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    かけはし2017.年7月10日号

第3滑走路・飛行制限時間拡大反対


7.2

三里塚・東峰現地行動

露骨な生活破壊に怒り拡大



国・空港会社
の横暴な計画
 七月二日、三里塚空港に反対する連絡会は、旧東峰共同出荷場跡で「三里塚・東峰現地行動」を行い、四五人が参加した。
 国交省─成田国際空港会社は、アジア国際空港競争からの劣勢状況をばん回するために千葉県、空港周辺市町による 四者協議会(二〇一六年九月)で過密運航による安全軽視・空港公害の拡大を前提とした@第三滑走路建設計画案(空港南東の芝山町に建設する)AB滑走路拡張(北側に一〇〇〇 メートル延伸し、三五〇〇メートルに延長)B成田空港の深夜 ・ 早朝の飛行制限時間について、現在の午後 一一時〜午前 六時から、午前一〜五時に、三時間短縮する案を提示した。すでに空港用地内・周辺の住民から多くの反対・疑問の声が出ているにもかかわらず無視し、協議会は「了承」してしまった。成田国際空港会社の夏目誠社長は「期限は区切らず丁寧に説明する。住民と双方向の対話をして理解を得たい」などと述べ、アリバイ的な住民説明会を各地で開催していくことになった。
 各地の説明会では夜間飛行制限時間緩和に対して「四時間しか眠れない」「安静な夜を奪うな」「人権破壊だ」などの猛烈な抗議が出た。空港会社は、一七年六月一二日の四者協議会で住民の抗議を回避するために見直し案(@二〇二〇年までにA滑走路の発着時間を午前六時〜翌午前零時に変更A第三滑走路供用開始後、午前五時〜午前零時半)
を提示してきた。
 最終的には現行より二時間半延長となり、あくまでも飛行発着回数の増加を前提とした夜間飛行時間制限緩和攻撃の性格は変わらない。推進派は、空港会社と一体となってカネ儲けとバラマキの地域振興策の充実と称して対策金の増額をねらった住民分断を強めている。空港周辺の住民は、空港会社をはじめ四者協議会の談合に対する不信と怒りを強めている。加瀬勉さん(多古町/反対同盟大地共有委員会〈U〉代表)は、多古町牛尾地区説明会でなんら反省しない国、空港会社に対して厳しく弾劾した。
 空港会社の利益優先のための強引な手法は、五月三一日未明の千葉地方裁判所八日市場支部による三里塚芝山連合空港反対同盟(柳川秀夫代表世話人)の横堀現闘本部(第二ターミナル東側の誘導路内)を撤去する強制執行へと結びついている。横堀現闘本部撤去糾弾!用地内で闘い続ける農民と連帯し、新たな第三滑走路建設、飛行時間の拡大に反対していこう。

住民無視の計画
に反対が各地で
連絡会は、午前中、横堀鉄塔の中段に設置されている「抗議する農民」(沖縄の彫刻家・金城実さんの作品)を降ろす作業を行った。今後、像を補修していく予定だ。さらに横堀研修センターの清掃・整備作業などを行った。
集会は、山崎宏さん(労活評現闘/横堀地区)の現地報告から始まった。
「二〇二〇年東京五輪・パラリンピックに向けて輸送量を増大することを口実にして夜間飛行制限時間緩和を進めようとしている。夜中の一時から五時を提案してきた。これに対して騒音地帯にかかる住民から多くの反発があり、今度は四者協議会で二〇二〇年に向けて一時間短縮すると再提案してきた。しかし一方的であり、先々裏切られるだろうと不信感で一杯だ。こうした事態に入っていながら空港推進派は、地域振興策の増額要求などで取り引きして押し進めようとしている。住民を無視した飛行制限時間緩和に断固抗議していく」。
「『成田第3滑走路実現を目指す有志の会』は、第三滑走路計画にもアジアとの国際空港競争に勝ち抜くために必要だとして押し進めようとしている。空港建設拡大は、単に経済的な面以外に安倍政権が推進している戦争政策と一体でもある。空港そのものが軍事インフラであり、一つでも多くの滑走路を建設し、いつでも軍事利用へと転化していくことをねらっている。厳しく監視し、空港の軍事利用に反対していこう」と訴えた。
石井紀子さん(成田市川上・農業)は、「空港会社は、朝の五時から夜中の一時までの夜間飛行制限時間緩和を言い出してきたが、川上の住民はとんでもないと怒っている。空港反対運動に参加してこなかった人々も抗議し、説明会はぐちゃぐちゃになった。地域で納得、了承してくださいと言っても、そんなことはできない。本気で実現しようとしているのか。自分で自分の首を絞めているのと同じだ。もうひと踏ん張りしていこう」とアピールした。
さらに「地区で沖縄の闘いを撮った『標的の島 風(かじ)かたか』上映会があった。東峰地区の島村努君が来てくれて、終ってから『この空港の機能強化についてなんかやらないといけないですよね』と熱っぽく語っていたのが印象的でした。次の世代が育ってくれたのかなと思った。地域で少しずつ長いものにまかれない流れを作っていきたい。胸を張って生きられるように頑張っていきたい」と強調した。

