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    かけはし2017.年5月29日号

東アジアの平和を共に作り出そう


沖縄報告:5月20日

「復帰」から45年、韓国から40人の代表団

沖縄 K・S

5.14

辺野古新基地NO!

瀬嵩の浜に2200人

闘志あふれる県民大会


 集会の始まる一時間以上も前から、平和行進に参加した県内外の諸団体ののぼりが会場のいたるところになびいた。全港湾、自治労、全水道、教組、動労、全農林、東交、合同労組、労金労、フード連合、さらに各地の平和運動センターなどが参加している。集会に先立ち、川口真由美さんと泰真実さんのリードで「座り込めここへ」などを力強く歌った。また、浜とフロートの間の海上でデモンストレーションを行うカヌーチームに連帯の拍手を送った。
集会は山城博治実行委員長のあいさつで始まった。「沖縄は負けない。全国にも伝わっているはずだ。韓国で新しい大統領が誕生した。その韓国から四〇人の代表団が参加している。ともに東アジアの平和をつくり出そう。今度国連人権委での発言の機会を得た。中央政府の横暴に立ち向かう県民の意思を訴えてきたい」。

勝つまで諦めぬ
名護市長の決意
「負けない方法…勝つまでずっと諦めぬこと」と書かれたTシャツ姿で参加した稲嶺進名護市長は「自宅からここまで走ってきた。一時間半かかった。市長になって七年。全国からたくさんの励ましを受けてきた。沖縄、名護は孤立していない。共に頑張り抜く。いま大浦湾は見るも無残な姿になっている。この海に絶対に基地は造らさない。瀬嵩の浜から民主主義と地方自治を取り戻す。信念を持って取り組んでいく」と訴えた。
沖縄選出の国会議員の発言が続いた。照屋寛徳衆院議員「議員になって二二年。ウチナーンチュは日本政府にとって都合のいい時にしか日本人にされない。不条理な沖縄差別が続いている」、糸数慶子参院議員「共謀罪は山城議長の逮捕・長期勾留で先取り施行された。廃案に追い込む。翁長知事は、県民は自ら進んで基地を提供したことはないと言った。今生きている私たちが未来に何を手渡すのかだ」、伊波洋一参院議員「来年の名護市長選、知事選でしっかり県民の意思を示そう。沖縄から戦争への道を止めよう」。
安次富浩ヘリ基地反対協共同代表は「海も空も沖縄のもの。取り戻していく。嘉手納基地でのパラシュート降下訓練に日本政府は抗議したが、単なるポーズ。実は容認している。民衆の力で大統領を引きずり下ろした韓国の闘い、このような闘いを日本でもやっていこう」と檄を飛ばした。高江住民の会の伊佐真次東村議は「昨年は悪夢のような日々が続いた。基地反対の参院議員が当選した翌日からの資材搬入、五〇〇人の本土機動隊派遣など、県民無視も甚だしい。ヘリパッドはまだ完成していない。やんばるを取り戻そう」と訴えた。

韓国代表団が
連帯アピール
チェジュ道カンジョン村の海軍基地反対対策委員会のコ・グォニル委員長が通訳の大畑さんと共に壇上に立つと、韓国代表団四〇人がそろって前に立ち「平和は銃剣ではつくれない」などの横断幕を広げた。コ・グォニルさんは力強い声で、「チェジュ道の海軍基地建設はされたが、闘いはまだ終わったわけではない。基地があり米国の植民地のような現状を終わらせなければならない。韓国で民主的な政権が誕生した。米中対立の軍事緊張ではなく、ともに東アジアの平和をつくろう」と訴えた。
続いて、司会の大城悟平和運動センター事務局長が大会宣言を読み上げ、頑張ろう三唱した後、大浦湾沿いをデモ行進した。右翼数十人が日の丸を掲げて橋のたもとに集まって妨害したが、行進団は毅然と行進を貫徹した。行進のあと、韓国の代表団は二見集落の一角にある「ワカゲノイタリ村」で沖縄の青年たち、沖韓民衆連帯のメンバーたち、五・一五の参加者たちと共にバーベQ大会を開催し、歌やサンシンで交流を深めた。

