民主労総、社会的ゼネスト決行
最低賃金1万ウォン、非正規職撤廃、団結権を要求
|
6月30日、最低賃金労働者、非正規職労働者たちがストに突入した。正規職労働者たちが同伴したが、非正規職労働者がゼネストを主導したのは民主労働組合総連盟史上初である。また、新政府に入って社会大改革を求める初の大規模な集会でもあった。民主労総は、二極化と不平等の主な要因であり、民生大改革の核心課題である低賃金と雇用不安を打破するため、△最低賃金1万ウォン△非正規職撤廃△労組の権利をゼネストの3大要求に掲げた。
これを通じて文在寅(ムン・ジェイン)政府の揺るぎのない弊害の清算を求めて、社会大改革のため、労働者市民の力を結集しようとした。社会的ゼネストには、市民、青年アルバイト労働者、学生たちが共にした。民主労総所属の非正規職労働者は18万人、そのうち30%である6万人あまりが今日、ゼネストに突入した。
改革のゴールデンタイム
を逃すな
今日15時ソウル光化門(クァンファムン)広場には非正規職労働者など5万人余りが雲集して、ゼネスト大会を進行した。チェ・ジョンジン民主労総委員長職務代行が大会の辞でゼネスト大会のメッセージを明らかにした。彼は社会的なゼネストを「最低賃金1万ウォンスト」、「非正規職ゼネスト」と命名したりもした。
さらに、ゼネストの要求である最低賃金1万ウォンは「時代的要求」であり、正規職転換は「1千万非正規職の要求」であり、労組のストの権利は「すべての労働者の要求」だとし、ゼネストの社会的意義を知らせた。一部では「じっとして待たなければならない!」と言う批判もある。しかし、民主労総は、ロウソク民心の支持が裏づけされた新政府初期が重要だと強調した。
チェ・ジョンジン職務代行は「改革のゴールデンタイムを逃すと自由韓国党、財閥と経総、守旧マスコミなど積弊勢力の反撃が始まる」とし、「労政交渉を通じて傾いた労使関係を見直して…労組組織率30%時代に向けて闘争する」と話した。
後輩と子どもたち
のために闘う
ストに出た非正規職労働者の話は社会的ゼネストの意味をより鮮やかに伝えた。小学校の調理員20年目のピョ・ミョンスン組合員(サービス連盟、全国学校非正規職労組)は「定年まで6カ月しか残っていないが、後輩たちに、子どもたちに非正規雇用のない世の中を作ってやって堂々とした母になりたく、やってきた」とスト参加の動機を明らかにした。彼女は「話にならない賃金で我慢して待っていた10年間、学校の幽霊として存在感なしに低賃金に雇用不安を常に感じながら生きてきた」とした。
「李明博、朴槿恵時代に断食して、娘の結婚式を控えて剃髪に100日以上の座り込みまでして闘争した」、「黙っていれば変わることはない。残った夢は、われわれの後輩らに対し、正規職転換を残してやることであり、定年になる日まで最後まで闘争する」と明らかにした。
「うわべだけの無期契約職じゃなくて……人生を守って解雇阻止してくれたのは労組だった」
無期契約職労働者アン・ミョンジャ組合員(公共運輸労組、全国教育公務職本部本部長)は無期契約職労働者らの現実と覚悟を伝えた。
彼は「周辺から正規職になったとお祝いの電話を受けているが、多くの学校で非正規職の賃金は6360ウォン、今年の最低賃金(6470ウォン)よりも少ない」とした。大多数の非正規労働者たちは、労働者の平均賃金にはるかに及ばない賃金を受けている。
このような現実を見て、アン・ミョンジャ本部長は「本日を皮切りに(賃金)の平均以下に甘んじないで、平均賃金まで上げる本物の正規職になる」と強調した。非正規職の賃金引き上げがすべての労働者全体労働所得の増加を率いるという主張なのだ。アン・ミョンジャの組合員は「1年働いても10年働いても基本給が同じだ」、「正規職と比較して今年働けば働くほど賃金差別がひどくなる」と話した。
さらに、「女史と呼んでも尊重していることにならない」と文在寅大統領の労働尊重はさらに重く受け入れる問題だという指摘もした。アン・ミョンジャ本部長は「間違ったことがなければ切られる心配がなく食べて生きられるだけ給料を受けて働いてけがをしたり、無視されない尊敬を受けたい」と話した。
彼女は7年間働いて無期契約職となった。しかし、学校長が変わると、解雇された。彼女は「見かけだけの無期契約職の身分は保護膜にはならなかった。私の生活を守って解雇を阻止してくれたのは、労組だった」、「労組がなかったら、本当に正規職であれ、それは砂の城に過ぎない」、「非正規職労働者のみなさま、元気を出しましょう。最低賃金1万ウォン、非正規職のない世の中、私たちの手で直接獲得し私たちも町内の宴会一度繰り広げてみましょう」と叫んだ。
