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    かけはし2017.年7月24日号

安倍はヤメロ改憲させない


崖っぷちに立つ安倍政権打倒へ

今こそ労働者・市民の総反撃だ

「野党共闘」と市民運動の連携強化へ

内閣支持率の急落

 東京都議選での、「史上最悪」の自民惨敗を契機に、同党の支持率は各メディアの発表で軒並み「つるべ落とし」ともいえる急落となった。つい最近まで「安倍一強」とうたわれた政権の「安定性」は、完全に失われることになった。
各メディアの最近の世論調査では次のようになっている。朝日新聞(七月八〜九日)支持三三%、不支持四七%、読売新聞(七月七日〜九日)支持三六%、不支持五二%、NHK(七月七日〜九日)支持三五%、不支持五二%、日テレ系NNN(七月七日〜九日)支持三一・九%、不支持四九・二%、時事通信(七月一四日)支持二九・九%、不支持四五・六%、共同通信(七月一五日)支持三五・八%、不支持五三・一%。
明らかにこの数字は、政権末期の傾向を示しており、自らの政権で「憲法改正」を実現することを悲願としている安倍政権が、きわめて深刻な危機の局面に入っていることを示すものだ。安倍首相は、八月初めにも内閣改造に踏み切って「人心一新」を果たし、「二〇二〇年を『新しい憲法』で迎える」という五月三日のビデオメッセージで示したプログラムに向けて再スタートを切ることを、自らに言い聞かせている。「こんな人たちに負けるわけにはいかない!」と。

自民党内部からも批判

 しかし安倍政権の急速な支持率の低下は、何よりも政権与党=自民党内部の求心力の低下に表れている。とりわけ、「森友」「加計」問題に如実に表れた「お友達」への誰はばかることなき優遇が、政策を歪めているという不信は、「文藝春秋」や「週刊新潮」などの右派・保守派メディアでも大きく取り上げられており、安倍政権への支持ばなれを急速に拡大している。
東京都議選で端的に示された世論や右派メディアの「安倍離れ」は、自民党の内部からも何らかの反応を引き起こすことになる可能性を拡大している。しかし同時に安倍に代わる後継総裁=首相候補が対抗馬として登場し、勝ち抜く可能性は高いものではない。自民党の「一強体制」にはひびが入っており、その亀裂は広がっていくだろうが、同時に自民党内で安倍に対抗するイニシアチブが登場する可能性に「期待」することはできない。労働者・市民と野党の安倍改憲に反対する闘いが発展する度合いに従って、自民党内の分岐が拡大していくという関係にある。
そうであればこそ、われわれは安倍が打ち出した「臨時国会終了までに自民党改憲案確定」――二〇一八年にも改憲国民投票を行うという安倍改憲のプログラムを阻止し、「国民投票」に打って出た場合、「国民投票」で改憲を葬り去る労働者市民の運動を、大きく作り出していく必要がある。

「都民ファースト」と安倍


「総がかり」行動を中心にした、安倍改憲・「戦争国家」体制づくりに反対する共同の闘いは、二〇一八年にも「改憲国民投票」をという安倍首相の目論見を打ち砕き、安倍政権を退陣に追い込むために、一一月三日にも「総がかり」を超える、さらに大きな共同の行動を全国で作り上げるよう呼びかけている。
労働者・市民は、「野党共闘」を強め、自民・公明・維新の改憲ブロックを追い詰めるための共同の取り組みを発展させるために全力を上げよう。
ここで、東京都議選での自民党の敗北と小池知事の「都民ファースト」の勝利について改めてどのように考える必要があるのだろうか。
「都民ファースト」を勝利させた有権者の投票は、明らかに「安倍自民党」への拒否であった。そこには「森友・加計」問題に示された安倍政権の「お友達優遇」体制の腐敗に対する嫌悪感を含めて、きわめて多様な幅を持った安倍自民党批判が小池の「都民ファースト」を押し上げることになった。
しかし小池・「都民ファースト」は、小池自身が「日本会議」に所属していたことを含めて、決して「安倍改憲」の流れに立ち向かおうとするものではない。小池と自民党東京都連との対立関係は、そのまま小池と自民党安倍執行部との関係に重ね合わされるものではない。とりわけ二〇二〇年「東京五輪」を巡って、安倍政権と小池東京都政の緊密な連携・協力は不可避となるだろうし、その協力関係が国政レベルにも波及することも確実だろう。「都民ファースト」の動きが全国化して国政政党化するか否かは、現在の段階では不確定であるにしても、である。
そして「都民ファースト」の実質リーダーとしての小池が、明確な「改憲派」であることは、安倍政権と「都民ファースト」の連携にも大きな影響をもたらすことは確かである。

「連合」指導部の裏切り糾弾


そこで改めて、「改憲スケジュール」の確定に踏み込んだ安倍政権が、それとともに求心力を失いつつある現状で、われわれはどのように闘うべきだろうか。安倍政権の危機が深まろうとしている中で、連合指導部は「高度プロフェッショナル制度」(残業代ゼロ法案)を巡って、安倍首相との会談を行い、「容認」の方向に転じようとしている。七月一三日、神津里季生連合会長が安倍首相と会談し、政府との妥協の方向に大きく転じた。
「UAゼンセン」出身の逢見直人事務局長が主導した、安倍政権との「交渉」による受け入れ方針は、「全国過労死を考える家族の会」など過労死被害者家族や連合内の他の単産からも大きな批判を受けている。「連合」指導部による政府との交渉は、民進党の最大の支持母体が「連合」であるということも含めて、民進党を「野党共闘」から引きはがす、大きな要因となりうる。
こうした動きは、明らかに憲法改悪に反対する野党共闘にとって重大な問題である。安倍政権の憲法改悪に反対する「野党共闘」を破壊する「連合」指導部の動きに反対することは、反改憲の運動にとっても少なからぬ意味を持っている。
われわれは、労働者・市民の共同した闘いをさらに強化することによって「野党共闘」の破壊に反対しなければならない。とりわけ求められているのは、九条改憲阻止をはじめとした反改憲の運動と、沖縄の反基地闘争、反原発の運動を軸にした連携をさらに発展させていくことである。
同時に、憲法改悪スケジュールと重なり合いながら、それを加速する役割をも担わせられている、天皇の「代替わり」、東京五輪に反対する声と世論を着実に広げていくことも、独自の課題として意識的に追求していく必要がある。
安倍政権の急速な支持率低下と危機は、二〇一五年「戦争法案」反対運動以来の共同行動の積み重ねぬきには実現しなかった。われわれは運動の力で安倍政権を、その改憲の目論見とともに葬り去るためにチャレンジを続けよう。  (純)



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