沖縄報告:9月30日
総選挙:オール沖縄候補4人の当選へ
沖縄 K・S
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9.27
島袋文子さんトーカチ祝い
辺野古ゲート前に400人
九月二七日は旧歴の八月八日。各地でトーカチ(88才)のお祝いが予定され、また各市町村議会が開会するとあって、参加者が少なくなるのではないかと危惧されたが、早朝から多くの市民が駆け付けた。進行担当の平和市民連絡会の城間勝さんは「ダンプが動いたとの情報が入った。体調の悪い人は無理しない、逮捕者を出さないということに留意しながら、断固座り込みを貫徹しよう」と檄を飛ばした。そのあと、恒例の「沖縄今こそ立ち上がろう」「座り込めここへ」を全員で歌い、ゲート前を固めた。
県警による座り込み排除は乱暴だ。警察内の教育がそうしているのだろうが、ますますひどくなってきている。力ずくで座り込みからはがし、まるで物を運ぶように、三人がかりで、両足、右手、左手を持ち、頭が地面につきそうになっても構わず運んでいく。打撲、捻挫、擦り傷、内出血などけが人が出ても県警はお構いなしだ。県警は本土派遣のエリート警察官僚に牛耳られている。
基地のフェンスと警察車両、機動隊員の壁に拘束したあと、北と南から、砕石、砂利、砂、汚濁防止膜、ブロックなどを積んだ一〇トンダンプ、二〇トントレーラーなど資材搬入の工事車両が基地内に進入した。その間座り込みのマイクからは「県警は帰れ」「基地建設に加担するな」との訴えが続いた。
テントに移動して継続された座り込み集会で、ヘリ基地反対協の安次富さんは「基地内の作業ヤードに運び込んだ砕石が山積みにされている。防衛局は資材の海上輸送を考えている。ゲート前行動によって追い詰められた彼らの焦りだ」と訴えた。そのあと、南城市、八重瀬町、大宜味村、本部町、うるま市の島ぐるみが決意を述べた。
オバア、オメデトウヤイビーン
午前一一時からトーカチ祝いのプログラムに移った。参加者は四〇〇人に達した。宜野座映子さんの「八月の国会内でのオバアのスピーチは素晴らしかった。立派なトーカチ祝いにしよう」との挨拶に続いて、トーカチの祝いの歌・サンシン、ゲート前メンバーによる「かじゃでぃふう」の踊りが披露された。乾杯の音頭は、「オバア、オメデトウヤイビーン」と、オール沖縄会議現地闘争部の大城悟平和運動センター事務局長が元気よく行った。乾杯はお茶。文子さんは琉歌で「御万人(ウマンチュ)ぬ情(ナサ)き わが肝(チム)にとぅみてぃ 永らえてうとーてぃ 基地ゆ止ぅみら」(みんなの思いを心に刻んで長生きし基地を止めよう)とうたった。
稲嶺進名護市長は「今度は九七歳のカジマヤーと基地建設白紙撤回を一緒に祝おう」と呼びかけた。花束を贈呈した参院議員の伊波洋一さんは「いよいよ選挙だ。県民投票だと思って勝ち抜こう」と述べて、文子さんと固い握手を交わした。祝電は、出席できなかった五人の国会議員(赤嶺政賢、照屋寛徳、玉城デニー、仲里利信、糸数慶子)などから寄せられた。
続く「ビッグサプライズ」は古謝美佐子さん。「童神」の歌に合わせて、そろいの青い衣装を身に着けた四人のフラダンス・グループ「ミラマイ」が華麗な踊りを披露した。東京から駆け付けた踊り手は「沖縄の良さをもっと伝えられるように頑張る」と述べた。そのあと、伊集さんと佐藤さんによるデュエット「辺野古旅情」、三人の指笛演奏によるベートーベンの「歓びの歌」と「ピクニック」、会場を爆笑の渦に巻き込んだ糸満島ぐるみの寸劇「戻り篭」、替え歌元祖・北谷のすくちなやっちーの「ヤングマン」、普天間基地ゲート前でゴスペルを歌う会による「We shall overcome」、うるま島ぐるみの「一坪たりとも渡すまい」、新日本婦人の会の合唱などが続いた。
