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    かけはし2017.年10月30日号

占領者意識丸出しの米軍


沖縄報告:10月20日

CH53E墜落炎上事故の衝撃

沖縄 T・N


10.17

いつまで県民をだまし続けるのか

劣化ウラン使用の話も

徹底究明が不可欠だ


放射能汚染の
分析はじまる
 一〇月半ばも過ぎたのに日中の気温が三〇度を超える真夏日が続いている。今年の沖縄は異常に暑い。
 きのう未明発生した台風二一号はどうやら沖縄に向かって来そうだ。そのせいか、朝から強めの雨がザッと降ったり止んだりする中、県庁前から九時発の辺野古バスに乗った。火曜日は「オール沖縄・那覇の会」の担当だ。火曜金曜は比較的参加が少ないが、衆院選の只中、それでも一〇人余りが乗ってきた。
 車内の話題はもっぱら一一日に起きた高江でのCH53E米軍ヘリ墜落事故。
 二〇〇四年八月一三日、沖縄国際大学にCH53Dヘリが墜落した時も、消火した宜野湾消防や報道を排除した占領者意識丸出しの米軍の振る舞いや、紛失したストロンチウム90による汚染が問題になったが、昨年一二月一三日名護市安部でのオスプレイ墜落時に続き今回もまた県警や報道は蚊帳の外だ。そればかりか防衛省すら米軍からの来るか来ないかわからない報告を待つばかり。
 炎上で気化した放射性物質による地下水・地表・大気への汚染が懸念される中、国や米軍任せには出来ないとの立場から、琉球大学の矢ケ崎克馬名誉教授が一四日・一六日にガイガーカウンターを持ってβ線・γ線の計測に入ったとのこと。ストロンチウム90以外にも米軍ヘリの機体には、バランスをとるために比重の大きい劣化ウランが使用されているという話も出ていた。日本政府・米軍はこれまでとめどなく県民を騙してきた。決して信じることはできない。まずは矢ケ崎教授の分析結果に注目したい。

沖縄全体が当事
者意識持つべき
一〇時頃、いつものように金武町キャンプハンセン近くの伊芸サービスエリアでトイレ休憩。山側からはきょうもパラパラパラという乾いた音が響いてくる。実弾射撃訓練の音だ。
キャンプハンセン周辺の住民は常に流弾・跳弾の危険にさらされていることに改めて思いいたる。
一〇時四〇分、いつもより少し遅れてゲート前到着。なぜか先週一二日(木)以降機動隊の大型バスが見えず、工事車両の搬入が止まっている。高江でのヘリ墜落と総選挙のせいだろうか。きょうも搬入の気配がなく、工事ゲート前の座り込みから引き揚げて新ゲート前テントで集会が始まっていた。
火曜日の司会進行は平和運動センター事務局長の大城悟さんだ。
選挙期間中なので那覇からの私たちが合流しても五〇〜六〇人くらいか。さっそくバスの世話役の長堂さんが挨拶。「あした小泉進次郎が那覇に来る。こちらも翁長知事と志位委員長が同じ時間にすぐ隣の県庁前で赤嶺さんの応援に来る。みな一一時に結集して圧倒しよう。辺野古推進に公約を変えた自民党候補は『平和のかけはし』などと言いながら高江の墜落事故に沈黙している。安倍のお先棒担ぎには負けられない。投票日まで頑張ろう」。
同じく那覇からのバスで来た宇山さんは、一五日(日)ヘリパッドいらない住民の会と高江現地行動連絡会の呼びかけで急遽北部訓練場メインゲート前で開かれた「米軍ヘリ墜落緊急抗議集会」の模様を報告。「住民は墜落の恐怖と騒音に苦しめられる中で、いつかこういうことが起こる、とヘリパッド建設に反対してきたが、ついに現実となった。もう原因究明とかの話でなく、すべて出ていってほしい。再三の要請にもかかわらず何の説明もないまま米軍が一方的に飛行訓練の再会を繰り返すのは我慢の限界だ。沖縄以外どこの県でこんなことが許されるのか。今回のことで墜落は高江だけの問題でなく、沖縄全体が当事者意識をもって北部訓練場の全面撤去を考えてほしい。などの意見表明があった。辺野古阻止に加えて北部訓練場の閉鎖まで共に頑張ろう」と呼びかけた。

「国を守る」とは
戦争しないこと
一一時二〇分、新ゲートからキャンプシュワーブに入った大型の軍用トラックがテントの目の前で分離帯に乗り上げ横転しそうになる。運転免許を持っているのか疑わしいような軍車両が普段から基地の外の公道を平然と走っている。「Student driving」と書かれたプレートを付けた車両も時折見かける。他県ではあり得ないのではないか。
ひとしきり基地内に向け抗議した後、東京から数人のグループで何回か支援に来ている車いすの老闘士が発言。「今度の選挙で自衛隊の位置づけを巡って改憲の是非が話題にされているが、改憲反対の側は『九条を守れ』というだけではだめだ。今や自衛隊は二三万人もの組織となり年間予算は五兆三千億円。災害救助で市民権を得てきている。二三万の自衛隊を解体し三万人程度の災害救助隊に再編させよう。そうすれば一兆円程度で済み、消費税を上げる必要はなくなる。『国民を守る』とは戦争をしないことだ。朝鮮とも中国とも話し合いをするしかない。もっと外務省に仕事をさせろ。圧力一辺倒のトランプにおもねて話し合いは無駄という安倍に外交させてはならない。圧力は拉致被害者をも危機にさらす。家族をトランプに合わせてどうするつもりか。政治利用はやめろ。安倍を倒そう」と訴えた。

