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    かけはし2017.年7月31日号

ゲート前とカヌーの行動を強めよう


沖縄報告:7月22日

翁長知事による埋立差し止め訴訟に呼応し

沖縄 K・S

7.22

辺野古・大浦湾の埋立を止めよう!

「人間の鎖」に2千人

キャンプ・シュワブ包囲行動

 日本政府・防衛局は、今年三月三一日に仲井真前知事による岩礁破砕許可が期限切れとなったにもかかわらず、これを無視し無許可で違法に、四月二五日から捨石投入によるK9護岸工事に着手した。以来約三カ月、大浦湾側のK9護岸は基礎となる捨石が浜から海へ約一〇〇m張り出したところで工事が中断され、辺野古側ではK1護岸につながる工事用仮設道路の造成準備が二カ所で行われている状況だ。
埋め立て工事はまだ始まったばかりだ。工事予定海域の浜には今年もウミガメが数カ所にわたって上陸し産卵した。今後、護岸造成と工事用仮設道路造成のために大規模な浜の破壊と捨石・砕石の大量投入が予定される。闘いは重大な局面を迎えている。翁長知事は七月二四日、埋め立て工事の差し止め訴訟と仮処分申し立てを行う。ゲート前座り込みとカヌーによる徹底した非暴力の運動と沖縄県・名護市の行政権力が結束して、辺野古NO!の民意を貫いて日米両政府と全面対決する構図が再び浮かび上がった。県民の団結力を示そう。

千個の風船に希望が込められている
七月二二日午後、キャンプ・シュワブゲート前で、辺野古新基地に反対する「辺野古・大浦湾の埋立てを止めよう!人間の鎖大行動」(主催=基地の県内移設に反対する県民会議)が行われ、炎天下二〇〇〇人が集まった。参加者は、年配の人々、若者、家族連れなど多様で、子供連れも目に付く。米海兵隊キャンプ・シュワブが面する国道329号線の辺野古集落前の信号からメインゲート(第1ゲート)、工事用ゲート、第2ゲート、第3ゲートの四つのゲートを含め、約一・二kmを一時間にわたって「人間の鎖」で封鎖した。
第1ゲート前の宣伝カーの上には司会の玉城愛さん(オール沖縄会議共同代表)。ヘリ基地反対協の安次富浩共同代表の開会宣言のあと、基地を取り囲んだ長い列から一斉に赤、白、青、黄色、緑など色とりどりの風船が空に放たれた。その数一〇〇〇個。とける素材を使用した自然に優しい風船だという。そのあと発言した稲嶺進名護市長は「風船には希望が込められている。新基地を止め、基地のない沖縄を子や孫に伝えていくというのが私たちの願いだ。翁長知事と共に絶対に新基地を止めよう。グスーヨー、チバラナヤーサイ」と檄を飛ばした。

4つのゲートを1時間にわたり封鎖
連帯のあいさつには国会議員四人が立った。照屋寛徳衆院議員「今日のキャンプ・シュワブを包囲する人間の鎖は、七二年前の沖縄戦の犠牲者と今を生きるわれわれをつなぐ命の鎖だ」、赤嶺政賢衆院議員「闘いをもっと強め安倍政権を倒し、新基地を阻止しよう」、玉城デニー衆院議員「スク(アイゴの稚魚)が押し寄せる豊穣の海を守り、ウチナーの平和の心の鎖を結ぼう」、伊波洋一参院議員「諦めない。日本のアメリカ従属を打ち破り沖縄の人間としての尊厳を取り戻す闘いに必ず勝つ」などと決意を述べた。
続いて、基地に向かって手を取り合ってウェ―ブを行い、「NO BASE HENOKO」「海兵隊撤退」「とり戻そう普天間」「違法工事中止せよ」「辺野古・高江工事強行止めて」などのプラカードを掲げるアクションを繰り返した。第1ゲート前は県議、市町村議など、第1ゲートから向かって右方向、辺野古信号までは教組、自治労など労組、大型バスをチャーターして参加した各地の島ぐるみは第1ゲートから向かって左方向、第2ゲート、第3ゲートまで人間の鎖を力強くつないだ。

8・12県民大会に総結集しよう!
賛助団体のあいさつが平和市民連絡会、平和運動センターから行われ、最後に、統一連による閉会宣言とつないだ手を高く上げるガンバロー三唱で集会を終えた。日米両政府に対し辺野古NO!の県民意思を明確に表明したこの日の人間の鎖行動はさらに輪を広げて、三万人以上の8・12県民大会へと突き進んでいこう。

