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    かけはし2017.年7月17日号

利潤が大事の社会もうやめよう

三陟新規石炭火力発電所建設反対闘争

シム・ウチョン(江原道)



 韓国=新自由主義による経済発展のために、社会的共有財を民営化で破壊し、その結果人間が生きられない環境破壊を生み出している。これを止めろうそくデモで輝きだした新しい社会をどう作るか。環境破壊の石炭火力発電所を閉鎖要求する運動の中からの提起である。(「かけはし」編集部)

 早朝から各市が大騒ぎだ。 微細粉塵の濃度が悪く出てくるのにマスクを使ってもいないでなんで微細粉塵のせいにしているのかと。
 1人デモするために大通り沿いに立ってみると、自動車排気ガスやサムピョセメントから出る工場煤煙で大気環境が非常に悪い。仕方なく出勤かばんに入れておいたマスクを取り出して使って十字路の角に立った。

電気商売人たちが横行する世の中

 石炭火力発電所建設反対闘争を開始し、スマートフォンに大気汚染の情報をリアルタイムで教えてくれるアプリを設置した。そして、微細粉塵や超微細粉塵の基準値も分かるようになった。 本当にとんでもない事実はWHO勧告基準値と韓国の基準値が2倍ぐらいの差異が出たという点だ。さらに、この基準値はもちろん、大気環境汚染数値まで、インターネットサイトを通じて、市民が意識的に探してみなければならない。
三陟(サムチョク)が全国で大気汚染10大地域に含まれるという事実も、最近になって気付いた。三陟(サムチョク)の地に場所を占めて利益を得ることに目がくらんだ資本が多かったせいだろう。有名な郷土企業である東洋セメント(今は資本の主人がサムピョセメントに変わった)はここの山や川そして市民たちの基盤を死の灰色に染め、お金を稼いできた。
それだけではない。 三陟は、核発電所問題で数年間、闘争が起きたところだ。
文在寅(ムン・ジェイン)政権で新規石炭火力発電所事業者である4つの民間の発電会社に液化天然ガス(LNG)発電所に転換する案について意見を聞いたら、4社とも反対をしたという。
「残るものがない商売」だという。 考えてみれば当然の反応だと思う。 石炭火力発電が生産単価がはるかに安くて効率もいいためだ。
LNGより石炭の燃料費が安価になるだけでなく、運送費や設備費用も安いので、民間資本の立場では簡単に利潤を上げることができる石炭火力発電を放棄する理由がないのだ。
このように民間資本は石炭火力発電を素直に放棄する考えはないが、それによる被害はそのまま地域住民たちが受けざるを得ない状況だ。
先に言及した大気汚染問題は言うまでもないだろう。しかも、三陟地域の場合、海岸線に沿って観光地が形成されているが、発電所を建てるため、海岸に防波堤を建設する。
防波堤を建設すれば、海岸侵食が加速化されて、自然景観と海洋生態系を破壊するのが火を見るより明らかだ。

代案社会への転換ための闘い


石炭火力発電の問題以前に私たちが悩まなければならないものも明確に多い。 私が提案したいのは次の三つの問題だ。
第一に、韓国のエネルギー消費パターンを変えてみよう。 毎年、暑さと厳しい寒さが猛威を振るう頃には「電気商人」は電力大乱だとし、騒いでいる。発電所をもっと作ろうと機会を虎視眈々と狙うのだ。 特に金儲けが容易な核発電所や石炭火力発電所を作ろうと必死となっている。地域住民の反対を押し切ってでもというわけだ。
ところで、普段は20〜40%までエネルギーが残って消えていくという。清潔で安全なエネルギーを無駄なく大切にする知恵が必要だ。
第二に、略奪を通じて蓄積してきた資本の利潤に対抗して徹底的に戦おう。 資本はいつも「危機」をいう。彼らの主張によると、韓国経済はいつも危機であり、結果的には資本の思い通りに略奪的、暴力的な利潤集積方式が貫徹されてきた。 資本の利潤より暮らしが先だ。持続可能な私たちの暮らしのために抵抗しなければならない。
最後に水、電気、医療など公共財に対する国家責任を要求しよう。
電力生産事業を通じて利益を狙う今のような私有化された電力市場ではなく、労働者、民衆の必要に応じた公共財としての電気を守る闘争がどれほど重要なのかをはじめて悟ることになる昨今である。
もし2002年発電労働者たちがゼネスト闘争に乗り出すしかなかった理由をもっと早く分かったらどうなったのか?
その時韓国電力公社の私有化を阻止していたら、今のように、政府が民間らの発電会社の機嫌を伺うべきことも起こらなかったのだ。新自由主義の弊害が明らかに現われているまさに今がこのような闘争を地域から築き上げれる時だ。
フォースパワーの三陟石炭火力発電所建設反対闘争は、まさにそんな争いだ。
持続可能な共同体のため、再生エネルギーへの転換と生態親和的な生活を繰り上げる社会、労働者、民衆の普遍的権利をこれ以上資本の利潤の論理に犠牲にされない社会、すべての必需公共財を市場に売り渡していない社会を作るために、我々は一緒に闘っていくのだ。
(社会変革労働者党、「変革政治」47号より)

