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    かけはし2017.年5月22日号

フランス特集 新たな左翼形成への展望をどう考える


メランションの突破いかし

ルペンを破れ、マクロンと闘え
そして生気溢れる左翼の再建を

アンサンブル


 以下は今年四月三〇日のアンサンブル(注一)全国委員会が採択した決議の(公式)短縮版である。前号に掲載したNPAの大統領選第一回投票総括とは、新たな左翼形成への展望との関係で、メランションキャンペーンがその基礎となり得るものかに関し大きな評価の違いがある。今後の新たな左翼への挑戦を考えるにあたって重要な論点だと思われる。その論点を反映する第二回投票後の声明も両者から公表された。合わせて掲載し、比較検討の素材として提供する。(「かけはし編集部」)

PSに代わって
新たな左翼登場


大統領選第一回投票におけるジャンリュク・メランションの結果、得票率一九・六%、第四位は、注目に値する突破だ。この成功は、オランドとバルス(注二)の諸政策に対する強い不満、昨年の労働法に反対する社会運動、ニュイ・ドゥブ(夜に起ち上がれ)、そしてここ数年にわたって発展した環境運動と民主主義を求める運動、これらの中に根をもっている。
社会党(PS)政権の諸政策に反対する、そしてその党のヘゲモニーに挑戦する一人の左翼の候補者が初めて、権力を求める信用できる競争者として、また単にPSに向け左から圧力をかける方法としてではなく、見られることになった。
いくつかの市民イニシアチブや他の民衆的な表現を通して、新自由主義と決別する政綱に基づき結集する代わりとなる左翼を求める叫びが上げられてきた。ジャンリュク・メランションは、特にキャンペーンの最後の局面で、この切望を代表する候補者として現れた。
不屈のフランスによるジャンリュク・メランションのキャンペーンは、何万人もが参加することを可能にした一つのツールとなった。多面的なキャンペーン(大衆集会、ソーシャルメディア、インターネット、キャラバンその他)によって動力を与えられた勢いは、今後にとっての資本だ。

FN・マクロン
破る唯一の方法


この選挙にルペンが勝利する可能性は、過小評価されてはならない。それはこの国にとって惨害となるだろう。極右が権力に達するならば、それは民主主義、社会的諸権利、すべての者の平等を破壊する。われわれは、トランプをもって米国で、オルバンをもってハンガリーで、あるいは他の極右指導者たちによって欧州で起きつつあり、わが国で起きたことを許すことはできない。
彼らは権力に達するや否や、移民への弾圧を始め、社会的諸権利を切り刻んだ。われわれが直面する諸々の危険に対決する民衆的決起を発展させよう。アンサンブルは、メーデーでは街頭での、五月七日には投票しルペンを打ち破ることによる、さらにその後は即座にマクロンに反対する、決起を呼びかける。
ジャンリュク・メランションを軸としたキャンペーンはより強く、しかしまたより幅広くならなければならない。新たな左翼、生気溢れる左翼を結集することが、国民戦線(FN)を打ち破る、また同じく、主流の左翼の反逆者により、今やその継承者としてのマクロンをもって燃料を注ぎ込まれてきた反動的な諸政策を打ち破る唯一の方法だ。それらは即座に、また長期にわたって打ち破られる必要がある。

大統領多数派阻
止へ左翼統一を


これから行われる国民議会選挙は、大統領選挙の中で現れた希望を維持し、われわれが直面する挑戦に取り組むための、基礎的な戦闘だ。マクロンは、オランド政権の惨害を呼んだ諸政策を促進する目的の下に、伝統的右翼の、また社会党右派の議員を含んで、議会多数派を作り上げようと追求するだろう。
絶対に必要なことは、ジャンリュク・メランションを支持した諸勢力が、諸々の選挙区で一体として立候補する合意を見出すことだ。その目標は達成されなければならない。それだけではなくアンサンブルは、社会自由主義と決別する一つの政綱に基づく左翼諸勢力(不屈のフランス、左翼党、フランス共産党、アンサンブル、NPA、緑、緑の党異論派とPS活動家、草の根の活動家……)の共同立候補を、マクロンの政策に反対する多数派を、そして極右と右翼に対決する一つの戦線を支持する。われわれはこの路線の、全国的な、また現地の状況の多様性にふさわしい配慮に基づく地方の、実行を追求する。

