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    かけはし2017.年6月26日号

任務放棄、過労死放任糾弾


労政審

100時間残業容認の時間規制法制

現場労働者の要求に応えよ!


 厚労省労政審労働条件分科会(会長、岩村正彦東京大学大学院教授)は六月五日、「働き方改革実行計画」に盛り込まれた残業「規制策」を基本的に踏襲した労働時間規制の法制化を、塩崎厚労相に建議した。秋の臨時国会で、現在上程されまだ審議に入っていない労働基準法改悪案(労働時間規制そのものを免除した労働者をつくる高度プロフェッショナル制度の創設、裁量労働制の拡張など)と一括した法制化がもくろまれているという。

長時間労働規制
に逆行する代物
既に本紙でも紹介したが(四月二四日号)、「働き方改革実行計画」の「長時間労働の是正」なるものは、過労死認定ラインである月一〇〇時間残業の容認を代表例に、長時間労働是正とは真っ向から逆行するとんでもない代物だ。労働現場は無論、多方面から到底認められないとの声が上がり、家族を過労死・過労自死で奪われた遺族からは、過労死合法化に道を開く、これで死者が出たら殺人だ、とのまさに怒りの声が上がった。
しかし、この実行計画決定(三月二八日)から間を置かず四月五日から始められた労政審同分科会は、わずか二カ月で審議を終結、強引に建議に持ち込んだ。先に見た批判、怒り、本物の長時間労働是正をめざせ、実効性ある規制を、という切実な要求は、まともに議論されなかったということになる。
このような審議状況に対し、この間の労政審に独自に抗議・要請行動を重ねてきた「安倍政権の雇用破壊に反対する共同アクション(雇用共同アクション)」(MIC、全国港湾、全労連、全労協など一一団体)は、六月一日に意見書を提出、労政審の事務方を務める厚労省に十分な審議を要求した。そこでの追及に対し厚労省は、たとえば残業一〇〇時間への批判に関し、批判は承知している、それよりも低いラインで三六協定を結ぶよう指針を作成すると言うだけであり、しかもその指針の内容は、法制定以後に労政審に図るのだという。指針に強制力はないことも付け加えたい。
そこで示された厚労省の言い分はすべてがこの調子であり、それは、今回の労政審が多くの問題を積み残し、実質の審議が皆無で進んだことをさらけ出している。まさに安倍政権に追随する結論ありき、であり、独立した立場から労働行政のあり方を三者(政・労・使)同数構成で作り上げる、との国際基準に沿った労政審の存在意義を、労政審は自ら投げ捨てたに等しい。
この点では公益委員と並んで、特に労働者委員の責任が厳しく問われる。ここには明らかに、先の実行計画にゴーサインを出した連合の姿勢が影を落としているが、この問題を含めて、労働者の生の切実な要求に基づく団結をいかに作り上げていくか、真剣な挑戦課題があらためて突き付けられている。

6.5

雇用共同アクション
実効性ある時間規制を


先のような労政審に対し、雇用共同アクションは六月五日の労政審に対しても、実効性ある本物の労働時間規制を求めて厚労省前でアピール行動を行った。すでに今回で建議との観測は流れていたが、到底納得できることではない。結集した労組、団体の代表からは、実のある審議を求めて、労働現場の声、過労死遺族の声と真摯に向き合い真剣な議論を行え、拙速に結論を出すな、と真剣な訴えが行われた。
中で農協労連の代表からは、安倍政権の狙う中小農家潰しの「農協改革」が当事者排除として、現場を排除した今回の「働き方改革」と同じ仕組みで進められていることが指摘され、そういうやり方そのものに反撃しようとの訴えが行われた。また国公労連の代表は、労基法三六条の時間外労働規定自体が本来例外規定であり、それに罰則が付くからといって前進とすべきではないと指摘しつつ、公務員の場合三六条によらない残業が容認されていることに注意を求めた。医労連の代表からは、医師に対する五年の適用除外が強く批判された。
折悪しく突然の強雨に見舞われた中での訴えには、特に秋の臨時国会に向けて、幅広い連帯をめざし徹底的な闘いを挑む決意が込められた。まがいものの「同一労働同一賃金」についても労政審建議が行われようとしている。さらに不当解雇の金銭解決も、厚労省研究会で意見集約ができなかったにもかかわらず、強引な労政審負託が行われようとしている。まさに暴政のオンパレードだ。これらをはね返す団結形成が求められている。まず声を上げなければならず、雇用共同アクションの行動はその重要な一翼を占めている。(神谷) 

東京都議選とわれわれの立場

共産党・社民党・市民派に投票を

築地市場の豊洲移転反対、安倍政治NO!

  (1)

 六月二二日告示、七月二日投票という日程で、東京都議会選挙が行われる(定数一二七)。今回の都議選では、昨年の都知事選ですべての政党を向こうに回して圧勝した小池百合子の政治組織である「都民ファーストの会」が、どれだけの議席を獲得するのかというところに焦点が当てられている。
すでに小池都知事本人が代表となった「都民ファーストの会」には、自民党の一部の議員、民進党員だった多くの都議、都議候補が党の公認を離れて参加し、国政では与党である公明党も小池知事を支持して「都民ファースト」との連携関係を強化している。共産党もまた小池知事や「都民ファースト」とは距離を保ちながらも、小池都政の下での二〇一七年度予算案に賛成投票した。一部の選挙区では同じ候補を都民ファーストと共産党が支持するなどの事態も起きている。
こうした中で、自民党東京都連は「築地市場の豊洲への即時移転」を柱に、小池知事への批判を強めているが、自民党公認の候補者の中からも「都民ファースト」の側に移行する動きが出ている。連合も「都民ファーストの会」支持の立場を明らかにしている。

