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    かけはし2017.年7月24日号

安倍政権のウソと傲慢許さない


沖縄報告:7月15日

人権侵害、法の無視に徹底反撃を

沖縄 K・S

沖縄県が工事差し止めを求めて提訴

8・12県民大会に辺野古
NO!の民意を総結集しよう


 沖縄県議会は七月一四日の定例本会議で、県知事が辺野古工事の差し止めを求めて裁判を提訴する議案を賛成多数で可決した。社民・社大・結連合、おきなわ、共産の与党会派二四人が賛成、自民・維新の一七人が反対、公明の四人は退席した。訴訟費用五一七万二〇〇〇円の補正予算も可決した。早ければ今週中にも提訴するとのことだ。菅は記者会見で「極めて残念」「工事を進め普天間飛行場の一日も早い返還を実現したい」と述べた。安倍官邸の相も変らぬウソと傲慢に全面対決だ。ND(新外交イニシアティブ)は七月一二日ワシントンで猿田佐世弁護士、元沖縄タイムスの屋良朝博さん、東京新聞の半田滋さん、米ジョージ・ワシントン大のマイク・モチヅキ教授によるシンポジウムを開き、沖縄駐留海兵隊の撤退と辺野古新基地建設の不必要を訴えた。
キャンプ・シュワブの基地名の由来となった米海兵隊シュワブ二等兵は一九四五年五月七日、浦添グスク周辺の戦闘で死亡した。海兵隊はどうして沖縄戦で戦死した米兵の名前を基地の名前にするのか。沖縄は戦利品ではない。日米両軍が沖縄を舞台に激戦をくり広げた沖縄戦。米軍は戦争が終わればさっさと自主的に撤兵すべきだった。そうすれば、日本軍が宣伝した「鬼畜米英」ではなく、住民の傷の手当てをし水も食べ物もくれた有り難い米軍として感謝されたまま沖縄から去ることができたかもしれない。しかし現在、戦後七二年間の米軍の占領と事件・事故、犯罪の数々を通じて、米軍は県民の敵意に囲まれたまま撤退する以外に道はない。
七・二二キャンプ・シュワブ包囲行動と七・二五海上座り込みに参加しよう! 八・一二県民大会には翁長知事も参加する。県民大会を受けて八月一六日から代表団二三人が訪米する。辺野古NO! の闘う民意を総結集しよう! 県民が団結すれば日米両政府に決して負けることはない。

7.12

ゲート前座り込み

救護テント撤去を
くり返す警察機動隊


七月一二日水曜日のゲート前行動は、島ぐるみの北部、那覇、南部を中心に約一五〇人が集まりゲート前に座り込んだ。午前八時前に集会を始めたところ、県警は「歩行の妨害になっている」「道路交通法違反」を理由に「救護テントを撤去せよ」と強硬に出てきた。道路わきの赤十字のマークの救護テントは、炎天下体調を崩す人の健康を守る最小限の命の砦だ。なんら歩行者の邪魔になっていない。安倍官邸の指示か、でなければ忖度で動く県警幹部は血も涙もない冷酷な人たちだ。参加者の強い抗議が沸き起こり騒然とする中、警官隊は救護テント二カ所を強制撤去した。
彼らは「道交法違反」を口にするが、警察車両をゲート前に駐車させ続ける自分たちの違法行為はOK、座り込み参加者の場合はNOというわけだ。法律の恣意的で手前勝手な運用、政治の私物化は「森友」や「加計」に限らない。安倍政治のすべてがそうであり、特に沖縄で顕著だ。日本環境法律家連盟は辺野古現場での深刻な人権侵害の調査に乗り出す。七月末から五日間、県内外の弁護士一〇人近くが現場を調査し「辺野古人権レポート」としてまとめ国内外に広く発表する予定だ。
朝一から警察権力に対する怒りが爆発してスタートしたゲート前行動は、ヘリ基地反対協の安次富浩さんのあいさつ、糸満市、南城市、八重瀬町、大宜味村、国頭村、名護市、本部町の各島ぐるみの報告と決意と続いた。その後、場所をテントに移し集会を続けた。平和市民連絡会の上間芳子さんは「月曜は早朝高江に行って作業車両を止めた。高江も辺野古も機動隊に守られてしか工事も基地もない。しかし、機動隊もウチナーンチュだ。祖父母、父母が地獄の沖縄戦を生き抜いたから彼らがいる。彼らもウチナーンチュの生命・財産を守るという決意で警官になった筈だ。個人的な罵倒は彼らを向こう側に追いやってしまう」と提起した。
栃木県からの参加者は「労組は一万人以上の御用組合に対し、三〇〇人余りしかいないが、辺野古・高江の問題を組合に提起しカンパも募った」と述べ、大きな拍手を受けた。群馬県からは、県議、市議三人が参加し、ゲート前に座り込んだ。

