沖縄報告 7月29日
安倍政権は埋立てを中止せよ
沖縄 K・S
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8・12県民大会に総結集し民意を示そう!
──米軍も自衛隊もいらない
沖縄の民意は一貫して辺野古新基地NO!基地の島の桎梏からの脱却!を求めているにもかかわらず、民意を踏みつぶし基地の島の固定化を進めようとする日本政府と米軍のあからさまな動きが横行している。いつ退陣するかも分からない安倍政権の指示に忠実に、警察機動隊と海保に守られて防衛局は辺野古・大浦湾での埋立工事を強行し、捨石の大量投入による海の破壊という取り返しのつかない愚行を進めている。
沖縄の支配者は自分だととんでもない錯覚をしているニコルソン米4軍調整官の下で、住民無視の米軍訓練は激しさを増した。新しいヘリパッドを使用したやんばるでのオスプレイ訓練、キャンプ・ハンセンのヘリパッドを使用した宜野座村の集落の上空でのオスプレイによる吊り下げ訓練、宜野湾市をはじめ各地での夜間訓練、P3C対潜哨戒機のプロペラ停止による緊急着陸をはじめ過密でずさんな訓練のために続発するさまざまなトラブル。訓練強化による自衛隊機のトラブルも増加した。航空自衛隊のF15は今年一月の脱輪による二時間の滑走路閉鎖に続き、七月二六日に着陸灯の部品を落下する事故を起こした。そのため那覇空港の滑走路は一時間近く閉鎖された。観光客一〇〇〇万人時代に、那覇空港の軍民共同使用は沖縄発展の足かせになっている。沖縄に米軍も自衛隊もいらない。基地に反対し平和を求めるあらゆる声と行動を辺野古新基地NO!埋め立て阻止!に集中させよう。基地のない沖縄の未来の可能性をここからこじ開けよう。8・12県民大会に総結集し民意を突き付けよう!
7.25
辺野古海上大行動
カヌー艇100人、抗議船9隻
150人が海上座り込み
日本政府防衛局による不法な埋立て工事に対し、辺野古・大浦湾をカヌーと船で埋め尽くして海上に座り込もう!と7・25海上大行動が行われた。午前七時半、浜のテント2に海上行動参加者が集まった。すでにウェットスーツ、マリンシューズやトレパン、ジャケットに身を包み青い色のタオルや帽子、シャツに、サングラスを付け、いつでも海に出ることのできる格好をしている。この日の海上行動のために全国から送られてきた青い布の日よけ帽子数十枚、ジュゴンのイラストや「LOVE HENOKO」の文字が縫い付けれらたカラフルなゼッケン十数枚、新品の救命胴衣数十個も準備されている。一〇〇人のカヌーチームは一〇班に編成され、一班から順次、辺野古漁港横の松田ぬ浜から出陣した。松田ぬ浜からはフェンス越しにキャンプ・シュワブの海兵隊基地の浜が続いている。水陸両用戦車一台が大音響を上げながらすごいスピードで浜を行ったり来たり、あたかも威嚇するかのようにデモンストレーションを繰り返した。
一般兵士に勝手に軍用車両を動かす権限がないことを考えれば、上官の指示なのだろう。愚かな人たちだ。戦後七二年間にわたって民意に反して沖縄を軍事占領し続けているという自覚と反省のカケラもない、単なる武力の誇示を行なう米海兵隊。米軍による沖縄の軍事占領はいつか終わる。外国軍隊の駐屯がいつまでも続くわけがない。辺野古新基地反対の運動が歴史的なターニング・ポイントをこじ開けていくことになるに違いない。
採石投入現場に
海と陸から抗議
海は静かだ。浜から一〇分も行くと、赤いペンキでドクロの絵が描かれているK1護岸付近の砕石投入現場に到着した。浜から汚濁防止膜が一本、一〇〇m以上張り出されている。浜には警備員、その後ろの一段高い路上沿いには軍警、各々一〇人近くがカヌー隊の動きを監視している。海上には海保の高速ゴムボートが六隻、散らばって警戒に当たっている。作業員はいない。浜に投下され均された捨石の上にはユンボが一台、アームを地面につけたまま置かれている。一〇〇艇のカヌーが現場に座り込むとの情報に、さすがに防衛局もこの日の海上工事を諦めたのだろう。たくさんの人々が集まれば工事が止まるのは、ゲート前も海上も同じだ。