  (2)

 われわれは昨年の七月都知事選で、野党共同候補としての鳥越俊太郎氏への投票を呼び掛けたが、当選したのは自民党・公明党が推した増田寛也元岩手県知事ではなく、鳥越俊太郎でもなく、自民党東京都連と対立し、その支援を受けないまま立候補した小池百合子元防衛相だった。
都知事になってからの小池は、オリンピック会場問題などさまざまなパフォーマンス型政治を通じて、自民党東京都連との対立を自ら浮き彫りにさせ、独自の人気を引き寄せることに成功した。「都議会のドン」と呼ばれた内田茂自民党東京都連幹事長の引退は「小池政治」の圧勝をイメージさせるものだった。
こうした中で、焦点となっている「築地市場の豊洲移転」問題については、昨年九月に豊洲市場の主な建物の中に盛り土がされておらず、汚染水まみれであったことなどが明らかになった。今年一月になっても地下水検査で環境基準値の最大七〇倍に及ぶベンゼンが検出された。
小池都知事は深刻な汚染が発覚したことを受けて築地市場移転延期を発表したが、都議選告示に合わせて「豊洲移転・築地跡地を民間に貸与」という案を発表した。およそ汚染除去など不可能だ。われわれは利権にまみれた豊洲移転に反対である。

  (3)

 今回の東京都議選では、基本的に「都民ファースト」VS自民党都連という対立構造がクローズアップされており、豊洲移転問題を別にすれば、貧困・格差・差別、環境汚染、福祉と人権、労働者の権利といった深刻な課題は、後景に退けられている。二〇二〇年東京五輪の開催についてはほとんどすべての政党が「成功」に全力を上げるとの立場で争点から外し、「世界的祝典」を祝うという姿勢で一致している。
われわれはこうした状況の中で、築地市場の豊洲移転反対、貧困・格差との闘い、外国人差別をまき散らす排外主義キャンペーンとの闘い、労働者の生活と権利の擁護・強化、そして何よりも安倍政治を許さないという観点から、そしてまた労働者・住民の権利を奪う二〇二〇年東京五輪を返上するという立場からの投票を呼びかける。
われわれは共産党、社民党、そして住民の権利のために闘う市民派候補への投票を訴える。それはまた安倍政治を拒否する広範な労働者・市民の共同を地域から作り出していくための闘いである。
(六月一九日 純)

6.5

辺野古実が防衛省行動

辺野古埋立てやめろ!

南西諸島への自衛隊配備阻止

 六月五日午後六時半から、辺野古への基地建設を許さない実行委が防衛省への月例申し入れ行動を行った。この日は夕方から雷雨になる悪天候であったが仲間たちが元気に集まった。
 最初に、前日行われた宮古島への自衛隊配備に反対する集会報告と清水早子さん(止めよう「自衛隊配備」宮古郡民の会)が自衛隊配備に反対するアピールを行った。次に沖縄から安次富浩さん(ヘリ基地反対協)が電話でアピールした。
 「県警はゲート前座り込みに対して、暴力的対応をし道交法違反で逮捕している。くも膜下出血の病名がつくケガも負わせている。海上行動に対しても、ケーブルを反対派が切断したとして被害届を出すというフレームアップを行っている」。
 「宮古島、八重山諸島への自衛隊配備の強行、共謀罪の成立は基地闘争をつぶそうとする先取りだ。権力の横暴に負けてはいない。米政府は辺野古の滑走路が短すぎる。三〇〇〇m必要と言い始めている。しかし、沖縄に新しい基地は作らせない」。

沖学労の仲間
も闘いの報告

 次に沖縄からやってきた沖縄学校事務労働者が報告を行った。
「私は週二回辺野古の座り込み、嘉手納空軍基地に対する出て行け行動、沖縄防衛局への週一回の抗議行動に参加している。防衛局は誰から誰を防衛しているのか。アベ防衛局だ。SACO合意では負担軽減を約束したのにほったらかしにしている」。
「那覇から三〇〇q離れている南西諸島に自衛隊基地を配備しようとしている。これは辺野古・高江と一体化している。宮古島は飛行機でしか行けない。K9護岸工事を先週から始めてから弾圧が強化された。今までなら、座り込みを排除したら、機動隊は一度は退いたが、今では退かなくなりアルソックが出てきて座り込みの場を奪う。軍警は本土から来ているだろう。砕石を入れることは運動に対して諦めをつくることだ。今の工事は仲井真前知事が認めたものをやっている。これからは翁長知事の許可が必要だ。水曜日、土曜日は車両を止めているがその他は止められていない。悔しい、腹がたつ。トラックを止めることが大事だ。現場での座り込みが安倍に打撃を与える」。
清水早子さん(止めよう「自衛隊配備」宮古郡民の会)と反安保労働者行動が防衛省への申し入れを行った。地域共闘交流会の仲間が沖縄現地行動の報告を行った後、6・10国会包囲行動の呼びかけ、辺野古実が今後の行動を紹介した。
6月20日午後5時半:西新宿大成建設本社前抗議行動、6月21日午前11時半:警視庁機動隊の沖縄派遣反対の訴訟第2回公判、6月22日午後6時半:MXテレビ・DHC抗議デモ、日比谷公園かごめ広場集合、サウンドデモ、6月27日午後6時:飯田橋五洋建設抗議宣伝、7月3日午後6時半:防衛省抗議・申し入れ。
行動に参加しよう。(M)


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