
パネラーによる討論はこれで終わり、豊中市議の熊野いそさん・山本一徳さん二人がまとめをして終了した。 (T・T)



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