もどる

    かけはし2017.年7月24日号

今こそ安倍改憲阻止・共謀罪廃止へ


7.12

市民連合が緊急シンポジウム

安倍への不信が高まる中で

政治を人びとの手に取り戻せ


総がかり越える
11・3大行動を
 七月一二日、午後六時半から「安保法制の廃止と立憲主義の回復を求める市民連合」(市民連合)と「戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会」が緊急シンポジウム「STOP安倍政治―改憲を許さない市民集会」を開催した。会場は中野サンプラザホール。直前の都議選が示したように、しゃにむに改憲に突き進む意志をあらわにしている安倍に人びとの大きな不信が向かい始めている今、その不信と結びつき、安倍とその取り巻きの暴政を止める民衆的決起をどうつくり出すかを、共に探り出し共有化しようとの企画と言える。
 主催者あいさつに立った総がかり行動実行委員会の高田健さんからは、五月三日の発言以後安倍が改憲策動のペースを前倒ししていることに注意が喚起され、その並々ならぬ決意に自分たちも全力で立ち向かう必要があるとして、かつてない大規模な統一行動をめざそうと呼びかけられた。そして「一一月三日総がかりを超える」総がかりの行動、およびそれを起点とした統一署名運動を計画していることが紹介された。

9条明文改憲は
何をもたらすか
続いて立憲デモクラシーの会の山口二郎さんが基調講演、さらに、同じ山口さんの司会の下、早稲田大学法学学術院教授の長谷部恭男さん、立教大学教授の香山リカさん、学習院大学教授の佐藤学さんが、安倍政治とそれがつくり出した日本の現状をどう考えるか、安倍の言う改憲の意味、それをどう潰すか、などについて各々の問題意識を提起した上で、さらに議論を深めた。会場には九〇〇人以上(主催者発表)がかけつけ、時折拍手が起こるなど、四人の議論に真剣に聞き入った。
山口さんはまず、都議選は嬉しい誤算だったと会場を沸かせつつ、その底には、おかしいことはおかしいと言い続ける人たちの存在があり、それが種火となっていることを確認したいとした上で、安倍政治が法治を壊し人治に傾く性向をあらわにし、その帰結として権力内部では規律が崩れ恣意的政治判断が横行、権力の外に向かっては権力が乱用される、とその危険性を説き明かした。そして、そこに歯止めをかけなければならないとして、選挙による権力更迭の重要性、したがって市民と立憲野党の共闘の重要性を指摘した。またその共闘への踏み込みについては共通認識が立憲野党全体に広がっているとしつつ、脱原発、福祉国家、アジア諸国との協調、個人と多様性の尊重を柱に、それに市民の側から強力に枠をはめようと呼びかけた。
長谷部さんは、特に安倍の加憲論を取り上げ、それは安倍の言う現状追認とはまったく異なり、フルスペックの集団的自衛権に道を開くと批判した。また憲法に自衛隊を書いていないことには、自衛隊について常に説明する義務を政府に課す積極的な意味があるとも指摘、その上で、日本の九条改憲がアジアの軍拡競争を刺激するとして、特に現局面でそれがもつ危険性も重大な批判点だと提起した。
香山さんは、政治家による生活保護受給者へのバッシングなど、安倍政治が人権への敵視に力を与えている形で社会の崩壊が進んでいることに強い危機感を表明、このような政治を一刻も早く終わらせないと大変なことになると訴えた。また九条問題では、多数の人々が自衛隊を認めている中で、安倍の加憲論が自衛隊を認めるのか否定するのかという形に論点化される可能性への対応は十分検討しておく必要がある、と問題提起した。
佐藤さんは、政治はタガが外れた状態、それを立て直さなければならない、それには安倍の改憲を阻止することが一番大きな力になると強調した。そして都議選では、いわゆる無党派層が実は政治的に敏感であり、その地滑りが起きているとしつつ、それがどちらに向くか怖い面もあり、安倍が大ばくちに出てくる可能性を十分に見据え、これからが決戦の秋になると訴えた。

市民の力で暴政
を打ち倒そう
このように進められた議論は、安倍政権が社会のあり方を含めて、国民主権と個人の権利に敵対する方向に政治を大きく変質させていることを共通の認識として、改憲阻止の闘いがそれを逆転させる内容で展開されなければならないことを明らかにした。安倍政権への不信が形を取り始めた今、その不信の意味をより具体的に明らかにしつつ、安倍政権の暴政への反撃に発展させなければならない。そのような取り組みを進め、この日提起された一一月三日の行動の成功に繋げよう。  (神谷)

7.11

共謀罪を発動させない!

「使わせない」から「なくす」へ

警察監視の第三者委員会設置へ  

 七月一一日、共謀罪NO!実行委員会は一二時から、衆院第二議員会館前で「共謀罪法」の廃止をめざす集会を行うとともに、午後六時半から東京・文京区民センターで「共謀罪は廃止しなければならない7・11集会」を二五〇人の参加で開催した(後援:総がかり行動実行委員会)。
 集会では、共謀罪法案審議のさなかの「森友・加計」疑獄を発火点に安倍政権への怒りと不信が大きく広がり、東京都議選で自民党が惨敗し、マスメディアの調査でも安倍政権への支持率が三〇%そこそこにまで低下して、不支持が軒並み五〇%を超えるという危機ラインに落ち込んだ情勢の中で、どう闘うかが焦点となった。
 最初に発言した弁護士の海渡雄一さんは、共謀罪法の発動をさせない世論と運動の力を持続的に維持・拡大し、「使わせない」ことを通じて「廃止」の世論を再度高めていくことを強調した。
 弁護士の小池振一郎さんは「警察を監視する第三者委員会」の設置を通じて、警察の不当な監視・捜査をやめさせ、共謀罪の発動を許さない活動を作り出していくことの重要性を強調した。

