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    かけはし2017.年5月29日号

沖縄と連帯し共に闘う


5.14

「復帰」から45年 新宿デモ

玉城愛さん、在ヤマトうち
なんちゅーが次々に訴える


 五月一四日、「本土復帰」から四五年となる「五・一五」の前日、辺野古への基地建設を許さない実行委員会は、新宿駅東口アルタ前で辺野古新基地建設強行に抗議し、すべての米軍基地撤去を求める集会を行った。
 沖縄・一坪反戦地主会関東ブロックの在ヤマト沖縄出身者の仲間が司会した集会では、最初に、今年から琉球大学の大学院生となった玉城愛さんが発言。玉城さんは「本土」のマスメディアなどで報道される表面的な現象ではなく、現象の背後にある「歴史」にこそ注目してほしい、と語りかけた。
 さらに「復帰前」に「本土」にやってきたウチナンチューの人びとからの発言が続いた。
 「復帰前にパスポートを持って神奈川で就職した世代」の人は、「小学校低学年の時に、キャンプ・シュワブができたことを覚えている」と語り、また別の人は「政府は沖縄に巨額の予算をつぎ込んだと言うが、沖縄の予算は自立した経済活性化のために使われなかった。基地依存の経済という言い方は全く転倒している」と訴えた。

沖縄差別の安倍
政権許さない!
集会の途中では、歩行者天国となっているアルタ前の通りで幾度も両手をつないで「ヒューマンチェーン」を行い、休日でにぎわう人々の注目を集めた。さ
さらに宮古・石垣・与那国・奄美への自衛隊配備に反対する仲間や、各県警機動隊の沖縄派遣に反対して訴訟を起こしている仲間や、MXTVニュース女子の沖縄差別デマ放送に抗議している人びとからの発言を受けた。
新宿の繁華街を一周するデモの参加者は二五〇人。にぎやかに、かつきっぱりと安倍政権の沖縄差別と、基地建設強行に抗議の声を上げていった。   (K)

4.29

米軍属による女性殺害から1年

あれから何か変わったのか?

基地・軍隊はいらないと集会・デモ


 四月二九日午後六時半から、東京・原宿の千駄ヶ谷区民会館で「“沖縄の元海兵隊員による性暴力被害から一年” 基地・軍隊はいらない!四・二九集会」が開催された。主催は同実行委員会。集会には約二五〇人が参加した。
 この日の集会は昨年四月二八日、うるま市の若い女性が元米海兵隊員の軍属の男から暴行・殺害されてから一年(事件が発覚し、犯人が逮捕されたのは五月一九日)にあたり、あの痛ましい犯罪を忘れず、すべての軍事基地を撤去するという思いを込めて行われた。集会が始まる前に、昨年六月一九日の沖縄県民集会での玉城愛さんら若者たちのメッセージのビデオが放映された。
 司会の仲間が、「娘が被害者の一人になりました」という父親の言葉を紹介しながら「私の娘が殺されたではなく、お父さんがそう言わなければならないところに沖縄の悲しい現実が示されている」と語った。そしてパトロールや監視カメラで犯罪防止に当たっていると政府は語るが、これは犯罪防止のためなのか、それとも市民の活動を監視するためなのか、大いに疑問だ、と語った。

あれから何も
変わっていない
報告は元沖縄県高教組委員長で「ジェンダー問題を考える会」代表の安次嶺美代子さん。安次嶺さんは「軍事化に抗しいのちの尊厳を」と題して講演した。
「戦争がいまなお続いている。一年後の今、私たちはあのようなことが起こらないようにただただ祈るだけだ。遺体が発見されてから二週間後に行った殺害現場は、足を踏み入れることも難しいような山の中だが、今でも献花が絶えることはない」。
「ケネス被告は、二〇一
七年二月一三日付の『星条旗』紙によれば、『彼女が悪かった』『逮捕されることは心配してなかった』『高校生からの願望だった』というものだ。一年たって何かが変わったのだろうか。何も変わっていない」。
「地上戦終結後、女性への暴力が今日まで続いている。復帰後から現在までの米軍構成員による犯罪検挙数は五八八九件、そのうち殺人、放火、強盗、強姦などの凶悪犯罪は五七四件となる(沖縄県警の資料)」。日米地位協定改正に踏み込まず、運用改善ですまそうという日米政府の対応に根本問題がある。『綱紀粛正』『再発防止』といった言葉には何の効果もない」。
「あらためて基地・軍隊はいらない。一九九五年以来『海兵隊の撤退』を訴えてきたが実現していない。性暴力についての被害者の『落ち度』という被害者責任論もまだ強い」。
安次嶺美代子さんはこう語り、米軍基地撤去のために今こそ闘う必要性を強調した。
うちなー二世の与儀睦美さんの琉球舞踊「貫花 ぬちばな」が披露された後、午後の集会で発言した知花昌一さんのアピールで集会を終え、渋谷駅近くまでデモを行った。    (K)

5・2〜3

アジア開発銀行50年でシンポ

農業破壊・土地収奪
貧困拡大のADBノー!

