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    かけはし2017.年9月11日号

韓国市民革命に学ぼう


8.6

安珍傑さん(参与連帯事務処長)が講演

東アジアの非核化実現を

世界史に記憶されるべき闘い


 【大阪】戦争あかん!ロックアクションと日朝日韓連帯大阪連絡会議(ヨンデネット大阪)の主催で、東アジア青年交流プロジェクト・大阪平和人権センター・「しないさせない!戦争協力」関西ネットワークの協力による講演会が八月六日、PLP会館で林真樹さん(ヨンデネット大阪)の司会で開かれ、二〇〇人の市民が参加した。講師は安珍傑さん(アンジンゴル・韓国参与連帯事務処長)で、通訳・解説は金光男さん(キムクァンナム・在日韓国研究所長)が行った。
 服部良一さん(戦争あかん!ロックアクション)が主催者あいさつをし、広島原爆記念日で犠牲者に黙祷。一万七〇〇〇人の会員を持ち、二億円の年間予算・六〇名の専従で運営されている参与連帯は、不正政治家の落選運動や反戦平和・反財閥運動などさまざまな運動を二〇年にわたって展開し、昨年秋からのキャンドル市民革命では決定的な役割を果たした。「文政権は大変な課題を抱えているが、圧倒的な市民の支えを力に前進するのを見守りたい」と述べた。

逮捕者・負傷
者ゼロの闘い
韓国市民革命は世界史に記録されるだろう
金光男さんが講演に先立ち解説をした。「公権力を私的利益のために使ったことが罪の核心だった」「キャンドル集会はまるで祝祭の雰囲気で、政党のあいさつは一切なく、非正規労働者がアピールしたり、人によっては同窓会集会であったという人もいる」「開放的な市民の自立的な運動で、そこから市民権力が生まれた」「女子高生が持っていたポスターに、五%になったらバッテリーを交換しなければいけない、とあった。スマートフォンの充電残量を朴槿恵の支持率にかけている。このポスターのことが忘れられない」「二〇〇〇万人以上が集まった集会で、一人も逮捕者も負傷者も出なかった。市民による革命で、世界史に記憶されるだろう」と述べた。   (T・T)

安珍傑さんのお話

学ぶことができれば
勝利も可能となる


参与連帯は、地下一階地上五階の自社ビルを持ち会費で運営されている。ビルの場所は青瓦台から五〇〇メートルの場所、権力を常に監視し市民に伝えるためだ。日本との交流を望んでおり、日本語の冊子もつくっている。セウォル号事件の真相究明を訴えてきた。遺族を罵倒する朴槿恵大統領は許せない。キャンドル集会の直接の契機は、崔順実ゲート事件(女性実業家・崔順実が朴槿恵大統領を通して国家機密情報を入手し、国政の運営や政府の人事に関して大統領に助言を与えていたほか、崔順実の血縁者が文化・体育関係の財団を相次いで設立し、そこで不正をほしいままにしてきた、と言われる)だった。保守政権の一〇年間に人権・民主が後退し格差が拡大し、もうこれ以上は許されなかった。韓国の政治に財閥が大きな力を持ってきて、「地獄の朝鮮」という言葉があるが、大きな格差を何とかしなければいけなかった。

「同窓会革命」
という評価も
最初の集会は三万人規模。過激な行動をすればそれを口実に弾圧される。一部に過激な行動をする人たちがいて、警察車両を乗り越えようとしたが、市民が説得して止めた。家族や普通の市民に対してはずかしいキャンドル集会にしてはいけないと話した。この革命は市民革命と呼ばれるが、家族革命や同窓会革命と呼ぶ人もいる。昨年一一月、民衆総決起大会で警察が撃った放水銃の直撃を受けた農民ペク・ナムギさんが死亡した事件があり、怒りを感じていた。キャンドル集会には各国の留学生も参加し、外国通信社は継続して取材した。集会では、財閥総帥の拘束を要求した。彼は今拘束されている。市民革命は大成功し、普遍的に民主を求める市民がいることを示した。外国通信社は文政権に期待を持っている。社会格差以外に南北の問題も解決しなければいけない。韓国は、労働時間最長、出産率最低、財閥支配と課題はたくさんある。
文政権は財閥中心ではなく、国民に再分配される経済を構想し、最低賃金が一五%引き上げられた。非正規労働の問題の解決は、日本と共通している。ゼネラルユニオンの事務所に貼ってあった、「最賃アップ」「原発反対」「外国人労働者の権利」など全て参与連帯と同じだ。これらのことが文政権の下で解決されるよう努力していきたい。これ以外に、南北の問題、THAADミサイル問題がある。これについては、キャンドル集会に参加していた人々の間でも考えが異なる。米国の影響が大きい問題だ。文政権は、北が米国との直接対話を望んでおり、南北交流が遅れるのではないかと心配している。THAADについては、文政権支持者の中にも配備反対の人もいる。韓国の極右は配備賛成だ。しかし、この問題は、日韓の市民で平和的に解決できるのではないかと思う。フクシマ事故以来、韓国でも反原発運動が盛り上がっている。文政権は、古い原発は停止し新しい原発建設の中断を命じた。アジアの平和・米軍を考えるとき、原発にも反対でなければいけない。

