もどる

    かけはし2017.年10月2日号

STOP 改憲! 安倍打倒


総選挙で9条改憲阻止の意思を

戦争国家と格差・貧困を拒否する

労働者・市民と野党の共同闘争を!


追い詰められた安倍

 安倍自民党は、九月二八日に召集される臨時国会の冒頭に解散することを決定した。なぜ自民党は、党内一部からの異論を抑え込み、そして与党である公明党との調整も不十分なまま、突然このような賭けに打って出たのだろうか。総選挙の公示は一〇月一〇日、投票日は一〇月二二日と予想されている。
 安倍政権が、これまでの議会的ルールをも踏みにじった委員会採決ぬき「中間報告」という強硬手段でむりやり本会議採決に持ち込んで「共謀罪」法案を成立させたのは、何よりも安倍首相本人(ならびに昭恵夫人)のスキャンダルにほかならぬ「森友・加計」問題を覆い隠し、二〇一八年にも九条改憲プログラムを強行するという目標のためだった。そのためにも衆参両院で与党・改憲勢力が三分の二を占めている現状の力関係を維持したまま、つまり解散・総選挙の時期を任期末の来年一二月まで引き延ばし、それ以前に九条改悪を発議して、国民投票に持ち込むだろう――これが多くの人びとの判断だった。
 しかし、「森友・加計」問題という安倍首相本人にかかわるスキャンダル、あるいは稲田防衛相という安倍が登用した極右取り巻き人脈の象徴とも言うべき人物による、あまりにもお粗末な「南スーダン自衛隊PKO派兵」にかかわる疑惑隠しや都議選中の違法な暴言(「防衛省・自衛隊からも自民党候補への支持を呼び掛ける」)は、改憲スケジュール自身の再検討を余儀なくさせるものだった。

「疑惑隠し」を許さない
 
 六月一八日に国会を閉じた後、野党の側は一貫して臨時国会を早期召集し、森友・加計疑獄などを解明するよう要求してきた。しかし安倍政権は、こうした要求を拒否し続けた。
 七月二日投票の東京都議選で、自民党はかつてない大惨敗を喫した。圧勝したのは、小池百合子東京都知事「お手盛り」の「都民ファースト」だった。自民党と安倍政権への支持率は東京都知事選を通じてこれまでの最低レベルに落ち込んだ。都知事選後、七月初旬の世論調査では、安倍政権への支持率は軒並み三〇%台(時事通信では三〇%以下)にまで減少し、不支持率が急増した。八月三日に発足した安倍第三次改造内閣は、昨年の東京都知事選で小池百合子を支持した野田聖子を総務相に登用するなど、「お友達内閣」を超える印象を与えるものとなった。
 一方、野党第一党の民進党は都議選敗北の責任を取らされた蓮舫の後継党首選で、共産党をふくむ「野党共闘」に否定的な保守派の前原誠司が枝野幸男に圧勝することで、「共闘」の枠組みは大きく揺らぐこととなった(九月一日)。
 安倍自民党は、この機会をとらえて賭けに出た。臨時国会冒頭解散である。七月から八月にかけて三〇%台にまで後退した安倍政権の支持率は、民進党の低迷や前原党首の下で幹事長に内定していた山尾志桜里のスキャンダルなどもあって、回復の兆しを見せている。また前原党首の下で、共産党をふくむ野党共闘に対して否定的な動きが民進党内で広がっている。冒頭解散を行えば「森友・加計」疑獄と安倍首相本人の関与への追及を避けることが可能だ……。これが安倍政権のねらいだろう。
 安倍政権は、第一九三通常国会の会期を当初の日程通りに六月一八日に閉じた後、野党による臨時国会開催の要求を三か月にわたって拒否してきた。「森友・加計」疑獄の追及をかわすためである。そしてこの間、急激に態度を変更して臨時国会を召集し「冒頭解散」を強行しようとしているのは、言うまでもなく前原民進党体制の下での「野党共闘見直し」を利用し、野党の分断を通じて新たな「三分の二」体制を強化し、九条改憲の実現を確実なものにするためである。

「北朝鮮危機」を口実に
 
 報じられている自民党の「公約素案」は「@アベノミクスの総仕上げA人づくり革命の実現で『全世代型社会保障』の確立B働き方改革の実現C北朝鮮への『圧力』の継続D憲法改正案の国会提出」を掲げている。安倍首相は、消費税を二〇一九年一〇月に一〇%にまで上げ、その増税分で「教育の無償化」の実現、「全世代型社会保障」(高齢者中心の社会保障を低所得者・若年層に広げる)などの骨格を提起している。
 「アベノミクス」「人づくり革命」などの新自由主義的グローバル化の中で「生き残るための競争」を人々に強いるテーマとセットで、北朝鮮への「圧力」強化と憲法改悪を改めて重点課題として掲げていることに注意を払うべきだろう。
 なおこの点に関連して、麻生太郎副総理が九月二三日の宇都宮市での講演の中で、「北朝鮮からの大量難民」に触れて、「武装難民かもしれない。警察で対応するのか、自衛隊、防衛出動ですか。射殺ですか。真剣に考えなければならない」と語ったことについて、「いつもの無責任な麻生節」と軽視することはできない。少なくとも安倍改憲の論理が、「武装難民の武力撃退」というレイシズムの論理とつながっていることに警鐘を乱打する必要がある。

「小池新党」の危険な役割

 二〇一六年七月参院選で民進党から共産党にいたる野党は、全国三一すべての一人区で野党共闘を成立させ、うち一一で勝利した。これは二〇一三年参院選では自民党が二九勝二敗だったことに比べれば大きな成果だった。
今回の総選挙において、多くの小選挙区で九条改憲阻止をベースにした基本政策にもとづき、安倍政治に対決する野党共同候補が擁立できれば、それは安倍の九条改憲を阻止する橋頭堡となるだろう。
今回、重大な注意を払わなければならないのは、小池百合子東京都知事を中心とした「新党」の動向である。小池新党(「希望の党」というネーミングが取りざたされている)については、民進党離党組だけではなく、自民党衆院議員で内閣府副大臣の福田峰之衆院議員、極右派「日本のこころ」代表である中山恭子参院議員も参加を表明した。東京都議選で第一党となった「都民ファーストの会」への投票は、安倍自民党に対するさまざまな回路からの批判票として捉えることもできた。しかし今回の「小池新党」については、その参加者の系譜からして、明らかに安倍政権補完勢力としての性格を、よりハッキリさせたものとなるだろう。
われわれは、今回の総選挙において何よりも改憲阻止・共謀罪廃止・原発反対・沖縄の反基地闘争勝利等の課題を掲げた共産党から民進党にいたる共同候補の擁立と当選のために、それぞれの小選挙区で活動する。さらに比例区においては、共産党、社会民主党への投票を呼び掛ける。
一〇月二二日投票の総選挙を、九条改憲を阻止し、原発をなくし、沖縄の基地を撤去し東アジアの平和を実現するための重要なステップとするために全力を上げよう。安倍政権を打倒しよう。
(九月二五日 平井純一)


もどる

Back