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    かけはし2017.年9月4日号

憲法破壊と腐敗の政治許すな


8・6ヒロシマ平和へのつどい2017

8.5

沖縄・広島・長崎・福島
の連帯で勝利しよう!


 八月五日広島市内で「憲法破壊と腐敗の政治=安倍政権を根っこから打倒しよう!」とのメインスローガンの下、「8・6ヒロシマ平和へのつどい2017」が一八〇人の結集で開催された。
 司会は、大月純子さん(福島原発告訴団・中四国 事務局)。
 まず、連日の座り込み行動が続いている沖縄・辺野古から、安次富浩さんのメッセージが代読された「翁長県知事が埋め立て工事阻止のための差し止め請求という法廷闘争に入る。安倍政権の終わりの始まりだ。沖縄、広島、長崎、福島の連帯で韓国のような闘いで勝利しよう」。
 開会あいさつを木原省治さん(原発はごめんだヒロシマ市民の会代表)が行った。「カープと気温は熱い。平和運動はどうか。祖父母、父母、姉二人が被爆者で、私は被爆二世。栗原貞子の一九七四年の詩、『ヒロシマというとき』を想起する。三五年間阻止続けている上関原発に反対する運動の中で、ヒロシマに期待する声を聴いてきた。どのような運動を作るのか、考えていきたい」。
 続いて、福島原発告訴団の武藤類子さんからのメッセージが代読された。「福島原発事故は終わっていない。ようやく東電元幹部三人の刑事責任を問う裁判が始まった。悲しい核の惨事の歴史にピリオドを打つた
めに二度と事故を起こさせないために責任を追及し続ける」。

米軍岩国基地
強化に反対!
次に、長崎の平野伸人さん(元全国被爆二世教職員の会会長)と「高校生一万人署名活動実行委員会」のメンバー一〇数人が発言した。「二〇年目の活動になる。参加した高校生は二〇〇〇人になる。核兵器禁止条約が一二二カ国の賛成で採択された。核と人類は共存できないとの思想を広めていきたい」。高校生一人一人が自己紹介と活動紹介と問題意識を述べた。
次に、田村順玄さん(岩国市議)が発言した。
「海兵隊の岩国基地に原子力空母ロナルド・レーガンの艦載機六一機が厚木基地から移転するのが七月からと言われていた。米兵・家族三八〇〇人が移ってくる。総勢一万人になる。そのうちの二〇〇〇人のための愛宕山・米軍住宅が昨日完成した。二六二戸。あと一〇〇〇戸基地内に作った。私たちは二〇〇七年から、愛宕山に米軍住宅はいりませんとの月に三回の座り込みをして反対してきた」。
「完成した一戸八〇〇〇
万円の米軍住宅の見学会が昨日あった。業者から図面を事前に入手して、この住宅のすべてに地下シェルターが備え付けられていると、六月市議会で追及したが、本当にあった。市長は、ただのマンホールと否定している」。
「岩国に映画館がないのだが、米兵・家族のための映画館を防衛省予算二〇億円で作るという。米軍再編交付金の使い方。そして昨日、八月六日から移転を開始すると中四国防衛施設局は通告してきた。市長は八時一五分の黙とうとサイレンを流す時間だけは外してくれとの要請のみ」。
「今の日米関係のあり方。一兆円近くの予算をこの一〇年岩国に投入してきた。米海軍の空母艦載機移転、海兵隊、普天間からの空中給油機の移転、そして海上自衛隊。沖縄の代替施設として極東最大の米軍基地として急浮上している。沖縄基地の返還撤去と共に岩国での基地強化に反対する私たちの運動を全国の皆さんに注目していただきたい」。

象徴天皇制を
越える展望を
武藤一羊さんが「安倍政権を倒してどんな社会をつくるのか 象徴天皇制を越える展望を論じよう」と題した講演をした(講演内容要旨は別掲)。
この講演を受けて湯浅一郎さん(当実行委員会前代表)は次のように発言した。
「広島を離れて八年。日常は畑仕事をしながら、東京という都市をどのようにしていくのか、生物多様性と循環をキーワードに考えつつ、辺野古と原発、瀬戸内海、核軍縮の問題に関わっている。天皇制については天皇の存在自身が差別の根源であるとの立場。憲法の中から天皇条項をなくしていくべきという立場」。
「戦後レジームと憲法平和主義の冒頭部分に『憲法九条平和主義原理で帝国継承原理とアメリカ覇権原理を癒着したまま串刺しにする』との提起がある。それを具体的にどのように民衆のテーマにしていくのか。北東アジアの安全保障問題に関わって述べたい。冷戦構造が続いていて、それが朝鮮南北分断となっている。一九五〇年六月に始まって一九五三年七月二七日に停戦協定になったが戦争状態は六四年たっても終わっていない。それを民衆の立場からどう解いていくのか」。
「DPRK(朝鮮民主主義人民共和国)が行った七月二七日のミサイル技術の誇示は、明らかに、早く戦争を終わらせましょうよとの意思表示だ。停戦協定を平和条約に切り替えていく対話を始める。同時に北東アジア全体の非核地帯化構想を具体的にして、この二つのセットで北東アジアの包括的平和の枠組みを、日本の市民社会や韓国の市民社会から打ち出していく」。
「韓国では二年前からのパク・クネ政権に対するキャンドル革命が九年ぶりの民主党政権に転換した。文政権は、G20で朝鮮半島の新平和ビジョンを打ち出した。朝鮮半島の非核化、朝鮮戦争の終結、離散家族の対面、経済協力。韓国民衆が支えている、今の局面をチャンスとして見極めながら日本の市民社会で呼応できるような運動を作っていくことが憲法九条原理を外交に具体化していく一つの道になるのかなと思う。その過程の中で帝国継承原理の戦争責任問題、軍隊慰安婦問題を市民社会が交流しながら問題解決をしていく。今後も畑仕事をしながら、北東アジア非核地帯構想を追求していきたい」。
田中利幸さん(当実行委員会代表)は、次のように発言した。「憲法一条から八条を残すために憲法九条はできたのではないか。平和主義で天皇制が守られ生き残った。天皇制をどう廃止していくのか。加藤周一の『言葉と戦車を見すえて』を読み直し、天皇制と戦争の理解と民主主義の問題を考える。アメリカの空襲加害、原爆殺戮を糾弾できない面とアジア侵略の加害を反省できない面は同じ問題の両面で民主主義が根付かない根源だ」。
次に、「市民による平和宣言2017─戦争させない!9条壊すな!私たちは安倍首相の即刻退陣を要求します ─」が提案・採択された。