ソウル市長が
果たした役割
文大統領は各国首脳がキャンドル集会のことを知っていて驚いたと言っていた。光化門広場は今や韓国の新しい観光名所になっている。日本の被爆者団体が来たときも、キャンドル広場に案内した。キャンドル集会を考えるとき、朴元淳市長の存在が大きいと人々は思っている。知日派はよい意味で使うが、代表的な知日派だ。彼が書いた本は大きい影響を与え、中央権力に対する闘いで草の根市民団体が生まれた。次の大統領の有力候補だ。彼が、キャンドル広場に平和裏に市民が集まれるよう、参加者の安全確保のために消防署員を動員した。トイレの解放要請にも応じて、ありとあらゆる準備をした。二〇〇〇万人が集まり、一人の負傷者もいない、奇跡だ。その他、彼の貢献したことのひとつは、地下鉄乗降者人数から求められる参加人数の正確な発表(警察発表はその一〇分の一)。メディアもこちらを重視した。彼は、日本を頻繁に訪れ、神戸や京都で大学授業料のことで討論会をやり、授業料の半額要求を掲げた。韓国でも、大学奨学制度は拡大した。

同じ問題抱え
る日本と韓国
政権交代が実現し、文政権の支持率は高い。しかし、キャンドル市民革命は終わっていない。未だに、財閥の力は絶大で、労働者は半分が非正規。労働時間が最長、労働災害が多発している。支持が高いときにこの問題に取り組むべきだ。もしこのことをおろそかにするなら、文政権とも闘う。これ以上大事なものはない。過労死深刻、日本と同じだ。労働時間を減らし、安心して生活できるようにしたい。
THAAD配備は衝撃を与えている。文政権が冷戦政策をとるなら文政権と闘う。韓国は北も祖国と考えているので、北を助けないということは、南北の問題を解決しないということだ。半島を戦争で汚してはいけない。米国の要求を減らしていく。難しい問題だが、助けてほしい。これは、周辺四カ国(韓中日米)との連帯の問題だ。
キャンドル集会で悟ったことは、それは集会では主人でも家では違う。金のあるなし、格差問題がある。労働者は労働組合に、市民は市民運動に参加しよう。労働組合と市民運動と政党が共に活発であることが真理であり、右翼化を食い止める道だ。韓国は労働組合組織率は一〇%。学生運動は退潮。その間隙を市民運動が埋めている。労働組合がなければ解決できない。
今市民運動は、労働組合との交流を強めようとしている。ノルウエーでは労働組合加入率が高く、五人に一人はアムネスティの会員、人権民主が守られている。日本と韓国は同じ問題を抱えている。でも、韓国にはないが日本には生活協同組合が発展している。動物の権利を守る運動が盛んな韓国。市民運動は多様だ。
キャンドル後、ともに民主党の支持率は五〇%、韓国進歩党は五%から一〇%に増えた。ともに民主党には、もっと鮮明な主張を!進歩党には、もっと強くなれ!と言いたい。これらがともに発展してこそ問題が解決する。文政権が解決できないなら、もう解決できない。それを考えると頭が痛い。文政権を支持しながら闘わねばならない。日本に来ると希望を与えられる。強く学ぶことができれば勝利できる。
(講演要旨:文責編集部)

7.21

ロシア革命100周年シンポ

連続講座も始まりました

マルクス・エンゲルスからトロツキー・グラムシまで

 

 七月二一日、トロツキー研究所とアジア連帯講座の共催で森田成也さん(大学非常勤講師)を講師に連続講座「永続革命としてのロシア革命――マルクス・エンゲルスからトロツキー・グラムシまで」 をテーマに第一回「マルクス・エンゲルスの後進国?命論の変遷」が行われた。
 講座は、「今年は一九一
七年のロシア革命一〇〇周年に当たります。言うまでもなく、 一九一七年ロシア革命は、歴史上初めて成功したプロレタリア社会主義革命であるというだけでなく、この革命の一〇年以上前からその発展力学が主要 な参加者によって予見されていた世界で最初の革命でもあります。マルクス主義はその際、最も重要な理論的ツールとなりました。『永続革命』として成功したロシア革命の発展力学を理解するために、マルクスとエンゲルスのロシア革命論から始まって、プレハーノフとレーニンを経て、トロツ キーとグラムシに至るまでのマルクス主義革命論の歴史を四回にわたって改めてきっちりと振り返ります。それによって、ロシア革命の歴史的意義とその限界とを理解し、二一世紀における反資本主義革命を展望するための理論的基礎を学びます」 という位置づけのもとに開催した。

永続革命とし
てのロシア革命
森田さんは、講座開始にあたって冒頭、「今年はロシア革命一〇〇年ということですが、さまざまな切り口からロシア革命を論ずることができると思います。ロシア革命そのものの意 義であるとか、今日におけるその教訓であるとか、あるいは世界史におけるロシア革命の位置づけなど、いろんな視角から検討できると思います。そうした中で今回の講座は、より理論的にロシア革命の問題にアプローチしたい。マルクスとエンゲルスから始まってさまざまなマルクス主義者によって ロシア革命あるいは後進国革命というものがどのように理解され、解釈され、概念化されていったのか、そういう切り口からじっくりと分析したいというのが講座の目的です」と述べた。
そのうえで「マルクス・エンゲルスとロシア革命との関係と言っても、二つの論点、二つの基軸がそこには絡み合っています。第一の基軸は、マルクス・エンゲルスの後進国革命論、もっと限定すれば、ドイツ革命論です。今日は第1の機軸についてのみお話し、 次回にマルクスとエンゲルスのロシア像、ロシア革命像についてお話します」と説明した。
第一回講座で森田さんは、@革命論の弁証法的発展モデルAドイツ革命論の最初の出発点B史的唯物論の確?と革命論の転換C一八四八年革命の衝撃とドイツ革命論の再転換D反動期におけるマルクスとエンゲルスのドイツ革命像E『経済学批判』序言と『資本論』初版序文F晩年のマルクスとエンゲルスにおけるドイツ革命論─について提起した。
なお第一回講座の全文(PDF)は「かけはし」HPに掲載しましたので参照してください。  (Y)

 



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