社会変革労働者党 8・15にあたっての声明
韓半島の戦争危機、それ自体が清算する積弊だ
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「火炎と怒り、世界が以前には見たことのない力に直面するだろう」、トランプは直接戦争を取り上げ、北朝鮮は「ソウルを火の海にする」と応酬した。8月、戦争危機説は再燃した。韓国が米国の北東アジア前進基地に残っている限り、韓半島が周辺4大国の覇権が衝突する場として残っている限り、戦争危機はなくならない。米国の帝国主義、覇権戦略、そして韓半島を貫通する4大強国間の葛藤は、時に南北間軍事的衝突につながり、これは韓国で随時開かれる「公安政局」の基盤だった。
文在寅(ムン・ジェイン)政府は、米国の北朝鮮制裁を歓迎する一方、サードの配置を急ぎながら米国東アジア戦略の下位同盟者を自任している。しかし、米国の覇権戦略の一部になる瞬間、弊害の清算は不可能だ。 戦争の危機を口実にした「右寄り」、見慣れた現状況自体が清算する積弊だ。韓国支配者たちは常に存在する戦争の危機を口実に政治状況を統制して進歩的要求を押さえつけてきた。
「北朝鮮=社会主義=悪」という等式が成立して、韓国資本主義が生んだヘルチョソン(地獄の朝鮮)を根本的に変えるための労働者、民衆の運動は、それ自体が犯罪になる。国家保安法は、堂々と生きている。金大中(キム・デジュン)政権は1千人以上を国家保安法違反で拘束し、盧武鉉(ノ・ムヒョン)政権でも、国家保安法の起訴人員は300人を超えたのを記憶しなければならない。公然と売られている社会科学書籍は利敵表現物になり、労働者ストに連帯したことは、犯罪行為になった。 国情院工作政治も同じだ。北朝鮮の脅威を防ぐという口実で、広範な工作政治が行われ、政権に反対するすべての行為には「従北」というレッテルが張られた。まさに今、米国の覇権戦略の一部となることは弊害清算の終わりだ。戦争危機の終息こそ弊害清算の土台だ。
「戦争が起こっても、韓半島で起こることだ。数千人が亡くなってもそこで死ぬので、ここで死ぬのではない」というトランプの言葉通り、戦争が起きれば死に、負傷するのは、韓国民衆である。状況がこうであっても政府は環境影響評価までサードの追加配置はないと言ったが、たった一日だけで言葉を変えてサード4機追加配備を指示した。
「韓半島問題は韓国が主導する」と明らかにしていた文在寅政府はむしろ米国との協力に没頭している。経済的レベルでも同じだ。文在寅政府は公約集に「米国とのFTAを基盤に、戦略的な絆を持続する」と明示しており、候補時代、文在寅本人も「盧武鉉政府のFTA推進に対して自負心を持っている」と話した。また、当時、韓米FTA締結を担当した金鉉宗(キム・ヒョンジョン)を通商交渉本部長に就かせた。
トランプの韓米FTA再交渉要求によってサービス領域開放の圧力はもちろん、教育・医療・逓信など公共部門の民営化の圧力はさらに激しくなるのだ。これによって、労働者、民衆の人生が生き残りのために、さらに激しい競争で埋められるのだ。韓米同盟は労働者、民衆を危機へと追い立てる。
米国の下位同盟者を自任する限り平和も、労働者、民衆の生活も守ることはできない。今必要なのは韓米日協力で北朝鮮を圧迫して制裁するのではなく、従来の停戦協定を平和協定に転換することだ。サードの追加配置の撤回はもちろん、サード装備一切を星州から撤退させ、韓半島の戦争の危険性を高める、韓米合同軍事演習を中止しなければならない。
まさに今、米国の経済的・軍事的覇権追求を拒否して韓半島の戦争危機を終わらせなければならない。これが、光復72周年を迎えた労働者、民衆の要求だ。
8月14日
社会変革労働者党
2017統一先鋒隊
「戦争反対、韓米軍事訓練中断」を要求
二大労総(民主労総と韓国労総)と大学生で構成された「2017統一先鋒隊隊員たちが14日午後、ソウル龍山区のノクサピョン駅近く米軍基地、韓米連合司令部の前で「米国糾弾大会」を開き、韓半島戦争をエスカレートさせるトランプ大統領を糾弾して、韓米軍事演習の中断と龍山(ヨンサン)米軍基地の環境汚染の即時謝罪と原状回復などを要求した。
特に8月下旬に開かれる韓米合同軍事演習の乙支(ウルチ)フリーダムガーディアン(UFG)訓練を歴代最大の規模で進行しようとしている中で「米大統領トランプは今、いくつかの軍事的オプションに悩むことを越えて、韓半島で戦争も辞さないとしている。数千人が死亡したら、それはあちら(韓半島)で死ぬのであり、こちら(米本土)で死ぬことはないだろうと話したと、米国の上院議員の一人が明らかにした」、「戦争と平和の岐路の間で必ず私たちは平和を闘争で勝ち取らなければならない」、「そのためには直ちに韓米連合軍事演習が中止されなければならず、韓半島における米国の戦争ごっこを実際に中断させなければならない」と主張した。
