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    かけはし2017.年7月17日号

北朝鮮がICBM発射


挑発と報復の連鎖を断て

平和を創り出す民衆連帯を

独裁維持のため
のロケット発射

 七月四日午前、北朝鮮は今年になって一一回目となる弾道ミサイルを発射した。北朝鮮はこの弾道ミサイル発射について、「初の大陸間弾道ミサイル(ICBM)」と発表した。北朝鮮は、金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長が発射実験に立ち会い、満面の笑みと手を突き上げて成功を喜ぶ映像を流している。
「火星14」と名付けられたこのミサイルについて、ティラーソン米国防長官も同日発表の声明の中で、このミサイルがICBMであることを確認した。米国のメディアによれば「火星14」の射程は約五六〇〇キロメートルで、アラスカを射程内に収めるとしている。他方、韓国の韓民求(ハン・ミング)国防相は「火星14」の射程は約七〜八〇〇〇キロメートルに及びハワイも射程内に収める可能性がある、と発表した。
今年になって相次いだ、金正恩(キム・ジョンウン)政権による弾道ミサイル発射は、明らかにミサイル攻撃能力の急速な前進を示すものであり、北朝鮮国防科学院は「核兵器とともに、世界のどの地域も打撃できる最強のICBMを保有する核強国として、米国の核戦争による脅威を根源的に終わらせ、朝鮮半島と地域の平和と安定を守る」と訴えている。
われわれは、北朝鮮の金正恩政権による、こうした核兵器による軍事的挑発行為を強く批判する。金正恩政権は、朝鮮半島の軍事的緊張関係の持続を、自らの独裁体制維持のための土台と見なすような政策を放棄しなければならない!

圧力強化強調す
る日米両政府


このICBM発射を「米国独立記念日(七月四日)への贈り物」と呼んだ、北朝鮮・金正恩政権の挑発に対して、トランプ米政権は、これまでICBM発射を「レッドライン」(超えてはならない一線)を超えるものとして軍事的対応を辞さない態度を示してきたが、新たな軍事的圧力や「経済制裁」強化に反対する中国・ロシアらに拒否され、いらだちを強めている。
ドイツ・ハンブルクで開催されたG20サミット(主要二〇カ国・地域首脳会談)に出席した日米韓三カ国首脳(トランプ、安倍、ムン・ジェイン)による会談では、安倍首相が「北朝鮮には真剣に対話する意思などない。国際社会による圧力を一段と引き上げるべき」と主張、北朝鮮との対話の前提は「核放棄」と主張したのに対し、日米韓首脳会談の前にベルリンで「南北会談」を呼びかけたムン・ジェイン韓国大統領は、北朝鮮が核開発を凍結した時点で南北対話を開始し、核放棄を対話開始の条件とはしない、と語った。
G20サミット(主要二〇カ国・地域首脳会議)の論議の中でも、安倍首相は北朝鮮の核・ミサイル開発について「新たな段階の脅威」であり、「国際社会の最優先事項」として各国に北朝鮮への圧力強化を求めたが、G20声明には「北朝鮮問題」は盛り込まれることはなかった。

核兵器禁止条約
に背を向けるな


一方、G20サミットと時期的には並行するような形で、ニューヨークの国連本部で開かれていた核兵器の使用・保有を法的に禁止する核兵器禁止条約の交渉会議で、同条約が採択・成立した。国連加盟一九三カ国中一二四カ国が出席した同会議で、一二二カ国が賛成して、核兵器の使用、開発、実験、製造、取得、保有、貯蔵、移転などが禁止され、さらに核兵器の使用をちらつかせる「脅し」の禁止も盛り込まれた条約が成立したのである。
同条約は、批准国数が五〇カ国に達してから九〇日後に発効するが、日本は「唯一の被爆国」と語りながら、同条約をボイコットした。「北朝鮮の脅威といった現実の安全保障問題の解決に結びつかない」という理由によってだ。核保有国だけではなく「核の傘」の下で「安全保障」政策を打ち立てている「同盟国」の多くが、この核兵器禁止条約に背を向けたのである。
核兵器を背景にした東アジアの軍事的緊張そのものをなくしていく国際的努力の中でこそ、「核」にしがみつく軍事的独裁体制を打倒する労働者・民衆の力を強化することができる。トランプと安倍による、朝鮮半島での臨戦態勢づくりに反対しよう。北朝鮮・金正恩体制の核による挑発に反対しよう。
今こそ朝鮮半島における戦争挑発に反対し、労働者・民衆の平和のための連帯を!       (純)

