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    かけはし2017.年10月23日号

共同の力で安倍改憲つぶせ


総選挙

社民・共産軸に野党連合前進へ

大阪19区中14区で野党統一候補


 【大阪】大阪での衆議院選挙は、他の道府県と比べても民進の裏切り・崩壊の影響を大きく受けている。前原の民進の公認取り消し・希望の党での立候補の強要は、小池の「選択・排除」さえも受け入れ、維新との協力・共闘のための大阪の小選挙区不擁立の方針で無残にも破綻してしまった。民進の予定候補者は前原の要請を受け入れたものの行き場を失った上での立憲民主党での立候補、無所属での立候補、、立候補取りやめ、希望の党での選挙区のくら替えと大きく割れてしまった。自公は従来どおりの選挙区調整(公明の4選挙区には自民は立てない)。希望の党は維新との連携を前提に大阪全区での立候補を取りやめ両党の連携の強さを示した。自・公・希・維の改憲勢力は着々と分担の体制を築いている。

強くなった野
党・市民共闘
安倍の自己保身しか意味しない突然の解散・総選挙と、予測もされなかった希望の党の登場、民進党の解党的な希望の党への合流などで、戦争法・共謀罪の破棄、憲法九条改悪阻止、沖縄との連帯をめざす勢力、野党共闘などは不意打ちを食らい、出遅れ、混乱などの打撃を受けたのは事実である。安倍自公政権に時間を与え、「もりかけ問題」を後景化させ、希望、維新の補完勢力を大きく登場させた。
しかし、この事態はマイナス面ばかりではない。優柔不断な対応で、野党共闘前進の障害ともなっていた民進党の一部勢力が出て行くことによって、社民、共産、立憲民主、自由など野党勢力が一定の結束力をつくりだし野党共闘での選挙戦を前に進めた側面もある。
共産党は、希望の党に拒否された旧民進で、立憲民主党での立候補を希望する候補者に対しては、一、五、八、一三の四区を除いては、野党共闘を前提に自らの候補者を取り下げ、推薦することにした。 全一九区中この四区を除いて一五区では野党共闘の統一候補が成立した。一部の無所属の立候補者にも同じような対応をしている。社民、自由、新社、みどり、市民選対などの元々野党共闘をめざしてきた勢力も共産党とほとんど方針を共有している。
大阪九区では社民党大阪代表の服部良一氏が立候補し、共産党、自由党、立憲民主党、新社、みどりなどが野党共闘の成立に力を尽くした服部氏を推薦し、もちろん野党共闘を進めてきた市民運動も駆け付けている。全労協、全日建連帯、全港湾など元々服部氏と運動を共有してきた労組だけでなく、連合傘下の自治労や水道労組なども推薦を決めている。

活気に満ちた
服部良一旗開き
一〇月一日の事務所開きには、選挙区内の新社、社民、無所属などの国会議員、元国会議員、自治体議員、労働組合員、市民など二〇〇名を超えて集まり熱気に包まれた。共産党からは辰巳孝太郎参議院議員も参加した。
マスコミがいう、「自・公対希望・維新対立憲・共産・社民」の三極対立の選挙という構図を超えて「自・公・希望・維新の改憲勢力対反改憲勢力」の構図を明らかにし、「森加計」隠しを許さず、沖縄辺野古の新基地建設を止め、安倍政権を打ち倒す闘いの前進のための精力的取り組みが求められている。
兵庫九区(明石市)では新社会党の菊池憲之氏が無所属で立候補し野党共闘で支えている。
前原の裏切りで生まれた野党共闘の前進を最大限活かし社民、共産、新社の前進を勝ち取り、改憲勢力の三分の二を阻止しよう。
比例区では、社民党、共産党への投票をつくりだそう。        (B)

福島1区で野党・市民が協同

改憲阻止へ共闘の強化を

ふくしま県市民連合の活動

 【福島】改憲勢力の多数派形成をめざす小池百合子と前原らによる民進党解体、野党再編の策動が成功し、福島県においても昨年来の民進・共産・社民三党合意による野党共闘は成立することなく衆院選に突入した。旧民進候補は、五つある選挙区のうち二、三、四、五区で希望の党に移った。このままいけば、公明党の支援を受けた自民候補が独り勝ちする可能性が大だ。唯一福島市など県北と相馬地方でつくる一区の金子恵美候補が無所属で出馬、これを評価して共産が候補を取り下げ支援に回った。

街頭・地域など
で精力的に行動
連合などに配慮して共産・社民やふくしま県市民連合とは政策協定を結ばなかったが、共産党の比例事務所開きにも登場した彼女は「野党共闘的候補」として受け止められ、また、昨年の参議院選挙で自民現職閣僚を破って当選した増子輝彦議員が応援しており、支持の拡大が見込まれる。
三野党共闘で自公を上回るたたかいを実現しようと九月一〇日の第四回県民集会を皮切りに奮闘してきたふくしま県市民連合は、野党共闘の望みが絶たれても、各地のミナセンやDAPPE(平和と平等を守る民主主義アクション)の若者たちとともに街頭宣伝行動や地域職場でのパンフレット配布等を精力的に展開している。今衆院選でのとりくみを通じて改憲阻止戦線の強化と拡大へとつなげ、安倍や小池の野望を打ち砕こう。(10月9日・世田)

