起亜車の非正規職支会とユソン企業の嶺東支部員とのインタビュー
労組破壊、不法派遣の現行犯が拘束されるまで闘争は続く
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冬の間に燃えあがった広場のろうそくの巨大な圧力は国政壟断の一つの軸だった財閥を弊害の清算と改革の対象に引き出した。しかし、新政権の発足2カ月目を迎える今、搾取や不正を積み上げた財閥の城砦は依然として堅固だ。
特に、不法派遣と労組破壊犯罪で悪名高い現代(ヒョンデ)車の財閥は、いわゆる「改革政府」の登場にもびくともしない有様だ。完成車工場のコンベヤーベルト式生産工程だけでなく、運送、出庫、包装など間接生産工程までも不法派遣が成立するという司法部判決が相次いでいるが、現代起亜車資本はすべての社内下請の正規職転換の履行を拒否している。
これに対して金属労組所属の事業場である現代・起亜車の非正規職支会とユソン企業支部、東進オトテク支会の労働者たちは、この6月7日「労働積弊1号の鄭夢九(チョン・モング)拘束の集中闘争の宣布」記者会見を開き、大統領府(清雲洞事務所)の前での野宿闘争に突入した。
これら4つの事業場の共同闘争が起こるやいなや、保守マスコミは「せきを切ったろうそくの請求書」を云々し、闘争する労働者たちを難詰することに忙しい。しかも、文在寅(ムン・ジェイン)政権の支持者たちまで民主労総の6・30社会的ゼネストと大統領府の前の座り込みを巡って政権交代による過度な持ち分要求だとし、反発が激しい。
韓国社会の不平等と不公正の根幹をなす財閥体制を打破するために、誰よりも率先して闘ってきた労働者たちはどのような心境で、大統領府の前の座り込みを開始したのだろう? 野宿闘争31日目に入った7月7日、青雲洞事務所の前角に設けられた立てこもり場所から起亜車の非正規職支会のチョ・ジョンウ同志とユソン企業の嶺東(ヨンドン)支部チェ・ジスン同志に会って話を聞いた。
Q 新政権発足以降、大統領府の前の座り込みを、現代車を元請としている事業場労働者らが一番先に始めました。共同闘争を繰り広げるようになった理由、そして闘争拠点に、大統領府の前を選択した理由が知りたいです。
A チョ・ジョンウ(以下「兆」):文在寅政府が発足し、誰でも一様に話す内容があります。弊害の清算、社会改革のためには「ゴールデンタイム」が重要だということです。私たちが大統領府の前に座り込み現場を作ることになった理由も、こうした全社会的な要求を新政府に強制するためのゴールデンタイムを逃してはならないという判断がありました。そのため、大統領府付近まで最大限出て行ってさらにわれわれの要求と主張を展開したかったのです。
チェ・ジスン(以下「崔」):ご存知のように私達の事業場は元請である現代自動車の労組弾圧にひどく悩まされてきたという共通点があります。現代車の非正規職支会の同志たちは、現代車の違法な派遣を認める最高裁判所判決を受けても、正規職転換どころか会社の違法な手口がまだ続いているじゃないですか。さらに、元請が直接介入して、労組破壊を指示したという点でも私たちは全く同じ立場といえます。この前のろうそく抗争でも最も多く訴えたスローガンの一つが「弊害の清算」じゃないですか? 私たちが共同闘争に乗り出した理由も、積弊のうちの積弊、現代車の違法な行為を厳しく処罰しなければならないという要求に力を合わせなければならない時だと思ったからです。
ろうそく灯した心での連帯願い
Q 座り込みの日程はどう進めていますか。
A 兆:朝8時から青雲孝子洞住民センター交差点で出勤宣伝戦を1時間ほど進行することで1日を開始しています。出勤宣伝戦には、豊山(プンサン)、ハイディスなど光化門(クァンファムン)一帯で闘争する労働者たちが結合してかなり多くの同志たちが共にしています。出勤宣伝戦を終えてからは朝食をして1人デモに入るんですよ。1人デモの場合は、座り込み人員が多い時は各事業場の要求を書いた立て札を持って進めて、人員が少ないときは午後の日程まで大統領府の前の噴水台で1人デモを進めています。夕方には闘争事業場の共同闘争委員会、同志が主管する文化祭を一緒にしたりです。
Q この前(6月28日)から大統領府の行く手を市民に開放するという発表がありました。その後、座り込みを行っている労働者たちに対する警察の対応方式にも変化がありましたか。