7.15

国連行動報告会に200人

“日本を人権の国に
しなければいけない”


七月一五日夕、那覇市内で、「沖縄の声を国連に!〜六月ジュネーブ行動について〜」と題する国連人権理事会帰国報告会(主催=沖縄国際人権法研究会)が開かれ、約二〇〇人が参加した。辺野古のゲート前から直行した人々も多くいた。山城博治沖縄平和運動センター議長、金高望弁護士、阿部岳沖縄タイムス記者、星野英一琉大教授、沖大地域研究所の親川裕子さん、島袋純琉大教授がそれぞれ発言した。
星野さんはジュネーブでの行動を振り返りながら、準備した資料に基づいて山城さんのスピーチ、シンポジウム、各方面へのロビーイングについて説明した。山城さんは「英語は得意ではないが、心を込めて九〇秒のスピーチをした。今回の国連行動で世界とのつながりを実感した。国際社会に働きかけて理不尽な沖縄の状況を打ち破ることが必要だ」と訴えた。
金高弁護士は「山城さんの弁護人としてジュネーブへ同行したが、貴重な体験だった。山城さんは訴える力があった。日本政府が沖縄でやっていることは国際基準では違法だ。日本の刑事司法は異常とも言える位遅れている。中世だとの指摘もある。その中でもさらにひどいのが沖縄の現場だ」と述べた。
親川裕子さんは、デービッド・ケイ氏の特別報告書の内容を抜粋したパワーポイントを使いながら、「一般的に日本では抗議活動に対して抗議の場が確保されているが、沖縄の状況は異なる。それは多くの様々な理由があり、……まず、そこに外国政府が関係していること、そしてその外国政府(アメリカ政府)が関係する安全保障の問題がからんでいることが明らかな理由である」と紹介した。近々報告書全文の翻訳を刊行するとのことだ。
そのあと質疑が行われ、進行係となった島袋純教授は「日本を人権の国として造らなければならない」と提起し、二時間半にわたるシンポジウムの幕を閉じた。

7.14

南部島ぐるみ会議合同学習会

“基地のための土砂は一粒もない”


全国一二県の一八団体が加盟する辺野古土砂搬出反対全国連絡協議会は七月一三〜一五日、沖縄県議会議員との勉強会を皮切りに、沖縄本島南部と北部で連続学習会を開催した。
豊見城市で開かれた一四日の南部島ぐるみ会議合同学習会には糸満市、南風原町、南城市、八重瀬町、与那原町などから約二五〇人が参加した。開会あいさつで阿部悦子さん(全国連絡協議会共同代表)は、「山を壊すことは海を壊すこと。昨年六回沖縄に来たが、今年は交通事故のため今回が初めて。辺野古に土砂を運ばせない。戦争に使う土砂は一粒もない」と力強く訴えた。
辺野古抗議船船長の北上田毅さんは「沖縄県土砂条例の最初の適用例が石材の一部を県外から調達した那覇空港第二滑走路だった。届け出ではないとされていた外来種のハイイロゴケグモやオオキンケイギクがあった。業者任せではダメ。中止勧告の権限を持つ県知事が毅然として対応すれば県外からの土砂搬入は止められる」と話した。
そのあと湯浅一郎さん(全国連絡協議会顧問、ピースデポ副代表)がスライドを使って要旨次のように講演した。――
一九九二年のいわゆる地球サミットでスタートした「生物多様性条約」(CBD)には昨年末で一九四か国とパレスチナが締結している。ちなみに米国は未締結。わがまま国家だ。日本政府は二〇一〇年名古屋で開催されたCBD第一〇回会議(COP10)で議長国としていわゆる「愛知目標」の取りまとめに努力した。そして二〇一二年、「生物多様性国家戦略二〇一二〜二〇二〇」を閣議決定した。現在三九都府県が各県レベルの地域戦略を策定している。
辺野古・大浦湾埋め立ては生物多様性国家戦略に違反する。防衛省といえども、生物多様性国家戦略を守らなければならない。沖縄県は一昨年「外来生物防止条例」を制定したが、県の担当者は二人しかいない。立ち入り調査が大事だ。沖縄県から県外の土砂関連県に協力要請し自治体同士が協力しながらチェック体制を強化することができる。