投書

安倍政権倒す好機だ

チャンスを逃がすな

静岡 M

 
革命的情勢と
ダイナミズム
 森友・加計問題こそ安倍政権を打倒する絶好の好機と思いますがいかがでしょうか? かつて、山西英一さんがオイルショックののちに言われた「実はあの時こそ革命的情勢(危機)ではなかったか」を思い起こしています。人々が企業の倉庫からトイレットペーパーや洗剤が隠匿されていたものを見つけ出し、略奪ではなくて店頭に並べさせる闘いが自然発生的に各地で行われました。確かそのことを例に挙げて話していただいたと記憶しています。私たちに準備ができていなくて、絶好の好機をみすみす取り逃がしてしまった無念の記憶があります。
実は革命的情勢とは自らが周到に準備して情勢を引き寄せて(間に合って)なんていうことでは実はないのではないか。闘いは意外なところから始まり、発展し情勢を揺り動かしていく、その時にどのような方針を打ち立てられるかがその後の闘いのイニシアチブを人民の側に奪い返すことができるのだと思います。
 原発(福島)、沖縄、憲法、戦争法、共謀罪などの闘いは、素晴らしい闘いを作り出していますがジリ貧であることを免れていません。時間と共に動員の規模も小さくなっていきます。
 学生戦線はほぼ壊滅状態、今、労働組合も五〇代、六〇代、七〇代の仲間が頑張って持ちこたえているのが正直なところです。原発や沖縄や憲法は陣地であり大きな出撃拠点に間違いないけれど敵にヒットエンドランのように打撃を与えることはできても逆転にもっていくのは大変です。
 共謀罪を例にすると「現代の治安維持法」といっても私たちは運動の経験があり共産党をはじめとした左翼勢力が大弾圧にさらされ、小林多喜二の虐殺や著名な作家や芸術家たちが厳しい弾圧の中で筆を折ったり転向を余儀なくされたことを歴史として学習もし、本人たちも存命し、戦前の弾圧のすさまじい実態を語り、著してきたことを目の当たりにしてきました。
 しかし、戦後七二年が経過し治安維持法がどんなものか今や知っている人はほんのわずかの人びとにすぎません。これでは闘いにならないというか困難のほうが大きいのです。「テロ対策」だと言われれば現に目の前で生起するテロのほうが現実味があり説得力があるのです。したがって、どうあがいても「届かない」という感覚です。

街頭で人々に
訴え続けよう
「自衛隊を憲法9条の第三項に位置付ける」という改憲プロセスなどは敵ながら見事だと思います。保安隊から始まる自衛隊の歴史は、そこで飯を食べ子を育て技能を手に入れてきた膨大な数の人々を作り出してきました。自衛隊容認の世論を底支えする人々を税金で養ってきました。自衛隊員だからといって日米軍事同盟を一層強化し、世界の憲兵の一翼を担うなどといった戦争法を体現するような人々は少数です。依然としてサラリーマンが大半です。ですが体制というのはそのように作られてきました。私たちは今、職業運動家すら作れていません。
ネトウヨは「プロ市民」などと言いますがそんな人は何処を見回してもいないのが実態です。組合の専従者すら作り出すことができません。若い人がいないので年寄りが手弁当で頑張っているのが実態です。
さて、森友・加計問題は七割以上の人々が怒り、不信を募らせています。現に目の前で起きていることであり安倍政権の本質を余すところなく表している事件です。新自由主義、極右・復古主義、国会軽視、官邸主導の強権政治、数を背景としたウソと詭弁、お友達優遇クラブ、ありとあらゆる非民主主義的要素を内包するこの政権を引きずり下ろす闘いが求められています。
国会周辺ではなくて駅頭や繁華街で徹頭徹尾街頭で、人々に訴えるスタイルの闘いが必要です。韓国民衆の闘いに触発されてかもしれませんが「今だ!」という感覚を分かっていただきたいのです。ここを逃すと本当に改憲に突き進むことを覚悟しなければなりません。ハードルはそれほどありません。  

コラム

退職

 「生きるために労働力を売らなければならない」状況ではあったのだが、現実は低賃金で「命を削りながらの労働」「殺されるための労働」だった。私の肉体と精神はそうした状態を「動物的感覚」として感じ取るようになっていた。毎朝五時半に起床して往復三時間かけての通勤。そして息継ぎする間もないような集中した立ちっぱなしの過酷な肉体労働。六〇歳を過ぎた体にムチを入れても悲鳴のひとつも上げられない。
 そういうことで、九カ月前に会社が倒産してからとある大工場に転職することになり、転職当初は六五歳までがんばるしかないと考えてはいたが、「奴ら」に殺されるわけにはいかないという思いで先月末で退職した。しかも「奴ら」は「月末の三〇日まで居られると翌月の社会保険料と夏の一時金を支払わなければならないことになるので二九日付で退職してもらう」と通告してきたのであった。これこそが「資本家の論理」なのだろう。
 こうして私は殺される前に退職した。しかし「先立つもの」がなければ新たに職を探すのか、それとも「野垂れ死ぬ」のかの二者択一ということになる。
 だが人生悪いことばかりでもない。ほとんど期待してはいなかったのだが、現在も裁判所に差し押さえられている旧会社から、労働者への行政的な救済処置として未払いであった退職金の半分ほどが振り込まれてきたのである。また現在の私の年齢では今年の誕生日が来れば厚生年金分が支給開始になる。もちろん六五歳以降は全額支給ということになる。しかし、三〇歳代の半ばころまで専従・半専従をしてきたということもあって、年金支給額だけではまともに生活していくのにはほど遠いものなのだが。
 それでも家財道具や衣類、本などを整理処分するなどして身の回りを軽くして1Kの安アパートに引っ越して、禁煙するなどして出費をできるだけ抑え込めれば、ぎりぎりで「労働から解放された」状態を維持していくことができるかもしれない。そんな希望が湧いてきたのだ。
 また普段から「立派な革命家になりなさい」と私を叱咤する叔母が、私の最後の「後ろ盾」となってくれるようだ。実にありがたいことではあるが、「立派な革命家」になるために「何をしたいのか」「何ができるのか」ということが問題になってくる。
 それで私は以前からきっちりとやりたかった語学の勉強を始めることにした。まずは一年間かけて英語をしっかりと身につけようと思い、先週から勉強を開始している。テキストは英単・英熟五五〇〇、文法、長文訳問題集など一〇冊ほどを揃えた。まずは週四百語を目標に単語・熟語本から始めた。実はコラムを書く時間も惜しいくらいなのである。  (星)



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