ソウル16カ所、事前大会、1万ウォン行動も共にした社会的ゼネスト
ゼネスト集会の後、参加者数万人は、光化門広場を抜けて長い行列の壮観を見せて鍾路3街まで行進して社会的なゼネスト大会を終えた。
本大会に先立っては12時から非正規職ゼネストの主導力であるサービス連盟、全国学校非正規職労組、公共運輸労組教育公務職本部、医療連帯本部、金属労組、三星電子サービスの支部、建設労組のタワークレーン分会、公務員労組と全教組、全国女性労働組合など16の組織が光化門とソウル駅などソウルの都心各地で事前大会を開いたりした。
今日30日、社会的なゼネストを頂点に民主労総は6月28日から7月8日までを社会的なゼネスト週間に宣言し、資本と弊害に対抗する闘争を配置している。この28日には保健医療労組が保健医療人材の拡充を通じた雇用創出と最低賃金で1万ウォンを要求し、総力闘争に乗り出したところだ。70余りの社会運動団体で構成された連帯組織である1万ウォン行動も今日社会的ゼネスト大会に参加した。これを起点に1万ウォン行動は7月7日まで最低賃金1万ウォンの実現に向けた集会とキャンペーンなどを続けていく。
7月8日には全国の主要地域で一斉に民衆大会が開催される。 この日は社会的ゼネストの社会大改革への熱望を集めた労働者、民衆の連帯の場だ。(労働と世界より)
87年体制と住宅金融化
中産階級神話浸透ねらって
ソン・ミョングァン┃チャムセサン研究所(準)
労働者階級の階級形成を阻害する、韓国の歴代権力による巧妙な労働者の分断が書かれている。現代自動車の「貴族労働者」と、持たざる一般の労働者との対立が深刻だ。
同時に最近は若干緩和されたとはいえ、韓国社会の早期退職による高齢者の貧困の問題も深刻だ。(「45歳定年。56歳まで会社に居座る者は給料泥棒」との慣用句により、40代に会社を放り出された高学歴の大企業の労働者が、街の居酒屋や屋台、労働条件の厳しいタクシー運転手をやっていてビックリすることがある)。(「かけはし」編集部)
今年は6・10抗争から30周年にあたる年である。6月抗争が成し遂げた「民主化」という時代の理念は、民主市民という政治的主体の象徴を作り出した。しかしこれまで87年の労働者大闘争は、その強烈さにもかかわらず、われわれの社会に労働者階級と認識される主体的象徴を形成することができなかった。いわゆる
「87年体制」と呼ばれる社会の変化は、二つの主体の象徴を作り出した。政治的には民主市民、経済的には中産階級とそれぞれ呼ぶことができる。したがって80年代から広がり始めた「中産階級の神話づくり」が、どのように労働者という主体性と置き換わったのかを検証する必要がある。
貯蓄と住宅が福祉に置き換わる
確固とした福祉システムがなかった産業化の時代における福祉に置き換わる手段は、つましく地道に築いた貯蓄と住宅だった。両足を伸ばして眠ることができる「マイホーム」(住宅)は、極めて有用な福祉の手段であった。しかし都市化が急速に進むなかで、都市で集まった移住者たちがマイホームを確保することは容易なことではなかった。周知のとおり、われわれの社会において家計資産を増やす主な手段は住宅である。家計の資産構成において不動産は、ほぼ絶対的な比重(約70%)を占めている。韓国現代史における不動産への熱望は、不敗神話という言葉を生み出した。大衆に対して極めて強烈な主体意識を形成してきたことは否定できない。一方では不動産投機に対する批判、そして一方ではその隊列に加わる機会を得ることができない劣等意識がわれわれの社会に潜んでいるのである。
このような状況の中での87年の民主化に対する熱気は、大衆の中に潜在する経済的な内的葛藤を爆発させるきっかけとなった。当時の支配階級も、下から上がってくる大衆の資産分配の要求をすでに感じ取っていた。支配階級は、その要求に従って中間層の育成戦略を一気に推進した。この時代には、いわゆる「マイホームの夢」に代表される大衆の経済的な上昇志向を満たす器とツールが必要だったのである。
