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    かけはし2017.年10月9日号

関東大震災と朝鮮人虐殺 歴史の歪曲に手を貸すな


共同声明

小池都知事の朝鮮人虐殺犠牲者追悼
メッセージ取りやめに抗議します


 九月一日、関東大震災から九四年目のこの日、震災犠牲者の慰霊式典とともに、震災時の朝鮮人に対する大虐殺の被害者への慰霊式典に対して、東京都知事が追悼メッセージを送ることが恒例となっていた。名うての排外主義者である石原慎太郎でさえもメッセージを送っていたのである。しかし今年、小池百合子東京都知事はメッセージを送ることを拒否した。きわめて意識的な差別排外主義の主張だ。この行為に対して、作家、表現者たちから抗議の声明が発表された。本紙もこの声明を支持し、転載する。(8面に関連記事・編集部)

小沢信男(作家) 加藤直樹 (ノンフィクション作家) 香山リカ(精神科医) 斎藤美奈子(文芸評論家) 坂手洋二(劇作家・演出家) 島田虎之介(漫画家) 島田雅彦 (作家) 鈴木 耕 (一般社団法人マガジン9代表理事) 田中正敬(専修大学文学部教授、歴史学) 永井 愛(劇作家・演出家) 中川五郎 (フォーク歌手) 中川 敬 (ミュージシャン/ソウル・フラワー・ユニオン) 中沢けい (作家) 中島京子 (作家) 平井 玄(路地裏批評家) 平野啓一郎(小説家) 平松洋子(エッセイスト) 星野智幸(作家) 森まゆみ(作家・編集者) 山本唯人(東京大空襲・ 戦災資料センター主任研究員) 吉野 寿 (ミュージシャン/eastern youth) (以上、アイウエオ順、敬称略)

 私たちは、9月1日に行なわれた朝鮮人虐殺犠牲者追悼式典に対しての追悼メッセージ送付を取りやめた小池百合子都知事の決定に、抗議します。多民族都市・東京の多様性を豊かさとして育んでいく上で、 関東大震災時の朝鮮人虐殺という「負の原点」を忘れず、 民族差別によって非業の死を遂げた人々を悼むことは重要な意義をもっていると考えます。
1923年9月1日に発生した関東大震災では、 都市火災の拡大によって10万5000人の人々が亡くなりました。 その直後、「朝鮮人が暴動を起こした」 「井戸に毒を入れた」といった流言が広まり、関東一円で朝鮮人や、朝鮮人に間違えられた多くの人々が虐殺されました。
このとき、内務省や警察が流言を拡散してしまったことが事態を悪化させたこと、一部では軍人や警官自らが虐殺に手を染めたことは、 内閣府中央防災会議がまとめた「1923関東大震災報告第2編」でも指摘されています。
東京に住む人々が隣人である朝鮮人たちの生命を奪 い、それに行政が加担したのです。歴代の都知事が、横網町公園の朝鮮人犠牲者追悼碑の前で行われる虐殺犠牲 者追悼式典に追悼のメッセージを送ってきたのは、「二度と繰り返さない」という東京都の決意を示すものでした。またそれは、1973年の追悼碑建立の際に当時の都知 事はもとより東京都議会の各会派が賛同した経緯をふまえたものでもあったはずです。碑の建立と毎年の追悼 式に参加してきた人びとの思いは決して軽くはありませ ん。
ところが小池都知事は今年、 メッセージ送付を取りやめました。私たちは、この誤った判断が、むしろ「逆のメッセージ」として機能することを恐れます。史実を隠ぺいし歪曲しようとする動きに、東京都がお墨付きを与えてしまうのではないか。それは追悼碑そのものの撤去まで進むのではないか。差別による暴力を容認することで、 災害時の民族差別的流言の拡散に再びつながってしまうのではないか――。メッセージ取りやめが、そうした方向へのGOサインになってしまうことを、 私た ちは恐れています。
東京は、すべての国の人々に開かれた都市です。さまざまなルーツをもった人々が出会い、交わる街です。その出会いが、この街に次々と新しい魅力を生み出してきました。多様性は面倒や厄介ではなく豊かさだと、私たちは考えます。 街を歩くたびに聴こえてくる様々な国の言葉は、東京の「恐ろしさ」を示すものではなく、豊かさの証拠であることを、私たちは知っています。
東京の多様性をさらに豊かさへと育てていくために は、民族をはじめとする差別が特定のマイノリティー集団に向けられる現実を克服していく必要があります。民族差別が暴力として爆発した94年前の朝鮮人虐殺を記憶し、追悼し、教訓を学ぶことは、そのための努力の重要な一部であると、私たちは考えます。それは、多民族都市・東京のいわば「負の原点」なのです。
私たちは小池都知事に訴えます。来年9月には虐殺犠牲者への追悼メッセージをあらためて発出してください。虐殺の史実を教育や展示から排除するような方向に、 これ以上進まないでください。
そして、いま東京に生きている、あるいは東京に縁をもつ人々にも訴えます。94年前に不当に生命を奪われた隣人たちを悼み、それを繰り返さないという思いを手放さないでください。虐殺の史実を隠ぺいし捻じ曲げる動きを許さず、未来の世代に教訓として伝えていくべきだと、行政に、都議や区議に、声を届けてください。そのことが、多様性が豊かさとして発揮される東京をつくっていく上で重要な意義を持つと、私たちは考えます。 2017年9月15日 声明とりまとめ▼加藤直樹 声明についての連絡先▲seimei1923@gmail.com