米国総領事館へ
抗議の申し入れ
発達する見込みの台風接近の情報で、司会の大城悟さんから今後の日程について説明。
「今日も搬入はないので集会は午前中で締めくくり、各選挙区での取り組みをお願いしたい。一八日(水)一九日(木)は片付けと台風対策とし、二〇日(金)二一日(土)のゲート前行動は休みます」ということになった。
普天間爆音訴訟団の赤嶺さんから、「午後一時から行われる宜野湾市議会の米国総領事館への墜落事故抗議の申し入れに合わせて、領事館前に行こう」との提案があり、一二時前に集会を閉じた後、私たち県庁前からのバスと東京からのグループなどは宜野湾市の米国総領事館に向かった。
一時過ぎに総領事館前に着くとすでに集まっている「わんから市民の会」の仲間と合流。門前でプラカードを掲げて、抗議集会が始まっていた。韓国から来た民衆民主党の反米沖縄遠征団の三人もいる。なぜか正門の警備には静岡県警が立っている。
時折襲ってくる土砂降りの中、頻発する軍用機事故と、危険な訓練。現場を勝手に占拠する米軍とそれを黙認する日本政府に対する抗議の声をかわるがわる挙げる。米軍再編で基地拡張のため再び農地を奪ったピョンテクの米軍基地に反対し、環境破壊監視と土地取り戻し運動に取り組んできた済州島出身の男性は「私たちも基地被害に悩まされ続けてきたから沖縄の気持ちはよくわかる。米韓合同演習で半島の危機をあおっているのはトランプだ。それに追従する安倍も許せない。危険なトランプ政治をやめさせるためアメリカやドイツ、フランスなどに同時に遠征団を派遣している。朝鮮半島で戦争は絶対に起こさせない。共に闘おう」と呼びかけた。
「座り込めここへ」や「沖縄を返せ」の歌も交えて一時間ほど抗議を続け、雨が上がったころ申し入れを終えた宜野湾市議会が出てきたのを確認してこの日の行動を終えた。

10.8

5年目になった普天間ゲート前行動

オスプレイ撤去・基地閉鎖まで闘いぬくぞ!

 「空飛ぶ棺桶」オスプレイの普天間配備に反対するゲート前行動が始まって五年になることを期して、宜野湾市で集会が開かれ、約一〇〇人が集まった。主催は、普天間米軍基地から爆音をなくす訴訟団、五年間ゲート前行動を継続してきた「サラバンジの会」、平和市民連絡会など。
オープニングは、「京都の歌姫」川口真由美さんのギターと歌。一部は泰さんと共に、「花はどこへ行った」「ぬちどぅ宝」など四曲を情感たっぷりに歌い上げた。続いては、「アキノ隊員」こと宮城秋乃さんが、やんばるの森での米軍訓練の実態について、パワーポイントの映像を通じて報告した。
映像は、低空飛行で爆音をまき散らしながら飛行するオスプレイやヘリの様子を次から次へと臨場感あふれて伝えた。秋乃さんはもちろん航空機マニアではない。時間の都合がつけばやんばるの森に入り、蝶や昆虫を観察することを無上の喜びとしている生物学者だ。しかし、映像には蝶や昆虫は出てこない。森で出くわした米軍ヘリやオスプレイばかりだ。それほど米軍機はやんばるの森を飛び回っているということだ。映像から秋乃さんの嘆きと怒りが伝わってくる。
この夏、秋乃さんは写真絵本『ぼくたち、ここにいるよ 高江の森の小さないのち』(影書房)を出版した。会場入り口でも販売され、多くの人たちが買い求めた。(問い合わせは影書房〔電話〕03─6902─2645)
北上田毅さんは、辺野古新基地建設の埋め立て工事の現状について、「沖縄防衛局は八方ふさがりに陥っている」とパワーポイントを使って説明した。(詳しくは、ブログ「チョイさんの沖縄日記」)
そのあと、大山ゲート、野嵩ゲートからそれぞれ報告が行われた。オスプレイの普天間配備に反対しゲート前を車両で三日間にわたり封鎖した五年前の闘いからこれまでの根気強い取り組みに会場から大きな拍手が送られた。現在、大山ゲートでは毎週火曜日朝六時から七時一五分まで、野嵩ゲートでは毎朝七時から八時まで、抗議行動が続けられている。続いて、飛び入りで、二区の候補・照屋寛徳さんの「普天間基地、嘉手納基地のある二区が沖縄でも基地が一番集中しているところだ。日本の安保の現実がハッキリ現れるここから、基地NO!を訴えていく」と述べ、参加者の握手攻めに会いながら会場を後にした。
締めくくりは、普天間基地ゲート前でゴスペルを歌う会の合唱。五年前につくられたゴスペルを歌う会の活動は全国各地に広まっているという。全員立ち上がって歌い、三時間半にわたる集まりの幕を閉じた。

【訂正】本紙前号(10月23日号)4面沖縄報告5段目10・14辺野古ゲート前行動、屋富祖さんの発言「貫通力一〜二p」を「一〜二o」に、同上の写真説明「事故のプロペラ」を「事故機の残骸」に訂正します。



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