8.6

グラウンド・ゼロの
集いと市内デモへ


翌日、八月六日朝七時から、「市民による平和宣言2017」と第九条の会ヒロシマによる「九条新聞意見広告」を原爆ドーム周辺と本川橋で配布した。七時四五分から原爆ドーム前で「グラウンド・ゼロのつどい」を行い、ピースサイクル全国ネットの小田諭さん、京都の被爆者、米澤鉄志さん、三重県ポプラの会の子どもたち、関西共同行動の星川洋史さん、たんぽぽ舎などが発言をした。また、「座り込めここへ」の歌を川口真由美さんとヤスさんが熱唱した。
原爆攻撃の八時一五分。その時刻から二五分までの一〇分間、追悼のダイインを二〇〇人で行った。
八時三〇分より中国電力本社までのデモ行進を行い、中国電力本社前での脱原発座り込み行動を一〇時半まで行った。全国各地からの発言を受けて、シュプレヒコールを原発はごめんだヒロシマ市民の会の溝田一成さんの音頭で唱和して行動を終えた。昼を挟んで次の集会だ。
(久野成章)

武藤一羊さんの講演

安倍政権を倒して
どんな社会作るか


今日のテーマは、安倍政権の問題。もう一つは、それを乗り越えて、どこへ行くのか?すなわち、象徴天皇制の問題も論じないといけない。
安倍政権は中曽根政権とも違う。戦後レジームそのものを変える。政治体制そのものを変える。総評・社会・共産・岩波知識人ブロックによる運動は、体制を前提にその右傾化を阻止する運動であった。安倍政権は戦前の大日本帝国原理で再び戦後国家を覆すという目論み。一九九〇年代半ばから、日本会議の運動で教科書、靖国と大攻勢をかけた。世界的には冷戦終結、ソ連邦崩壊。対抗勢力としての社会主義という価値、マルクス主義の権威が崩れて右翼が私党として攻め上る。極右私党が自民党を乗っ取り、その自民党が国家権力を乗っ取る。内閣法制局、NHK、マスコミ、日本銀行を握る。憲法停止以外のことはやる、すなわち半分のクーデターとも呼べるもの。右翼思想の大衆的伝播、嫌韓・嫌中の本が平積みになる。秘密法、集団的自衛権、安保法制、共謀罪と強引に進めてきたが、ここへきて、森友・加計問題等で、陰りが見えてきた。では、安倍政権を越えてどうするのか。戦後体制が壊れてきたから戦後体制を右から壊すという安倍政権が出てきた。
対称の政治から、非対称の政治が必要だ。悪法に対して潰すだけではない。創りたい社会を提示する。例えば、憲法九条は非武装主義の原理だ。国家の非武装を宣言し、そこに向かって次々、条件を作っていく。朝鮮民主主義人民共和国(DPRK)とアメリカ合州国の対決関係の中で、安倍政権はアメリカをそそのかすが、われわれはもう一つの世界に向けての政治的構想力に基づいて九条原理から打ち返す必要がある。
安倍の改憲に対して「護憲」を対置する。そうすると象徴天皇制・明仁天皇制が残る。これをどうするのか。「日本国の象徴であり日本国民統合の象徴であって、この地位は、主権の存する日本国民の総意に基く」。象徴されるもの、国民が、象徴するもの、天皇に対して、総意として主権の行使として認める構造。すなわち象徴権力だ。ただの権威ではない。国民としての条件として天皇を象徴と認める関係。パスポートの菊の紋章。国民は一人ひとり。頼んだ覚えもない。全国を歩き、弱いものに寄り添い、祈る。絶えず行動し象徴する権力関係を創る。
日本国籍を持たない在日の人々は、頼んだのか、頼んでいない。僕も頼んだ覚えはない。裕仁は最後まで君主のつもりのまま死んだ。象徴天皇制を創ったのは明仁だ。有識者会議での右翼にとって天皇は利用する道具に過ぎない。明治以来、統治のための必要に過ぎない。左翼は国事行為以外は認めない。
天孫降臨の天皇を受け入れない人々は増える。すなわち多民族社会になっている。そのことは良いことだ。戦後国家は潰れかけている。国家再編の中で、天皇明仁と安倍政権の攻防があり、明仁上皇になる。社会的に天皇制がさらされる。新たに議論する対象になる。国籍の血統主義は成立しなくなる。居住地主義に変える。日本列島の住民にとって天皇とは何か。必ず、そのような議論になる。 半島、大陸住民との関係をどうするのか。アメリカの覇権が衰弱し中国の国力が出てきている中で、大西洋同盟を中心とした世界編成からユーラシア大陸が再形成されてくる。人々の中の交流、流通が発展する中で、その東の日本列島で六割の人々が天皇制はやめようとなる。そこを展望する。(講演要旨・文責編集部)

 

 


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