また、2017の統一先鋒隊の隊員たちが汚染された米軍基地を直接整理すると主張し、保護服とシャベルを手にして米軍部隊の入口で警察と対峙しながらパフォーマンスを行って、トランプ大統領の顔と戦争反対と書かれた模型に火をつける火刑式を断行した。
「2017統一先鋒隊」は「世界最大の火薬庫になっている韓半島では対話と平和交渉開始だけが答だ」とし、「韓半島の真の平和を定着させるために、われわれ統一先鋒隊が先頭に立って闘争する理由だ」と明らかにした。彼らは今日午前、龍山(米軍基地の輸送廠の前で事前集会を開催してノクサピョン駅を過ぎて韓米連合司令部前で集会を断行して、戦争記念館前で整理集会後行動を完了した。
明日15日は、光復73周年を迎えて労働者、農民、貧民、女性、青年学生など各界の大衆団体が集まって、「主権回復と韓半島平和実現8・15汎国民大会」を開催し、その後米国大使館と日本大使館を取り巻く人間の鎖行動の平和行動を進める計画だ。(「労働と世界」より)
平和の定着が最重要
米国相手に
脅迫性求愛
南韓(韓国)の新政府が対話のチャンネルを開くために、さまざまな融和的シグナルを送ってきたにもかかわらず、北韓(北朝鮮)はまるで目もくれず、むしろミサイル発射の頻度や強度を高めている。なぜ、そうなのか。北韓の核実験や中距離弾道ミサイルの「挑発」は対南の脅しでも誇示でもなく、米国に向けた「脅迫性求愛」の唯一無二の手段であるからだ。現在の停戦協定を平和協定に変え、米国と正式の国交を樹立して現体制を認定されること、北韓はそれが自国の安危のための絶対絶命の先決条件だ。そうしなければ、北韓もいびつな軍備規模を持った「戦争国家」ではなく、普通の国家の道を歩むことができないからだ。
「悪い均衡」
もう終わりに
そこで北韓がすぐさま核・ミサイルと北・米修好をバーターしようというのではない。まず米韓連合軍事訓練の中断や核・ミサイル実験の中断だけでも交換することはできるのだ。けれども米国側は無条件の核・ミサイル放棄だけ要求するばかりで回答はない。
北韓が核実験や大陸間弾道ミサイル(ICBM)の開発に乗り出す前から、関係を改善する機会は少なくなかったにもかかわらず、米国は一貫してそれを無視した。そのような米国の態度は今日の北韓を核・ミサイル信奉国家に仕立ててしまった。米国はなぜ北韓と根本的な関係改善をしないのだろうか。具合いの悪いことに、そのような関係改善こそが米国が最も忌避する結果であるからだ。韓(朝鮮)半島に緊張の要因が消え去れば、東アジアに対する米国の介入を正当化する最大の要因がなくなり、それは中東と東アジアを2つの軸としている米国の世界経営戦略上、大きなつまずきへと結びつく。北韓に現存している脅威は、米国にとって東アジア戦略の重要なテコと言うわけだ。
これはとてつもない発見だとか秘密に属するなどということではない極めて常識的判断であるにもかかわらず、異常なことに国際政治の場では公然とした論議はされない。真剣に韓半島の緊張解消や東アジアの平和を望むのであれば誰であれ米国に対し北韓との不可逆的関係改善をまず要求しなければならない。北韓以外には、誰も米国に対してそれを真顔で要求したことはない。中国も、ロシアも、日本もみな一緒だ。それらの国々もまた韓半島の緊張状態が自国の利益に合致すると見ているからだ。彼らは最も重要な解決策に沈黙のカルテルを維持しつつ、互いに批難し、ときには助け合いながら、この悪い均衡の状態を恒久化している。
南韓は違う。北韓と共に南韓にも同様に分断と緊張の状態は国家の正常な発展を阻害し、構成員の心身を深く病むようにさせる。分断と緊張の事態を前提とした南北の敵対的依存関係が自らの存立に決定的利得となる極めて一部の集団を除いて、真の平和を望まない人はいない。ところが不幸なことに南韓の人間の大部分は、緊張状態を維持させている最大の責任を米国に問うのではなく北韓に問う。何とか対話しようと哀願している人の過激な態度を批難するばかりで、対話を受けてくれない人の過ちは考えようともしない。
他と同じに
対話が必要
国家としての北韓がいかなる歴史的過誤をしでかしたか、現在いかなるあり様を示しているかは重要ではない。われわれは、かつての植民支配国たる日本とも、北韓にも敗けず劣らず人権蹂りんをほしいままにしている国々とも正常的外交関係を結んでいるではないか。ムン・ジェイン政府がすることは、対米圧迫用の明らかな北韓の核・ミサイルにつれられて過敏反応を示すのではなく、米国に堂々と平和協定の締結や対北修好を要求することだ。そうでなければ少なくとも韓米連合訓練でも当分間、中断しようと言うことができるのでなければならない。韓米同盟がいかに重要かと人々は言うけれども、韓半島の平和の永久的定着に勝る重要なことが、あるわけがないではないか。(「ハンギョレ21」第1174号、8月14日付、「ノーサンキュウ」欄、キム・ミョンイン仁荷大教授/季刊「黄海文化」主幹)※このコラムは「ハンギョレ21」の編集方向と一致しないこともありえます。