5.13

沖韓連帯集会に170人

トランプに平和を
壊させてはならぬ


五月一三日午後、沖縄県立博物館で、「沖縄にキャンドルパワー沖韓連帯集会」が開催され一七〇人が参加した。豊見山雅裕さん(沖縄韓国民衆連帯代表)の司会で、まず、佐藤学沖国大教授が「トランプに世界を壊させない!東アジアから平和を!」と題して講演した。佐藤教授は「トランプの米国第一主義は東アジアの軍事緊張を高めている。北朝鮮に対する先制核攻撃や中国に対する限定戦争の可能性がある。日本は喜んで先兵の役割を務めるだろう。そうなるとアジアは火の海になる。沖縄は破滅だ。戦争に向かって回転を速める世界の動きを止めるため、平和を!というスローガンが今ほど切実な響きを持ったことはない」と語った。
続いて、ヘリ基地反対協の安次富浩共同代表が辺野古新基地反対運動の二〇年を振り返りながら、「二〇一〇年に稲嶺進名護市長が誕生するまで、長らく新基地容認の名護市政の下日本政府の補助金行政による多くの箱モノが造られた。造るのに地元の金は要らないがいったんできれば維持管理は地元の責任。市民は長年苦しんだ。その結果、基地の補助金に頼らない財政自立を目指す新しい政治の流れができた。稲嶺市政の七年間に、国の補助金はカットされたが、財政規模はトータル五〇〇億円拡大した。市民はこの実績に自信を持っている。基地は海にも陸にもいらない。稲嶺市長を支え、辺野古新基地は絶対造らせない。アジアの人々の連帯でアジアの平和をつくり出そう」と訴えた。
そのあと、森の映画社が三〇分に特別編集した『高江・森が泣いている』の上映、チェジュ道カンジョン村一〇年の闘いの報告、慶尚北道星州郡の高高度ミサイル防衛システム・サード配備反対運動の報告が行われた。沖縄と韓国の連帯は確実に深まっている。

5.18

違法な埋立工事に抗議

カヌー7隻抗議船
2隻がフロート超え

 五月一八日の海上行動はカヌー七艇、抗議船二隻で行われた。午前七時、浜のテント2に集まった海上チームは、カヌーは瀬嵩の浜から、船は汀間港からそれぞれ出た。瀬嵩の浜は丁度満潮、波のない静かな海面をカヌーが滑り出した。
K9護岸の作業現場までは約三〇分。浜から大浦湾の方に入っていくと小さなうねりが入り風も出てくるが、カヌーチームはひと固まりになってK9護岸のフロートへ向かった。
現場は大型の工事船・ボーリング船が数隻、海保の高速ボート六〜七艇、防衛局の各種警備船五〜六隻に加え、浜の方に護岸工事にたずさわる作業員約一〇人、岩場で待機し警戒する軍警、海保、防衛局が雇った民間警備員、県警がそれぞれ数人ずつ集まっている。軍警はただ突っ立っているだけ。警備員はマイクでがなり立てる役、県警はビデオカメラを回す役、海保はウェットスーツを身に着けていつでも海に飛び込める態勢。われわれは砕石をばらまきショベルカーで固める作業をしばらく監視したのち、いっせいにフロートを越えていった。
連休明けからこの部分のフロートは防衛局のカヌー対策で一列から二列になった。二重のフロートを越えるのは簡単ではない。しかし、少しでも作業現場の近くに行き抗議の声をあげるために、フロートを乗り越えていく。七艇のカヌーは全速力で作業現場に向かおうとするが、多勢に無勢。たちまち高速ボートに乗った海上保安官が海に飛び込んでカヌーを捕まえ、海保のボートに無理やり乗せる。拘束だ。カヌーメンバーを乗せ無人のカヌーを曳航しながら、三隻の海保の高速ボートは、大浦湾入り口の航路標識のところまで行き、わが方の抗議船に引き渡した。
この日、午前一回午後一回、海保の拘束を受けながら、カヌーチームは夕方まで闘い抜いた。カヌーの闘いは毎日がこの監視―フロート越え―拘束―釈放の繰り返しだ。へこたれず、根気強く、少しでも作業現場に近づいて抗議の意思を明確に示し続けていく。 現場の海上工事は遅れているが少しずつ進んでいる。四月下旬から始まったK9護岸の根元部分の工事はこれからいよいよ土砂を大量に使用し海を破壊する工程へ入っていく。沖縄県は防衛局に再三工事の停止を求めているが、彼らは聞く耳を持たず違法工事を続けている。水産庁も防衛局とグルになり「岩礁破砕許可は不要」と法律を手前勝手に変える不法行為をしている。
国家権力を奪った不誠実な人たちにどのように対すればいいのか。行動しかない。海上とゲート前の闘いで止めなければならない。平和市民連絡会、那覇島ぐるみ、オール沖縄会議那覇の三者が協力して、五月二二日から県庁前午前九時発の無料大型バスを毎日運航している。初めての人も安心して参加することができる。全県、全国から辺野古へ集まろう!カヌーに乗り、ゲート前に座り込んで埋め立て工事を止めよう!

