沖縄報告 3月25日
新基地は絶対に造らせない
沖縄 K・S
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3.25
ゲート前集会に3500人
「やっと帰ってくることができた」
冒頭、山城博治さんがあいさつ
三月二五日の土曜日、キャンプ・シュワブゲート前で「辺野古新基地を造らせないオール沖縄会議」主催の「違法な埋立て工事の即時中止、辺野古新基地断念を求める県民集会」が開かれ、三五〇〇人以上が結集した。各地の島ぐるみ会議がチャーターした大型バスやマイクロバスが次々に到着し、集会開始時間の午前一一時が近づくにつれゲート前の人波は見る見るうちにふくれ上がった。まず登壇したのは山城博治沖縄平和運動センター議長。不当な保釈条件のため、通常の集会参加ではなく、集会前の発言という形で池宮城紀夫弁護士と共に壇上に上がり、「やっと帰ってくることができた。五カ月以上にわたる勾留を頑張り抜くことができたのは県内外、全世界からの激励のおかげだ。権力がどんなに襲ってきても決して屈しない」と力強く述べ、熱い拍手を受けた。池宮城弁護士も「裁かれるべきは安倍だ」と訴えた。
呉屋守将さん
基地はいらない
司会は仲村未央県議。オール沖縄会議共同代表の玉城愛さんの開会宣言に続いて、呉屋守将共同代表(金秀グループ会長)は「経済人は金もうけを考えていればいいのではない。私たちはウチナーンチュの経済人だ。基地の集中の中で沖縄の未来はない。知事を支え、ただ一点、新基地は絶対に許さないという点で団結し闘い抜こう」と訴えた。同じく共同代表の高里鈴代さんも「一年前米海軍兵による準強かん事件があり、このゲート前で抗議した。そのあとも悲しい事件が起きた。新基地NO!は県民の総意だ」とアピールした。
四月一日から沖縄県の政策調整官に就任する吉田勝広さんは、やんばる各地の島ぐるみを代表して「戦後のわれわれの闘いは人間性回復の闘いだった。知事と一緒に踏ん張る。今朝県道一〇四号線の現場に献花してからこの場に来た。二度とこのような事件を起こさないよう、ヌチカジリ(命の限り)頑張ろう」と決意を表明した。
伊波洋一議員「森
友と同じ隠蔽体質」
沖縄選挙区選出の衆参両院議員のあいさつが続いた。照屋寛徳議員「中央政府と地方政府の対立にあって、地方自治が無視されてはいけない。勝つまで闘う」。赤嶺政賢議員「憲法を破って戦争法を通したように、安倍内閣は法律を無視して基地建設を強行している。許されない」。玉城デニー議員「ゆるぎない一人ひとりの思いが大事だ」。仲里利信議員「沖縄はまるで植民地だ。場合によったら独立してやっていく気概を持とう」。糸数慶子議員「安倍政権は違法に工事をしようとしているが、権限は県と名護市が持っている」。伊波洋一議員「森友学園の問題に明らかなように多くのことが隠されている。沖縄の基地問題も同じだ。米国の基準でノグチゲラの営巣地に基地を造ったり、ジュゴンの海に基地を造ったりできないことは明らか。沖縄の海兵隊はグァム、ハワイ、米本国へ撤退していく。グァムで反対運動があるので、ハワイ、米本国へ行く。辺野古は必要ない」。県議会会派「おきなわ」の瑞慶覧功県議「山城博治に対する弾圧は沖縄県民に対する弾圧だ。一緒に頑張ろう」。那覇市議会会派「新風会」の金城徹市議「保守・革新で色分けせず結束して、沖縄のことは沖縄が決める、と叫び続けよう」。
「ナマカラドゥ
ヤイビンドー」
就任以来辺野古現地集会に初めて参加した翁長知事は「今日を期して新たな闘いのスタートだ。私は銃剣とブルドーザーで米軍基地がつくられていった米占領下を思い起こす。今辺野古で同じことが行われようとしている。あらゆる県の権限を行使し、埋立承認の撤回を力強く必ず行う。皆さん、チバラナヤーサイ、ナマカラドゥヤイビンドー(頑張りましょう。今からですよ)」と決意を述べた。
大会決議の朗読のあと、稲嶺名護市長の閉会宣言と頑張ろう三唱で県民の不退転の決意を示したゲート前集会が終わった。
辺野古新基地を絶対に造らせないという県民の一丸となった決意を表した集会だった。辺野古新基地NO!の県民の総意を基盤に、海上とゲート前での不屈の現地闘争と地域に根差した大衆運動が沖縄県・名護市の行政と改めて固く結合して、全国・全世界へ支持を広げながら日米両政府に対決していくことを明確に示したのだ。すべてはこれからだ。全県、全国からさらに辺野古に結集しよう!