A 兆:1人デモを進行する噴水台の前は開放をする前までは検問をいつもしました。 どの事業場の労働者なのか、誰が何人入っているのかも一つ一つ確認しました。今も事実はそうします。 ただ、頻度数が減少しただけです。
崔:さらに、所持品検査をする場合もしばしばあったんです。昨日、甲乙(カブウル)オートテク支会同志たちが大統領府の噴水前で記者会見をすると言うから一緒にいったけど、なんとベストを脱げというんですよ。それでこう答えました。これはわれわれの勤務服と同じなのになんで脱げというのか。 あなたたちは勤務服を脱げといえば脱ぐかと。
兆:警察が私たちが着ているモムジャボや組合ベストを問題視しながらいう話がいつもそうでした。1人が着るのは大丈夫ですが2人以上が着ていたら、それは集会とみなすしかないので違法だというのです。一体それはだれの解釈なのかは分からないけどこんなにも恣意的で任意的な方式で不法のレッテルを貼るのが警察たちの仕事ですね。
Q 大統領府の前の座り込みを行っている労働者たちについて、中央日報は社説でこのように非難しました。「これは、公権力を愚弄しているのを越えて、政権を作ってやったので、対価を出せと要求する『借金督促』に違いない」というのです。労働に対する朝鮮日報、中央日報、東亜日報のような保守メディアの敵対的な視線はさておいても、文在寅政府の成功を望む人たちの怒りの叱咤と誹謗に接することも本当に簡単ではなかったようですが。
A 崔:インターネットで私も記事のコメントを見たんですけど、内容もよく知らずに、無条件に攻撃的に反応する人々も多いですね。もちろん、日常の生活が忙しくて余裕がないと、無関心になることもあるだろうが、「君らの地域区政治家に請願すれば済むことだろう。なぜ大統領府の道路まで出たのか」といった話にはちょっとあきれました。地域で長い間そっぽを向かれた問題なので、私たちがこのように出てくるしかなかったという点を理解できないようです。
兆:ところで私どもがここで過ごしながら市民たちに抗議を受けたりすることはほとんどありませんでした。むしろ座り込み現場に訪問して頑張ってくれるように応援してくださる方もいらっしゃるんですよ。どうにもインターネット上の反応と実際の姿には温度差があるようです。だから私は私たちの闘争に否定的なフレームをかぶせようという保守メディアの世論集めが問題だと思います。例えば、私たちが民主労総を「民労総」としないじゃないですか。ところが、民主という単語を意図的に消そうとする守旧勢力のこのような表現をためらうことなしに使用する方が本当に多いんですよ。否定的な世論を形成しようとする勢力が幅を利かせているのは事実だが、そのような主張がともにろうそくを持った人たちの真実の願いではないと思います。
自分がやったことに責任をとれ
Q ユソン企業の支会闘争について、お話をお聞きします。この5月、検察が現代自動車会社側をユソン企業労組破壊介入疑惑で起訴しましたが、ユソン企業労組破壊に現代自動車が直接介入した状況が明らかなのにも関わらず検察がこんなに遅い起訴をした理由は何だと思いますか。
A 崔:正直に起訴をするとは見当もつかなかったです。検察が不起訴処分を下せば、裁定申請をしなければならないのかと思ったら、意外にも検察が、今回、起訴を決定しました。財閥の大手企業と主要役員らが部品会社の労組破壊を指示・共謀したという理由で起訴処分されたのは今回が初めてのことだと言うんですよ。
とにかく、労組破壊犯罪行為が明白な現代車が結局起訴されたというのは一方では嬉しいながらも、検察がこんなに時間の引き延ばしをしなければ人が死んでいくこともなかったのに、という錯雑した気がします。事実、労働部も、今回の事態の手がかりを早くから確保していたが、事態の解決に積極的に乗り出さなかったです。
厳密に言うと、労働部も、捜査権を持っているが、検察が起訴権を独占しているため、拘束捜査が必要な状況でも、独立的な判断をまったくできないんです。たとえ労働部が力がなくても、不法行為が明らかになった場合に本来の役割に専念すべきだったが、実際、このような部分で、検察も、労働部も責任を放棄したんじゃないかと思います。この前のろうそく抗争で財閥、マスコミ、検察などに対する改革要求があまりにも激しかったために、それでもこのぐらいは進展があったのではないかと思います。
Q 労組破壊犯罪は、現代自動車部品メーカーだけでなく、現代起亜自動車下請け会社でも同様に起こっていたのを知ってますが。最近もこのような出来事が続いているんですか?
