4.6
17けんり春闘総決起集会
均等待遇、8時間労働制
自分たちの力でかちとるぞ
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四月六日、17けんり春闘全国実行委員会は、「政府・経団連のペテン『働き方改革』にNO!! 全ての労働者に生活できる賃金を!」をスローガンに掲げ、「17春闘勝利 中央総決起集会」を開催した。
連合大手組合のささやかな「ベースアップ」妥結をもって春闘は終わったかのように報じられているが、中小企業や港湾職場などでの闘いはまさに今山場に入っている。大手の「ベースアップ」が中小や非正規の労働者など圧倒的多数の労働者を置き去りにしたものにすぎないことは明らかであり、本集会は、格差と貧困に立ち向かう労働者の戦列形成をも見据え、連合大手の闘争放棄に屈しない闘争を突き出す意志の総結集として設定された。
今年はもう一つ重大な闘争課題が突き付けられた。言わずもがなだが、労働者の暮らしや権利、果ては命にまで敵対する「働き方改革」だ。この集会の直前、三月二八日決定された実行計画は、長時間労働是正、同一労働同一賃金を大宣伝しつつ、それとは丸丸一八〇度向きが違う、まさにペテンとしか言いようのないものになっている。
その典型的な象徴が繁忙期月一〇〇時間の時間外労働の容認という信じがたい提言であり、それにはあまりに当然だが、電通で過労死させられた高橋まつりさんのお母さんの厳しい批判をはじめ多方面から批判が殺到している。過労死労災認定基準(現状月八〇時間)の緩和狙いすら透けて見えるのであり、過労死放任を公言しているに等しい。
同一労働同一賃金のうたい文句もまったくデタラメ、現在の特に大企業が展開する差別、分断の労働者処遇を追認するものでしかなく、大企業経営には痛くもかゆくもない代物だ。
これらが連合会長同席の下に決定されたとしても、労働者には、それを認めることなど決してできることではない。その全面粉砕が必要であり、今集会はまさにその決意を前述のようなスローガンに集約、労働者総体の闘い形成に向け率先した行動の突き出しと闘いを呼びかける場となった。
日本経団連会館
前で抗議の集会
このような意気込みを込めて、今年は集会と一体の行動として午後四時半から日本経団連会館前の経団連抗議集会が組み込まれ、格差と貧困の拡大を進め、ペテン「働き方改革」を主導する経団連に労働者の腹の底からの怒りが次々に叩き突けられた。発言は、けんり春闘を代表して全国一般全国協の平賀委員長を皮切りに、京都総評、郵政労働者ユニオン、東部労組、国労、宮城合同労組の各代表。
この中では、前述した名に値しないデタラメで悪どい時間規制提言に加え、特に、東部労組と宮城合同労組から、非正規労働者に対する差別処遇の是正を求めた裁判で続く不当判決が厳しく批判された。東部労組では、メトロコマース分会の非正規労働者に対する正規との差別処遇が不当ではないとされた。しかしその理由は、仕事の違いを厳密に検討したものではなく、制度としてのいわゆるキャリアパスの違い。その上その違いによる差別は必要でもあるとまでされている。いわば「身分違い」、非正規は分を超えた要求はするな、と言うに等しいひどい判決だ。
宮城合同労組では、クロネコヤマトの非正規ドライバー組合員に対する一時金差別が不当ではないとされた。業務や期待度というごく抽象的な差違に加え、正規には転勤がある、などが差別処遇の根拠とされたが、具体性に欠け、転勤の扱いにしても実体とは大きく違うと報告され、これでは非正規の差別処遇は野放しになると強い怒りが表明された。
そしてそうした判決がまさに「働き方改革」論議の最中に出されていることが特に指摘され、それこそが「働き方改革」の実体を表している、と鋭く批判された。こうして、東部労組の菅野委員長からあげられた、経団連にも連合会長にもわれわれの命や暮らしを委ねたつもりはない、八時間労働制は自分たちの力で取り戻そう、との声は、参加者全体から強い共感を持って受け止められた。
「格差は必要」?