3.22
ゲート前に250人
工事車輌を終日止める
「3・25辺野古集会に翁長知事が参加する。県民大結集で成功させよう」とのヘリ基地反対協・安次富浩共同代表の呼びかけ、大城敬人名護市議の議会報告に続いて、名護市島ぐるみが「二〇年間頑張ってきた。二〇年で今が一番盛り上がっている。安倍は焦っている。力を結集しよう」と述べた。そのあと、本部町、宜野座村、糸満市、南城市、八重瀬町、豊見城市、南風原町の各島ぐるみが、各地域における街頭宣伝や講演会、看板製作などの取り組みを報告した。那覇島ぐるみは「私たちの非暴力の抵抗は微力だが無力ではない。集まれば力になる。何年かかっても止める」とアピールした。
茨城からの八人はそろって前に立ち「とにかく、行くぞ!辺野古・高江ということで集まってきた。戦争体験者の七〇代から一〇代の学生までいる。文子オバアに会えて感激だ」と発言した。「辺野古・高江につながる奈良の会」に続いて前に立った、東京からの男女一一人の学生グループは口々に次のように述べた。「自然と命を守る沖縄の行動は素晴らしい。東京・神奈川で何とかしないといけない。変えなきゃいけない」「沖縄に来てみなさんのエネルギーを感じた」「身を削った現場の闘いに感銘に受けた」「東京で私たちも自分の人生をかけて取り組む」など、若い学生たちの頼もしい発言に、座り込み参加者は大きな拍手を送った。
桜井国俊元沖大学長は「オスプレイの墜落のあと、残骸が回収されないうちに米軍は飛行を再開した。米軍にとって原因は明らか。オスプレイは危険だし落ちるということだ。兵士の命よりも住民の命よりも訓練を最優先している。オスプレイは定員二五人乗ると、燃料は半分しか積めない。だから夜間の給油訓練を必要とする。すると、ある確率で必ず事故が起こる。人間の命は紙くず同然だ。特例法によって除外されている軍用機も航空法で必要とされていることが一つある。飛行計画の提出だ。情報公開させ運動を広げて行こう」と話した。
他方、海上では、抗議船三隻、カヌー一四艇でフロートの中に再三入り海保に拘束されながらも果敢に抗議を貫徹した。
3.21
強風の中 海上行動
カヌー14艇、抗議船3隻
三月二一日のゲート前は結集人数が少なく、午前、正午、午後計三回にわたる警察機動隊の座り込み強制排除で、生コン車、クレーン車など工事車両約四〇台が基地内に出入りした。数百人が結集し工事車両の出入りが困難な水土に比し参加人員の少ない他の曜日に、四〇〜五〇台の工事車両が出入りするのが常態化している。
他方、海上行動は強風の中、抗議船三隻、カヌー一四艇で行われた。カヌーチームが辺野古アを過ぎ、長島手前のフロートあたりに到着すると、海保のゴムボート、各種海上警備船があわただしく近づいてくる。警備員たちはマイクで「臨時制限区域から出てください。フロートから離れてください」と叫ぶが、われわれはフロートのロープにカヌーをつないでフロート内の作業を監視し続けた。強風が吹きつけカヌーが揺れ寒さも感じる中、いくつかのポイントでフロートにへばりつくようにとどまり続けた。海上行動で求められるのは忍耐力だ。
海底調査船「ポセイドンT」は長島付近に留まっている。大型工事台船、クレーン台船は汚濁防止膜の張り出しやブロック投下のような目立った作業をしている様子はない。準備作業をしているのだろう。カヌーからは海底が透けて見える。海は漁協に加盟する人たちだけのものではない。県民の財産だ。長時間カヌーに座っていると腰が痛くなってくる。腰を伸ばしてカヌーに寝ころぶと白い雲の合間から青空が目に入り、唐突に戦後七二年に及ぶ米軍の沖縄支配の不条理を痛感した。
午後に入って天候が悪化してきたため、カヌーチームは全員浜に引き揚げた。
3.20 孫崎享さん講演会
政府とマスコミが作った「中国脅威論」
「トランプ政権と東アジア」
