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    かけはし2017.年8月28日号

8.12 沖縄県民大会に4万5千人


沖縄報告:8月19日

日本政府は埋立工事を中止し新基地計画撤回を

県民総意と海底地形が新基地拒む

沖縄 K・S


 八月二〇日、大型海底探査船「ポセイドン1」が沖縄にやってくる。沖縄防衛局は一〇月から六カ月の予定で再び大浦湾で一九地点の詳細なボーリング調査を行うというのだ。もともとボーリング調査は二〇一四年八月から三カ月で終了している筈のものだった。それが三年経った現在も海底地形の調査を継続しなければならないということ自体、辺野古・大浦湾の底知れない多様性、複雑性を示すものだ。新基地建設の強行は自然に対する人間のゴーマンだ。止めた方がいい。 
 他方陸上では四万五〇〇
〇人が参加する新基地NO!の県民大会が開かれた。県民が人権と民主主義を求めて頑強に新基地建設に反対し続けていることを明らかにした。サンゴ礁の海も県民民意も新基地を拒んでいる。埋立工事の強行は自然と人間に対する国家権力の犯罪だ。政権を担う人々はいったん立ち止まってよく考え、埋立工事を中止し新基地計画を白紙撤回せよ!

8.12

辺野古新基地NO! オスプレイNO!

県民の意思はゆるぎない!

炎天下、大結集かちとった

 八月一二日午後、那覇市奥武山陸上競技場で、「翁長知事を支え辺野古に新基地を造らせない県民大会」(主催=辺野古新基地を造らせないオール沖縄会議)が開かれ、四万五〇〇〇人が参加した。会場は、六万五〇〇〇人が参加した昨年六月の女性暴行殺人に抗議した県民大会と同じ場所だ。参加人数はその時と比べて少し少ない感じだが、辺野古・大浦湾を表すブルーのシャツや帽子、スカーフを身にまとい、八月の炎天をものともせず多くの県民が駆け付けた。
全県各地から続々と集まる大型バス、モノレールや自家用車、徒歩で参加する人々で会場周辺はたいへんな混雑。親子孫三代で参加の人々、車いすの人々、「土人(ウチナーンチュ)にも五分の魂」「沖縄を返せ沖縄に返せ」など、手書きのプラカードも多い。翌日の新聞には、夏休みの自由研究に基地問題をテーマに選び母と共に参加した小学四年生もいたとのことだ。『琉球新報』は一五〇〇〇部、『沖縄タイムス』は五〇〇〇部、号外を発行した。

玉城愛さん「事件
の現場で祈り」
はじめに、主催者を代表して、共同代表の高里鈴代さん、玉城愛さん、高良鉄美さんの三人があいさつに立った。高里さんは「県民の意思をハッキリ示すために集まったみなさん、暑い中ごくろうさま。沖縄は慢性的な人権侵害が横行している。辺野古現地に集まり新基地建設を止めよう。沖縄は決してあきらめない。沖縄の苦渋に満ちた歴史に終止符を打とう」と呼びかけた。
玉城愛さんは、「会場に来る前に、昨年の暴行殺人事件の現場に行き祈りを捧げてきた。事件は基地あるがゆえに起こる、一日も早い基地撤去を県民のひとりとして望む、との彼女の父親の言葉を忘れたことはない。翁長知事、稲嶺市長を支えながら沖縄にこれ以上基地を造らせない」と訴えた。
今回新たに共同代表についた高良さんは「沖縄に憲法が届いていないのは復帰前も復帰後も同様だ。沖縄は戦後七〇年以上たった今も捨石だ」と指摘した。
さらに、共同代表の呉屋守将金秀グループ会長、顧問の照屋寛徳、赤嶺政賢、玉城デニー、仲里利信、糸数慶子、伊波洋一の沖縄選挙区選出の衆参両院議員六人全員、沖ハムの長浜社長、かりゆしの當山社長、さらに、演壇左右に並んで座った県議会与党議員二十数名が紹介された。
オール沖縄会議現地闘争部として発言した山城博治沖縄平和運動センター議長は「辺野古・高江への米軍基地建設、与那国・石垣・宮古への自衛隊基地建設、と戦争への画策が進んでいる。団結を強め今こそ立ち上がろう」とこぶしを振りかざしてアピールした。