大統領選の活力
源に左翼再建へ


マクロンは、緊急諸方策を介することを含んで、一日目から彼の新自由主義的な設定課題、すなわち労働力市場の自由化、年金システムの掘り崩し……、を実行するだろう。これらの構想に反対するあらゆる政治的勢力や社会勢力の決起が本質的となるだろう。この新自由主義的総意は、また反社会的攻撃は社会的かつ民主的な諸闘争を通して、闘われ、打ち破られなければならない。アンサンブルは、可能な限り幅広い参加を可能にする幅広い諸戦線の出現を助けるだろう。
実体ある左翼、階級に基礎を置いた左翼の再建という問題が今提起されている。一つの幅広い運動を求める勢力がここにある。それらは、ジャンリュク・メランションキャンペーンの勢いを積み上げつつ、そして代わりとなる左翼の統一を求める切望を高めつつ、共になる必要がある。
これは決定的な任務であり、われわれはそれを今語りかけなくてはならない。われわれの構想は、「自由主義派」のよく似た相手と歩をそろえた新自由主義的、生産力主義的諸政策と決別し、解放の構想を保持する一つの政治勢力に参加し、その建設を助けることだ、とアンサンブルは言明してきた。アンサンブルは、これからの年月に行われる熱のこもった諸々の会合やイニシアチブの中で、、その心臓部に民衆的参加を確保する、民主的、社会的、環境主義の左翼を現実に変えるために、和解と凝集の助成を追求するだろう。
(二〇一七年四月三〇日)

注一)アンサンブルは、反資本主義左翼、NPA内を起源とするその他を含んで、左翼戦線内のいくつかのグループの融合から形成された。この内部には第四インターナショナルのメンバーもいる。
注二)フランソワ・オランドは二〇一二年から共和国の大統領であり、マヌエル・バルスは、二〇一四年四月から二〇一六年一二月まで首相で、両者とも社会党員。(「インターナショナルビューポイント」二〇一七年五月号)

フランス

決戦投票

最悪は回避された
大胆不敵な左翼へ

アンサンブル

危険性なお続く
闘いは不可欠だ

 有権者は極右が権力を取るという差し迫った危険を、またそれに必然的に伴われると思われたもの、すなわち基本的自由への異議突き付け、民主的、社会的諸権利の巻き戻し、外国人に対する迫害、「国民優先」、あるいはレイシズムを励ます奨励として「フランス人ファースト」を使うこと……を拒否した。
 一一〇〇万票近くがマリーヌ・ルペンに向かい、それは、彼らの腐った考え方への支持が国中で高まっていることを明らかにした。われわれは、FNの考え方は「ちゃんとしたもの」ではないということを、ファシストは住民に定着する際には常に、彼ら自身の目的のために住民を利用し、絶望を利用してきた、ということを力説する必要がある。
 われわれは、問題の根源に迫らなければならない。ルペンは、FNは人々の暮らしを気にかけていると、人々をだまして考えさせることで、前進し続けている! フランスの社会党員大統領、オランドの過去五年にわたる諸政策が、人々が置き去りにされたと感じていることの責任を負っている。この一五年次々に登場した政府が行った新自由主義と新保守主義の諸政策を終わりにすることが基本だ。それらは、民衆多数には何の社会的成果ももたらさず、基本的諸権利に疑問を付した。マクロンは、不公正な政策を継続することによって、ものごとを悪化させ、彼に対する闘いが行われず、急進的な左翼と親環境的な基盤に立って彼の諸政策が拒否されないならば、FNの脅威は高まるだろう。