9.24

欠陥機オスプレイ飛ばすな

翁長知事の差し止め訴訟支持

新宿デモに210人


 九月二四日午後二時から、東京・JR新宿東口アルタ前に集まり、「欠陥機オスプレイを飛ばすな!翁長知事の差し止め訴訟を支持しよう!辺野古新基地建設反対9・24新宿デモ」が主催:辺野古への新基地建設許さない実行委員会で行われ、二一〇人が参加した。
 最初に、実行委が「@新基地建設のための辺野古工事をやめろ Aオスプレイを飛ばすな B先島諸島への自衛隊配備反対の主旨にそって集会・デモを行う」と主催者あいさつをした。
 次に、沖縄から大城悟さん(沖縄平和センター事務局長)が「海のK9護岸工事は三分の一程度。大型の工事はハードルが高い。出来るところから工事をやっている。断固抗議していく。必ず基地建設を止める。沖縄に配備されていた米国の核ミサイルの実態を暴いたドキュメンタリーには衝撃を受けた。日本政府は核配備を容認していた。今でも核の存在について米国は回答しない。憂慮すべき事態だ。しっかり、今の政治をただす。衆院が解散し、総選挙になる。再び民意をしっかり示す。その後の名護市長選、民主主義、国民主権を示し、戦争へと向かうアベ政治を止める。闘っていこう」とアピールした。
 沖縄・座り込みへの弾圧が続く中、弁護士の確保のためのカンパが呼びかけられ八万三〇〇〇円が集まった。その後、参加したFoEジャパン、警視庁機動隊の沖縄派遣を止める住民訴訟、新宿・リレートーク、デマを流すMXテレビに謝罪を求める市民運動、在日韓国青年同盟から連帯のあいさつがあった。発言の後、元気よくシュプレヒコールを行い、新宿駅を一周するデモを行った。途中南口で、総行動の宣伝隊と出会い、お互いにエールの交換をして励まし合った。  (M)

9.29

オスプレイが緊急着陸

オイル漏れでエンジン異常

ただちに沖縄・日本から撤退を

 九月二九日午後五時前、アメリカ軍普天間基地所属のオスプレイ二機が訓練に向かうために飛行中、一機に警告灯のランプが点灯したため、石垣市にある新石垣空港に二機が緊急着陸した。右側エンジン付近から、オイルが漏れていたという。三〇日午後四時過ぎに空中給油機が飛来し、オスプレイの乗務員を乗せて演習先のフィリピンに向かったという。
 一方、シリアでは現地時間の二九日早朝に、オスプレイが墜落し、乗務員二人がケガをしたという。相次ぐオスプレイの墜落事故などに沖縄県民から怒りの声が上がっている。
 三〇日午後に、新石垣空港前で、市民団体三〇人が抗議集会を開いた。「欠陥機オスプレイは配備するな!」「オスプレイは、沖縄・日本から撤退せよ」などと書かれたプラカードを掲げた。市民団体代表が「エンジントラブルとはいえ、民間空港に緊急着陸するのは言語道断だ。この周辺に墜落していたかもしれないと思うと、断固許すことはできない」と訴えた。「故障だらけのオスプレイはいらない。石垣空港にオスプレイを入れる」とシュプレヒコールをあげた。
 参加者の農業の男性は「事故はよその国や県で起きていると思っていたが、まさか石垣島で緊急着陸があるとは驚いた。憤りを感じる」と話し、別の女性は「常態化させないためにも、阻止する動きをしていきたい」と語った。
 昨年暮れの名護沖でのオスプレイの墜落事故、八月のオーストラリアでの墜落死亡事故、九月に入ってシリアでの墜落事故とオスプレイは重大事故を立て続けに起こしている。ただちに欠陥機オスプレイの飛行停止と配備の中止を求める声を大きく広めていこう。なお、この記事は石垣島の在住で抗議行動に参加した友人から送られた資料を参考にした。  (M)




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