改憲阻止の波と
一つになって
「共謀罪法」は参議院では「中間報告」という、委員会審議を差し置いて本会議で採決を強行するという異例のやり方で強行成立させられたが、そのことにより「森友・加計」スキャンダル、安倍政権閣僚・幹部たちの、そして安倍本人の振る舞いへの批判がかつてないほど高まり、安倍政権の悲願である改憲プログラムは動揺に見舞われている。この局面で、改憲阻止の闘いの広がりにより安倍政権を退陣に追い込むことで、共謀罪の発動を阻止するだけでなく、その廃止に向けた展望を切り開くことができるだろう。
集会は最後に、最低賃金時給一五〇〇円の実現を掲げて行動している「エキタス」の藤川理恵さん、グリーンピース・ジャパンの米田祐子さん、アムネスティ・日本の山口薫さん、戦争させない・憲法9条を壊すな!総がかり行動実行委員会の菱山南帆子さんからのあいさつを受け、改憲阻止に向けた闘いの中で「共謀罪廃止」に向けた活動の継続を確認した。               (K)

7.10

「森友」問題で府議会傍聴行動

安倍首相の関与を問うべきだ

近畿財務局職員を刑事告発

 【大阪】学校法人「森友学園」の瑞穂の國記念小學院設置認可をめぐる問題で七月一〇日、大阪府議会の本会議に学園元理事長籠池泰博さんが参考人招致された。「森友学園問題」を考える会のよびかけで、当日大阪府庁前で簡単な集会を持ち、参加者は議会を傍聴した。
籠池さんが議場に現れると、激励のかけ声や拍手がわいた。質問に立ったのは大阪維新の会(所属議員四一人)、自民党・無所属(二五人)、公明党(一五人)からそれぞれ一人だった。全議席が八五議席だから、府議会与党である維新と公明で三分の二を遙かに超えている。自民党は野党だが党中央との関係では複雑な立場にある。したがって、参考人招致が小學院設置認可をめぐる疑惑の真相解明にはつながりにくいという状況があった。野党から一〇〇条委員会の設置が提案されたが、二度否決された。

認可取り消し
をめぐる推移
与党議員の質問は、大阪地検が調べているので籠池さんが答えないことがわかっていながら、三つの請負契約書の問題や補助金の不正受給などについて、安倍記念小學院の名前を使って寄付を集めたこと、そもそも資金もないのに小学校など設置するのは無理だったのだ、というような点についてだった。安倍首相の名前を使って寄付を集めるのは、政治的中立性が疑われるからやめるように私学課から言われたはずという質問に、そんなことは聞いていないと答える場面もあった。
籠池さんは、各都道府県に問い合わせて基準がどうなっているか資料を集めたという。大阪府はこの問題では後進県だった。大阪府の私立学校の設置基準の緩和については東徹府会議員(現維新参院議員)、小学校用地取得については鴻池参院議員(自民党)に協力依頼したこと、認可申請の時は大阪府私学課に丁寧に指導してもらったこと、また、一二年に大阪市内であった日本教育再生機構のシンポジウムで、安倍晋三氏と松井府会議員が同席し、そのあと状況が好転し申請に踏み切ったと述べた。
一四年一二月の大阪府私学審議会では財務問題で保留になり、年明けの一月「認可適当」となった。「認可適当」は認可と同じだから、それから後は、業者選定とかすべてが順調に動いた。寄付金については、名簿だけ提出し、通帳・現金は確認していない。
ゴミのことは業者しか知らない。近畿財務局は、ゴミの深さまでは調べていない。ごみの産業廃棄物は仮置きし、元に埋め戻さなかった。府の私学課が実地調査をすると言って現場に来たが、契約書の原本を持って来いと言われた。それまで何も言われていなかったのに。結局、私学課は実地調査はせずに帰った。実地調査の後の今年三月一〇日、代理人の坂井弁護士の助言で認可を取り消したが、取り消し申請書は、私学課ではなくドーンセンター(府の男女参画センター)にもっていった。私学課は三月六、七日頃までは、認可を通すと言っていたので、本当に取り下げする必要があったのかなと思う。

真実は何かの
徹底追及を!
坂井弁護士は、取り消しの後、代理人を辞退した。昭恵夫人からの一〇〇万円は、午前の部の講演会の前に、「一人でさせてすみません。安倍晋三からです」と言ってもらった。隣が職員室だったので、職員にすぐ報告した。午後の講演会の後、昭恵夫人が帰るとき、お土産と謝礼金一〇万円を渡した。そのあと、携帯に電話があり、「名前は明かさないように」と言われた。籠池さんは、府の一〇〇条委員会を設置し、松井府知事、私学課課長、近畿財務局課長を呼び事実究明をしてほしいと要望した。
また、「森友学園問題」を考える会の木村豊中市議らは、森友学園問題の国有地叩き売りの件で、近畿財務局職員(氏名不詳者)を刑事告発していることにつき、公平・公正で厳正な捜査を求める署名三四九二筆を、大阪地検特捜部に提出した。     (T・T)



もどる

Back