福祉の代用物であった勤労所得税の減免や貯蓄奨励政策が個々の生活保障手段志向を生み出す一方、中産階級育成戦略は、制度的条件と社会的優先を反映した。国家の財政負担を最小限にする代わりに、資産形成の促進などの金融的方式が浮上したのである。そこに動員された財源がまさに、国民住宅基金、国民年金、そして公企業の民営化によって発生した財政収入であった。特に20年経過後に初めて年金支出を開始する国民年金の場合には、新規形成資金の60%以上を財政資金に預託した。なお80年代末の3低好況(注1)による経済的恩恵は、このような中産階級育成戦略を裏付けることとなった。
このような状況の中で発生した労働者大闘争において、労働者の経済的身分上昇の欲求が噴出した。このような労働者の欲求を、われわれは労働者階級の政治に結集することができなかった。労組の組織力をもとに、生活賃金争奪や企業福祉などの手段の確保が行われたが、それは職場を越えた階級大衆政治に拡散しないまま、中間層化に見舞われてしまう。労働者は生活の中において中間層化現象を経験した。当時の激しい闘争を率いた大企業労組の団体交渉の実際の要求は、賃金引き上げではなく「マイホーム」であった。大企業労組は、団体交渉によって社員分譲マンションを得たりもした。現代自動車の労働者のマイホーム保有率は88年には20%であったが、95年には80%に増加した。現代重工業の既婚の労働者のマイホーム保有率は、92年にすでに80%に達していた。当時も今も「マイホーム」は、大部分の労働者が夢見るものである。「マイホーム」は、労働者の生活水準の中産階級化を意味する。自分の家が用意されるや否や、すべての耐久財の状況が変化する。そして消費パターンの中産階級化が始まる。しかしこのような企業福祉は、大企業労働者のみが受ける恩恵であり、87年以降の労働者階級形成の「成功逆説」と言える。「企業内労働市場-企業別交渉-企業福祉」が一つの制度として定着し、職場以外の「外部者」との異質化を深めながら、階級連帯の社会的基盤は弱体化した。
新自由主義的金融改革も活用
このような支配階級による中産階級の神話戦略は、資産形成・福祉システムの形成戦略とともに90年代半ばまで継続した。そして金泳三政府は93年、さらに洗練した金融制度改革を続々と導入した。とくに中産階級の「マイホーム」の夢の実現を容易にする住宅金融の枠が大きく拡大された。94年の住宅金融授受における新たな金利自由化、商業銀行の長期住宅金融承認、97年7月の住宅銀行の民営化などである。金融改革が行われた表向きの理由は、金融機関の資金運用の自律性を高め、内部経営の自律によって金融機関の責任ある経営を確立するとともに、外国為替市場と資本市場の国際化を推進するというものだった。97年の通貨危機は、このような金融制度改革が引き起こしたものである。金融制度改革は逆説的に、その後の新自由主義的な金融改革をさらに加速させるきっかけとなった。とくに金融改革に伴う制度的準備は、流動的制約緩和政策による景気浮揚政策の方向性と結合して、「大衆の金融化」を急激に進める土台を作ることになった。
(注1)低金利、低い原油価格、ウォン高が生んだ好景気
朝鮮半島日誌
▲韓国政府の洪楠基国務調整室長は、6月27日の閣議のあとに行われた記者会見で、釜山で建設中の新古里原子力発電所5号機と6号機の建設について、有識者などからなる委員会を立ち上げて、中立的な立場から広く国民の意見を求めると表明。そのうえで、早い時期に5号機と6号機の工事を一時中断し、3カ月程度をめどに、委員会が大規模な世論調査やテレビ討論などを実施することを明らかにした。
▲朝鮮民主主義人民共和国(以下、「朝鮮」という)の警察にあたる国家保衛省と中央検察所は6月28日、連名声明を発表し、韓国の朴槿恵前政権が金正恩朝鮮労働党委員長の暗殺を進めていたと主張し、朴前大統領と韓国情報機関、国家情報院の李炳浩前院長を「極刑に処する」と威嚇し、朴前大統領らを北朝鮮側に引き渡すよう韓国政府に要求した。
▲朝鮮のメディアが今年2017年上半期に伝えた金正恩朝鮮労働党委員長の動静は52件。昨年同期の77件から大幅に減少し、金正恩体制発足後、最少となった。52件のうち24件は部隊視察や訓練指導などの軍関係で、46%。軍関係以外では経済関係が10件で、対外関係の活動は0件であった。側近幹部の随行回数は、朝鮮人民軍の黄炳瑞総政治局長が31回でトップとなり、党組織指導部の趙甬元副部長が16回で2位であった。金正恩氏の妹、金与正党宣伝扇動部副部長は国営メディアの映像等で随行が確認されていたが、昨年5月末を最後に名前は紹介されていない。
|