「宝の島が基地の
島にならないよう」
島ぐるみのあいさつは、南部ブロックを代表して糸満島ぐるみがサンシンと琉歌のコラボで、辺野古新基地NO!を訴えた。「悲しみも決意に変えて今日も座す辺野古の海は青く澄みたり」。
八重山ブロックは長浜さんが「戦争につながる一切の新基地に断固反対。宝の島が基地の島にならないよう自衛隊配備に反対する。沖縄から世界に平和を発信しよう」と述べた。
宮古ブロックは奥平さんが「自衛隊新基地NO!の闘いを進めている宮古から連帯と支援のあいさつをしたい。石垣と一緒になってやっている。沖縄本島の皆さんもぜひ関心を持ち支援してほしい」と述べた。
中部ブロックは宜野湾の桃原市議が「明日八月一三日は何の日か。一三年前、沖国大に米軍ヘリが墜落した日だ。この一三年間、危険性は全くなくなっていない。明日午後抗議の集会とデモを行う。ぜひ参加してほしい」と呼びかけた。
最後に北部ブロックから名護島ぐるみの親川さんが「三年前の翁長知事当選の県知事選挙以来、あらゆる選挙で辺野古NO!の県民民意が示されてきた。ここにきて普天間返還の八条件なるものが出てきて、県民だましが明らかになったにもかかわらず、日米両政府は辺野古をごり押ししている。知事を支え共に頑張ろう」と訴えた。
総がかり行動実行委員会の福山さんの発言に続いて、八月一六〜二四日の日程でアメリカ西海岸を訪問する訪米団一行が壇上に並び、団長の伊波洋一参院議員が、アジア太平洋系アメリカ人労組や市民団体、国連人権理事会の特別報告者デビッド・ケイさん訪問やワークショップ開催など、主な日程を説明した。
米国ピースアクションのポール・マーティンさん
「米国でこんな美しい海を埋め立てることは考えられない」
次に続いたのは人目を惹くパフォーマンスだ。全米に一〇〇の支部を持つアメリカ最大の平和団体「ピースアクション」の政策担当シニア・ディレクターのポール・マーティンさんが「辺野古新基地NO!」のプラカードを頭上高く掲げて壇上に登りアピールした。マーティンさんはフィリピンの環境活動家と共に辺野古を訪れ「米国でこんな美しい海を埋め立てることは考えられない。米軍基地があることで日本はさらに危険になる。その上、新基地建設には日本の国民の税金が使われる。そうしたことを日本国民の多くは知らない」と指摘した。
また、同じパフォーマンスを見せたアメリカの市民団体「平和、軍縮、共通の安全保障キャンペーン」のジョセフ・ガーソン代表も新聞記者とのインタビューで、翁長知事の「子や孫のために」という訴えに共感したと述べ、「日米両政府に対する県民の正当な怒りを感じた。普天間は辺野古に移設せず閉鎖することが米国と中国との緊張をなくすことにつながる。稲嶺市長や翁長知事が中心的な役割を果たしているが、大切なことは継続して支えていくことだ。それが沖縄が世界に発信していくことにつながる」と語った。

「何で日本は沖縄
を大切にしない」
城間幹子那覇市長「母は現在九〇歳。沖縄戦を生き延びた。何で日本は沖縄を大切にしないのか、といつも口にする。沖縄は一体どれだけ犠牲にならなければならないのか」。
野国昌春北谷町長「知事選で県民の意思を示し、その後も示してきた。日米は民意に従え」。
稲嶺進名護市長「翁長知事は孤軍奮闘とでも言いうる状態で頑張っている。これを支え前進させるのは県民一人ひとりの力であり、結束だ。辺野古の海にも陸にも新基地を造らせない。地元名護から頑張る」。
翁長知事は次のように発言した。
マキティーナイビラン
ナマカラルヤイビンドー
「オスプレイは昨年一二月名護市安部(あぶ)の海岸に墜落したのに続いて、今月オーストラリアに墜落した。二年前ハワイに立ち寄った時にも墜落した。米軍が事故原因も不明のまま飛行再開すると追随する日本政府を見ると、日本の独立は神話だと思える。県民の誇りと尊厳をかけた闘いに負けられない。七月二四日に工事差し止め訴訟を提訴した。昨年一二月の最高裁判決に縛られない、別個の裁判だ。国ともあろうものが法令をすり抜けることに心血を注ぐ姿勢は法治国家とは程遠い。日本政府が工事を強行してくれば法令に基づいて一つひとつチェックし、承認撤回を私の責任で決断する。辺野古基地は絶対できない。全国知事会でも、米軍基地が経済発展の最大の阻害要因であること、基地の経済に占める割合は五パーセントに過ぎないことなどが理解されてきている。昨年、沖縄の観光客は八七〇万人、今年は九五〇万人だ。沖縄は万国津梁のかなめになる。将来の沖縄の姿に自信と勇気をもって、基地をなくそう。マキティーナイビラン。ナマカラルヤイビンドー。クヮウマガヌタミニ、ウヤファーフジヌウムイ、チムニスミティ、ヌチカジリ、チバラナヤーサイ。(負けてはいけません。今からですよ。子孫のために先祖の思いを心に刻んで命の限り頑張りましょう)」
そのあと、「沖縄県内のオスプレイ配備撤回」「事故原因の究明と公表」「欠陥機オスプレイの国内での飛行全面禁止」「県内の低空飛行、夜間、つり下げ訓練禁止」「自衛隊によるオスプレイ導入撤回」の五項目の特別決議と大会宣言を採択し、ボードアクションと頑張ろう三唱で県民大会の幕を閉じた。