円卓会議合意
今もしばりに
平野靖識さん(三里塚らっきょう工場)は、@夜間飛行制限時間緩和反対の東峰地区の取り組み、四者協議会の説明会のやりとりを紹介。
「成田空港は内陸空港だから地域に甚大な被害を及ぼす。円卓会議で『抑制的な運用につとめる』と合意し、七時間の飛行禁止を行うことになった。こんな約束も投げ捨てようとしている。夜間飛行制限時間緩和修正案を厳しく批判していきたい。天神峰地区の市東孝雄さん(北原派)の畑を取り上げる不当な判決が昨年、最高裁で出たが、現在、土地取り上げの執行をさせないための裁判が千葉地裁で行われている。円卓会議で『用地問題の解決にあたっては、あらゆる理由で強制的手段をとってはならない。あくまで話し合いで解決することだ』と合意している。この合意が強制的な土地取り上げを止めている。ともに三里塚を闘った沖縄の宮城せつこさんが亡くなり、遺族の意向により三里塚の地に散骨した」と報告した。
大森武徳さん(らっきょう工場)は、五月三一日未明の千葉地方裁判所八日市場支部による現闘本部破壊に対する抗議行動を報告。
横堀団結小屋維持会は、午前中の「抗議する農民」を降ろす作業、横堀研修センターの清掃・整備作業を報告し、拠点を防衛していく闘いの重要性を強調した。また、映画『三里塚のイカロス』(代島治彦監督作品)が完成し、試写会の感想や九月から上映会が始まることを紹介した。
渡邊充春さん(関西三里塚闘争に連帯する会)は、四・九関西空港反対集会、三・二五反空港全国連絡会の全国交流会(静岡)を報告した。
最後に「飛行制限時間緩和を許さない! 成田空港「第三滑走路」計画を撤回せよ! 裁判所の強制執行─現闘本部破壊を許さない!」のシュプレヒコールを行い、開拓道路に向けてデモに移った。   (Y)

代島治彦監督作品】

「三里塚のイカロス」

闘争の意味を問いかける

  本日、六月二七日、渋谷で、「三里塚のイカロス」試写を見てきました。三回目の上映で、七月に三回、八月に二回試写は予定されています。
 私たちにとって、見逃せない映画です。
 登場人物もさることながら、代島監督は、三里塚闘争で勝ったのは誰か? 負けたのは、農民を助けた若者たちだけなのか? 若者たちは、太陽に近づこうとして墜落したイカロスだったのか? その答えを見つけるため、この映画を作ったと言います。
 代執行を迎え撃つ塹壕を掘り続けるが、肝心の収用当日には、台風で水没。地下要塞での抵抗は不発となる。その穴掘りの落盤事故で、下半身不随となった高校生。また、管制塔占拠で、八年も服役した青年。
 ふたりとも中年となり、荒れ果てた朝倉公民館で、思い出を語るが、なぜか明るく、楽しそうだ。
 鉄塔を大勢で守る闘いのつもりだったが、抜き打ち撤去で、空港を攻める闘争に変っていく。管制塔占拠を中心とする開港阻止闘争、その後の反対同盟分裂にも切り込み、貴重な証言を引き出しています。
 空港公団で用地買収を担当した元職員は、反対同盟幹部との秘密交渉を設定。秘密交渉は失敗するが、その後、反対同盟分裂のきっかけとなる。
 支援党派の現地責任者だった岸宏一は、移転した農家(石橋副委員長)へ抗議やいやがらせを実行したことを述べる。さらに、中核派が主導権をとるために分裂を積極的に行ったことも語る。だが、中核派を離れた今は、それは誤りだったと反省の言葉を述べる。
 私には、まだ本気で反省しているようには見えない。だが、岸は、この映画の完成直前に、山スキーで遭難しており、この映画が最後の証言となった。代島監督によれば、試写を見た元中核派の方は、「よく言ってくれた」と評価していたそうです。
 映画には、加瀬勉さん、中川憲一さんが登場します。加瀬さんは、農民と支援との関係を冷静に語り、自身の体験から闘争の意味を説明しています。
 中川さんの「家宝」は、管制塔占拠のときに、身につけていた赤ヘルメットや地下足袋、先鋒隊のゼッケンや大きな赤旗。それは、なんども公言していました。しかし、それ以外にも、大切な「宝物」がありました。私も、知りませんでした。それは、何か。映画をみて確かめてください。涙が出てきます。
 是非、見てほしいのは、支援から農家に嫁いだ女性たち。
 多くの人が支援に集まった三里塚闘争。しかし、開港後は、不透明なことも多く、多くの人が離れたのも事実。
 三里塚闘争の意味は何か。次世代に残すべきものは何か。
 映画を見て考えてほしいと思います。九月上旬から劇場で公開されます。(N)