7.19

辺野古水曜行動

150人がゲート前に座り込み

山口県から土砂搬出に反対する団体参加


七月一九日水曜日の辺野古ゲート前座り込みは、平和市民連絡会の高里鈴代さんの進行で早朝から始まった。ヘリ基地反対協の安次富浩さんは「現在防衛局がやっている工事は当初計画にはない工事だ。彼らの目的は工事が順調に進んでいるというイメージづくりだ。来年一月の名護市長選が焦点になる。負けられない」と述べた。辺野古を取材するため八日間の予定で滞在中のアメリカのPBS(米公共放送)も熱心にカメラを回している。翁長知事のインタビューや辺野古現場の様子などをまとめ、九月中に特集番組を放映するとのことだ。
午前八時半ごろ、資材搬入の動きが伝えられると、参加者はゲート前に密集して座り込み警察機動隊の排除に備えた。この間水曜集中行動日には資材搬入は控えられていたが、工事の遅れに防衛局はもはやなりふり構っていられないということか。同時に機動隊による座り込み排除が乱暴の度合いを増しており、捻挫、内出血、打撲、擦り傷の類が絶えない。救護テントの撤去を繰り返す執拗さも異常だとしか言いようがない。排除と囲い込みのあとゲート周辺からの激しい抗議が継続する中、北の二見方面からは砕石を積んだダンプ、南の久志方面からは小型ブルドーザーやH型コンクリート、砂利ダンプ合わせて約三〇台が進入した。
搬入が終わり、機動隊が撤収すれば、機動隊により撤去された足場板とブロックを再び置きなおして座り込みを再開する。土木技師の奥間政則さんは高江と辺野古の現状について「今朝の新聞に載っていたように、高江のヘリパッドの防風ネットが外された。乾燥に弱いイタジイの破壊がいっそう進む。オスプレイの熱風により芝が枯れ、こげている。爆風がすごい。森が死ぬ。マスコミはきちんと報道してほしい。辺野古の埋立てについて、読売新聞は、中仕切護岸N5の工事を九月から行う予定だと報道している。今日の資材もその準備かも知れない。防衛局の埋立て作業は県との協議をいっさい抜きに行われており、問題だ」と報告した。
そのあと、ゲート前のテントに移動し座り込みを続けた。山口県からの五人は「安倍の地元からやってきた。辺野古への土砂搬出に反対する団体を立ち上げ活動している。沖縄県と協力して取り組みたい」と元気に述べた。はじめての参加者の一人は「今日が初めて。来て見て、送迎、トイレ、飲み物、すべてそろっていることが分かった。いつでも安心して参加できる。また来る」と話した。
「辺野古ネーネーズ」による歌のあと、高江連絡会の仲村渠(なかんだかり)さんが「七月二八日に高江の北部訓練場メインゲート前で、オスプレイの運用に抗議する集会がある。厳しい日程だが、できるだけ参加してほしい」と訴えた。また、ダグラス・ラミスさんは「八月九〜一二日にアメリカでVFP(ベテランズ・フォー・ピース)の総会がある。沖縄から三人参加する。派遣に協力してほしい」と呼びかけた。さらに島ぐるみ那覇バスは「アメリカ防衛局はいらない。ウソつくな防衛局、負担は増えているぞ」とコールした。午後早々に二回目の資材搬入が予想されることから、早めの昼食をとり、一二時半ごろゲート前に移動し座り込んだ。そしてこの日二回目の機動隊による排除・囲い込み、激しい抗議の中資材搬入ダンプの進入、資材を下したダンプが出てくるまでの県警による排除の継続に対し、ゲート周辺で抗議を続けた。

ヘリパッド工事強行1周年
高江の闘いは終わらない

 昨年七月二二日、日本政府防衛局はN1ゲート前の車両とテントを強制撤去し、高江ヘリパッド建設工事再開を強行した。全国各地から動員された五〇〇人の機動隊を含めた警察の圧倒的な暴力に抗して果敢に展開された昨年の七月二二日のN1ゲート前の闘い。ゲート前の県道を数百メートルにわたって占拠した一六〇台以上の車と二〇〇人以上の人々は死力を尽くして国家権力の横暴に抵抗した。車両の上に登りロープで縛りつける必死の抵抗も最後には力尽き、排除された。しかし、この日の闘いは沖縄の非暴力の闘いの到達点だ。武器を持たず、己の体だけを唯一の武器にして、ギリギリのところまで抵抗する非暴力主義に徹した闘いが見事に示された。あの日から一年。
防衛局はゲート入り口に鉄柵と開閉式の門を設置し、緑豊かな高江の風景は一変した。そして、高江一帯は法の支配が及ばない無法地帯となった。やんばるの森を壊し、住民の生活を壊すN1、H、Gの四カ所のヘリパッド建設は、機動隊の暴力と警備員をはじめカネに糸目をつけない防衛局、さらに自衛隊のヘリ機まで総動員して強行された。
一二月二二日、日米両政府は米海兵隊北部訓練場の返還式を行った。米軍が「不要」だという約四〇〇〇ヘクタールに及ぶ広大な面積の返還が「沖縄の負担軽減」であり県民が「歓迎」「感謝」しているとの図式を演出しようとしたが、失敗した。地元の名護市長、翁長知事、六人の選挙区選出衆参両院議員、新里米吉議長をはじめ県議会与党会派の多数が参加を拒否し、県民が歓迎も感謝もしていないことを明確にした。返還式は会場の空席が目立つ、関係者だけの内輪の式典となった。「沖縄の負担軽減」を口実に厚かましく新基地建設を強行する日米両政府と県民ぐるみで反対する沖縄というふたつの姿がはっきり浮かび上がったのだった。
欠陥が指摘される高江ヘリパッドのオスプレイによる運用が七月中旬から始まった。ほぼ毎日オスプレイが二機、飛行している。昨年の闘いから一年のこの日、N1ゲートに行った。ゲート前には何もすることがない警備員二〇人近くが炎天下、ただ立っているだけだ。何というムダ! 米軍基地を守るためならカネに糸目をつけない日本政府防衛局おぞましい対米従属の姿だ。また、こんな「労働」は拷問に等しい。ゲート前の座り込みテントには毎日住民の会と支援者が朝から夕方まで詰めている。トイレも新しく作られ、通路の木の道も整備されている。上空から見えるように、大きく「US Forces OUT」と書かれた特大の横断幕も道路脇の斜面に設置されている。高江の闘いは終わっていない。ヘリパッドは作られたが、森を壊し住民の生活を壊すオスプレイに使わせない闘いはこれからだ。サンゴ礁の辺野古・大浦湾の海と共に、高江の亜熱帯の森を守ろう!



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