5.17

ゲート前座り込みに200人

終日資材搬入ストップ

参加者は全国から


五月一七日水曜日のゲート前行動は早朝から二〇〇人が工事用ゲート前に座り込み、終日資材搬入をストップした。第1、第2ゲートでも工事用車両に対するピケットを張り、作業員の基地内進入を監視し阻止した。
各地の島ぐるみは次のように発言した。宜野座村「体が弱いので毎朝納豆とモズクを食べている。納豆のように粘り強く末永く闘い抜き、安倍の死に際を見届ける」、大宜味村「他府県からの参加は力になるしありがたい。辺野古は絶対造らせない」、名護市「六月に総会を開く。稲嶺市長の講演を予定している。先日、愛知、静岡に行ってきたが、護岸工事が進んでもうダメではないかという誤解があった。とんでもない。工事はまだまだ。闘いはこれからだ」。
発言の途中、「大日本忠仁社」の街宣車が妨害に現れ、ヘイトスピーチを繰り返しながら座り込みの現場の国道を行き来しはじめた。同時に、右翼との衝突を防ごうと機動隊二〇〜三〇人が座り込みとの間に並び立って壁を作った。
島尻の島ぐるみは糸満市から。「ハイサイ、今日もチバラナヤーサイ。政府は護岸工事でもう後戻りできないとキャンペーンしているが違う。座り込んで工事を止めよう。ヒトラーがベルリンオリンピックを利用して国家主義の浸透を図ったように、安倍も東京オリンピックを利用しようとしている。戦争への道を止めよう」、豊見城市「大浦湾の嘉陽層は地盤が軟弱だ。政府は隠している。基地返還による経済効果、雇用効果は大きい。基地を取り戻し沖縄の未来を勝ち取ろう」。
八重瀬町「五・二七ゲート前県民集会に大型バスで参加する。このキャンプ・シュワブ。シュワブというのは沖縄戦で死んだ米兵の名前だ。沖縄の海兵隊基地にはみんな死んだ米兵の名がつけられている。なんのために?戦利品だと思っている。戦争のために沖縄に上陸した米軍は戦争が終わればさっさと帰ればいい。海兵隊を追い出そう」、南風原町「道すがらイジュの花が咲きテッポウユリが咲いていた。復帰後四五年の米軍による事件事故の数々。まやかしの負担軽減。もうこれ以上沖縄を人殺しの道具に使ってほしくない」「八人で来た。右翼は反中国の宣伝にやかましいが、沖縄は中国との交易を四〇〇年も続けてきた。そんな琉球を日本が併合したのだ。歴史をもっと勉強せよ」。
南城市「街頭宣伝に立つと、辺野古現地に来れなくても支持している人々がたくさんいることが分かる。民意をバックに闘っているという自覚を持とう」。
全国からの参加者の発言が続いた。米軍Xバンドレーダー基地反対・京都連絡会の大湾宗則さんは「六月三、四日の現地行動にはサード配備に反対している韓国金泉市から二人参加する。日本企業は三万社がアジアに進出している。アジア各地では日本企業の搾取に反対する闘いが巻き起こっている。辺野古の新基地はアジア人民抑圧の軍事基地だ。韓国、アジアと連帯して辺野古の闘いを進めよう」とアピールした。
普天間爆音の島田善次牧師と共にあいさつに立った東京の牧師夫婦は「ゴボウ抜きに会いたくてやってきた。国立は基地の街だが、沖縄と連帯する取り組みを頑張っている」と語った。那覇島ぐるみバスで参加した東京都日野市の一四人は「九条の会の取り組みでやってきた。先日の集会には仲里利信衆院議員が参加して、勝つまであきらめない、決して負けないとスピーチした。私は今七九歳。足腰が立つ限り辺野古に取り組む」と述べ、カンパをヘリ基地反対協に手渡した。
沖縄県は「沖縄から伝えたい。米軍基地の話」として32頁のQ&ABookを作成した。各地で活用してほしい。連絡先:知事公室基地対策課(電話098-866-2460)。なお、沖縄県のHPにも掲載されている。



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