A 兆:労組弾圧の事例は数え切れないほど多くあります。最近起きている状況について話しますと、会社側が4千人の社内下請け労働者のうちに1049人だけを特別採用する手続きを進行しています。当時、ファソン社内下請け分会は、裁判所判決どおり全員正規職化を履行せよと労使合意に反対し、独自のストまで繰り広げました。
ところが、今の会社側は、特別採用を通じて組み立てラインに入れることになる正規職定員を口実に非正規職労働者らを強制的に転籍したというのです。転籍をするためには、労組と事前協議を経なければならないにもかかわらず会社が非正規職支会組合員たちを個別に懐柔し脅迫して強転籍を推し進めているのです。
私たちはこれが実質的に労組を無力化するための会社側の弾圧と見ています。
裁判所では全員正規職という判決が出たにもかかわらず、会社側は心のこもった反省と裁判所の判決の履行どころか、依然として法の上に君臨し、不法をほしいままにしています。
Q 座り込み団は、労組破壊問題と共に、現代車の慢性的な不法派遣問題についても、厳正な処罰と問題解決を政府に促しています。どうですか、新政府が現代車の違法な慣行を是正する意志があると思いますか。
A 崔:この前にチョデヨプ雇用労働部長官候補者聴聞会の映像をちょっと見たんです。東進オトテクとユソン、甲乙(カブウル)オートテク、などの事業所がどの会社と問題になっているのかという質問に現代重工業ではないかという突拍子もない答えを言うんですよ。
文在寅政府が労働懸案についてこれほど無知な人を労働部長官に座らせるというのをみれば、果たして新政府で労働の問題がどれほど変わる可能性があるかという疑念があります。昨日、甲乙オートテクの記者会見でも、会社側の訴訟代理人を務めた人物を反腐敗秘書官に任命する現実を嘆いたじゃないですか。当事者たちがこんなに問題提起しても黙認で一貫して政府要職に座らせるということを続け、率直に憂慮するばかりです。
兆:文在寅政府が労働尊重社会を実現すると就任初期から強調しているが、事実違法派遣、非正規職問題は、金大中(キム・デジュン)・盧武鉉(ノ・ムヒョン)政権につながる時期に作られた派遣法、期間制法のために生じたものじゃないですか。それにより数多くの労働者らが解雇されて死んできました。文在寅大統領はこの問題において決して第三者になることができません。
10年以上の間、積もった労働積弊を「結者解之」(自分でやったことは自分で解決する)の姿勢で新政府が解決していかなければならないと思います。そして私たちが「私たちをちょっと助けてください。 私たちの話をちょっとぜひ聞いてください」というのではないんです。
あなたたちによって苦痛を受けてきた労働者の懸案を直接解決せよというのが私たちの基本認識です。守旧マスコミらがしきりに私たちを「悪あがき」するというふうに追い込んでいるが、そんなことをしても、この本質は変わらないと思います。会社側の弾圧が継続されているが、諦めません。
Q 地域と現場では最近どう闘争していますか?
A 崔:昨年にハングァン号烈士が世を去った後地域別に共同闘争単位が活発に稼動しています。忠清北道(チュンチョンブクド)地域では忠清北道共同行動が現代自動車代理店前1人デモを毎週欠かさず進行しており、忠清南道(チュンチョンナムド)地域も忠清南道対策委活動が多岐にわたって展開されています。
現場はユシヨン会長が拘束されてからはやや穏やかな局面だったが、最近、嶺東(ヨンドン)工場では、管理者たちが喧嘩をふっかけています。管理者たちが時間チェックを故意に間違えて記載しておいたり賃金を削減するとか、争議行為の期間中、作業拒否をするとか…。一種の部分的な職場閉鎖のようなものでしょう。特定組合員に作業をするなと言うんです。 それに対して現場は闘争を準備中です。牙山(アサン)工場では水面下で外注化を進めたことが発覚してストライキ闘争を毎日進めています。
また、会社側で発行する宣伝物を見ると、支会に対する誹謗と悪宣伝が最近続いています。例えば「どうして顧客会社を刺激するのか。これでみんな死ぬ」。そして、賃金で支出される費用が40%が超えると主張するのですが、私たちが自主的に経営分析したデータを見れば、25%にもならないんですよ。
会社が難しいというイデオロギーを流布しているのです。しかし過去の2年間で事務職、いわゆる管理職の賃金が一千万ウォン以上削減されたそうです。会社側が管理職賃金体系を従来の月給制から成果年俸制で一方的に変更したために起きた出来事です。依然として会社は支会にすべての責任を転嫁し、図々しくねばることで一貫しています。
兆:私の現場は現在、賃金交渉期間なんです。支会は争議調整申請をし、近いうちに争議権を獲得すれば、スト態勢に転換する予定です。起亜車社側は、不法派遣の議論を新規採用で終止符を打とうとするために、やはり状況は生易しいものではありません。最近、起亜自動車労組分離事態以降は非正規職支会が独自のスト権を持つようになったでしょう。これが非正規職支会の立場では毒になることも、薬になることもあると思います。それにもかかわらず、私たちの要求を持ってストを進めることができるようになったことは明らかに鼓舞的な状況だと思います。それで今度は様々な難関にもかかわらず、現場を組織して今年中に不法派遣を終息させるという希望を持っています。
Q 最後に「変革政治」の読者にも一言お願いします。
A 崔:熱心に闘争して過ぎた時間もそうですし、これからも変わらず連帯してくださった同志たちにともに戦って勝利したという感動を必ずプレゼントしたいです。闘争する全国のすべての同志たちにたくさんの関心と連帯をお願いします。 そして「変革政治」をたくさん購読してください!
兆:ここ青雲洞事務所の前で座り込みをしながら感じるのは本当に多くの社会的要求があるということです。まるで洪水のようにいっぺんに出たようだが、実際はそれが正常でないかと思います。われわれ自身の要求を自ら行動で示すそれが本当の進歩的な社会の姿ではないかと思います。それで多くの同志たちが行動して実践するような連帯の心でともにしてくださることを期待します。
インタビュー=イム・ヨンヒョン(機関紙の委員長)
社会変革労働者党機関紙 「変革政治49号」より
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