大衆運動の力は数だ。数に込められた思いの強さだ。辺野古新基地NO!の思いが大きく強く一つにまとまれば、海上には数百艇のカヌーと抗議船が、ゲート前には数千の人々が結集して、ここに民主主義があると叫びながら埋め立て工事を中止に追い込むことができる。そうなると、日本政府防衛局は辺野古新基地建設計画白紙撤回を米政府と交渉し決断せざるを得なくなる。昨年秋から今年にかけて数十万人のろうそく集会を継続し、ついに政権の座から追放した韓国の朴槿恵政権に反対する大衆運動もはじめは数千人に過ぎなかった。情勢の核心をとらえていれば運動は紆余曲折を経るにしても必ず爆発的に拡大する。
七一艇のカヌーとレインボー旗を掲げた九隻の抗議船に乗る一五〇人の海上行動団は作業現場の浜から張り出された汚濁防止膜の周辺に集まり、「新基地反対」「埋め立て阻止」「土砂投入するな」「海を壊すな」などのプラカードを掲げるとともに、声を限りに埋立て工事やめろ! 海を守れ! と叫んだ。「ジュゴン、ウミガメ、青サンゴのいる辺野古・大浦湾の海を壊すな」との横断幕を掲げた「美ら海」号、「海軍基地反対、カンジョンマウル」の旗と「サンゴだって生きている」の横断幕を掲げた「不屈」号、「プロテクト辺野古大浦湾」との英語の青い横断幕を張り付けたブルーの船、「海は命の母」などのプラカードを持った人で満杯の「平和丸」など。その他にゴムボート二隻、SUP(スタンドアップ・パドル・ボード)二艇も登場した。
抗議船からはヘリ基地反対協の仲本興真事務局長がマイクで「防衛局の工事は岩礁破砕許可のない違法な工事です。海保のみなさん、みなさんの本来の仕事は海を守ることの筈です。政府の違法な埋立て、海の破壊に手を貸すのは止めてください」と訴えた。
全世界から寄せられた応援メッセージ
また、この日の海上行動に向けて世界から寄せられたメッセージも一斉に掲げられた。
香港「沖縄の平和のための闘いに連帯する」「民主主義のために声をあげよう」、フランス「米軍新基地建設NO!」、台湾「海が泣いている、軍事基地建設をすぐに止めて」、スウェーデン「海を守れ」、バングラディシュ「海を守ろう」、アフガニスタン「すべての人よ、辺野古の平和と環境保護、正義のために立ち上がろう」、アフガニスタンの子ども「沖縄に米軍基地はいらない」、スペイン「米軍新基地建設ノー」、韓国「海が泣いている、戦争基地工事を中断せよ」など。世界中に味方がいることを実感する。
昼前、雨雲が広がり雨がポツリポツリ降り始めて雷注意報の恐れもあったため、急きょカヌーチームは松田ぬ浜に引き上げた。浜のテント2でおにぎりとイナムドゥチの昼食を食べた後、全国全世界から寄せられた横断幕がフェンスに所狭しと張り付けられている松田ぬ浜で、海上行動から上陸したカヌーを並べて、「美ら海を守れ」を合言葉に連帯集会を開いた。集まった二五〇人は新基地建設阻止の決意を新たにした。
7.29
土曜行動に200人
終日資材搬入STOP
昼休みの子どもたちも参加
七月二九日土曜日のゲート前行動は、台風接近による波浪のため海上行動が中止になりカヌーメンバーもゲート前に合流して開催された。発言したカヌーメンバーは「私は月一で沖縄に来てカヌーに乗り、連日現場に出て監視と抗議を続けている。台風が来れば鉄パイプ付きのフロートなどいっぺんに壊されるだろう。最近海保は柔らかくなったが、その代わり一部の軍警が暴走している。勝つまで闘い抜く」と述べて、山城さんが好きだという歌を歌った。