7.8

辺野古での学習会に50人

工事は“見せかけ”
絶望的困難が実情

 七月八日午後、名護市の辺野古コミュニティーセンターで、「新基地建設問題を考える辺野古有志の会」が主催する学習会が開かれ、約五〇人が参加した。講師の北上田毅さんがスライドを使い一時間半にわたって、「辺野古新基地建設の現状とこれから」と題する講演を行なった。講演のあと、名護市議の大城敬人さんがマイクを持ち、「今がカギ」と行動への結集を呼びかけた。

 北上田さんの講演要旨

 今行われている埋め立て工事は、@四月二五日から始まった大浦湾側のK9護岸の基礎捨石の投下、A六月二六日から始まった辺野古側での工事用仮設道路へ接続する取り付け道路の造成、だ。K9護岸は約一〇〇m海にせりだした。護岸の長さは三一五・九mなので、三分の一弱ができたように見えるが違う。沖に行けば行くほど水深が増し、先端部分は六m以上になる。予定では、K9護岸の造成に石材だけで一〇トンダンプ九〇〇〇台分が必要とされる。護岸の構造は、一番下に基礎捨石、両側面に被覆ブロック(一個九トン、二八九四個)、その外側に消波ブロック(一個二〇トン、二〇〇〇個)を設置、上部は基礎捨石の上に袋詰めコンクリート、基礎砕石、均しコンクリートを施工した上に上部コンクリートを設置し、海面から一〇mの高さにするというものだ。基礎捨石の高さは一・三m。今できているのはここまでだ。
防衛局は六月末からK9護岸の内側に消波ブロックを置いた。七月三日の防衛局交渉で、沖縄防衛局長は「台風の高波による護岸への影響を防止するための一時的措置」「消波ブロックは撤去し被覆ブロック設置からやり直す」と述べた。そうであれば、台風シーズンが終わる一一月末までK9護岸の工事は止まることになる。防衛局ははじめから、一〇〇mしか施工できないことを分かっていて、あえてK9護岸工事に着工したのだ。なぜか。海への石材投下によって埋め立て工事が進んでいるという印象をつくり出し、県民を諦めさせるためだ。護岸工事が着工された翌日のサンケイ新聞の報道(二〇一七・四・二六)には「来年一月の名護市長選までに、北側で約一〇〇m護岸造成」「護岸造成が進んでいれば普天間移設問題は市長選の争点にならない」とある。七月九日投開票の那覇市議選でも、維新など一部の候補者は「土砂が入った今、辺野古の賛否を問う質問に意味なし」と主張している。これこそまさに政府の目論見だ。
護岸工事着工の問題点は、@石材の洗浄を行っていない(埋立願書、アセス評価書の記載違反)。防衛局は「洗浄時間は一五〇秒」「洗浄水量は八トンから一二トン」としているが、嘘だ。A岩礁破砕許可期限が切れたが更新していない(県漁業調整規則違反)。B設計概要変更申請を行わないまま施工順序を変更している(公有水面埋立法違反)。C実施設計、環境保全対策の事前協議を行っていない(埋立承認の際の留意事項違反)。Dサンゴ類の移植等、環境保全策変更の知事承認を得ていない(埋立承認の際の留意事項違反)である。
さらに、防衛局の抱える最大の問題が美謝川の切り替えルートの変更問題だ。名護市長の権限でにっちもさっちもいかないのが実情だ。その上、防衛局の弱点は陸上部からの資材搬入が追い付かないことだ。工事は並行して進むため膨大な工事車両が必要になる。ゲート前で工事車両の進入を遅らせば状況が変わる。ゲート前座り込みの強化を!



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