もどる

    かけはし2017.年6月19日号

改憲プログラム発動に立ち向かおう


共謀罪法案廃案!安倍政権打倒

年内「草案」作成に踏み込む自民党

自民・公明・維新を追い詰める闘いの陣形を

加計問題で「再調査」?


 安倍内閣は、「加計学園」による獣医学部新設承認問題に関して、「官邸の最高レベルの意思」と記録された文科省文書について、これまでの「存在していない」という態度を変更し「追加調査」する方針を、六月九日に明らかにした。「首相の意思」を明確にした文書が文部省内で共有されていたという前川前文科事務次官の暴露を契機にした追及により、現役の複数の文部省官僚も「総理のご意向」「官邸トップの言っていること」と書かれた文書が存在していたことを認めた。「怪文書」などと切り捨て、前川前次官のスキャンダルを安倍政権の「広報紙」と化した読売新聞に流して「加計疑獄」を乗り切ろうとした安倍内閣の思惑は逆効果となった。
このままでは安倍政権の支持率の低下、都議選での敗北、さらには政権が全力をあげて取り組もうとしている憲法改悪のスケジュールにマイナスの影響が出かねないことを危惧した安倍政権は、恥も外聞もなく「再調査」の姿勢を示すことで「森友・加計」に代表される安倍首相本人のスキャンダルつぶしに躍起となったのである。
すべては安倍政権が五月三日の「日本会議」系の改憲集会に送ったメッセージ、そして同日の読売新聞に掲載したインタビューに示された、安倍本人の「改憲プログラム」を確実に現実化するためだった。
もともと安倍首相が「理想」とする「新憲法」の中身とは自民党がまだ野党だった二〇一二年に示された「日本国憲法改正草案」である。そこでは自衛隊を「国軍」とすることや、「公益、および公共の秩序」を名分にした基本的人権の制限、「家族条項」を新設してジェンダー平等を否定するなどの極度に復古主義的な内容が盛り込まれていた。
しかし、自民党総裁任期を二〇二一年九月にまで延長した安倍は、二〇二〇年の新憲法施行というプログラム実現のために、五月三日のビデオメッセージと読売新聞一面記事に示された内容、すなわち九条一項、二項を残したまま三項に自衛隊の存在を明記し、さらに高等教育を含む公教育の無償化条項を入れるなどの「加憲」方式で改憲の第一歩を実現していく、としている。
安倍政権が、天皇の「生前退位」に関して、安倍とはイデオロギー的親近性の強い極右天皇主義者の「生前退位否定論」を押し切ったのも、この改憲戦略とつながっていることは、間違いない。

「まず『加憲』から始めよ」

 朝日新聞六月四日付トップ記事は、さる五月中旬に都内の会合で「与党内を説得できないのに、『自民党の憲法改正草案がいい』と言っているのは護憲運動をやっているのと同じだ」と安倍が語ったというものだった。安倍はこの会合で「自民党で一番の保守強硬派の私が言うのだから『それならば仕方がない』となる・何とか党内をまとめたい」と語ったとも報じられている。
同記事は、今回の安倍による改憲プログラムは「日本政策研究センター」代表で日本会議の常任理事でもある伊藤哲夫の主張が元ネタだと述べている。伊藤は昨年七月の参院選後に「憲法改正には二年ほどしか時間がない。公明にも配慮することになるが、現憲法にかけた言葉を挿入するだけで、目的をある程度達成することができる」と語った、というのだ。
また同年九月には「三分の二獲得後の改憲戦略」という論文で「改憲項目の一日も早い絞り込み」が必要と述べ、そのために二つの課題を挙げている。
第一に最優先とすべきは「護憲派陣営への反転攻勢」であり、そのために中国による「異常な対外行動」、とりわけ尖閣列島への脅威に対抗しうるのは自衛隊の存在と安保条約による力の均衡だけだ、という点で、共産党と民進党批判を徹底すべき、ということ。
第二は「改憲はまず加憲から」ということ。それは二〇一五年のような野党共同戦線を形成させないために「憲法の規定に一切触れず、憲法の不足するところを補う憲法修正=『加憲』から始めよ」ということである。