ラストは、参加者がみんな歩道上でカチャーシーを舞い、アルベルト城間の「勝利の歌」に合わせたラインダンスで盛り上がった。最後に島袋文子さんが「基地がなくなるまで頑張る」との力強い謝辞を述べて、三時間に及ぶ宴の幕を閉じた。文子さんの左隣には、久米島から駆け付けた姉ノブ子さんが終始笑顔で、妹文子さんのトーカチ祝いを見守った。辺野古新基地は絶対に造らせない!との決意を新たにしたトーカチ祝いだった。
トーカチ祝い後
資材搬入を強行
祝いが終わり人々が帰路に就くのを待っていたかのように、資材搬入の工事車両が動き出した。宴の余韻に浸る余裕もないまま、残った一〇〇人はゲート前に座り込んだ。愛知県知多半島からの参加者四人は「これまで何も知らなかった。勝つまであきらめないとの言葉を信条にして頑張る」と述べた。那覇島ぐるみバスの比嘉さんは「今日は久しぶりに満席だった。NHKの番組で報道された沖縄の核兵器はその後どうなったのか。県民は核を枕に寝ているようなものだ。県民の命は軽い。日本人やめようか、とも思う。命どぅ宝だ。基地のない沖縄を実現していこう」とアピールした。
県警の実力行使に非暴力の抵抗が続く。日本山妙法寺の僧侶も機動隊員に両脇を抱えられて連行されていく。工事車両が入り出ていく間中、ゲートの周辺では「不法工事STOP」「新基地阻止」「海兵隊撤退」のプラカードを掲げた抗議とマイクによる新基地撤回・埋め立て阻止の訴えが激しく行われた。
九月二〇日の第一一回公判で、添田さんにかかる高江の刑特法裁判の審理が終わり、二五日の第一二回公判から、辺野古ゲート前のブロック積みにかかる「威力業務妨害」の審理が始まった。裁判所は鉄柵を設置し職員を総動員した相変わらずの厳戒態勢。傍聴席・被告席から見えないようについたてで隠された証言台の防衛局職員に対する弁護側の反対尋問が行われ、一時間で終了した。三五人が傍聴した。
開廷に先立ち、城岳公園で裁判闘争勝利の支援集会が開かれ、約七〇人が参加した。山城博治さんは「辺野古のブロック積みは警視庁機動隊の暴力に対するやむを得ない正当な抵抗であって、無罪だ。当時、警察は現場にいて終始見ていた。一〇カ月後の事後逮捕は逮捕・起訴の正当性がないことを示すものだ。われわれの平和と生活をかけた闘いだ。安倍には早く長州に帰ってもらおう」とアピールした。稲葉博さんは「久しぶりの公判だ。山城さんと一緒だと心強い。一年以上海外に行かなかったことは初めて」と述べ、会場の笑いを誘った。
嘉手納爆音の平良真知さんは「九月一〇日に放映されたNHK『核と沖縄』を見た。元基地従業員の話を聞くと、弾薬庫には地下二〇m以下の保管場所がありエレベーターで行き来するとのことだ。復帰前沖縄には一三〇〇発の核兵器があったという。与勝半島にも広島型原爆の七〇倍の破壊力を持つメースBの核ミサイル基地があった。那覇では核を搭載したままのミサイルの誤射もあった。爆発していれば沖縄は消滅していただろう。復帰後これらの核はどうなったのか。何人もの国会議員、県議に話を聞いたが、ないと断言できる人は一人もいない。沖縄は完全に無視されてきた。県知事にも基地に対する調査を要請する」と怒りにあふれた強い口調で訴えた。
9.22
北上田さん学習会
「辺野古は今、どうなっているのか?」
九月二二日(金)、南城市大里で、北上田毅さんの学習会「辺野古は今、どうなっているのか?」が行われ、七〇人以上が参加した。北上田さんは次のように述べた。――
今防衛局が進めている工事は、準備が整わないままの工事だ。七月の那覇市議選での立候補者アンケートのうち「辺野古新基地反対、賛成」を問う質問に対し、全体では、辺野古反対三七人、容認一一人だったが、五人は「土砂が入った今質問に意味なし」と答えた。これこそまさに政府のねらいだ。四月二五日から始めた大浦湾側のK9護岸は一〇〇mで止まった。被覆ブロックのないままテトラポッドをおいた仮設工事だ。辺野古側沿岸部での三カ所の工事は工事用仮設道路・取り付け道路の工事で、今後K1、N5の護岸工事の着工が予想される。ケーソン仮置き場の海上ヤードは取りやめになった。ケーソン護岸工事は大幅変更になるだろうが、その場合、設計概要変更申請で知事の承認が必要になる。防衛局は今年一〇月から来年三月までの六カ月の期間で新たな海上ボーリング調査を発注した。石灰岩地質、活断層など海底地盤に問題があることは明らかだ。