?「三里塚のイカロス」試写の案内

渋谷駅 新南口 光塾  会場は 映画美学校試写室 ((渋谷区円山町1−5 KINOHAUS 地下1階/渋谷ユーロスペースと同じ建物です)
試写日程 [上映時間一四〇分]
7/12(水)12:30
7/27(木)15:30
8/14(月)15:30

代島治彦監督作品
三里塚のイカロス
The Fall of
Icarus:Narita Stories 
製作・監督・編集・代島治彦 撮影・加藤孝信
音楽・大友良美 写真・北井一夫 録音・滝澤修

コラム

安倍のイカサマ劇場


共謀罪を強行成立させ、通常国会を逃げ切った安倍首相は国会運営について不充分であったと自己批判する会見を行った。ところが、産経新聞主催の講演会で「獣医学部を全国に二つ、三つ必要なだけ作る」と開き直りを行った。京都産業大に新設を認めず、今治市の加計学園だけに認めるという特区のあり方をねじまげた。森友や加計学園の経営者が安倍の「お友達」であるがゆえの特別措置だった。ここに国や地方自治体の多額の税金がつぎ込まれる。
そして、この安倍への援護射撃を堂々とやってのけているのが、竹中平蔵ら民間議員たち(国家特区推進諮問会議)だ。竹中といえば小泉改革・郵政民営化で民間から抜てきされて大臣を務め、最も悪質な推進役だった。今ではパソナという派遣会社の会長も務めている。
前川・前文科省事務次官が「加計学園への獣医学部設置を許可するのは首相の強い意向によって、決定されたという文章が存在すること、その結果、行政が一部の政治家の介入によって、歪められた」と記者会見で暴露した。それに対して、竹中は「岩盤規制に風穴を開けるのがなぜ悪いのか」と露骨に前川を批判した。民衆を犠牲にし、新自由主義政策を推し進め、ブルジョアジーを大儲けさせたことを隠さない。
この安倍や竹中らの動きとマスコミの取り上げ方を見ると「小泉劇場型」パフォーマンスと同じで、問題の本質を隠し、声高に白を黒と言いくるめ、「敵」を作ることで、それをたたく。劇場で芝居や映画を観ていて、スッキリさせるような感覚を作り出す。小泉・竹中らの新自由主義政策によってどれだけの労働者が犠牲にされ、貧困が増えたか。
安倍人気にかげりが出てくると見るや、秋の臨時国会に自民党の改憲案をまとめて出すとまで安倍は発言している。ついに憲法改悪の本番までいきつかせようとしている。絶対に阻止しよう。
さて、話を変えDさんの続報。六月一六日にリハビリ専門病院に転院した。専門と名のつく通り、一日四時間、一週間休みなしにリハビリを行う。左足はベッド上では動かすことができるようになったが、立ちふんばったり、移動させることができない。立ち、動かすところから始めている。ここで力がつけば、補助具を付けて歩く訓練に入る。左手も途切れた神経とは別の神経で代わりをする部位を叩いて探しながら胸や肩から動くようにしている。
秋田の友人たちは独自に支援の動きを始めた。病院への見舞いも、飲み仲間の沖縄出身者や沖縄や関東の秋田出身の女性たち、介護経験者など様々な人たちが訪れ励ましている。Dさんは厳しい状況を認識しながら、涙の出るようなリハビリをがんばっている。  (滝)


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