総選挙と「国民投票」同時に


安倍首相は、こうした改憲プログラムをどのような「時刻表」で進めていこうとしているのだろうか。五月三日の「日本会議」系改憲集会のビデオメッセージで打ち出されたのは東京五輪が開催される二〇二〇年を「新憲法施行」の年としようというものだった。
「私はかねがね、半世紀ぶりに、夏季のオリンピックが開催される二〇二〇年を、未来を見据えながら日本が新しく生まれ変われる大きなきっかけにすべきだと申し上げてきました」「二〇二〇年もまた、日本人共通の大きな目標となっています。新しく生まれ変わった日本が、しっかりと動き出す年、二〇二〇年を、新しい憲法が施行される年にしたい、と強く願っています」。
二〇二〇年を憲法施行の年とする、という安倍の願望から逆算すれば「改憲国民投票」を二〇一九年に行うということになるのだろうか。しかし自民党内では今年中の憲法審査会に提案できる党の改憲原案をまとめる方針を、六月六日の自民党憲法改正推進本部幹部会で決めた。朝日新聞は「来年末の衆院任期満了をにらみ、『改憲勢力』が三分の二を占めているうちに発議をめざす日程を念頭に置いた判断だ」と分析している(六月七日朝刊)。
「首相は先月(五月)一五日のBSジャパンなどのインタビューで『衆院選と参院選を国民投票と別途やることが合理的かどうか、与党内、憲法審査会で議論してほしい』と語った。その直後、周辺に『国民投票と国政選挙を同時にやった方がいい』との考えを示したという」。
「なぜ、国民投票と衆院選を同日に行うのか。首相はこれまで、高い支持率を背景に国政選挙で連勝を続けている。次の衆院選でもこの勢いを維持し、国民投票と衆院選を一体化させて、憲法改正への賛成を押し上げていきたいとの思惑がある」(同)
この分析が正確であるとすれば、改憲国民投票は与党・改憲勢力が衆参両院で三分の二以上を占めている現有の力関係の下で、すなわち二〇一八年末の衆議院任期切れの総選挙との同時投票というシナリオになるだろう。
二〇一八年末という期日設定は、天皇の「代替わり」というスケジュールとも重なることになり、安倍政権がそれをも利用した形で「改憲国民投票」に踏み出すのかどうかの判断も問題とならざるをえないだろう。
憲法改悪を阻止する闘いは、まさに正念場を迎える。そしてまた天皇「代替わり」に伴う反天皇制の運動、あるいは東京五輪「おことわり」の運動、そして言うまでもなく沖縄の反基地闘争は、憲法改悪反対の闘いの一翼を担いながら、運動を広げていかなければならない。      (純)

夏期カンパのお願い

日本革命的共産主義者同盟
国際主義労働者全国協議会

 全国の同志、友人、「かけはし」読者の皆さん。日本革命的共産主義者同盟(JRCL)と国際主義労働者全国協議会(NCIW)は夏期カンパへのご協力を訴えます。
 米大統領のトランプは「イスラム教徒の一時入国禁止」「不法移民の強制送還」「米国とメキシコの国境に壁を作る」、さらに女性蔑視発言を繰り返す差別主義とレイシズムを打ち出していますが、多くの市民の抵抗にあい政策を貫徹することができないでいます。新自由主義的グローバル化の行き詰まりと破産が、これを主導してきた米国自身が、自国の社会・政治の秩序を分裂させているという事実です。EU内でも極右が台頭していますが、フランス大統領選挙の結果でも明らかなように、それに抵抗する運動も広がっています。
 今や長きにわたり地球上を支配してきた資本主義の秩序が解体の危機に突入しています。この荒波に対応することを迫られた安倍政権は米国とともに世界の戦場に出向くために「戦争する国づくり」に走り始めています。その最大の攻撃が二〇二〇年「九条改憲」です。そして、そのために共謀罪を無理矢理に成立させようとしています。さらに南シナ海を中心に急速に軍事的進出を強める中国や北朝鮮の核とミサイル開発を封じ込めるために、アメリカとともに軍事行動を行うことを目指し、沖縄での辺野古新基地、高江のヘリパッド建設、先島諸島への自衛隊配備を進めています。
 私たちはこの安倍政権が押し進める憲法改悪、戦争する国家づくりを決して許すことができません。同時に安倍政権がこうした攻撃と一体となって進める貧困、格差を増長させる攻撃と対決していくことが重要です。「アベノミクス」は株などに投資できる一部の人を富ませるだけで多くの犠牲を労働者人民に押しつけています。一億総活躍社会も掛け声だけで年金、社会保障費を削減し、低賃金と長時間労働、不安定雇用を働く人々に強制する攻撃に他なりません。また福島第一原発の事故の真相も明らかにしないまま原発の再稼働、原発輸出の旗を振り続けています。二〇二〇年の東京オリンピック・パラリンピック開催に典型的に表現されているように、すべて政策と事業が大資本のために進められ、人民を切り捨てるものであることは明白です。
 私たちは全世界で新自由主義に抗して、生存や人権、民主主義を求めて闘っている人たちの一翼を全力で担っていこうと決意しています。夏期カンパにご協力をお願いします。

 【送り先】?労働者の力社 郵便振替 00110=2=415220
?新時代社 郵便振替 00290=6=64430




もどる

Back