三月二〇日午後、孫崎享講演会「トランプ政権と東アジア」((主催:東アジア共同体研究所 琉球・沖縄センター、共催:沖縄キリスト教平和研究所)が沖縄キリスト教学院大学のチャペルで開かれ、約二〇〇人が参加した。
講演に先立ち、水中写真家・牧志治さんによる「子や孫に残したい海―辺野古・大浦湾」と題したスライドショーが行われた。牧志さんは海上チームの抗議船船長として海上作業の現場で「海を壊すな」「サンゴを守れ」と抗議の声をあげ続けている。昨年一二月のオスプレイ墜落の際に、サンゴが心配になり真っ先に墜落現場の海に潜って撮影したのが「ぬじゅん」創刊号に掲載されたオスプレイの残骸写真だ。
辺野古・大浦湾には二六二の絶滅危惧種を含む五四〇〇にのぼる種が生息し、泥干潟、砂泥地、砂地、離礁、岩礁、藻場、礁池の中の島、川の流入(大浦川、汀間川、辺野古川)に示される生態系の多様性が際立つことを説明した後、牧志さんは自身が撮影したスライドを1時間にわたり詳しく解説した。
元外務省国際情報局長で、現在、鳩山元首相が理事長を務める東アジア共同体研究所の理事である孫崎享さんは、要旨次のように講演した。
孫崎享さんの話
米軍によって日本が
守られている?
トランプ政権で今起こっていることは軍備拡大と教育福祉予算の削減であり、安倍政権も同じだ。犠牲・被害は国民、とくに沖縄に集中される。日米地位協定で米軍駐留経費の負担はどのように記されているか。日本側の二〇%か?五〇%か?七〇%負担か?実は〇%だ。日米地位協定第二四条には「日本国に負担をかけないで合衆国が負担することが合意される」と明記されている。日本の米軍駐留経費の負担総額は年間七〇〇〇億円を越える。ドイツ一八〇〇億円、韓国一〇〇〇億円、イタリア四〇〇億円に比してとてつもなく大きい。日本は格差社会が進行し、教育、育児など福祉面で問題があふれている。例えば四〇〇〇億円あればすべての国公立大学で無償化ができる。小中学校の給食無償化は四七〇〇億円で可能だ。米軍に対する「思いやり予算」をやめればできる。
第二次世界大戦の敗戦国であり戦後復興をとげたという点でドイツと日本は似ている。しかし決定的に違うのは米軍との関係における国の主権だ。「ドイツ駐留NATO軍地位補足協定」には、「基地の使用よりドイツ側の利益が上回る場合には返還請求に応じる」との趣旨の条項がある。「ドイツ側の利益」という基準は合意議事録ではいっそう明確に「ドイツの非軍事部門の基本的な必要性、特に国土整備、都市計画、自然保護および農業上、経済上の利益」と表現されている。これを普天間基地に当てはめると、基地がない方が都市計画や経済発展の面ではるかに利益があるので、普天間基地の閉鎖・撤去となり、辺野古・大浦湾の自然保護および経済上の利益からそもそも辺野古新基地は計画されようがないことは明らかだ。
日本が米軍によって守られているという大いなる錯覚。外国軍隊がいないと国の安全が守れないという国が世界のどこにあるのか。田中角栄元首相が中国を訪問し日中共同声明を出した時、国民の多数は日中友好を歓迎した。その後米国および政府とマスコミが世論を操り、中国脅威論に導いてきた。ドイツとフランスは二度の大戦で戦争したが、今両国が戦争すると考える人はいない。両国が協力と共存による利益を生み出してきた同じことを東アジアで考えてみよう。尖閣は棚上げでいいと中国が言っているのに、わざと緊張激化させているのが日本政府・安倍内閣だ。ASEANは一つの手本になる。宗教、政治体制の違いを乗り越え、戦争をしないことで国の安全を守る。「日米同盟」の固定観念を捨てアジアの平和共存へ乗り出すべきだ。
講演の後行われた『二一世紀の戦争と平和』(徳間書店、二〇一六年)の販売とサイン会には参加者が列をなした。買い求めた本に早速目を通したが、この日の講演の背骨となっている考えが具体的な資料と共に分かりやすく紹介されている。一読の価値がある。
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