10.10

福島地裁 原発事故「生業裁判」判決

東電・国の責任を認定

被害実態を反映しない限界も

 【いわき】一〇月一〇日原告三八〇〇人が原発事故により被った被害への損害賠償を求めた裁判(通称生業裁判)の判決公判が福島地方裁判所で開かれた。判決は、国・東京電力は推本の「長期評価」を基に六年には一〇mを超える津波予測可能と、津波の予見可能性の存在を認め、東京電力が非常用電源設備を水密化したならば事故は防げたと、事故の回避可能性を認定した。そして、国が東京電力に津波対策を命令しなかったのは不合理、と国の責任も認定した。
 しかし判決の賠償命令の一部には不当な部分が存在する。原告団は被ばくへの恐怖は共通、避難区域内外共に居住地の空間線量が事故前の水準を回復するまで毎月五万円の支払いを要求した。しかし判決は、賠償区域外の一部―水戸市、日立市、東海村―住民に損害(一万円)を認めたが宮城県(丸森町)栃木県―共に福島県いわき市の一部より放射線量が高くなった―の損害は認めず原告団弁護士は「すべての被害実態を正しく反映していない」として控訴する方向である。

加害責任認め
ない東電に怒り
福島原発事故の損害賠償の解決を図るため行政ADR(裁判外紛争解決機構)として原子力損害賠償解決センターが設立され二〇一五年には四五〇三〇件の申し立てが行われた。
しかし東京電力は事故を惹起させた加害企業でありながら、相当因果関係が認められないとして、和解案に従わないケース及び被害者の団体交渉の要求に対して、形式がそぐわないとして交渉に応じないケースが頻発し九六四五人が二一の原告団を結成し裁判を行っている。
来年三月には、一五七四人の原告で結成する、いわき訴訟原告団(元の生活をかえせ・原発被害いわき市民訴訟原告団)裁判の判決公判がいわき地方裁判所にて開かれることが決定されている。これまで前橋・千葉・福島と三つの裁判に判決が下されたが、各裁判において、被告の東京電力・国は津波の予測は不可能、予測しても事故は回避出来なかったと主張してきたが、福島原発事故による損害賠償裁判の三裁判(千葉・前橋・福島)中、前橋・福島は国の責任と事故の回避は可能だったとしたが、千葉判決だけ国の責任を認めず、事故回避は不可能とした。その千葉地裁判決でさえも津波の予測可能性を認めたのだ。
もはや一〇mを超す津波の襲来を予測出来たことは否定しがたいことが流れとなっている。国・東京電力が福島原発事故裁判において責任を回避するための最後の拠り所は、回避可能性の否定―対策を取っても事故回避は出来なかった―と国の責任の存在となっている。

手厚い保護が
居直り支える
旧原子力安全保安院の審議官が津波問題で対策を原子力発電事業者に対して対策を指示しない場合責任を問われる可能性がある、とした発言(安全検討会資料)等、福島原発告刑事訴訟の検察役の弁護士が提出した資料の数々により、旧保安院及び東京電力が共に一〇mを超す津波を予測していたし、この予測により防潮堤及び発電機器の水密化等の津波対策に着手していたならば事故発生を未然に防ぐことが可能だったことは否定出来ない事実となっている。
しかし国と東京電力の責任を否定する意見はなお存在している。今後の公判に於ける裁判官に公平な訴訟の指揮を原告団が強制することが出来るかが課題となっている。そして「原子力損害賠償廃炉等支援機構」―以下機構と記す―及び復興税の存在はわれわれに、被害者への損害賠償資金の原資について目を逸らしてはならないことを示している。
機構(二〇一一年九月発足)は東京電力に損害賠償資金を貸し付ける組織だ。その資金は国債の売却及び電力会社の負担そして東京電力資産の買い取りで、集め、各電力会社はその負担分を電気料金への上乗せで賄い、電力会社の懐は痛まない形式となっている。
また、東京電力は機構からの借金の返済を柏崎刈羽原発の再稼働と電力料金への上乗せで賄う方式であり東京電力の懐もまた痛まない方式となっている。それは福島原発事故により生じた社会的損害の負担を人民への転嫁で賄う方式の一端に他ならない。
こうした国の東京電力への手厚い保護が過酷事故を起こしながら加害企業として反省しない東京電力を支えているのだ。福島原発事故により発生した損害の人民への転嫁を許してはならない。国・東京電力による福島原発事故による被害の矮小化を許してはならない。国・東京電力は、あやまれ、つぐなえ、の声をさらに大きくしよう。(浜西)

 



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