とんでもない判決
集会は、銀座ブロッサムを会場に午後六時半開始。主催者を代表する東京清掃労組桐田委員長の、大企業と金持ちの腹はまったく痛まないとする官製春闘と「働き方改革」に対する強い批判、そして安心して生活できる社会で官民一体の闘いをつくり出そう、とのあいさつに続いて、静岡県共闘、北関東ネット、全統一労組、全造船関東地協、全国一般全国協東京労組、東水労、全労協女性委員会の各代表が自分たちの闘いを報告しつつ、特に「働き方改革」に自らの要求を対置して対決する総力をあげた闘いへの決意を表明した。
中で全統一労組を代表して発言に立った千葉市の非常勤労働者は、今回上程された地方公務員法改悪について、一般非常勤職員を会計年度任用職員に変え、任用という労働基本権の保証がない形で非正規雇用を永続化するものと指摘、強い不安を訴えると共に、ともに闘いに決起してほしいと痛切に訴えた。
また全労協女性委員会の柚木康子さんは、非正規問題は女性問題だとえぐり出しつつ、前述のメトロコマース判決における「格差は必要」との言明を、非正規は均等など求めるなという人権感覚ゼロの観点、と怒りを込めて批判した。そして「われわれの運命を連合にも経団連にも委ねない」と徹底した闘いを呼びかけた。
集会は最後に韓国サンケン労組、東京労組FAユナイテッド分会、JAL争議団、フジビ闘争争議団を壇上に迎え、各代表からの決意表明と支援要請を受け、提起された闘いへの決意をあらためて確認した。そして結集した約三〇〇人の労働者は、金澤壽全労協議長の音頭で団結ガンバロウを三唱、すぐさま銀座へのデモに移り、沿道の人々に集会で確認された闘いへの決起を訴えた。なおこの日は同時刻、共謀罪反対の大集会も進行中、集会参加者には悩ましい事態となったが、本集会でも共謀罪絶対反対が確認されたことは言うまでもない。 (神谷)
3.26
韓国サンケン争議に勝利を
200人で本社抗議デモ
国境を越える労働者連帯
前日からの冷たい雨が降り続ける三月二六日、韓国サンケン生産部門の労働者全員解雇の撤回を求めて、サンケン電気本社抗議デモが行われた。この日の行動を呼びかけたのは、韓国サンケン労働組合(韓国・金属労組)・韓国サンケン労働組合を支援する会・韓国からの争議団と連帯する埼玉の集い実行委員会の三団体だ。
デモの出発場所となった埼玉県新座市にある三軒屋公園には色とりどりの労働組合の旗やのぼりが立ち、集まった二〇〇人を超える労働者・市民が争議を勝利させることと不動の労働者国際連帯を確認した。
出発前の集会ではまず、支援する会を代表して北関東ユニオンネットの中村さんが発言した。中村さんはサンケン電気川越工場への行動などに触れながら、韓国サンケン労組の闘いが春闘の大きな課題になっていることを報告した。そして「不当労働行為であるのは明白だ」として、韓国の地方労働委員会の解雇撤回と職場復帰命令を無視するサンケン電気本社を厳しく糾弾し、「怒りをもって勝利するまで闘い抜いて行きたい」と訴えた。
埼玉の集い実行委員会からは新座市在住の坂本さんが発言した。坂本さんは毎日行われている本社前での行動や情宣活動などを報告し、「不当解雇は認めないことを訴えながら、勝利するまで支援して行く」と固い決意を語った。
続いて東京全労協の大森議長が発言。大森さんは東京争議団の闘いとなっているフィリピン・トヨタ争議を例にあげて、日本企業は何十年も前から低賃金で悪らつな経営を行ってきた。サンケン電気でもそのことが明らかになったとして「国境を越えて連帯して行くことが重要だ。勝利的な解決をはかってゆくために最後まで闘って行こう」と訴えた。
朝霞市議会議員の田辺さんから議会での報告などを受け、出発集会の最後に韓国サンケン労組からの報告と決意表明が行われた。
一六〇日間の闘いを続けてきた訪日遠征闘争団の三人が胸を張り並んだ。韓国サンケンは四四年間、日本のサンケン電気の一〇〇%子会社として免税などの恩恵を受けながら馬山自由貿易地域で操業してきた。今回の生産部門の廃止にともなった三四人全員(全員組合員)の解雇は、すべて日本の本社の指示によるものだ。韓国の地方労働委の命令を実施して、解雇を撤回すべきだなどと発言した。