すぐさま闘い
を開始しよう


今回の投票はマクロンに彼の政策を実行する権限を与えていない。彼は、彼が展開したいと思っている諸政策には支持を与えず――彼は第一回には四分の一以下しか得ていない――、ルペン選出を止める努力としてあらゆる部分から票を取るという、「支持を欠いて」選出されたのだ。彼には、彼が適切だと見ている福祉国家の解体、社会保障拠出の増額、被雇用者の権利に対する攻撃、年金計画の変更、といったことには権限がない。
伝統的な二つの政権党、フランス社会党と保守的スタイルの共和党に対する拒絶の後に、われわれは、急進左翼の候補者、ジャンリュク・メランションに対する二〇%の投票による一つの実体ある左翼の台頭を見ることになった。われわれは、マクロンは一つの強力な社会運動に直面し、大きな政治的危機なしに彼の攻撃をうまくやり通すことはできない、と確信できる。マクロンは、彼のウルトラ自由主義の諸政策を展開し、それらを夏を通して大統領令を通じ強要するつもりでいる。マクロンの諸政策に対決して人々を決起させることが今始められなければならない。

大統領選が高め
た希望の動員を


次期総選挙は、大統領選第一ラウンドでのジャンリュク・メランションの成功が高めた希望を動員する上で決定的となるだろう。
われわれは、マクロンの諸政策と闘う真の左翼代表を選出し、一つのオルタナティブを建設する必要がある。われわれは、すべてをもってそのために闘う。マクロンが伝統的な右翼諸政党やフランス社会党から引き抜き、議員多数を得ることを阻止しなければならない。彼らは、権力にあった過去五年のオランドの諸政策を継続し、それを悪化させるだろう。
この理由から、ジャンリュク・メランションの立候補を支持した進歩的な諸勢力が国中の選挙区で立ち上がり、第一ラウンドの成功を広げることが基本となる。候補者を選抜する中で左翼活動家と環境活動家を統一し、社会自由主義から脱出させることが必要だ。これは、マクロンの政策に反対する、そして極右と他の保守諸勢力両者に挑戦する十分な力を与えるだろう。

基礎はここに
建設の時は今


左翼のオルタナティブの再建は優先課題だ。幅広い民衆運動に向け諸勢力は存在している。それらは再編し、ジャンリュク・メランションのキャンペーンの力学からさらに進み、真の左翼運動の希望と大望を結集する必要がある。これこそ、左翼のための決定的な挑戦だ。
(「インターナショナルビューポイント」二〇一七年五月号)

