政権支持率は急落した
「森友・加計」問題をあいまいにするな
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焦りに満ちた強硬路線
安倍政権は「共謀罪法案」を強行成立させた六月一五日以来、支持率を大幅に低下させている。
朝日新聞が六月一七〜一八日に行った世論調査では内閣支持率は前回調査(五月二四〜二五日)の四七%から四一%に下落し、不支持率は三一%から三七%に上昇した。毎日新聞の調査(朝日と同じ六月一七〜一八日の調査)では内閣支持率は五月の調査から一〇%も下落して三六%となり、不支持率は四四%と、不支持が支持を大きく上回る結果になった。不支持率が支持を上回ったのは二〇一五年一〇月の戦争法案強行成立以来とされる。
共謀罪法案での審議打ち切り、強行採決に対しては「朝日」調査では「よかった」が一五%に対して「よくなかった」が六五%、「毎日」では「十分審議された」の一二%に対し、「審議されなかった」が六九%に達している。法案そのものの賛否については「朝日」では「賛成」が三三%に対して反対が三六%で賛否の差は三%だったが、「毎日」では「賛成」三二%に対して「反対」は四七%となり、反対が賛成を一五%も上回った。
安倍内閣への批判の急上昇は、「共謀罪法案」、ならびに「中間報告」による委員会審議と採決ぬきの本会議強行採決によるものだけではなく、「森友」「加計」問題での安倍首相本人への疑惑・不信によるものであることが大きい。「朝日」の調査では、「加計」問題について首相の説明に「納得できる」が一八%なのに対し「納得できない」が六六%に達した。「毎日」調査では「森友・加計」問題についての政府説明を「納得できる」とする人が一〇%に対して「納得しない」が七四%でほぼ同じ傾向を示している。
こうして「森友・加計」問題を通じて露呈した安倍首相の「お友達」関係を通じた「利益供与」とそのもみ消し、不正を批判・告発した官僚への、さまざまなスキャンダルを作り出したうえでの事実上の追放という「恐怖政治」に等しい事態が日ごとに明らかになっている。それに対して安倍政権は「逆切れ」的に改憲プログラムをスピードアップさせているのだ。
臨時国会終了までに
安倍首相は五月三日の憲法記念日に合わせて「日本会議」系の改憲集会にあてたビデオメッセージと同日の「読売新聞」で、「九条一項、二項」をそのままにしたうえで、三項に自衛隊の存在を明記して自衛隊を合憲化する「加憲的改憲論」を明らかにした。二〇二〇年が改憲施行の年となる。東京五輪の二〇二〇年を「改憲」で迎えるということは首相になって以来、安倍が繰り返し主張してきたことだが、安倍は、「森友、加計」問題で政権の足場が大きく揺らぎ始めた今、敢えてこの改憲プロセスをさらに加速させようとしている。
安倍政権の狙いは、衆参両院で与党・改憲勢力(事実上の与党である日本維新の会をふくめて)が三分の二を占めている現有の勢力関係が続いている間に、改憲国民投票を断行することにある。そのためには、衆院の任期切れである二〇一八年年末までに「国民投票」に持ち込むこと、すなわちそれまで解散・総選挙を行わず、任期切れ総選挙と合わせて改憲国民投票を断行するというプログラムだ。
そのためにこそ安倍首相は、年内に自民党改憲案を取りまとめ、来年、二〇一八年に改憲発議を国会内で行って総選挙と「改憲国民投票」を同時に行う、というプログラムも念頭において目標に向かってしゃにむに突き進もうとしている。
それは六月二四日、「産経新聞」の極右的論調を支持する「神戸『正論』懇話会」で安倍首相が行った講演で示されることになった。これまで年内中に自民党の改憲案を取りまとめるとされていたが、六月二四日の講演では「臨時国会が終わる前に衆参の憲法審査会に提出したい」とする意向を明らかにしたのである。政府・自民党は臨時国会の開催を秋に想定しており、安倍は今やギアチェンジして改憲案の早期取りまとめのために自民党の尻をたたき始めた。
なお安倍はこの懇話会で、加計学園の獣医科大学設置認可問題について、「一校に限定して特区を認めた中途半端な妥協が国民的疑念を招く一因となった。規制改革推進の立場から速やかな獣医科大の全国展開を」などと無責任な居直り的言辞を吐いている。
今こそ「森友」「加計」問題についてのいっそうの追及と、安倍政治の利権にまみれた本質を暴露しよう。東京都議選でも安倍政治にノーの回答を! 何よりも、沖縄の闘いを現地と全国で共に担っていくことを通じて、安倍政権を追い詰めよう。
(六月二六日 純)
6.21
「森友告発プロジェクト」
疑惑の幕引き許さない
市民の力で徹底追及へ
デタラメ、ウソ
開き直りに怒り
六月二一日、「森友告発プロジェクト」が主催して「森友・加計問題の幕引きを許すな!国家権力の私物化を許さない! 安倍やめろ 緊急市民集会」が参院議員会館講堂で行われた。集会には会場を満席にする三三〇人が参加した。
主催団体を代表して藤田高景さん(村山首相談話を継承し発展させる会)があいさつ。「安倍首相と閣僚たちの発言は、デタラメ、ウソ、開き直りの限りを尽くしており、劣化の極みだ。戦後七二年、これほど国会審議が破壊されたことはない。それは安倍周辺の人びとの贈収賄疑惑と重なっている。今こそ疑惑の真相解明を!」と呼びかけた。
国会議員から、日本共産党の畑野君江参院議員、社会民主党の福島みずほ副党首・参院議員があいさつ。「森友・加計」問題の真相を究明し、安倍政権をやめさせようと訴えた。
私たちは絶対
に忘れない!
元通産官僚で「反原発」の立場から問題提起をしている古賀茂明さん、経済評論家の植草一秀さんなどが次々に発言。植草さんは「戦争・搾取・弾圧」を「新三本の矢」だと指摘。「次の総選挙では原発いらないと戦争法廃止」を軸にした政策連合を、と訴えた。
さらに映画監督の増山麗奈さん、弁護士の大口昭彦さん、元北京JAC代表の船橋邦子さんが次々に発言。船橋さんは国会を開いて市民の立場で「森本・加計」疑獄の真相究明をと呼びかけた。船橋さんは安倍の言う「女性の活躍」がエリートたちの大資本に奉仕するための「活躍」にすぎない、と批判した。
さらに、評論家の高野孟さんは「前川前文科事務次官へのバッシングは逆効果だった。国会が終わって人びとに忘れさせようとしているが、しかしわれわれは忘れない」と語った。
今治市で加計学園の獣医学部建設に疑義を提起した黒川さんも発言した。
記者会見で菅官房長官を厳しく問い詰め、前川前文科事務次官とのインタビューを行った東京新聞の望月衣塑子さんも発言。望月さんによれば前川前文科事務次官は教育基本法の意義を切々と訴えたという。
山口二郎さんに続いて自由党参院議員の山本太郎さんもアピールし、次の行動を準備することも確認された。 (K)
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