 五月四日から横浜市でアジア開発銀行(ADB)設立五〇年の総会が開催された。ベトナム戦争さなかの一九六六年に設立されたADBは、フィリピン・マニラに本部を置くアジア諸国の「経済開発」をめざした国際金融機関だが、歴代九人の総裁がすべて日本人という日本資本のためのアジア「開発金融機関」という性格が露骨だ。
 問題は、ADBによる「開発援助」が何をもたらしてきたかということだ。ADBによる「開発プロジェクト」は住民の強制立ち退き、環境破壊、気候変動、格差と貧困の拡大など、人権にかかわる深刻な破壊的影響を作り出している。
 アジアの活動家たちは「ADBの特権を剥奪せよ」などのスローガンで、被害を受けた人びととの連帯に向けて各国での取り組みを相互に連携しながら活動を繰り広げている。
 五月二日、三日、東京・文京シビックセンターで、シンポジウム「アジアの開発と環境・人権・平和」が行われた。主催の同実行委員会はATTAC─Japan国際ネットワーク委員会、フォーカス・オン・ザ・グローバルサウス、Asia Pacific Network for Food Sovereignity(食糧主権のためのアジア太平洋ネットワーク),「環境・持続社会」研究センター(JACCESS),FoEジャパン、国際公務労連東アジア太平洋地域事務所、TPPに反対する人々の運動によって構成された。
 五月二日、文京シビックセンターで開かれた講演会では、フォーカス・オン・ザ・グローバルサウスの活動家であるインドのアフサール・ジャファリさんが「アジアの公正な貿易をめざして――RCEP(東アジア包括的経済連携)を中心に」というテーマで報告。さらに大野和興さんが「壊れる村と人――グローバリゼーション下の日本の村から」と題して崩壊する日本の農山村の現実を紹介した。
 またFOEスリランカのヘマンサ・ウィネージさんは「気候変動とクライメート・ジャスティス」と題して、気候変動―温暖化の急速な進行によって加速される農業・生活破壊と貧困化、人権侵害の実態を紹介した。
 五月三日には、「気候変動と石炭発電」、「開発金融・債務」、「食糧主権」、「金融」という各テーマからの討論が行われた。
 また五月四日には横浜で開催されているADB総会会場(パシフィコ横浜)に近い桜木町駅前広場から連休でにぎわう横浜のメインストリートを山下公園まで約一時間にわたってデモ。四〇人の小規模なデモだったが、そのほとんどがアジアからの人びとからなるデモは大きな注目を集めた。          (K)

読書案内

橋本忠治郎/平賀健一郎/千葉茂著

『ひとりで闘う労働紛争』

緑風出版刊/1500円

どう闘えばよいのか?
一から学ぶアドバイス


個別労働紛争
とは何のこと
 「一九八〇年代までは、個別労働紛争は、仮処分をあわせても年間一〇〇〇件程度でした。しかし、(中略)一九九七年には二六〇〇件台に乗りました」。
 ここでいう個別労働紛争とは、本書でも詳しく解説されているが「個々の労働者と使用者との個別的労働関係(雇用関係など)において生じる紛争」のことだ。
 総評が解体、五五年体制が崩されていく過程で、企業組合の御用化が進み、同時に労働組合の組織率が大幅に落ち込んだ。そのうえで日経連(現、日本経団連)は、九五年に次のような労使関係の二一世紀戦略を提起する。
?雇用の流動化の促進
?労働者の個別管理の徹底
?労働時間規制の緩和・撤廃。
 この戦略のもと、労働者を三つに類型化していく。@コアたる人材を囲う年功序列・終身雇用のグループ。A有期雇用のスペシャリストのグループ。Bパートやフリーターなど、景気調整弁的役割を担うグループだ。このAとBのグループをフロー型人材と定義して、人件費の圧縮を図るというものである。
 会社に組合がない、あっても非正規だから組合員になれない、または従業員の利益を守ってくれない、…そうした状況で、雇用問題に直面したが、どうしたらよいか分からない。孤立し、問題を抱え込む「ひとり」の労働者が、どう会社と闘えばよいのか、その道しるべを示すのが本書である。
 「ひとりで解決するためのHOW TO」ではなく、個人加盟の合同労組や地域ユニオンへ入って闘おうという主旨の労働組合入門の指南書だ。

闘うなら本気で
学習しないと!
しかしこの本は、平易なガイド本ではない。写真と説明図が少々でイラストなどはないが、労働関連法はもちろん公的機関や解決システムを説明したうえで、その実状を詳細に解説する。
読者が読みやすいよう、Q&A形式となっているが、『A』の内容が濃いのだ。
例えば、「Q=団交のテクニックを教えてください」に対する回答は、「A=……労使のバーゲニング・レインジ(労使交渉における双方譲歩限界の上下幅)を探り、……全人格的な対決……」といった具合だ(もちろん前後には、具体的かつ長文の説明がつく)。
難しいと言うなら繰り返し読め! 闘うなら本気で学習しろ!と、行間にそう書かれている気がする――活動家レベルの学習書といってもよいだろう。

エピソードを
散りばめながら
一方で欄外には、重要なキーワードについての簡潔な説明がつき、「三井三池の現場協議制」や「マクドナルドの名ばかり店長の闘い」など、数多くの争議エピソードが掲載されて楽しめる。
現在、個人加盟組合は、大きな曲がり角にきている。駆け込み寺と揶揄され、争議が解決すると脱退するケースも多い。「組合」をトラブル解決のツールとして利用するひとが多いのだ。
またパワハラや長時間労働によって心に病いを患い、その治療と争議の関係に腐心するケースが増加している。団交には、悪質な弁護士や社労士が介入し、売上げ目的で交渉をかく乱し長期化することも珍しくない。
解雇などの権利紛争をめぐる状況が混迷化するなかにあって、個人加盟組合の在り様や活動の原則を再確認する時期にある。本書は、その作業の一助にもなるだろう。資料としても、十分活用できる。
三人の著者は、いずれもコミュニティユニオンで長年にわたり労働相談を手がけ、争議を指導してきた労働運動家である。
?橋本忠治郎(東京統一管理職ユニオン・常任顧問)
?平賀健一郎(中小労組政策ネットワーク・アドバイザー)
?千葉 茂(メンタルヘルス労働者支援センター・代表)。
発 行 緑風出版
定 価 一、九〇〇円
※年内に続編も発行予定。
(大望)


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