知事が毅然と対応する限り事業継続は困難だ。ケーソン工法の変更、美謝川の切り替え等、防衛局の「設計概要変更申請」を知事が承認しないと工事は頓挫する。承認時の「留意事項」によって土砂搬入計画の大幅変更で知事との協議が必至だ。サンゴ類移植のための特別採捕許可も知事権限だ。防衛局は八方ふさがりに陥っている。あせっているのは防衛局だ。かれらは名護市長選、県知事選で状況の転換をはかろうとしている。今後の展望がないまま、県民の諦めを誘うために、当面簡単な工事を進めているに過ぎない。そのために深刻な環境破壊が生じているが、諦めることはない。工事は止められる。知事の毅然とした対応、県民の阻止行動、名護市長選、何より、ゲート前に二〇〇人の座り込み態勢をつくり上げ工事を遅らせよう。そうすれば状況は変わる。
「琉球新報」世論調査
辺野古反対80・2%、
承認撤回76・1%、
オスプレイ配備%反対68・7%
琉球新報社は九月二三、二四日の両日、一八歳以上の県民を対象に、電話による世論調査を実施した。一〇一九世帯に電話し、五一九人から回答を得たという。その内容が九月二八日付の同紙面に発表された。
「【問4】政府は米軍普天間飛行場の代替施設として、名護市辺野古の海を埋め立てて米軍基地を造ろうとしています。あなたはどう思いますか」との質問に対し、「国外」が最多の三四・八%、次いで「移設せずに撤去すべき」が二四・三%、「県外」が二一・一%と続いた。「計画に沿って辺野古に新基地を建設すべき」は一四%だった。「県外」と「国外」、「移設なしの撤去」を合わせた「県内移設反対」は八〇・二%となり、五月の前回調査時より六ポイント増えた。辺野古新基地NO!が変わらない沖縄の民意だ。沖縄の民意を尊重する日本の政治が求められている。衆院選の候補者に問うて見てほしい。「あなたは沖縄の民意を尊重して辺野古の基地建設に反対しますか?」
一〇月一〇日の埋め立て工事差し止め訴訟の第一回口頭弁論(那覇地裁)で、翁長知事が意見陳述する。大結集し、辺野古NO!の県民民意を突き付けよう。
「【問6】辺野古新基地建設を巡る翁長知事の差し止め訴訟とは別に、辺野古海域の埋め立て承認の撤回をすべきだと指摘する声もあります。すぐに撤回すべきだと考えますか」との質問に対し、「すぐに撤回すべき」が四二・八%、「さらに理由を重ねていずれは撤回すべき」が三三・三%で、合わせて七六・一%にのぼった。「撤回すべきではない」は一五・七%にとどまった。翁長知事の「埋立承認取消」を各省庁、裁判所を動員して排除した日本政府に対し、県民はあくまで県の行政権限を行使して「承認撤回」することを求めている。県民はあきらめていない。
「【問1】オスプレイの沖縄配備についてどう考えますか」との質問には、六八・七%が「配備をやめるべき」と答え、「配備が必要」は一一・三%だった。オスプレイの安全性については七二・七%が「危険だと思う」と回答した。「空飛ぶ棺桶」オスプレイの配備撤回は県民の総意だ。
「【問2】オーストラリア沖での墜落後の日本政府の姿勢について伺います。墜落後に日本政府はいったん『飛行自粛』を申し入れましたが、その後、米軍から『飛行は安全だ』との説明を受け、飛行を容認しました。日本政府の姿勢は評価できますか」との質問に対し、「評価する」一四・一%、「評価しない」八〇%と回答した。米軍に追従する日本政府に対する不信は根深い。戦後継続する米軍追従の日本の政治を根底から変え沖縄に人権と民主主義を実現することが県民の願いだ。
矢部宏治『知ってはいけない 隠された日本支配の構造』(2017年、講談社現代新書)がベストセラーになっているという。米軍と政府の官僚が支配する戦後日本の憂うべき現実を多くの国民、特に若い人々に知ってほしい。
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