なぜ「今すぐ」最低賃金1万ウォンなのか

1万ウォンの緊急性1―二極化不平等の経済解決策の開始、最低賃金1万ウォン


 経済問題の核心は、失業と「ワーキングプア」、それに伴う両極化と不平等だ。 韓国は、低賃金や非正規職労働者の割合が世界最高だ。
その結果、家計負債は1千3百兆ウォンを超え、史上最大だ。 90年代以来、労働所得の比重は引き続き下落して資本所得の増加だけだった。
資本中心、新自由主義経済が限界に達すると、政府と資本は労働に負担(非正規職、構造調整)を転嫁した。結局、労働所得と資本所得間の不平等を解決しなければ、どんな成長も自分の暮らしを良くできない。
そのための基礎の解決策として民主労総は国民の賃金に拡散されてしまった最低賃金を1万ウォンに引き上げることを示した。OECDは「最も急速に不平等を解消する国が最も早く成長」すると言う。

1万ウォンの緊急性2―最低賃金が基準賃金になった低賃金社会


労働者4人のうち1〜2人が月給200万ウォン以下であるほどに韓国は低賃金の社会に墜落した。 その過程で現れる現象が最低賃金が基準賃金に拡散するのだ。
つまり死なずに生きるくらいに過ぎなかった最低賃金が例外的に支給する賃金ではなく、どこへ行っても「最低賃金には合わせてあげます」と主張する社会になった。
特に、労働人口の半分に達する非正規職は「最低賃金が最高賃金」の場合も多い。したがって、最低賃金1万ウォンが全国民の労働所得を高める有力な状況になってしまったのだ。
「最低賃金は、国民の賃金」という事実は、悲しいが、直視し、改善しなければならない現実だ。

1万ウォンの緊急性3―人生の雷管家計負債、最低賃金1万ウォンが解決策


家計負債は1千兆時代を超えてから長く、現在1千3百兆に達する。一年の国家予算(400兆+a)の3倍を超える。みんな家計負債がいつ起こるかも知れない経済の雷管だという。 ただマクロ経済の雷管であるだけでなく、庶民の家計を破綻させる危険でもある。
解決策は労働所得増大だ。 労働所得は、家計所得の80%以上を占め、これを改善する核心が、最低賃金となる。
なぜなら、最低賃金の周辺の労働者10人のうち6〜8人は、専業主婦で、家計所得の責任を負う。 そのために最低賃金は家計生活費を基準に決定して当然だ。
しかし、政府は1人の生計費だけを参考にしている。 民主労総は世帯生計費として最低賃金を決定するよう制度改善を要求している。
現在3人世帯の平均生活費は340万ウォンであり、最低時給1万ウォン(月209万ウォン)は、生計費の60%水準で、最低賃金は決して過度な要求ではない。月209万ウォンになれば生活が可能である。

最低賃金1万ウォンがもたらす、韓国社会の変化

 最低賃金1万ウォンは、民主労総が主唱し、社会的要求と合意になった。青年層と高齢労働者を中心に1万ウォンに対する支持が高く、その結果このろうそくの大統領選挙で主要候補全員が時期を変えるだけで、最低賃金1万ウォンを公約に提示した。
このように共感が大きいのは肯定的効果が高いからだ。 最低賃金1万ウォンは韓国社会にどのような変化をもたらすのだろうか。

好循環経済1:財閥の独占経済改革と引き上げの費用責任

 地道に増加してきた労働所得は90年中盤以降、下落傾向を示し折れた。 一方、同じ時期、資本所得は、労働所得下落分だけ上昇を示した。
つまり労働所得(費用)を減らし、企業らの腹を満たしてきたという意味であり、「雇用無き成長」という言葉が出てきた理由だ。食物連鎖の頂点に財閥があるという。
彼らは、元請業者と下請構造で不当な利益を得て、間接雇用、非正規職を量産し、路地まですべての市場を支配して超過利得を得たという評価が高い。
民主労総は「天文学的な富を独占した財閥の大手企業、彼らに対し、最低賃金1万ウォンの費用負担を負わせるのは経済正義であり今すぐ1万ウォン”が可能な方法」と主張する。
財閥は社内留保金として800兆ほどを積み立てている。そのうち8%なら、 最低賃金1万ウォンに必要な一年の財源70兆を充当しており、これはすぐ中小零細商工人支援対策につながることもある。
その代表的な方法は次のようである。
?下請関係の元請けが最低賃金の引き上げ分を共同分担するよう下請法の改正
?公共部門の入札時最低賃金の引き上げ分が自動反映されるように入札契約制度改正
?中小零細商工人を支援するため、大企業法人税引き上げを通じた財源確保
?大企業の路地商圏への進入規制
?財閥、親企業への加盟の手数料引き下げや下請けへの横暴禁止
?経営陣の賃金上限制や超過利益共有制で利益配分

好循環経済2:中小零細商工人支援対策作りや内需成長


財閥が独占してきた利益を中小零細商工人と労働者に回るようにしなければならない。
その始まりが最低賃金1万ウォンであり、むしろ自営業に役立つという認識が高い。
特に、全体自営業者のうち70〜82%は家族以外の他人雇用がない店舗として最低賃金1万ウォンで労働所得が増えると、すぐ店の売上げ増大につながり、むしろ役立つ。
一方、最低賃金1万ウォンに負担を感じている自営業者、つまり家族以外の他人を雇用している自営業者(全体自営業者のうち18〜30%)にはさらに積極的で多様な政策支援を提供しなければならない。
次のようだ
?元請の過度な買いたたきを規制しろ
?4大社会保険料支援
?カード手数料1%に引き下げ(大企業と同じ水準)?最も大きな負担要因である賃貸料の引き上げ規制、商店街賃貸借保護法の強化
?最低賃金引上げ分に対する制限的な政府支援
(「労働と世界」より)

 


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