映画「軍艦島」によせて
映画「軍艦島」が7月26日に封切られました。韓国で才能ある人と言えば、まずこの人と言われるリュ・スンワン(柳昇完)監督が作った「軍艦島」は封切当日に観客97万人を集めました。この勢いなら1千万人の観客動員数も問題なさそうです。映画が興行大ヒットの兆しを見せると、日本の右翼「産経新聞」などは「映画は事実を歪曲している」と不満をぶちまけました。
まだ映画を見ていない私が「軍艦島」の話を持ち出すのは、小説「カマグィ」(「軍艦島」という名前で新たに刊行)を通じて軍艦島を韓国社会に初めて紹介したハン・スサン作家のせいです。ハン作家と私は2015年6月に一緒に島を訪問しました。
軍艦島の公式の名称は「端島」です。長崎港から船に乗って40分ぐらいすれば到着します。遠くから見れば島は文字通り海の上に浮かんでいる軍艦のようです。ハン作家と私はがやがやと賑やかな日本人観光客の間に混じって島を見て回った後、何か落ちつかない気持ちで島を離れました。
ハン作家は、15歳で軍艦島でのむごい労働にさらされた故ソ・ジョンウさんと1990年に初めて島を訪れた話をしてくれました。
「その日、ソさんと私は互いに押しあい引き上げながら、とても高い防波堤の上にあがって行った。ソさんは『いつも腹が減っていたということしか思い出さない』と言って暗い思い出を払い落とすかのように空を見上げた。『ひとりであの防波堤の下に来ては泣いたもんだ。あまりにも辛かったから。そしてまさにあそこだった。殴られてズキズキする腰をかがめて横たわっていた場所さ』。私もまた彼から昔の記憶をよみがえらせようとしていることが申しわけなく、またつらくもあり彼方の海を見やっていると、彼が海を指差して言った。『あっちがふるさとだ。あの海を渡れば故郷だ。どれほど数知れずそんな思いをしたか知れない』」。
軍艦島で繰り広げられた朝鮮人強制動員の歴史と共に、もう1つ記憶しておくべき事実があります。この歴史的事実をわれわれに伝えてくれた市民社会の存在です。
軍艦島で石炭が発見されたのは1810年です。以降1890年に三菱合資会社(後に三菱鉱業株式会社)が島を買収した後、海底炭鉱に朝鮮人たちが本格的に動員されます。韓国政府の「対日抗争期の強制動員の被害調査ならびに国外強制動員の犠牲者など支援委員会」が2012年に発表した報告書を見ると、1944年には軍艦島に朝鮮人労働者500〜800人がいたものと推定されます。
犠牲者の数については1925〜45年に島で亡くなった朝鮮人は122人というのが公開されています。日本の市民団体「長崎在日朝鮮人の人権を守る会」(以下、会)のある会員が島を訪問し、この時期に亡くなった日本人1162人、朝鮮人122人、中国人15人の名前、本籍、死亡日時、死亡原因などの情報が入った町事務所(韓国の洞住民センター)の火葬認許証を発見しました。亡くなった日本人労働者の数が朝鮮人よりもはるかに多いということから、軍艦島は朝鮮人はもとより日本の下層労働者にとっても「地獄の島」だったことが理解できます。
日本・長崎に行く機会があったなら、軍艦島に立ち寄った後「岡まさはる記念館」に行ってみることをおすすめします。会に参加していた日本の市民たちが作った資料の展示館です。JR長崎で降りて西側の坂の方向に10分ほど歩けば着きます。(「ハンギョレ21」第1173号、17年8月7日付、キル・ユンヒョン/編集長)
朝鮮半島通信
▲太平洋戦争末期、三菱重工業の名古屋市内の軍需工場などへ動員された元朝鮮女子勤労挺身隊員の韓国人女性と遺族の計2人が損害賠償の支払いを求めた訴訟で、韓国南西部の光州地裁は8月8日、請求を認め、同社に賠償を命じた。韓国最高裁は2012年、1965年の日韓請求権協定では植民地支配に絡む被害に対する韓国人の個人請求権は消滅していないとの判断をしている。
▲朝鮮中央通信は8月10日、中距離弾道ミサイル「火星12」四基を米領グアム付近に発射する準備を今月半ばまでに完了すると報道した。
▲韓国前大統領の朴槿恵被告と友人の崔順実被告への贈賄などの罪に問われたサムスングループ経営トップでサムスン電子副会長の李在鎔被告(49)の論告求刑公判が8月7日、ソウル中央地裁で開かれ、特別検察官は懲役12年を求刑した。
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