県庁前広場
で高江・辺野
古の写真展

 沖縄平和サポートが主催した辺野古・高江写真展が、七月二二〜二三日と八月九日の三日間県庁前広場で開催され、合わせて五〇〇人が来場した。全部で一〇〇枚以上の写真のキャプションには日、英、中、韓の四カ国語の説明が付けられていて、県民、本土からの来県者だけでなく海外の観光客が訪れ、写真に見入った。
亜熱帯の森と海の生物多様性、新基地に反対する人々の姿、警察機動隊・海上保安庁による弾圧の実態、ゲート前や海上での連日の阻止行動が生き生きと映し出されている。

翁長知事を支え、辺野古に新基地を造らせない
8・12県民大会宣言

 戦後七二年を経ても沖縄には依然として広大な米軍基地が存在する。国土面積の〇・六%のこの島に米軍専用施設の七〇・四%が集中し、県民は復帰四五年経た現在も米軍基地から派生する事件・事故、騒音・環境問題に苦しみ悩まされ続けている。
昨年も悲惨で残忍な事件が起こった。元海兵隊員の凶悪な犯罪により、二〇歳の未来ある女性のいのちが奪われた。これを受け沖縄県議会では海兵隊撤退を求める決議を採択した。繰り返される米軍人・軍属による事件や事故に対して県民の怒りと悲しみは限界を超え、同年六月一九日には「被害者を追悼し、海兵隊の撤退を求める県民大会」が開催され六万 五〇〇〇人の県民が結集した。
同年一二月には、米海兵隊普天間基地所属の垂直離着陸輸送機MV22オスプレイが名護市安部集落の海岸に墜落大破する事故も起きた。宜野座村や金武町の民間地上空では危険な物資のつり下げ訓練も激化。世界自然遺産にも匹敵する貴重な県民の水がめである東村高江地区や伊江村においても昼夜を問わず低空飛行訓練が日常化している。
また、今月五日には、普天間基地所属のオスプレイがオーストラリア東海岸沖で訓練中に輸送揚陸艦に衝突、墜落する事故も起きた。事故の検証も行われないまま、事故からわずか二日後、普天間基地では同型機の飛行が再開された。今や欠陥機オスプレイ墜落の危険性は沖縄県全域に広がっている。
さらに、嘉手納基地への相次ぐ外来機の飛来、嘉手納基地・うるま市津堅島沖における米軍パラシュート降下訓練の強行など、米軍基地の負担軽減とは程遠い現実を沖縄県民は生活の中で強く感じている。県民が何度も要求してきた日米地位協定の抜本的改定もいまだ放置されたままだ。世界で最も危険な普天間基地の危険性を二〇年間放置し続け、固定化してきた一番の当事者は日米両政府である。政府と沖縄県の約束である普天間基地の五年以内の運用停止を強く求める。
今年は日本国憲法施行七〇年、沖縄県に憲法が適用されて四五年の節目の年にあたる。沖縄に憲法が適用されているのであれば、沖縄県民の民意は反映されるべきである。
政府は、法解釈を捻じ曲げ、沖縄の民意を圧殺し続けている。手続きを無視し、法を侵してまで行う違法な埋め立て工事は即中止すべきだ。
私たちは問いたい。この国に真の民主主義はあるのか。法治国家とは何か。
私たちは翁長知事が提訴した辺野古新基地建設工事を差し止める訴訟を全面的に支持し、全力で支える。
私たちは「辺野古新基地建設断念」「オスプレイの配備撤回」「普天間基地の閉鎖・撤去」の実現を日米両政府に強く求める。
私たちは、生物多様性を誇る豊かな辺野古・大浦湾の美ら海に新たな基地を造らせない。
翁長知事を最後まで支え、地方自治と民主主義・人権を守るため、この不条理に全力で抗 (あらが)い続ける。

以上、宣言する。
二〇一七年八月一二日
辺野古新基地を造らせないオール沖縄会議


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