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    かけはし2017.年6月5日号

新政府へ「最低1万ウォン」要求


5月27日ろうそく行動開催へ

「満員バス」などでソウル全域を回るなど多彩な行動計画

 民主労総が文在寅(ムン・ジェイン)政府に労政交渉(労働関連政策協議)を公式要請した。民主労総は当選3日ぶりに人事を断行して雇用委員会構成など、雇用対策を指示するなど「大統領の業務指示は、実践的な措置として歓迎に値する仕事」と評価した。さらに、「文在寅政府が一歩進んで行くことを望む」、経済不平等や両極化解消を最優先の国政課題として、そのカギとする労働社会改革に向けて、大統領と民主労総が会ってさらに、定例化した労政間の論議の場を構成しようと提案した。
民主労総は△最低賃金1万ウォン実現△非正規職問題の解決△労組権利及び労働3権保障△労働時間短縮と青年失業解消案△、産別交渉制度化など産業や業種別交渉の場の構成を労政交渉の5大核心議題として提示した。特に低賃金労働と非正規職問題の解決は、韓国社会の大改革の核心キーワードだ。
したがって、民主労総はこの分野の細部的な解決課題も提示した。△非正規雇用事由制限△常時・持続業務、正規職の雇用の原則△公共部門の非正規職の正規職化△間接雇用元請使用者性認定△特殊雇用、非正規職労働者性認定△同一価値・同一賃金の法制化などがそれだが、これは、昨年の大統領選挙候補らが共通公約事項として社会的共感が大きく、結局、政府の推進の意志にかかっているというのが民主労総の説明だ。
世界的に労働組合組織率と団体協約の適用率が高いほど所得の不平等が低い。したがって産別交渉を制度化して団体協約の適用率を高めて、憲法上の権利である組合を組織する権利を実質的に保障するならば、不平等や両極化を解消していくだけでなく、その持続性が保障できると民主労総は説明した。これは、文在寅大統領も主張したところだ。彼は「労働尊重、社会基本計画の樹立」を通じて労組組織率と団体協約の適用率を画期的に高めると明らかにしてきた。

過去の政権労働弊害の清算障害は財閥、最低賃金の公約後退へ

 「労働尊重社会」を約束した文在寅政府は非正規職の縮小と最低賃金の1万ウォンの実現を明らかにしている。当選後、初の民生行動として仁川(インョン)空港労働者たちに会って、正規職化を約束した。それでも低賃金と不安定労働、無労組など労働、積弊の清算は容易な課題ではない。最大支配勢力である財閥の反対、これらの政治的代弁者である自由韓国党などの反対が足かせだ。
そのために1万ウォン行動は、財閥を糾弾し、広場の民心の結集を訴えた。労働者は「これまでの70年間成長という怪物の犠牲になった」と1万ウォン行動は規定した。それでも「800兆を超える社内留保金をためておいても、難しいと罵詈雑言を使いまくったのは資本であり、巨大なビルを建設した労働者がただの一日も成長の主人公だったことはない」と言った。
記者会見ではともに民主党が大統領府に提案した最低賃金の公約後退策に対する批判も提起された、「今すぐでもない3年以内に一万ウォン実現すら5年に後退させようとする提案は国民をだます」ということだ。記者会見に出席した民主労総のイ・ヨンジュ事務総長は「朴槿恵政権と文在寅政府の違いはじっとしていろとするか、じっとしていろと言っていないかで明らかになるだろう」とし、広場の民主主義とともに、改革を推進しなければならないと促した。

流通商人も最低賃金1万ウォンを支持、「問題は、財閥」


流通商人関係者らも最低賃金1万ウォンに向けたロウソク行動を支持した。記者会見に出席したイン・テヨン流通商人連合会会長は「中小自営業者らが苦境に陥ったのは、賃金が問題ではなく、財閥たちの(地域)市場破壊が第1で、2番目は流通会社、納品業者、フランチャイズなどの爆発的増加と横暴」だと言った。そして、「中小自営業者の難しい立場を利用して労働者たちの賃金も引き上げないという論理を使用するのは不当だ」、と資本の主張を批判した。
今日1万ウォン行動が発表した5月27日「今すぐ、ロウソク行動」大会は清渓(チョンゲ)広場付近で17時に開催され、行進も予定された。事前行事としては、九宜駅青年1周忌追悼行事が14時区の駅で開かれて、「満員バス」に乗ってソウル全域を回ってロウソク行動に参加する「ろうそくたちの1万ウォンバスハイク」も行われる。労組のイベントでは、14時に仁徳院駅で、三星(サムスン)財閥を糾弾する集会が開かれ、14時、大学路では「全国教師大会」も開かれる。
1万ウォン行動は27日「今すぐ、ロウソク行動」のほかにも25日には満員バスの運行を通じて広報して18時加山デジタル団地付近では、「定時退勤文化祭」など非正規職と青年たちに向けた多様な広報イベントを行う。また、6月17日、漢江(ハンガン)水辺の約7q区間で「1万ウォン、歩く大会」を開き、行事のうち、各種のイベントを設け、市民たちが楽しんで参加できる機会も用意する。
(労働と世界から)