神奈川県の厚木基地爆音防止期成同盟の高久保(たかくたもつ)副委員長は「辺野古の闘いと厚木の闘いは根が同じ。現在第五次の提訴を一万人の原告を目標に準備している。厚木の管制塔は自衛隊が管理している。米軍使用は当初離着陸のみの約束だったが、訓練もやりたい放題だ。国に逆らっていいのか、北朝鮮が攻めてきたらどうするのかという一部住民の声にも真剣に向かい合って組織化を進めたい」と述べた。
大型バスで参加したうるま市島ぐるみは「今回一四三回目のゲート前行動だ。昨日の臨時市議会で、津堅島での米軍パラシュート訓練に対する抗議決議を採択した。8・12県民大会にはバス八台で結集する。差し止め訴訟をした翁長県政を支えさらに撤回に進むことを求めながら県民の結集と熱意でがけっぷちにある安倍を追い落とそう」と訴えた。そのあと、テントに移動し座り込みを続けた。島ぐるみ那覇バスは「夏休みで子どもの参加があり、平均年齢を下げてくれた。代から代につながる命の連鎖を大切にしよう」と呼びかけた。
昼休みをはさんで午後三時までスピーチ、報告、歌など多彩に進行した。那覇バス参の二人の女性は「〇・六%の面積に七〇%以上の米軍基地が集中する沖縄は日米の二重の植民地だ。閉会中国会審議をずっと見ていたが、北朝鮮の拉致被害者のことを言うなら、沖縄は七二年間土地も空も人も拉致されいるではないか。米軍基地は日本のどこにもいらないと思う。しかし、沖縄だけに集中される状況を放置することは許されない。本土による基地引き取りが必要だ」と訴えた。資材搬入は終日なかった。なお、この日午後、防衛局はゲート前座り込みの向かい側の米軍基地内に新たに監視カメラを設置した。工事用ゲートの電柱、第二辺野古バス停前と合わせ、三か所に監視カメラが付けられた。
高江N1裏「傷害」「公妨」
分離の牧師に不当判決
昨年八月の北部訓練場N1裏での「傷害」「公妨」事件で事後に逮捕・起訴され、分離となっていたY牧師に対する判決が七月二七日、那覇地裁で言い渡された。柴田裁判長は、同じ事件で起訴されている山城さん、添田さんとの「共謀」があったとの検察の主張と懲役一年六カ月の求刑を認めた上で、三年の執行猶予を付した。不当な有罪判決だ。
N1裏での「傷害」「公妨」事件そのものが高江のヘリパッド建設反対運動に対する防衛局と検察による針小棒大な謀略でありでっち上げだ。裁判所は何の主体性もなく検察に追従した。権力をかさにきる犬の群れに加わろうとする犬の図式以外の何物でもない。
七月発行の『裁判闘争中間報告』(編集・発行=完全無罪を勝ち取る会)は頒価五〇〇円。連絡先(TEL 090-6864-6628 FAX 098-974-7349)
7.28
人権侵害許さぬ国賠訴訟
第6回口頭弁論で訴因追加
昨年四月一日、辺野古崎の岩場で監視・抗議行動に行く途中のカヌーメンバーの一人が軍警により陸に引きずりあげられ拘束された。三月四日、福岡高裁那覇支部の代執行裁判で県と国との間で「工事中止」の「和解」が成立したにもかかわらず、辺野古・大浦湾の現場で日本政府防衛局はフロートを撤去せず工事台船を撤収させないまま居直っていた。カヌーチームは連日現場に出て監視と抗議を続けていた。軍警によるカヌーメンバーの拘束はこのような経過の中で起こった。拘束されたカヌーメンバーは刑特法違反容疑で軍警から海保へ身柄が移されたが、翌日検察が処分保留のまま釈放した。軍警・海保による拘束・逮捕は違法だとして、国に対し損害賠償を求めたのがこの裁判だ。詳しい経過は、ブログ『海鳴りの島から 沖縄・ヤンバルより…目取真俊』をご覧いただきたい。
七月二八日午後三時からの那覇地裁民事第二部での口頭弁論は海上行動メンバーが多数傍聴する中で行われた。はじめに原告側代理人の斎藤祐介弁護士が、従来の「海保による違法な引き受け遅延」による損害賠償に加えて、「違法な緊急逮捕」による損害賠償を請求原因の追加で申し立て、理由を述べた。議論はなく、次回期日を一〇月一二日に指定し約二〇分で閉廷した。
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