フランス

鋭さ増す資本家の攻撃
 まず現場で反撃築け

NPA/フィリップ・プトー

 以下の声明は、大統領選第二回投票結果が公表された後、NPAとして、フィリップ・プトーにより行われた。
 国民戦線(FN)候補者のマリーヌ・ルペンが選出されることはなく、われわれは喜んでいる。われわれにとって、FNは決して他のような政党ではない。その綱領は、デマに満ちたいくつかの社会的要求の背後で、民主的な諸権利の破壊、労組運動や他の社会運動の権利すべてに対する異議突き付け、を保持している。その綱領は、移民出身民衆に敵対する差別強化を狙った被搾取民衆の分断であり、貧困や失業に本当に責任のある者たちを守ることを狙った、レイシズム的憎悪の綱領なのだ。今日、FNの候補者は脇にどけられた。それはいいことだ。
 マクロンという銀行家は、オランド主義の継承者であり、前任者の政策を完全に取り入れている。彼は一閣僚として、彼の名前を冠した法や、一年前街頭で大衆的に反対された労働法のような、社会的退行を内容とする諸々の法を力づけた。マクロンはそれ以上に、自由主義的な反革命を強めるつもりであり、それゆえ休みなく、企業の自由、厳格さ、財政均衡……を名目に、民衆に対する緊縮政策を遂行するだろう。彼の綱領とは何か? 週三五時間労働を終わりにすること、社会保障を壊すこと、公務員数を削減すること、労働基準の破壊をさらにもっと進めること……だ。この政策はまさしく、われわれの社会的成果の破壊を広げつつ、FNにとっての土壌を準備するものにほかならない。
 それゆえわれわれは、新たな戦闘に立ち上がり、マクロンという転圧機に対する抵抗を準備する団結に向け用意を調えなければならない。実際このマクロンは、彼の反社会的綱領を強要するために、大統領令によって統治したいと言明しているのだ。
 われわれの前には闘争の一時期がある。そしてわれわれは、力関係を逆転させ、われわれの社会的で民主的な諸権利を守る一つの戦線を築き上げるために、「すべての者が一緒に」を、全力をあげた決起を、組織しなければならない。
 すでに、労組と社会運動の活動家たちは、対応の用意に入っている。われわれにとって、「われわれのことがらを処理する」が意味することは、闘争、デモ、ストライキの構築だ。明日午後二時、共和国広場〔パリ〕の、また一定数の都市でのデモは、その一部だ。なぜならば、社会的獲得物は一度でも政府の贈り物であったことなどなく、行動に立ち上がった労働者と若者たちによって勝ち取られたものだったからだ。
 われわれはこの対決を準備するために、われわれを代表する、経営者と所有者を前にわれわれの社会的陣営を組織する、一つの政治勢力を必要としている。それは、日々の闘争に根を下ろした、資本家の所有権を攻撃することを恐れない、一国家とEUの諸制度と決別する必要を守る、そうした闘う政党であり、社会の革命的転換を求める、フェミニスト、エコロジスト、国際主義者の党だ。それは急を要している。
二〇一七年五月七日、モンルー。
(「インターナショナルビューポイント」二〇一七年五月号) 

フランス

声明

われわれのデモを
止めることはできない

反資本主義新党(NPA)

 大統領選(第二回)投票日のその日、六九人の活動家――NPAの指導的メンバー、アラン・ポヨラ、パレスチナ連帯や反ファシスト活動家――が、パリの一定地区に入ることを禁じられ、このことで彼らは、新たに選出されたエマニュエル・マクロン大統領の公表済の反労働者諸政策に反対する、最初のデモに参加することを妨げられた。
 NPAは以下の声明を発した。

 六九人の活動家は今日、五月八日明日のデモ参加を禁じられた、との通知を受けた。このイベントは、諸々の労組や市民団体から成る一つのグループによって呼びかけられた。このグループはすでに、四月二二日にデモを行い、「私企業や公共部門の被雇用者、失業者、臨時労働者、学生、若者、退職者、最低賃金で暮らす者たち、労働許可証のない者たち、最低の手当で生き延びている者たち、都市や村や郊外の住民……として、第二回投票日の翌日、われわれは街頭にいるだろう!」と声明を発していた。
 デモへの決起に関するこれら数十の禁止命令は、今や大統領選挙で承認された、さまざまなオランド政権の諸政策と一致している。そしてそれらは生き残り合図を送っている。つまり、労働基準や社会的諸権利を壊してきた同じ者がまた、デモを行う権利を含んで、民主的諸権利にも攻撃をかけていると。そうであればまさに彼らは壊し屋であり、われわれは当然のこととして、街頭に繰り出すと語る。
 われわれの権利に対する攻撃を前に黙ることを拒否するということは、街頭に繰り出し、声を届かせるということを断固として主張する、ということなのだ。それこそが、明日午後二時、パリの共和国広場で、またこの呼びかけへの呼応が始まりつつあるフランスのすべてのところで、われわれがデモへの決起を求めている理由だ。
二〇一七年五月七日、モンルー
(「インターナショナルビューポイント」二〇一七年五月号)  


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