鉄道労働者の闘いは継続される

鉄道安全外注化・労組弾圧を中断せよ

オム・ギルヨン(ソウル)


 鉄道公社の経営陣と国土部の官僚たちの民営化計画は変わりがない。 九宜駅、金泉駅、さあ、次はどこか。
何のための効率性かは聞いたり問い詰めたりもしないでむやみに費用の節減を掲げ、安全業務を外注化した結末は凄惨な悲劇に綴られた。外注会社労働者は安全措置の案内を受けることもなく、自分の死に向かって走ってくる列車を見なければならず、機関士や同僚の労働者はその死のトラウマで消えない苦痛にさいなまれている。市民たちはどこで脱線しないかという不安の中で列車に乗っている。
 この5月7日国土交通部は「鉄道安全専門人材の養成計画」だとし安全業務外注委託を増やすという案を発表した。ホンスンマン鉄道公社社長はKTX乗降ドア、空調、走行装置整備業務を全部外注化する一方、KTX整備外注化の割合を70%まで高めると公言した。
 セウォル号惨事後、人の命がかかった安全問題は決してお金と効率で計算してはならないという社会的世論が広がったが政府と鉄道公社は気にせず安全業務外注化の大通りに向かっている。安全の核心である鉄道車両整備、外注化はもちろん、機関士、臨時職投入まで広範囲に進めながら、公共鉄道を守ろうと闘争した鉄道労組については法も無視したまま懲戒弾圧を強行している。労働者と市民の命を握って採算計算をしているのだ。

外注化で安全の破壊、懲戒弾圧で労組破壊
現在鉄道公社の人員比外注化の割合は30・8%に上る。 特に車両整備業務はすでに進行された外注化も深刻だ。首都圏、釜山(プサン)、湖南鉄道車両整備団の外注化の割合はそれぞれ20%、49%、42%に達し、このうちKTX核心整備業務を中心に外注化を拡大するというのが現在の鉄道公社の方針だ。
鉄道公社は今月5月に契約が満了する首都圏、釜山(プサン)、全羅道整備業務外注を再契約するため、3月末入札公告を出した。2021年まで5年にわたって実に1千億ウォンを超える規模の巨大な外注化契約だ。特に、首都圏の場合、走行装置整備など、現在正規職労働者たちが担当している業務を新規外注化する一方で全羅道は安全の中核といえる汽車の車輪重整備まで外注化を拡大する。
鉄道公社はKTXだけでなくムグンファ号とセマウル号など一般列車整備業務も外注化を一方的に強行している。また、安山線の場合、列車脱線につながりかねない重要安全分野である線路保守業務を、昨年11月、外注化した。この外注会社は賃金未払いをはじめ、勤労契約書もなく、4大保険も加入していないなど悪質な不当労働行為を持続しているにもかかわらず、鉄道公社は気にしなかった。
鉄道公社の外注化に最も大きな邪魔物はまさに鉄道労組だ。公社は昨年、鉄道ストを口実に労組に対する不当な懲戒を乱発し、安全破壊と同時に労組の破壊を行っている。
昨年、鉄道労組は労働弾圧(成果へのリストラ制度)の粉砕、民営化阻止を叫び、2カ月半近い長期ストを展開した。
あまりにも常識的かつ正当な権利の行使だったが、鉄道公社は不法だと主張して幹部だけでなく、スト参加組合員全員を懲戒すると怒鳴りつけている。
この2月末、鉄道公社は、支部長以上の主要幹部255人に対して、解雇89人・停職166人など重い懲戒処分を通報し、先日、再審の結果解雇30人・停職208人・減給17人など、レベルを少し調節したが、同様の懲戒処分を下した。全国的抗争で朴槿恵(パク・クネ)を引き下ろした状況で、「〈朴槿恵退陣〉を唱えたので、不法スト」と述べ、鉄道公社の経営陣は自らが積弊であることを立証した。