さらに今回の訪日闘争にあたり、韓国では「難しいのでやめた方がいいのかもしれない」とも言われたが、「労働者が決意すればできないことはない」。「私たちは仲間と支援の人々を信じて地方労働委の命令を勝ち取ってきた。中労委でも勝利の指示を引き出せるだろう」。「解雇撤回の闘いは韓国でも続けられている。旗の色や出身国が違っても労働者はひとつだ。勝利を勝ち取っていこう」と報告と決意の表明をしめくくった。降りしきる冷たい雨のなか、大きな拍手で訪日闘争団の決意を確認した。
デモはバイパス道路から狭い路地をぬけて、広大な敷地に工場が立ち並ぶサンケン電気本社にむかった。「不当解雇を撤回しろ」「労働委の命令を実施しろ」「サンケン本社は責任をとれ」と、本社にむかってシュプレヒコールを上げる。デモはその後も志木駅周辺を一周するなどして、行きかう労働者、市民に不当解雇の撤回などを訴えた。
韓国サンケン労組の闘いは今後も継続される。支援の輪をさらに広げて、資本の好き勝手を許さず勝利を勝ち取らなければならない。 (R)
コラム
大企業!被災地を食いものに
大震災から六年。「復興資金」を当て込んで様々な企業が「被災地復興のお手伝い」を「枕詞」に大挙し被災地にやってきた。いまや、復興資金に群がる大手ゼネコン・官僚の「口利き」「談合」「贈収賄」歪んだ政治の縮図とも言うべき光景だ。「復興」五輪なる言葉も「復活」し、巨額の投資に「蜜に群がる蟻」の如くゼネコン首都へ大移動。
被災地は、資材の高騰、作業員不足により住宅再建も滞る。嵩(かさ)上げ工事の遅れは復興の遅れとなり、繰り返される仮設の延長。いち早く被災地に進出した大手スーパー「イオン」。「仮設店舗」で必死に頑張ってきた地元の小売店が「五年契約期限切れ」で追い出され自力再建の道が閉ざされ「廃業」に追い込まれていく。そこに生きる人々の生活を無視した巨大防潮堤が町・集落を包み込み海も見えない場所が拡がる。
「創造的復興」と言う名の「社会実験場」と化した被災地。全国初の「国管理空港の民営化」、震災復興そっちのけで漁民を分断した宮城の「水産特区」、農地の大規模化・土地改良事業等など数え上げたらキリが無い。「失敗」したら「撤退」し何の責めも受けずに「実験だから」の一言。残ったリスクだけを被災地が背負う事になる。
二〇一六年一一月四日、一九六カ国が署名した「パリ協定」の発効。地球温暖化問題に世界をあげて取り組む。英・仏・カナダ等は三〇年までに、現在、稼働している火力発電所からの撤退を明らかにした。今後、化石燃料関連事業は大きなリスクを抱え「座礁資産化」するだろう。
仙台市七北田川河口。五〇haに及ぶ「国指定仙台海浜鳥獣保護区」の蒲生干潟。津波による壊滅的被害を乗り越え「奇跡の回復」を遂げつつある貴重な干潟だ。後背地は、津波による多数の犠牲者・甚大な被害を被り、「危険区域」指定による住民の立退き地域。ここに関電・四国電が「火力発電所建設」を企てる。特に関電は設備容量を「アセス対象規模」からホンのわずか下廻らせ環境アセスから逃れるという「姑息な」手段で住民説明もせず工事を進めてきた。「電気は東京に、儲けは大阪に、大気汚染は被災地に!」と言うことだ。被災地住民の怒りの中で渋々開いた説明会では、住民の怒りが爆発しヤジと怒号の嵐に包まれた。
「四国電」は、ノルウェー年金基金の新基準で投資対象除外の石炭関連企業世界五二社に名を連ねた。この状況を「良し」とするのか否か? 取るべき選択肢は二つ。パリ協定を無視し、世間の冷たい視線のなかで「座礁資産化」する道。それとも「撤退」を決断し被災地の人々から喜ばれ「さすが!」と称賛される企業への道。答は自ずと明らかだろう。
今年も、渡り鳥は次々と繁殖地を目指し飛び立って行った。「モクモクと空を覆う工場群の煙」「汚染水と廃油まみれの河口で飛び立てぬ鳥の姿」【昔見た仏映画「WATARIDORI」のひとコマ】。作り出すのも人間なら、止められるのも人間。 (朝田)
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