政権交代、公共鉄道のための闘争は継続
国民の反対にもかかわらず、民営化を強行して安全を外注化する鉄道公社の経営陣と国土部の官僚たちは清算すべき対象だ。政権が変わる前に外注化を引き起こしておいて、誰が見ても納得できない懲戒を一旦強行して見る彼らこそ積弊の核心だ。
鉄道労組は持続的な闘争を展開している。大きな枠で見れば、大統領選挙以降の政権との関係を通じて外注化、民営化、解雇者復職などの問題を解決しようとしながらまた、他の方面では宣伝戦、1人デモ、座り込みなどの闘争で世論を通じた圧迫を基調としているようだ。
長期スト後の困難の中でも休まず闘争することは当然肯定的に評価されることと見ている。 しかし、明らかな問題意識を持たなければならない点がある。
第1に、政権との関係において民主党は、保守政党であり、新自由主義政策を積極的に執行した勢力であることを忘れてはならない。現在、鉄道労組が対抗して戦っているすべての問題、すなわち上下分離と水西発KTXの分割民営化、鉄道公社事業部の分割払いや外注化・民営化などはすべてが金大中(キム・デジュン)政府が計画を樹立し、盧武鉉(ノ・ムヒョン)政府の時に実行に移そうとしたものだった。すでに手痛い経験を通じて彼らの本質を知っているので組織を強化して闘争を強化することが優先であることを強調したい。
第2に、闘争の集中点を用意し、組合員と共にする闘争をさらに拡大しなければならない。
今の様々な闘争は1回限りまたは羅列式配置が主流をなしており、たいていの場合は幹部中心に展開されている。地域と職種横断的、組合員と共にする闘争配置が行われれば、公共鉄道に向けた鉄道労組闘争の勢いを再び引き上げることができるのだ。(「変革政治」45号=社会変革労働者党より)

コラム

日本の移民

 現在の職場で私が勤める部署には数人の韓国人青年がいる。そんななか日本語がうまく話せない青年とは、仕事に関することを韓国語をおり交ぜて話をしていた。
 ある日の帰り時刻に更衣室で着替えていると、流暢に日本語を話す二人の韓国人青年から「飲みに行きませんか」と声をかけられた。「在日なのか」と思っていたのだが、二人とも韓国出身の移住労働者であることがわかった。
 ひとりは三歳のときに韓国で仕事にありつけない父親が家族同伴で大阪に不法移住し、十歳のときに入管法違反で退去強制されるまで日本で育った。小学校は韓国人学校に通い母国語を学んだという。その後、徴兵を終えたが仕事がなく再び日本に渡った。
 もうひとりは徴兵終了後に東京の大学に留学している。そして日本滞在中に特別永住権を持つ在日中国人女性と結婚して、韓国と中国の二重国籍を持つ子供がひとりいる。
 三月の法務省の発表によると、一六年末の在留外国人数は二三八万人で前年比で六・七%増えていて、二〇年間で一〇〇万人以上増加した。なかでも永住者は七三万人で、二〇年間で一〇倍の増加となった。
 在留外国人は国別では中国七〇万人、韓国四五万人、フィリピン二四万人、ベトナム二〇万人の順で、この四カ国だけで全体の三分の二を占めている。また在留資格別では七三万人の永住者に続き、在日韓国・朝鮮人などの特別永住者が三四万人(前年比二・八%減)、留学生が二八万人(同一二・四%増)、技能実習者二三万人(同一八・七%増)の順となっている。
 また一月の厚労省の発表によると、外国人労働者数は専門的・技術的分野から技能実習者、学生アルバイトまで含めて一〇八万人(前年比一九・四%増)で、国別では中国三四万人、ベトナム一七万人、フィリピン一三万人の順である。
 日本では外国人が永住権を取得するには、原則として一〇年間以上在留し続ける必要がある。また日本人配偶者はそれを三年で取得できる特例があり、離婚してもその権利は取り消されることはない。政府は一二年から専門・技術職などの「有能」な外国人の受け入れを促進するために「高度人材ポイント制」を導入して、在留期間五年で永住権を取得できるようにした。一月の法務省の発表によると、年度内にもその期間を最短一年にするということのようだ。
 政府は「移民政策はとらない」という方針だが、国連の移民定義は「通常の居住地以外の国に移動し、少なくとも一二カ月間その国に居住する人」となっている。法務省の「最短一年」という今回の発表は、条件つきながらもようやく「世界レベル」になるということだ。
 政府の言う「永住者」「在留外国人」の多くは、世界基準では正真正銘の「移民」なのである。日本移民の人権と権利のための運動と闘いを真剣に考えなければならない時にきているのではないだろうか。 (星)
 


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